グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年4月 8日

シーズン総括と展望 CB編

若手が大きく成長し、パスカバレッジの向上がスーパーボウル制覇の原動力となった。パスヤーデージはNFL5位のまま横ばいだったものの、パスで許したTD数は'09年の29回(28位)から16回(4位)へと激減。それでいてインターセプトはNFL2位をキープしている。投げるところが見つからないカバレッジ・サックも多い。

トラモン・ウィリアムズがアル・ハリスの後継スターターとして初プロボウルにも選ばれ、早くもNFLを代表するシャットダウン・コーナーの1人と見なされる存在に。さらにドラフト外ルーキーのサム・シールズが予想を大きく上回るプレーぶりを見せ、3番手CBとして十分すぎるほどの活躍で優勝に貢献した。NFL最強のセカンダリーと呼ばれるようになったのも、シールズがいてこそだ。

'09年にディフェンスMVPに選ばれたチャールズ・ウッドソンは、純粋なパスカバレッジ能力には陰りが見えるものの、主にスロットのポジションからラン守備にパスラッシュに八面六臂の活躍。CBなのかSSなのかLBなのか、もうよくわからない。いっぽう、もっとも成長が期待されていたブランドン・アンダーウッドとパット・リーの2年目・3年目コンビは伸び悩んだ。シールズにあっさり抜かれただけでなく4番手も確保できず、ベテランのジャレット・ブッシュの後塵を拝したままだ。

大ベテランのアル・ハリス(プロボウル2回)は'09年終盤に負った前十字靭帯(その他いくつもの靭帯)断裂からのリハビリを終え11月初めには出場可能となったが、けっきょくチームは解雇を選んだ。理由はなんといっても新人サム・シールズの存在だろう。4番手以下ではハリスが納得せず、かといって3番手で使うとシールズの成長を妨げることになるからだ。(ハリスはドルフィンズと契約して3試合出場し、ハムストリングを痛めてIR入り。その後解雇された)

今夏は上位3人が安泰、4番手をその他の選手が争う、といった状況が続きそうだ。ウッドソン(34歳)の衰えに備える必要はあるが、両アウトサイドをトラモンとシールズに任せる今の起用法なら、急激な能力ダウンの心配は要らないかもしれない。ドラフトでは展開しだいで上位指名もありうるが、ニーズとしてはOLBやDEの方が重要のはず。

チャールズ・ウッドソン Charles Woodson | Cornerback |  Michigan
6-1 (185cm) | 202lbs (92kg) | 14年目 34歳 | 2006年FA (1998年OAK1巡4位)

NFL最優秀ディフェンス選手に選ばれた'09年シーズンと比べればトーンダウンしたものの、34歳となっても高いレベルで活躍し、ロッカールームではむしろ存在感を増している。'90年代の故DEレジー・ホワイトを思わせるリーダーシップでチームを引っ張り、悲願のロンバルディ・トロフィーをつかんだ。NFC決勝終了後のスピーチも球団史上に残るユニークなペップトークだった。

カバーCBとしての役割はウィリアムズとシールズに任せ、彼自身はスロットの位置からブリッツ(プレッシャー11回)にラン守備にと「ジョーカー」的な役割を担う。並外れたフットボールセンスと嗅覚をケイパースDCが見事に活用し、ロスタックル数はチーム最多の7回、タックル数はキャリア最多。いっぽう反則はチーム最多の12回を数え、インターセプトも'09年の9回から2回へと大幅ダウンしている。

トラモン・ウィリアムズ Tramon Williams | Cornerback | Louisiana Tech
5-11 (180cm) | 191lbs (87kg) | 5年目 28歳 | 2006年ドラフト外

ドラフト外入団からプラクティス・スクワッドを経て'07年に3番手/ニッケルバックとなり、'09年途中からアル・ハリス(前十字靭帯断裂)に代わってフルタイムのスターターに。昨年開幕前に「カバレッジ能力ではウッドソンより上」とCBコーチが豪語したのが的中し、一人前になるどころか初プロボウルにも選ばれる大活躍。プレーオフでもPHI戦・ATL戦と価値あるインターセプトを連発し、早くもNFL屈指のカバーコーナーとの名声を確立した。

一流WRにもぴったりついていける足と、WRの手にボールが収まる瞬間に叩けるボールスキル、ギャンブルのリスクを計算できる冷静な頭脳と判断力がある。11月末には総額約$33ミリオンの契約延長にサインしたが、今思えばかなりのディスカウント。プレーオフでの大活躍の後だったらさらに$10ミリオン以上必要だっただろう。

サム・シールズ Sam Shields | Cornerback | Miami 
5-11 (180cm) | 184lbs (83kg) | 2年目 23歳 | 2010年ドラフト外

2010年最大のサプライズ。ドラフト外入団から3番手CBとなり、期待を大きく上回る働きを見せた。マイアミ大では3年間WRをしたあとコンバートされ、1年だけCBをプレー。身体能力を高く評価されながら経験不足のせいでドラフトされなかった。キャンプでは早い時期から注目され、プレシーズン末には下記のライバルたちをごぼう抜きして3番手に昇格。「新人CBをもっと攻めるべき」との声もあったが、相手QBが投げてこないのは彼がWRをフリーにしないからだ。

40yds走4.3秒を切るチーム随一のスピードスターで、一流どころのWRにもついていき、一瞬遅れても追いつけるだけの足がある。ボールが来てもバタバタせず落ち着いて反応でき、DAL戦やNFC決勝でのインターセプトも新人離れした好プレーだった。ウッドソンをスクリメージ近くで自由に動かせるのも、アウトサイドの彼を信頼できるから('09年プレーオフARI戦ではそれができずに大量失点)。たまにギャンブルが裏目にでることもあるが、経験を積めばよくなっていくだろう。あとは慢心せず伸びてくれれば、いずれはウィリアムズとドラフト外出身の先発コンビとなるのではないか。

ジャレット・ブッシュ  Jarrett Bush | Cornerback |  Utah State
6-0 (183cm) | 200lbs (91kg) | 6年目 26歳 | 2006ドラフト外

カバレッジミスと反則の多さでファンからは忌み嫌われながら、毎年なんとかロースターに残ってしまう。昨年夏も下記の若手2人の伸び悩みで、気が付けば4番手をキープ。最近のケイパースDCはダイム隊形(6DB)をあまり使わないので出番は少ないが、ウッドソンとシールズの途中退場したスーパーボウルでは価値あるインターセプトを成功させた。ゾーンの方が得意なので'09年から3-4ディフェンスになったのは追い風だったが、ミスの多さはあまり変わっていない。

それよりも彼の存在価値はスペシャルチームだろう。以前の反則の多さが影をひそめ、とくにパントカバレッジで大活躍した。最終週CHI戦では敵陣ゴールライン寸前での好カバレッジを連発し、プレーオフ進出に大きく貢献。今年の夏も例年同様のロースター争いが待っている。

パット・リー Pat Lee | Cornerback |  Auburn
6-0 (183cm) | 196lbs (89kg) | 4年目 27歳 | 2008年ドラフト2巡

2巡指名入団から3年目の昨夏もあまり成長が見られず5番手どまり。シールズの欠場した第5週WAS戦だけ3番手として出場した。最も印象に残る働きはウッドソンとシールズの途中退場したスーパーボウルで、驚くほど安定したプレーぶりで勝利に貢献している。上体ががっちりしていてフィジカルなプレーが身上だが、スピードに欠ける。キックオフリターナーとしても13回平均20.4ydsと今ひとつだった。今年は契約最終年を迎えるが、ここから急成長するようには思えない。

ブランドン・アンダーウッド Brandon Underwood | Cornerback |  Cincinnati
6-1 (185cm) | 191lbs (87kg) | 3年目 24歳 | 2009年ドラフト6巡

昨年の今ごろはもっとも期待される若手CBとして3番手候補に挙げられていたが、キャンプでは成長を見せることができず、肩の負傷もあって6番手まで転落。昨季もっとも失望させられた若手選手だった。サイズとスピードを兼ね備えているが、精神的に未熟でプロフェッショナリズムに欠ける。スペシャルチームでもプレーオフのPHI戦で手痛いミスを犯し、スーパーボウルではアクティブ登録もされなかった。

昨年6月の性的暴行容疑は濡れ衣と確定して買春の罰金刑で決着したが、チームメイトのパーティに娼婦を呼んでトラブルを招くようでは、仲間の信頼を失うのも無理はない。契約はあと2年残っているものの、今夏も伸び悩みが続くようなら開幕ロースター入りが危うくなってくる。

 

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