グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年2月25日

2011年パッカーズFA選手リスト

今年パッカーズからフリーエージェントになる予定の選手たちをまとめて紹介する。パッカーズは今春FA予定だったうち、CBトラモン・ウィリアムズ、ILBデズモンド・ビショップ、LSブレット・グードとの再契約をすでに済ませている。フリーエージェントの区分などについては契約用語集のページも参考のこと。

昨年は労使協定最終年の規定により、本来なら無制限FA(UFA)となるはずの4年目終了選手が制限付きFA(RFA)にしかなれず、球団側は有力選手の引き留めが容易だった。しかし今春は、昨年損をした5年目終了組と4年目終了組がいちどにFAとなるため、この表にあるようにどの球団もFA選手の数が非常に多い。(2週間前の記事なので、その後変動している)

新労使協定で変更される可能性もあるが、2009年まで長く続いた「通常ルール」のまま、4年目終了でUFAになれるものと仮定して下表を作成した(選手にとって重要な権利なので譲歩しないと見る)。今年のパッカーズはRFA選手がいない模様で、今回紹介する選手はすべてUFAだ。(IR入りしたCBジョシュ・ベルがRFAなのかEFAなのかはっきりしない)

なお、新労使協定の締結が3月4日直前または以降になった場合には、FA市場を開くまでに何日間か猶予期間を設けると見られている。その期間を使って、新サラリーキャップ枠に応じた再契約を進めるつもりでいるチームが多いはず。そのため、現在のFA予定選手がすべてFA市場に出ていくとは限らない。

フランチャイズ指名用語集へ)の期間が今日で終了したが、パッカーズは誰も指名せず。NFL全体では14人がフランチャイズ指名されている。(リスト

Green Bay Packers 2011 Free Agents
Name Pos Age 備考
Brandon Jackson RB 25 優秀な3rdダウンバックに成長。スターターが無理なことは証明済み
John Kuhn FB/RB 28 今季はボールキャリー機会が激増。カルト的人気を誇る
Korey Hall FB 27 スペシャルチームでの活躍は貴重だが、ケガが多い
James Jones WR 26 派手な落球が目立ち、評価は微妙。ドライバーの衰えをどう見るか
Daryn Colledge OG 29 先発OLの最大の弱点になった観も。相変わらずランブロックが弱い
Jason Spitz C/G 28 腰の負傷以来キャリアが下り坂。ガードで失敗し実質センターのみ
Cullen Jenkins DE 30 再契約交渉は進まず。この中では最高額オファーが来るはず
Matt Wilhelm ILB 29 10月下旬に緊急補強。主にスペシャルチーム
Charlie Peprah SS 28 SSバーネットのケガで先発昇格、予想外の活躍で優勝に貢献
Atari Bigby SS 29 ケガから復帰もSSペプラーから先発を奪えず。移籍濃厚
Anthony Smith FS 27 控えFS兼スペシャルチーマー
Mason Crosby K 26 成功率80%を超えたことなし。勝負弱さもちょっと気になる

FA選手リストの中から主な10人について、以下にまとめてみた。 

カレン・ジェンキンズ Cullen Jenkins | Defensive End | Central Michigan
8年目 30歳 | 先発66/出場93 | 2004年ドラフト外 | DEのFA選手リスト

ドラフト外入団からの叩き上げで、NFLヨーロッパ派遣も経験。3年目の2005年からスターターを務めてきた。スピンムーヴなどクイックネスを活かした鋭いパスラッシュが身上。サイズが小さめなので3-4のDEは不向きかと思われたがこの2年間よい働きを見せ、今季は5試合欠場ながらDL陣トップの7サックを記録。真面目な選手でしかも4-3/3-4両方でいけることを証明しているため、FA市場に出ればけっこうな人気になりそうだ。(ランク1位に挙げる記事も

CBウィリアムズの次に交渉が進むものと見られていたが、じっさいに契約延長したのはILBビショップの方で、チーム側は交渉をまったく進めなかった。トンプソンGMが好まない30歳に達したこと、ケガが多いこともネックなのだろう。さらに、2巡指名ルーキーのDEマイク・ニールがシーズン中盤にIR入り(肩回旋腱板の損傷)するまで高い能力を見せていたので、チーム側は世代交代をすでに決断したのかもしれない。今日のインタビューでジェンキンズ本人は、「ここまで来たら再契約は99%ないと思う。自分を望んでくれるチームでやりたいし、新しいスタートの時、ということなのだろう」と率直な気持ちを語っている。

ジェームズ・ジョーンズ  James Jones | Wide Receiver | San Jose State
5年目 26歳 | 先発17/出場58 | 2007年ドラフト3巡 | WRのFA選手リスト

プロ4年目の今季も3番手WRの座をネルソンと分け合った。パスキャッチ50回・679yds・5TDはどれもキャリアベストだが、大きく数字が伸びたわけではない。派手な落球のせいかターゲット回数が次第に減少し、プレーオフでのパスキャッチ11回144ydsはネルソンの約半分。ルート取りなど進歩してきた部分は多く、3番手としてならどこに出しても恥ずかしくないが、スターターを任せてくれるチームがあるのかどうか。

残すべきか見送るべきか、記者やファンの間でも意見は分かれる。再契約するかどうかは、本人がどれだけの金額を望むか、FA市場でどれだけの値が付くか、ドライバーの衰えやネルソンの将来性をどう見るか、といったことを考えあわせる必要がある。昨年のLTクリフトンのようにいったんFA市場に出るのを許し、市場に値段を決めさせることでオーバーペイを防ぐ方法を採るかもしれない。(他の選手たちも同様)

チャーリー・ペプラー  Charlie Peprah | Strong Safety | Alabama
6年目 28歳 | 先発12/出場53 | 2010年FA再加入 | SのFA選手リスト

2006年から3年間控えセーフティを務め、2009年のファルコンズを経て昨年春にパッカーズに出戻り。昨春唯一のFA補強ながら、メディアもファンもまったく期待していなかった。ところが新人SSモーガン・バーネットの戦線離脱で第5週から先発昇格すると、驚くほど安定感あるプレーを見せ、チームディフェンスはかえって良くなった。今春は比較的安価に再契約し、SSバーネットと先発の座を争わせるのが妥当と見られている。

ただしFA市場では、そこそこの選手であっても惚れ込むチームが出てくることは珍しくないので、簡単に再契約できるとは限らない。SSバーネットが前十字靭帯断裂のリハビリ途上、SSビグビーのFA移籍が確実であることを考えると、彼との再契約は意外に重要かもしれない。

ブランドン・ジャクソン  Brandon Jackson | Running Back | Nebraska
5年目 25歳 | 先発16/出場52 | 2007年ドラフト2巡 | RB/FBのFA選手リスト

エースRBグラントが開幕戦で戦線離脱し、新人以来3年ぶりにスターター昇格。しかし703yds(平均3.7)は褒められた数字ではなく、1回平均3ydsを下回るゲームが7回、とくにシーズン後半は1回平均4ydsを超えたゲームがわずか1回しかない。スターターの器でないことを自分で立証してしまい、プレーオフでは新人RBスタークスにスターターの座を完全に奪われた。ただし、ブリッツのピックアップ、パスキャッチ、ドロー、スクリーンといった3rdダウンバック能力にはますます磨きをかけている。

エース役でこれだけ走れないとスターター級のオファーが来ることはなさそうなので、再契約はさほど難しくないのではないか。いまや3rdダウンバックとしての能力はかなりのもので、とくにパス主体のパッカーズにとってプロテクションの確かさはきわめて重要。来季のRB陣はグラントとスタークスが先発を争い、3rdダウンバックを彼に任せる形が順当ではないか。

ダリン・カレッジ  Daryn Colledge | Guard | Boise State
6年目 29歳 | 先発76/出場80 | 2006年ドラフト2巡 | OGのFA選手リスト

昨季スランプだったパスプロが改善(被サック責任3回)したいっぽう、馬力に欠けるランブロックで相手に押されまくる、という傾向は今季も変わらない。プロ5年間で欠場ゼロ、不動の先発左ガードではあるものの、いつのまにか先発OLで最も低レベルの選手になった。もう伸びシロはないので、T.J.ラングまたはその他若手を後釜に据えるべき時ではないか。ドラフト上位でOT(OGでもよいが)を指名し、LTクリフトンが元気な間はその選手かRTブラガを左ガードに回す、という手もある。

メイソン・クロスビー Mason Crosby | Kicker | Colorado
5年目 26歳 | 先発64/出場64 | 2007年ドラフト6巡 | KのFA選手リスト

チームからは信頼が厚いが、成功率80%を超えたシーズンがなく(前任者のロングウェルは通算83.5%)、プロ4年間の成長もあまり見られない。ゲーム終了直前の決勝FG成功はデビュー戦のわずか1回だけで、チームがここ数年競り合いに弱いのは彼の勝負弱さによるところも大きい。得意だったキックオフもなぜか飛距離が落ちてきた(タッチバックわずか4回)。いなくなって困る可能性もあるが、高額の長期契約を結ぶような実績ではない。1年か2年契約で引き留めておき、ドラフト(候補リスト)下位でチャンスがあれば指名してよいのでは。

ジョン・クーン John Kuhn | Fullback | Shippensburg
6年目 28歳 | 先発12/出場71 | 2007年ウェイバー加入 | RB/FBのFA選手リスト

RB不足となった今季はショートヤーデージのボールキャリアーとして84回281yds・4TD、レシービングでも15回97yds・2TDの活躍で、"Kuhhhhhhhn!"の合唱が名物になった。昨季までは年間キャリー8回が最多。ただRBスタークス台頭後は出番が減り、プレーオフ4戦のキャリー数は3回、2回、1回、0回と先細りに。値段をつけるのは難しいところだが、いちばん能力を活かしてくれる、つまり高い価値を見出してくれるのはパッカーズだろう、という見方が多い。

コーリー・ホール Korey Hall | Fullback | Boise State
6年目 27歳 | 先発26/出場48 | 2007年ドラフト6巡 | RB/FBのFA選手リスト

デプスチャート上では1番手FB。ランブロッキングは着実に向上してきたが、レシービング機会は少なく、今季はパスキャッチわずか1回9ydsだった。大学時代にLBが本職だっただけあってスペシャルチームでは中核選手として活躍し、4試合欠場ながらチーム2位のタックル数を記録。ただサイズが小さいせいかケガが多く、フル出場したことが一度もない(4年間で欠場16試合)。プロ2年目のFBクイン・ジョンソンが一人前になりきれていないこともあり、安い値段ならば再契約も。

ジェイソン・スピッツ Jason Spitz | Center/Guard | Louisville
6年目 28歳 | 先発45/出場65 | 2006年ドラフト3巡 | CのFA選手リスト

先発両ガードを経験したあと2009年に先発センターとなったが、すぐに腰を痛めてCウェルズの復活を許し、それ以来控えに留まっている。今季も先発Cウェルズはハイレベルの活躍。いっぽう彼は代役左ガードとして途中出場したゲームで不振のため交代させられ、控えセンターだけの存在になった。経験豊富な控えC/Gがいなくなるのはデプス的にマイナスだが、本人は先発できるチャンスを求めて出ていくのではないか。FA市場で期待外れだった場合にのみ再契約の可能性が出てくる。

アタリ・ビグビー Atari Bigby | Strong Safety | Central Florida
6年目 29歳 | 先発33/出場46 | 2005年ドラフト外 | SのFA選手リスト

昨年はRFAオファーへのサインを渋ったあげく、トレーニングキャンプで合流したとたんに足首を痛めて手術となり、新人SSバーネットと先発を争うことはできなかった。復帰後も代役スターターのSSペプラーから先発の座を取り戻すには程遠く、スペシャルチーマーとして冴えないシーズンを終えた。けっきょくのところ彼がよかったのは2007年の後半だけで、その後の3年間で24試合欠場し、元気なときもプレー内容はパッとしない。引き留めるべき理由が見当たらないが、FA市場に出ても先発オファーはないのでは。

カテゴリ : Contract/Personnel