グリーンベイ・パッカーズ過去10年間のドラフトの成果をざっと振り返ってみよう。とはいっても昨年のドラフトを評価するのはまだ早すぎるので、2000年から2009年までの10年間とした。年度順全指名リストもご参考に。
ロン・ウルフGMがレイ・ローズHCをわずか1年で解任し、マイク・シャーマンを新HCに迎えて初めてのドラフト。世代交代期とあってなんと13人の大量指名を敢行した。1巡TEフランクス、2巡LTクリフトン、4巡LBディッグス、7巡RTタウシャーの4人が1年目からスターターとなり、5巡DEバジャ=ビアミラも2年目に大ブレーク。このドラフトの成功が翌年からの4年連続プレーオフにつながった。
2000 Green Bay Packers Draft Picks | |||||
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Pick | Overall | Pos. | Name | College | 備考 |
1巡14位 | 14位 | TE | Bubba Franks | Miami | 何事も堅実。プロボウルは過大評価 |
2巡13位 | 44位 | OT | Chad Clifton | Tennessee | 頼りになるLT。昨季優勝にも大貢献 |
3巡12位 | 74位 | CB | Steve Warren | Nebraska | 大ケガで短命に終わった |
4巡4位 | 98位 | LB | Na'il Diggs | Ohio State | 先発ストロングサイドで安定した活躍 |
4巡20位 | 114位 | WR | Anthony Lucas | Arkansas | 大学でもプロでもケガに泣いた |
4巡32位 | 126位 | S | Gary Berry | Ohio State | ルーキー年に首を負傷して引退 |
5巡20位 | 149位 | DE | Kabeer Gbaja-Biamila | San Diego St. | 球団記録の通算74.5サック |
5巡22位 | 151位 | WR | Joey Jamison | Texas Southern | キャッチできないリターナーで即解雇 |
7巡18位 | 224位 | OT | Mark Tauscher | Wisconsin | LTクリフトンとのコンビで長く活躍 |
7巡23位 | 229位 | DT | Ron Moore | NW Oklahoma | 2年目にATLで1試合だけ出場 |
7巡36位 | 242位 | WR | Charles Lee | Central Florida | 引退後に強盗で服役中 |
7巡43位 | 249位 | LB | Eugene McCaslin | Florida | プロ2年間で出場1試合のみ |
7巡46位 | 252位 | RB | Rondell Mealey | LSU | 1年目に前十字靭帯断裂 |
なんといっても1回のドラフトで今後10年の先発両OTを手に入れたのだから素晴らしい。とくに2巡指名LTクリフトンは11年目の昨季もプロボウルに選ばれ、スーパーボウル制覇に貢献。7巡a指名RTタウシャーも昨季負傷するまで10年以上スターターを務めた。
TEフランクスの1巡指名はTEマーク・チュムラの不祥事で即戦力TE獲得を余儀なくされたため。プロボウル3回はやや過大評価で、RBグリーンの全盛期のおかげでTDを量産でき、NFCのスターTE不足に助けられた結果だろう。4巡a指名のLBディッグスは1年目からストロングサイドで先発の座をつかみ、堅実なアウトサイドLBとして現在もラムズで頑張っている。5巡指名DEバジャ=ビアミラは2年目に13.5サックを挙げて大ブレーク。4年連続2ケタサックなど、通算74.5サックの球団記録を作っている。
3巡指名DTウォーレンは1年目からよく働いたが太ももの大ケガで短命に終わった。4巡b指名WRルーカスはケガのリスクを承知して指名し、やはりダメだった。4巡c指名Sベリーは1年目に首を大ケガしてそのまま引退。7巡e指名RBミーリーも才能の片りんを見せながら入団直後からケガに苦しんで活躍できなかった。7巡c指名WRリーは控えWRとして通算957yds、バッカニアーズではスーパーボウルリングも手に入れたが、引退後に強盗事件を起こして現在服役中のようだ。
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'90年代の黄金期を築いたウルフGMが2月に突如引退を発表し、彼にとって最後のドラフトとなった。後任GMとなるマイク・シャーマンHCへのよき置き土産とするはずが、結果はキャリア最悪のドラフト。シャーマンHC時代(2000-05)にプレーオフで勝ち切れない遠因ともなった。ここで指名を成功させていれば、翌春にDEジョー・ジョンソンやWRテリー・グレンに無駄な大金を使わずに済んだはず。
2001 Green Bay Packers Draft Picks | |||||
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Pick | Overall | Pos. | Name | College | 備考 |
1巡10位 | 10位 | DE | Jamal Reynolds | Florida State | 球団史上屈指のBUSTに |
2巡10位 | 41位 | WR | Robert Ferguson | Texas A&M | スターターには何かが足りなかった |
3巡9位 | 71位 | CB | Bhawoh Jue | Penn State | CBとSのトゥイーナー |
3巡10位 | 72位 | LB | Torrance Marshall | Oklahoma | 身体能力高いが頭が悪かった |
4巡10位 | 105位 | OG | Bill Ferrerio | Wisconsin | 2年で解雇。先発ゼロ |
6巡35位 | 198位 | TE | David Martin | Tennessee | 2番手クラスでしぶとく生き残る |
QBハッセルベックをシーホークスに譲渡してトレードアップして指名した1巡10位DEレイノルズは、球団史上屈指の大バストに。NFL3年間で18試合出場(先発なし)、3サック。ケガに苦しんだ面があるとはいえ、実際は入団直後からパスラッシュ力の不足は明らかだった。2年目のDEバジャ=ビアミラの台頭がディフェンスを救った。
2巡指名WRファーガソンもスターターに定着できず(6年通算1577yds、その後MINへ)、3巡a指名CB/Sジューもスターターには物足りなかった(SDに移り2年で先発16試合とまずまず)。3巡b指名MLBマーシャルは在籍4年間で先発2試合のみ、'03年には薬物違反で4試合の出場停止。地元ウィスコンシン大出身の4巡指名OGフェラリオはけっきょく先発が一度もなし。
それなりの成功を収めたのが6巡指名のTEマーティンで、細く長く控えTEを続け、ドルフィンズを経て現在もビルズでプレーを続けている。
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マイク・シャーマンHCがGM兼任となって初めてのドラフト。GM3年間の中では最もよい出来で、2人のプロボウラーを輩出している。せっかく2巡指名権を手放してトレードアップして獲ったWRウォーカーだが、実質3年しかプレーしなかったところが残念。5巡のDEキャンプマンはシャーマンHC/GMにとって最高の指名となった。
2002 Green Bay Packers Draft Picks | |||||
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Pick | Overall | Pos. | Name | College | 備考 |
1巡20位 | 20位 | WR | Javon Walker | Florida State | プロボウラーもトレード後は転落 |
3巡27位 | 92位 | S | Marques Anderson | UCLA | 安定感を欠き2年で解雇 |
4巡37位 | 135位 | FB | Najeh Davenport | Miami (FL) | パワフルな2番手RB |
5巡21位 | 156位 | DE | Aaron Kampmann | Iowa | 連続プロボウル出場。現JAX |
5巡29位 | 164位 | QB | Craig Nall | Northwestern State | 控えQB7年間、先発ゼロ |
6巡28位 | 200位 | OT | Mike Houghton | San Diego State | 1年目で解雇 |
1巡指名WRウォーカーは2年目に急成長し、3年目には1382yds・12TDを記録してプロボウルに選出された。しかし4年目の春に契約への不満からホールドアウトを行い、合流したと思ったら開幕戦でヒザの前十字靭帯を断裂。翌'06年に要求が通ってブロンコスにトレードされた。故障明けながら1,084yds・8TDと頑張ったが、最終戦を終えた夜にCBダレント・ウィリアムズ殺害の瞬間に居合わせ、そこからはメンタルがボロボロに。解雇されてレイダーズに高額FA入団したものの、2年で15回196ydsの体たらくで昨年春に解雇。ヴァイキングスでチャンスをもらったが開幕ロースターには残れず、このままフェードアウトとなりそうだ。
3巡指名のSSアンダーソンはルーキーシーズンこそ代役スターターとして期待を抱かせる働きをしたものの、雑なプレーばかりでけっきょく2年で解雇。4巡指名RBダヴェンポートはFB並のガタイを活かし、控えRBとしてそれなりに活躍。GB・PIT・INDで7年合計394回1819yds(平均4.6)でキャリアを終えている。
5巡指名DEキャンプマンはご存じのとおりプロボウル2回の大出世。5巡指名QBノールは控えQBとしてまずまずのキャリアを築いた(7年間で先発はゼロ)。6巡指名のT/Gホウトンは大失敗で開幕ロースターにさえ残れず、ビルズで1試合だけ出場してキャリアを終えている。
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5年ぶりの地区優勝を果たした翌年のドラフトは、シャーマンHC/GMにとって大きな失敗だった。1巡指名のLBバーネットだけは成功を収めているものの、それ以外は1人も戦力にならずにチームを去っている。LBハンター・ヒレンマイヤーに至ってはパッカーズから解雇されてベアーズに移り、翌年から先発ストロングサイドLBとして活躍した。
2003 Green Bay Packers Draft Picks | |||||
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Pick | Overall | Pos. | Name | College | 備考 |
1巡29位 | 29位 | LB | Nick Barnett | Oregon State | 不動の先発MLBとして活躍 |
3巡15位 | 79位 | DT | Kenny Peterson | Ohio State | 懸念したとおりのトゥイーナー |
5巡12位 | 147位 | DT | James Lee | Oregon State | 直線スピードが速いだけだった |
5巡31位 | 166位 | LB | Hunter Hillenmeyer | Vanderbilt | ベアーズでしっかり先発SLBに |
6巡39位 | 212位 | OT | Brennan Curtin | Notre Dame | 長身OTの典型的な失敗例 |
7巡31位 | 245位 | CB | Chris Johnson | Louisville | レイダーズでしぶとく頑張る |
7巡39位 | 253位 | WR | DeAndrew Rubin | South Florida | 出場ゼロ |
7巡42位 | 256位 | WR | Carl Ford | Toledo | GBでの出場ゼロ |
7巡43位 | 257位 | LB | Steve Josue | Carson Newman | 2年で退団 |
1巡指名LBバーネットはプロボウルには届かないものの、ディフェンスの中心として長年活躍してくれている。3巡指名のDTピーターソンはDTには馬力が足りず、DEにはスピードが足りない典型的などっちつかずの選手。'06年にブロンコスに移って4年間プレーした。最後の'09年シーズンにはスターターを務めたので、最初から3-4ディフェンスならもっと活躍できた選手かもしれない。
5巡指名LBヒレンマイヤーは1年目の開幕前、プラクティス・スクワッドに入れるつもりで解雇したところをベアーズにさらわれ、2年目から先発ストロングサイドLBとして活躍されてしまった(脳震盪で今年引退の方向)。7巡a指名CBジョンソンはGB時代は芽が出なかったが要するに遅咲きの選手で、ラムズ(主にキックオフリターナー)、チーフスと渡り歩くうちに実力をつけ、レイダーズではこの4年間で26試合に先発して8INTを挙げている。
上記の4人以外はまったくダメ。5巡a指名のDTリーは2年で9試合に出場して9タックルのみでキャリアを終えている。6巡指名OTカーティンは在籍2年で出場ゼロ。7巡b指名WRルービンも出場ゼロ。7巡c指名WRフォードは'05年にベアーズに移り、スペシャルチーム専門で10試合出場したのみ(WRスタッツなし)。7巡d指名LBジョシューはプロ2年目にスペシャルチームで4試合に出場したのみ。
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NFC決勝を目の前にしてイーグルスに惜敗。優勝を目指してFA補強をしたいがこの時期はサラリーキャップがキツキツの年が続いている。そのぶんドラフトでなんとかしたいが、上位4人がすべてバストという大変な失敗ドラフトとなってしまった。3巡でパンターを指名してコケたのはいまや伝説。シャーマンHCにとってこの2年間のドラフト失敗が翌年のGM職はく奪、トンプソンGM就任に直結した。ただし下位2人はそれなりの成功を収めている。
2004 Green Bay Packers Draft Picks | |||||
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Pick | Overall | Pos. | Name | College | 備考 |
1巡25位 | 25位 | CB | Ahmad Carroll | Arkansas | ボールへのセンスを欠き性格にも難 |
3巡 7位 | 70位 | CB | Joey Thomas | Montana State | 同上 |
3巡 9位 | 72位 | DT | Donnell Washington | Clemson | 2年で出場ゼロ |
3巡24位 | 87位 | P | B.J. Sander | Ohie State | パンターの3巡指名が嘲笑の的に |
6巡14位 | 179位 | DT | Corey Williams | Arkansas State | 精神面に難があるがそれなりに働いた |
7巡50位 | 251位 | C | Scott Wells | Tennessee | OLの柱石として昨季優勝にも貢献 |
連続CB指名を行ったのはエースCBマイク・マッケンジーがトレードを要求したためで、それ自体はやむをえない。1巡指名CBキャロルはスピードスターだがボールへのセンスが悪く反則を繰り返し、また性格にも難があって成長しなかった。3年目の途中で解雇されると、ジャガーズとジェッツにも在籍したがロースターに定着できず(銃器不法所持や覚醒剤で逮捕も)、先月にはAFLハートフォード・コロニアルズのトライアウトに参加している。
3巡a指名のCBトーマスも似たり寄ったりで反則が多く、ちょっとまずいことが起きると性格の悪さを露呈してしまう。プロ2年目途中で解雇されると、セインツ、カウボーイズ、CFLエドモントン、ドルフィンズ、レイダーズと渡り歩いたが、GB退団後の公式戦出場は'05年(NO)と'08年(MIA)の計11試合のみ。3巡b指名のDTワシントンもアスレチック能力だけの選手でDLとしてのセンスがなく、2年間で一度も出場せずにNFLを去っている。
さらにひどかったのが、トレードアップしてPサンダー3巡c指名したこと。パンターには珍しい3巡指名(全体87位はNFL過去15年で最も高い)ながら1年目は先発の座を確保できず、2年目はグロス39.2yds、ネット33.9ydsの大不振でけっきょく解雇。シャーマンHC/GM時代の最悪の指名として語り継がれる存在となった。
6巡指名DTウィリアムズは3年目からスターターとなり、2年連続7サックを挙げてブラウンズにトレード(2巡指名権と交換)。3-4ディフェンスには合わなかったが(精神面の甘さも)、昨年ライオンズに移って全試合に先発している。ごぞんじ7巡指名Cウェルズがこのドラフト最大の成功。ライバルのCスピッツを退け、タフで頭脳的な先発センターとしてオフェンシブラインの柱石となっている。