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Super Bowl Notebook 3
グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2011年2月 9日
試合後は祝賀関連の話題が主体だったので、この2日間に取り上げそこねた話題を中心に(重要な話が多いのに恐縮)。ほとんどがゲーム直後のロッカールームでのコメントだ。
- 鎖骨骨折で後半出場できなくなったCBチャールズ・ウッドソンは、ハーフタイムにチームメイトに向かってペップトークをしようとしたが、泣き出してしまい一言も話すことができなかった。その場面をILBビショップが振り返る。「僕だって本当は泣き虫じゃないけれど、もらい泣きしてしまったよ。"ウッド"は僕のアイドルだ。そしてそのアイドルがあんな風に僕をモーティベートしてくれたおかげで、僕は後半ああして頑張ることができた。"ウッド"のあんな姿は胸にこたえる。長い時をかけてここまできたのに、一緒に最後まで戦えないのだからそりゃあ傷つくさ。でもフィールドに出ていくとき、彼の一部が僕に乗り移ったんだ」
- 90年代の黄金期を知るエドガー・ベネットRBコーチ。「チャールズ・ウッドソンはまるで当時のレジー・ホワイトのようだ。あのリーダーシップ。選手たちの心を動かす力がある」
- ゲーム復帰は無理だとドクターに宣告されたWRドナルド・ドライバーは、がっくりして泣き始めたという。「ハードだった。気持ちが壊れてしまったよ。最後まで出たいとドクターに訴えたけれど、それは決して君のためにならない、許すわけにはいかない、と言われた。でもハーフタイムで仲間のレシーバーに会って、気持ちがすこし楽になった。彼らがビッグ・ハグをしてくれて、『ドナルドのために勝つ』 と言ってくれたから。それでリラックスできた。彼らは大事な勝負どころで大きなプレーを決めてくれた。それが全てだよ」
- 代役たちの頑張りについて聞かれたCBウッドソンとWRドライバーはほぼ同時に返事をした。「仲間が僕らのためにプレーしてくれたんじゃない。僕らも一緒にプレーしていたんだ。そして僕ら2人とも、これでスーパーボウル・チャンピオンだと胸を張って言うことができる。僕らの(輝かしい)経歴の一部になったんだ」
- 後半をサイドラインから観た気持ちについてCBウッドソン。「フィールドに出られないのはいつだってつらいものだけど、僕らは勝ってチャンピオンになったんだ。若い連中を称賛すべきだよ。このゲームは今シーズンの僕らを象徴していると言っていい。重要なスターターが次々に倒れても、代役として入った選手が頑張って穴を埋めてきた」
- CBウッドソン。「来年また優勝できると思っている。本当にそう信じてるよ。ウチは中核選手がしっかりしている。なによりもクォーターバックがね。だから連覇をに目を向けているよ」
- アグレッシブなゲームプランについてマッカーシーHC。「プレイコーラー(自分)とクォーターバックの呼吸が合っていたのが大きい。試合直前のロッカールームでアーロンに言ったことだ。 『アグレッシブなプレーコールをさせてくれ。君は規律を崩さず、(相手の陣形を見てオーディブルで)有利なプレーを選択し続けろ。不利だと思ったら変えるんだ』 とね。そして彼は素晴らしい仕事をした。彼はリーグ最高のスキルセットを持っている。ピンポイントの正確さ、アスレチック能力。しかもまだ伸びシロがある。プレイコーラーがアグレッシブでいられたのは彼のおかげだし、このゲームを操ったのは彼だ」
- レシーバーをスプレッドして素早いパスを数多く投げることで相手の強力LB陣を封じ込め、同時にSSトロイ・ポラマルがカバレッジに忙殺されてスクリメージ付近まで上がってこられないようにした。戦前から言われていたことだが、手駒の多いWR陣と優秀なQBを活かして、スティーラーズの強みを消すとともに、弱みであるDB陣の層の薄さを突くことができた。
- パス主体の攻撃についてWRグレッグ・ジェニングスは、「ウチは相手をコンフォート・ゾーンから引きずり出して不安定にさせておきたかった。ランで進めるのは難しいとわかっていた。でもバックエンドとフィールドの中央なら、あちらの弱みを突いて大きなプレーを出せる」と振り返っている。WRネルソンは、「僕らに対して1on1でマッチアップできるDB陣なんてないとこちらは思っていた。ましてや4on4や5on5になればなおさらだね。ディフェンスっていうのはそういう風にはできていないんだ」
- WRジョーディ・ネルソンは140ydsレセプションを記録し、球団のスーパーボウル記録を作った。これまでの最高は第1回スーパーボウルのWRマックス・マギーの138ydsだった。(マギーのエピソード)
- WRネルソンの成長について、ジミー・ロビンソンWRコーチ。「彼は今シーズンを通して、とくに終盤になって成長してきた。振り返ってみると第16週ジャイアンツ戦の大活躍(124yds)からだ。それからずっと、頼れる選手であり続けている」
- WRジェニングスの2つのタッチダウンについて、おなじみ元セーフティのマット・ボウエンが図解付きで分析している。
- かつてセーフティとしてプロボウルも経験しているマーク・マーフィ社長。「NFLはクォーターバックのリーグだ。我々がここにいる理由はロジャースであり、スティーラーズがここにいる理由はロスリスバーガーだ」
- QBアーロン・ロジャース。「ファンを愛してる。僕らのファンは本当に支えになってくれている。プレーオフ4戦をすべてアウェーで戦いながら、"Go Pack Go"の合唱を聞くことができるなんて。ホームでも素晴らしいし、ロードでもたくさんのファンがついてきてくれる。グリーンベイはプレーヤーにとって特別な場所であり、そこでプレーできる僕らはみなめぐまれている。トロフィーを持ち帰ることが彼らに報いることになれば、と願っている」
- OL陣で評価が高いのはなんといってもLTチャド・クリフトン。強敵OLBジェームズ・ハリソンを1on1でほぼ完封するという素晴らしい仕事ぶりだった。
- RBブランドン・ジャクソンは試合後のロッカールームで誰よりも興奮し、ものすごい早口で喋りまくっている。用具主任のレッド・バティが寄ってきてジャージとパンツを回収しようとすると拒否し、「洗わないで!ジャージだけは!頼むから!」と汗の染み込んだジャージに執着していた。
- ドム・ケイパースDC。「私にとってNFL25年目で初めての優勝だから、満足感は本当に大きいね。これまでのハードワークと努力の数々を思うと、2年前にグリーンベイに来てこうしてロンバルディ・トロフィーを取り戻す機会をつかんだことは、ものすごく大きな意味がある」
- 何人もケガ人を出してCBブッシュやCBパット・リーを投入するハメになってもチームが崩れずに戦い抜けたのはドム・ケイパースDCの手腕のおかげ、と称賛する声が多い。
- 今回ケイパースDCは、ベース、ニッケル、ダイム、4DL(4LB・3DB)の4セットをどれも数多く使った。4DL・4LB隊形はもちろんランを止めるため。
- もう1つケイパースDCが重視したのはQBロスリスバーガーをポケットに留めること(ラッシュから逃げて時間を稼いだときにビッグプレーを生むQBのため)。CBウッドソンが欠けたあとはOLBマシューズを"スパイ"役に使うことが多かった。ブリッツが少なかったこともあってパスラッシュはなかなか届かなかったが、ポケットから逃げさせないことはおおむね達成できた。両セーフティを深く守らせ、CBたちはレシーバーの前を守るため、QBとしてはきわめて高い正確性が必要になる。QBロスリスバーガーにその能力はなかった。
- 自分はホールディングをされ通しだった、とNT B.J.ラジ。「僕らはサックできるチャンスがあと数回あったのに、正直ホールディングがひどすぎた。僕はふだんホールディングについて文句を言わない方だけど、相手選手は僕のショルダーパッドの端のあたりをつかみっぱなしだ。いずれ審判も気づくと思ったけど・・・。試合前から、『このクルーはあまり反則を取らない』 と覚悟してはいた。それはいい。でもちゃんとルールブックに則って、見たままをコールしてほしかったよ」
- DEカレン・ジェンキンズは契約延長交渉がまったく進んでおらず、これが最後のゲームとなった可能性もある。「契約問題とかひっくるめて、すべてのことが素晴らしいよ。これがパッカーとして最後のゲームかどうか、僕にはわからない。でももしそうなったとしても、これは最高の退団の仕方じゃないか。僕はこの球団を愛しているし、この街を愛してる。そしてトロフィーをここに取り戻せたことが本当に嬉しい」
- OLBフランク・ゾンボは1か月半ぶりの出場でチーム唯一のサックを挙げた。「夢が実現したよ。(スピンムーヴで相手をかわしたが)QBが目の前にいるとは思っていなかった。スーパーボウルで先発出場して、そこで大きなプレーを成功させるなんて。もっと興奮すべきなのかもしれないけど、まだ全然実感がない」
- 栄光のOLBクレイ・マシューズ一族だが、これまで1人もスーパーボウル(またはNFL)制覇をしたことがなかった。祖父クレイSr.がNFL4年、父クレイJr.が19年、叔父ブルースが19年、従弟ケヴィンが1年、そしてクレイIII世が2年NFLでプレーし、のべ45年目で念願の初優勝。試合後には一族がロッカールームに集まって優勝を祝っていた。
- 残り56秒で4thダウン5。 カール・ルートを走ったエースWRマイク・ウォレスへの12ydsのパスをQBロスリスバーガーは選択したが、しっかりマンカバーしていたCBトラモン・ウィリアムズは完璧なプレーをしてボールを叩き落とした。「トラモンの素晴らしいプレーだった。彼にとっては今季ずっとやっていることだがね」とケイパースDC。
- マッカーシーHCの優れた点についてマーク・マーフィ社長。「たくさんある。彼はきわめてポジティブだ。今季のチームを見ると、彼は選手たちに対し、ケガの多さをけっして言い訳にさせなかった。自分やコーチ陣の不運を憐れんだりなどしなかった。誰かが欠ければ誰かが埋め、その選手に好プレーを期待するのだ、といった姿勢だ。チームもそれによく応えた」
- 2005年1月、テッド・トンプソンをGMに選んだのはボブ・ハーラン名誉会長(当時社長)。14年前のスーパーボウル制覇に導いたロン・ウルフGMを選んだのもハーランだった(1991年末)。「自分が雇ったロン・ウルフが勝ち、今度は幸いにもテッド・トンプソンが勝ってくれた。だから今回の優勝は前回と同じぐらい嬉しいね。社長にとって重要な決断はゼネラル・マネージャーを選ぶことだ。そして我々は2人の素晴らしいリーダーを手に入れ、彼らがチームを勝利へと導いてくれた」
- パッカーズでは、ヴィンス・ロンバルディ、マイク・ホルムグレン、マイク・マッカーシーの3人のヘッドコーチがスーパーボウル制覇。NFL史上、1球団で3人のヘッドコーチがスーパーボウル制覇したのは他にカウボーイズ(トム・ランドリー、ジミー・ジョンソン、バリー・スウィッツァー)とスティーラーズ(チャック・ノル、ビル・カウアー、マイク・トムリン)の2球団だけ。
- パッカーズはプレーオフを含めた今季20試合で、試合最後の4分間またはオーバータイムで一度もタッチダウンを許さなかった。
- スーパーボウルにおいて、INTリターンTDを決めたチームは11勝0敗。
- 今季プレーオフでタッチダウンを挙げたパッカーズ選手は11人でNFLプレーオフ記録。
- 1シーズンのプレーオフでパス1000yds以上を投げたのは一昨年カーディナルスのQBカート・ワーナー(1147yds)以来、QBロジャース(1094yds)が史上2人目。
- パッカーズ優勝を伝える各地の新聞の表紙画像はこちら。(Show Thumbnailsをクリック)
- Sports Illustrated誌の表紙は、QBロジャースとWRネルソンがタッチダウンを祝っている姿。(写真)
- パッカーズの勝利をたたえて、月曜夜にはエンパイア・ステート・ビルが緑と黄にライトアップされたらしい。
- ゴルフPGAツアー、フェニックス・オープン(優勝賞金$1ミリオン強)で月曜のプレーオフを制したのはマーク・ウィルソン。ウィスコンシン州メノモニー・フォールズ出身のパッカーズファンだ。「子供の面倒も見なきゃいけないのでスーパーボウルは最後の方しか見られなかったが、息子が 『最後の2分は一緒に見てもいいよ』 と言ってくれたのでね。でも昨夜はスーパーボウル勝利の興奮とプレーオフの緊張のせいか、よく寝られなかったよ」