グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年4月24日

過去10年のドラフト 前編

グリーンベイ・パッカーズ過去10年間のドラフトの成果をざっと振り返ってみよう。とはいっても昨年のドラフトを評価するのはまだ早すぎるので、2000年から2009年までの10年間とした。年度順全指名リストもご参考に。

 

■ 2000年 (前年8勝8敗)

ロン・ウルフGMがレイ・ローズHCをわずか1年で解任し、マイク・シャーマンを新HCに迎えて初めてのドラフト。世代交代期とあってなんと13人の大量指名を敢行した。1巡TEフランクス、2巡LTクリフトン、4巡LBディッグス、7巡RTタウシャーの4人が1年目からスターターとなり、5巡DEバジャ=ビアミラも2年目に大ブレーク。このドラフトの成功が翌年からの4年連続プレーオフにつながった。

2000 Green Bay Packers Draft Picks
Pick Overall Pos. Name College 備考
1巡14位 14位 TE Bubba Franks Miami 何事も堅実。プロボウルは過大評価
2巡13位 44位 OT Chad Clifton Tennessee 頼りになるLT。昨季優勝にも大貢献
3巡12位 74位 CB Steve Warren Nebraska 大ケガで短命に終わった
4巡4位 98位 LB Na'il Diggs Ohio State 先発ストロングサイドで安定した活躍
4巡20位 114位 WR Anthony Lucas Arkansas 大学でもプロでもケガに泣いた
4巡32位 126位 S Gary Berry Ohio State ルーキー年に首を負傷して引退
5巡20位 149位 DE Kabeer Gbaja-Biamila San Diego St. 球団記録の通算74.5サック
5巡22位 151位 WR Joey Jamison Texas Southern キャッチできないリターナーで即解雇
7巡18位 224位 OT Mark Tauscher Wisconsin LTクリフトンとのコンビで長く活躍
7巡23位 229位 DT Ron Moore NW Oklahoma 2年目にATLで1試合だけ出場
7巡36位 242位 WR Charles Lee Central Florida 引退後に強盗で服役中
7巡43位 249位 LB Eugene McCaslin Florida プロ2年間で出場1試合のみ
7巡46位 252位 RB Rondell Mealey LSU 1年目に前十字靭帯断裂

なんといっても1回のドラフトで今後10年の先発両OTを手に入れたのだから素晴らしい。とくに2巡指名LTクリフトンは11年目の昨季もプロボウルに選ばれ、スーパーボウル制覇に貢献。7巡a指名RTタウシャーも昨季負傷するまで10年以上スターターを務めた。

TEフランクスの1巡指名はTEマーク・チュムラの不祥事で即戦力TE獲得を余儀なくされたため。プロボウル3回はやや過大評価で、RBグリーンの全盛期のおかげでTDを量産でき、NFCのスターTE不足に助けられた結果だろう。4巡a指名のLBディッグスは1年目からストロングサイドで先発の座をつかみ、堅実なアウトサイドLBとして現在もラムズで頑張っている。5巡指名DEバジャ=ビアミラは2年目に13.5サックを挙げて大ブレーク。4年連続2ケタサックなど、通算74.5サックの球団記録を作っている。

3巡指名DTウォーレンは1年目からよく働いたが太ももの大ケガで短命に終わった。4巡b指名WRルーカスはケガのリスクを承知して指名し、やはりダメだった。4巡c指名Sベリーは1年目に首を大ケガしてそのまま引退。7巡e指名RBミーリーも才能の片りんを見せながら入団直後からケガに苦しんで活躍できなかった。7巡c指名WRリーは控えWRとして通算957yds、バッカニアーズではスーパーボウルリングも手に入れたが、引退後に強盗事件を起こして現在服役中のようだ。

◆ ◆ ◆

■ 2001年 (前年9勝7敗)

'90年代の黄金期を築いたウルフGMが2月に突如引退を発表し、彼にとって最後のドラフトとなった。後任GMとなるマイク・シャーマンHCへのよき置き土産とするはずが、結果はキャリア最悪のドラフト。シャーマンHC時代(2000-05)にプレーオフで勝ち切れない遠因ともなった。ここで指名を成功させていれば、翌春にDEジョー・ジョンソンやWRテリー・グレンに無駄な大金を使わずに済んだはず。

2001 Green Bay Packers Draft Picks
Pick Overall Pos. Name College 備考
1巡10位 10位 DE Jamal Reynolds Florida State 球団史上屈指のBUSTに
2巡10位 41位 WR Robert Ferguson Texas A&M スターターには何かが足りなかった
3巡9位 71位 CB Bhawoh Jue Penn State CBとSのトゥイーナー
3巡10位 72位 LB Torrance Marshall Oklahoma 身体能力高いが頭が悪かった
4巡10位 105位 OG Bill Ferrerio Wisconsin 2年で解雇。先発ゼロ
6巡35位 198位 TE David Martin Tennessee 2番手クラスでしぶとく生き残る

QBハッセルベックをシーホークスに譲渡してトレードアップして指名した1巡10位DEレイノルズは、球団史上屈指の大バストに。NFL3年間で18試合出場(先発なし)、3サック。ケガに苦しんだ面があるとはいえ、実際は入団直後からパスラッシュ力の不足は明らかだった。2年目のDEバジャ=ビアミラの台頭がディフェンスを救った。

2巡指名WRファーガソンもスターターに定着できず(6年通算1577yds、その後MINへ)、3巡a指名CB/Sジューもスターターには物足りなかった(SDに移り2年で先発16試合とまずまず)。3巡b指名MLBマーシャルは在籍4年間で先発2試合のみ、'03年には薬物違反で4試合の出場停止。地元ウィスコンシン大出身の4巡指名OGフェラリオはけっきょく先発が一度もなし。

それなりの成功を収めたのが6巡指名のTEマーティンで、細く長く控えTEを続け、ドルフィンズを経て現在もビルズでプレーを続けている。

◆ ◆ ◆

■ 2002年 (前年12勝4敗)

マイク・シャーマンHCがGM兼任となって初めてのドラフト。GM3年間の中では最もよい出来で、2人のプロボウラーを輩出している。せっかく2巡指名権を手放してトレードアップして獲ったWRウォーカーだが、実質3年しかプレーしなかったところが残念。5巡のDEキャンプマンはシャーマンHC/GMにとって最高の指名となった。

2002 Green Bay Packers Draft Picks
Pick Overall Pos. Name College 備考
1巡20位 20位 WR Javon Walker Florida State プロボウラーもトレード後は転落
3巡27位 92位 S Marques Anderson UCLA 安定感を欠き2年で解雇
4巡37位 135位 FB Najeh Davenport Miami (FL) パワフルな2番手RB
5巡21位 156位 DE Aaron Kampmann Iowa 連続プロボウル出場。現JAX
5巡29位 164位 QB Craig Nall Northwestern State 控えQB7年間、先発ゼロ
6巡28位 200位 OT Mike Houghton San Diego State 1年目で解雇

1巡指名WRウォーカーは2年目に急成長し、3年目には1382yds・12TDを記録してプロボウルに選出された。しかし4年目の春に契約への不満からホールドアウトを行い、合流したと思ったら開幕戦でヒザの前十字靭帯を断裂。翌'06年に要求が通ってブロンコスにトレードされた。故障明けながら1,084yds・8TDと頑張ったが、最終戦を終えた夜にCBダレント・ウィリアムズ殺害の瞬間に居合わせ、そこからはメンタルがボロボロに。解雇されてレイダーズに高額FA入団したものの、2年で15回196ydsの体たらくで昨年春に解雇。ヴァイキングスでチャンスをもらったが開幕ロースターには残れず、このままフェードアウトとなりそうだ。

3巡指名のSSアンダーソンはルーキーシーズンこそ代役スターターとして期待を抱かせる働きをしたものの、雑なプレーばかりでけっきょく2年で解雇。4巡指名RBダヴェンポートはFB並のガタイを活かし、控えRBとしてそれなりに活躍。GB・PIT・INDで7年合計394回1819yds(平均4.6)でキャリアを終えている。

5巡指名DEキャンプマンはご存じのとおりプロボウル2回の大出世。5巡指名QBノールは控えQBとしてまずまずのキャリアを築いた(7年間で先発はゼロ)。6巡指名のT/Gホウトンは大失敗で開幕ロースターにさえ残れず、ビルズで1試合だけ出場してキャリアを終えている。

◆ ◆ ◆

■ 2003年 (前年12勝4敗)

5年ぶりの地区優勝を果たした翌年のドラフトは、シャーマンHC/GMにとって大きな失敗だった。1巡指名のLBバーネットだけは成功を収めているものの、それ以外は1人も戦力にならずにチームを去っている。LBハンター・ヒレンマイヤーに至ってはパッカーズから解雇されてベアーズに移り、翌年から先発ストロングサイドLBとして活躍した。 

2003 Green Bay Packers Draft Picks
Pick Overall Pos. Name College 備考
1巡29位 29位 LB Nick Barnett Oregon State 不動の先発MLBとして活躍
3巡15位 79位 DT Kenny Peterson Ohio State 懸念したとおりのトゥイーナー
5巡12位 147位 DT James Lee Oregon State 直線スピードが速いだけだった
5巡31位 166位 LB Hunter Hillenmeyer Vanderbilt ベアーズでしっかり先発SLBに
6巡39位 212位 OT Brennan Curtin Notre Dame 長身OTの典型的な失敗例
7巡31位 245位 CB Chris Johnson Louisville レイダーズでしぶとく頑張る
7巡39位 253位 WR DeAndrew Rubin South Florida 出場ゼロ
7巡42位 256位 WR Carl Ford Toledo GBでの出場ゼロ
7巡43位 257位 LB Steve Josue Carson Newman 2年で退団

1巡指名LBバーネットはプロボウルには届かないものの、ディフェンスの中心として長年活躍してくれている。3巡指名のDTピーターソンはDTには馬力が足りず、DEにはスピードが足りない典型的などっちつかずの選手。'06年にブロンコスに移って4年間プレーした。最後の'09年シーズンにはスターターを務めたので、最初から3-4ディフェンスならもっと活躍できた選手かもしれない。

5巡指名LBヒレンマイヤー1年目の開幕前、プラクティス・スクワッドに入れるつもりで解雇したところをベアーズにさらわれ、2年目から先発ストロングサイドLBとして活躍されてしまった(脳震盪で今年引退の方向)。7巡a指名CBジョンソンはGB時代は芽が出なかったが要するに遅咲きの選手で、ラムズ(主にキックオフリターナー)、チーフスと渡り歩くうちに実力をつけ、レイダーズではこの4年間で26試合に先発して8INTを挙げている。

上記の4人以外はまったくダメ。5巡a指名のDTリーは2年で9試合に出場して9タックルのみでキャリアを終えている。6巡指名OTカーティンは在籍2年で出場ゼロ。7巡b指名WRルービンも出場ゼロ。7巡c指名WRフォードは'05年にベアーズに移り、スペシャルチーム専門で10試合出場したのみ(WRスタッツなし)。7巡d指名LBジョシューはプロ2年目にスペシャルチームで4試合に出場したのみ。

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■ 2004年 (前年10勝6敗)

NFC決勝を目の前にしてイーグルスに惜敗。優勝を目指してFA補強をしたいがこの時期はサラリーキャップがキツキツの年が続いている。そのぶんドラフトでなんとかしたいが、上位4人がすべてバストという大変な失敗ドラフトとなってしまった。3巡でパンターを指名してコケたのはいまや伝説。シャーマンHCにとってこの2年間のドラフト失敗が翌年のGM職はく奪、トンプソンGM就任に直結した。ただし下位2人はそれなりの成功を収めている。

2004 Green Bay Packers Draft Picks
Pick Overall Pos. Name College 備考
1巡25位 25位 CB Ahmad Carroll Arkansas ボールへのセンスを欠き性格にも難
3巡  7位 70位 CB Joey Thomas Montana State 同上
3巡  9位 72位 DT Donnell Washington Clemson 2年で出場ゼロ
3巡24位 87位 P B.J. Sander Ohie State パンターの3巡指名が嘲笑の的に
6巡14位 179位 DT Corey Williams Arkansas State 精神面に難があるがそれなりに働いた
7巡50位 251位 C Scott Wells Tennessee OLの柱石として昨季優勝にも貢献

連続CB指名を行ったのはエースCBマイク・マッケンジーがトレードを要求したためで、それ自体はやむをえない。1巡指名CBキャロルはスピードスターだがボールへのセンスが悪く反則を繰り返し、また性格にも難があって成長しなかった。3年目の途中で解雇されると、ジャガーズとジェッツにも在籍したがロースターに定着できず(銃器不法所持や覚醒剤で逮捕も)、先月にはAFLハートフォード・コロニアルズのトライアウトに参加している。

3巡a指名のCBトーマスも似たり寄ったりで反則が多く、ちょっとまずいことが起きると性格の悪さを露呈してしまう。プロ2年目途中で解雇されると、セインツ、カウボーイズ、CFLエドモントン、ドルフィンズ、レイダーズと渡り歩いたが、GB退団後の公式戦出場は'05年(NO)と'08年(MIA)の計11試合のみ。3巡b指名のDTワシントンもアスレチック能力だけの選手でDLとしてのセンスがなく、2年間で一度も出場せずにNFLを去っている。

さらにひどかったのが、トレードアップしてPサンダー3巡c指名したこと。パンターには珍しい3巡指名(全体87位はNFL過去15年で最も高い)ながら1年目は先発の座を確保できず、2年目はグロス39.2yds、ネット33.9ydsの大不振でけっきょく解雇。シャーマンHC/GM時代の最悪の指名として語り継がれる存在となった。

6巡指名DTウィリアムズは3年目からスターターとなり、2年連続7サックを挙げてブラウンズにトレード(2巡指名権と交換)。3-4ディフェンスには合わなかったが(精神面の甘さも)、昨年ライオンズに移って全試合に先発している。ごぞんじ7巡指名Cウェルズがこのドラフト最大の成功。ライバルのCスピッツを退け、タフで頭脳的な先発センターとしてオフェンシブラインの柱石となっている。

カテゴリ : Draft, History