グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年7月17日

パッカーズの今後は

NFL労使交渉では重要問題で次々と合意が成立し、残るは比較的マイナーなテーマばかり。まさにタイムリミット効果で(19日に判事を含めた全体会合があるのでそこで正式調印したい)、未解決の問題もタイムリミットが迫ればおそらく妥協できるだろう、という楽観論が大勢を占めている。

労使合意後のさまざまな法的手続きや組合再結成・新協定承認にかかる時間がはっきりしないため、8月7日のホール・オブ・フェーム・ゲーム(CHI対STL)だけは依然として微妙。しかしそれ以外の30球団は、予定通りキャンプインし、プレシーズンも全試合開催できると予想してさしつかえないだろう。

前回の記事で紹介したように仮に21日に新労使協定が発効した場合、1週間後ぐらいにFA解禁、その数日前から自前のFA予定選手との再契約交渉が可能となるはず。ごく短期間のうちに新サラリーキャップ制度の分析を済ませ、ドラフト外ルーキーおよびドラフト指名ルーキー(合計20人前後か)との契約を済ませ、FA補強を行うのだから、GMをはじめ人事部門にとっては殺人的な忙しさになる。

◆ フリーエージェント

今年のパッカーズのFA予定選手は2月の記事を参考のこと(その後SSペプラーは契約延長。新年度のサラリーキャップ枠は$120ミリオンと報道されていて(労使が収益配分で合意できている証拠だ)、それが本当だとすると、パッカーズの来季サラリーはすでにほぼ枠いっぱいらしい。

これでは(DEジェンキンズを含む)大物FAとの契約はできそうになく、戦力外となったILBニック・バーネットやRTマーク・タウシャーを解雇しなければならないかも。FA解禁前に3日間あるので、KクロスビーやRBブランドン・ジャクソン(またはFBジョン・クーン)と契約交渉する可能性は高い。WRジェームズ・ジョーンズについては、「いったんFA市場に出たうえで、目ぼしいオファーがなければ帰ってくるかも」とする見方もある。彼に限らず、今年のFA選手は移籍先で準備期間が短いだけに、古巣との再契約がより魅力的に見えるのではないか。

もともとFA軽視のパッカーズにとって、さらに大きいテーマは2012年FA予定選手との契約延長かもしれない。今年コントラクト・イヤーを迎えるのはRGジョシュ・シットン、TEジャーマイケル・フィンリー、RBライアン・グラント、Cスコット・ウェルズ、WRジョーディ・ネルソンといったところ。プロボウル目前のRGシットンと今季中に契約延長交渉を進めるのは確実と見られていて、問題はTEフィンリーをどうするか。ビッグ・マウス系のTEフィンリーがケミストリーを乱したり高望みをし過ぎるようであれば、契約延長を見送る可能性もある。ドラフトでTEを2人獲ったのはそのため、という見方も。

◆ トレーニングキャンプ

パッカーズのトレーニングキャンプは、29日集合(体力測定など)・30日初練習となるはず。1週間後の8月6日(土)にパッカーズ・ファミリーナイト(ランボーフィールドでの公開スクリメージ練習)、13日(土)にプレシーズン初戦の@ブラウンズ戦となっている。

4か月以上にわたるロックアウトで、最も大きな不利をこうむったのは新ヘッドコーチや新コーディネーターを迎えたチームだろう(例年ならば新HCのチームは他より1回多い2回のミニキャンプが許される)。さいわいパッカーズはオフェンスがマッカーシーHC6年目、ディフェンスがケイパースDC3年目なので、選手たちの習熟度は高く、トレーニングキャンプ前に新システムをインストールしておく必要がない。

個人レベルでロックアウトの悪影響を最も受けるのはルーキーや移籍する選手。ドラフト指名ルーキーは本来なら5月・6月はプレーブック漬けとなってトレーニングキャンプに備えるところが、今年はプレーブックさえまだ受け取ることができない。キャンプ開始から6週間で開幕なのに、今年のキャンプ序盤はプレー習得に費やさねばならず、それだけポジション争いが難しくなる。もっと気の毒なのは契約を待たされているドラフト外ルーキーたちで、ただでさえ難しい開幕ロースター入りが、今年は超難関となってしまいそう。

ロックアウト中に他球団が合同自主練習を行うなか、パッカーズだけはチーム全体での練習を行わなかった。他よりも1か月半長くシーズンを戦ったため心身とも消耗が大きく、リフレッシュに重点を置いた面が大きい。他球団とくらべて地元に1年中住む選手が少なく、またシステムには習熟しているのでわざわざ集まる必要が少ない。優勝したばかりでケミストリーも最高潮。新人、とくにスキルポジションの選手には不親切だが、即スターターを期待するポジションは1つもないので、あまり慌てる必要もない。

合同自主練習といっても実際のところコーチ抜きでは実のある練習などできず、「来季への意気込みを内外に示し、仲良くつるんでケミストリー向上を図る」のが最大の眼目になっている。そのため、「やらなくても大丈夫か」とやきもきするのはファンだけで、練習の実情を知る記者たちはほとんど心配していないようだ。

◆ ◆ ◆

そうしたことを考えると、キャンプで最も心配なのはおでぶちゃん軍団だろう。具体的にはDEライアン・ピケット、NTハワード・グリーン、NT B.J.ラジといった330ポンド級の選手たちだ。DEピケットは例年罰金つきの体重コントロールを強いられ、NTグリーンは370ポンドを超える体重問題で昨秋ジェッツを解雇。NTラジも大学時代に体重問題を抱えたことがある。(元トレーニングコーチのコメントも参照)

同じディフェンシブラインマンでも、新スターター予定のDEマイク・ニールはたいへんな練習の虫なので大丈夫そう。他の選手が夜更かししてツイートするなか、彼は早朝から起き出してトレーニングに励んでいる(信心深さもハンパでない)。OL陣には体重問題を抱える選手がおらず、一般的にもOLはDLと比べて練習熱心なので、あまり心配はないはず。

オフシーズンの体作りをまったく管理できなかったコーチ陣にとっては、トレーニングキャンプ序盤のかじ取りが非常に難しいものになる。例年のように初日からエンジン全開にしたらケガ人続出になりかねない。各選手の体調を細かくモニターしながら、臨機応変にアクセルを加減していくしかないだろう。

なお労使交渉では、(長期的な安全の観点から)キャンプでのコンタクト練習の制限を盛り込むことを選手会側が主張している。パッカーズの場合はマッカーシーHCが数年前からコンタクト練習をかなり減らし、休日も多くしているので、新協定の大きな影響はないはず。

カテゴリ : Camp, Contract/Personnel