グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2010年5月31日

Life after the Game

セント・ノーバート大で開催された「アメリカ社会におけるスポーツ」のシンポジウムに出席したカート・A・デイヴィッド氏は、驚くべき調査結果を明らかにした。

NBA選手の60%以上が、リーグを去って5年以内に破産。

NFL選手の75%以上が、引退から2年以内に持ち金が底をつく。

元プロスポーツ選手の80%ちかくが離婚を経験。

デイヴィッド氏の著書"FROM GLORY DAYS"(2008年)は、かつてスターダムにいたプロアスリートが引退後の日常生活にどう適応したか(またはしなかったか)を描き、話題作となった。彼が羅列する数字が示しているのは、「ビッグマネーを稼いで一生安泰」という姿は虚像に過ぎない、という現実だ。

「こうした統計はたやすく手に入るものではなく、データを掘り出すために多大な労力を要した。どのプロ球団にでも行って聞いてみるといい。彼らはこうした統計は宣伝したがらない。しかしこれが偽りのない真実だ。とても厳しい。真面目に受け入れなければならない」

カウンセラーである彼は、これまで多くの元プロ選手のカウンセリングを行ってきた。彼らの多くがツキに見放され、うつ病になったり破産したりしていた。彼はなるべくシンプルなメッセージを伝えるよう努力しているという。かつてスターであっても、栄光の日々を捨てるよう努力し、将来に目を向けること。

「能力の高いアスリートであることは、人生における1つの『段階』にすぎない。たしかに素晴らしい、みごとな『段階』ではある。できるかぎり長くそれを続ければいい。しかしそれは1つの段階にすぎないことを理解すべきだ。それが終わったあとには全く違った段階が待っている。アスリート時代と同じぐらい良いものにしてほしいものだ」

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今回のシンポジウムはグリーンベイ・パッカーズも後援者に名を連ね、選手たちに重要なメッセージを伝えようとしている。ふだんパッカーズにおいてそうした役割を担うのは director of player development である元ロングスナッパーのロブ・デイヴィス。プロ生活への適応、住居探し、子供の学校の世話といった私生活全般だけでなく、学位や修士号の取得、オフシーズンのインターン研修といった将来設計のアドバイスも彼の職務のうちだ。

「我々は選手たちに、できるだけ早め早めにフットボール後の人生設計に取り組ませようと努力している。引退した選手が、フットボール以外に自信が持てずに姿を、私自身たくさん見てきた。NFLには確かなものが3つある、と私はいつも選手たちに言っている。それは、契約ボーナスと、ケガと、いつか交代させられる時がくる、ということだ」 (ベンジャミン・フランクリンの「確実なのは死と税金だけ」になぞらえている)

「私は彼らに言い聞かせるんだ。 『こうした将来が避けられないと知っているなら、引退後の失敗例のひとりにならないために、君たちはどうする?』 ってね。 『オレが知っているのはフットボールだけだ』 という言葉を聞くほど私にとって悲しいことはない。そうした心構えは、ほんとうにほんとうに危険なことだ」

6ケタや7ケタの給料に慣れているプロ選手たちが一般社会の仕事に就くことは、90%以上のサラリーカットを意味し、なかなか受け入れがたいものだ。「とてもプライドを傷つけられる。フットボールはいわば夢の世界だ。そこにいたら、現実世界がどうなっているのか本当に把握することはできない」

パッカーズはフットボール後の人生についての教材を選手に配布している。ロブ・デイヴィスはインターンシップなど他の職業を体験する機会をアレンジしたり、Transitions...after the gameという団体の顧問もしている。「しかし結局のところは、その選手しだいだからね」

デイヴィッド氏はかつてヨーロッパでプロバスケットボールをプレーした経験がある。「当たり前の権利のように思ってしまうことも問題だ。NFLのゲームを見てみるといい。口を開ければ誰かが水を注ぎ込んでくれる。NBAでは、(選手交代時に)ジャージを脱ぎ捨てるとそれを拾ってくれる人がいる。いままで意識しなかったちょっとした実際的な事柄を、引退したとたんに考えなければならなくなる。自分の衣類を洗濯しなきゃいけないのか? この請求書はオレが払わなきゃいけないのか? なにがどうなってるんだ? そういったことが、引退後の生活に適応するための実際面だ」

「35歳や40歳といった人間が、ただカウチに寝転んで暮らし、ゴルフをプレーすべきだとは私には思えない。何か自分の活力や情熱を注ぎ込めることを毎日すべきだと思う。自分が他人と会話をし、フットボールフィールドの外でも自信を持って取り組めるようなことをね。いったんフットボールから離れたら、たいていの者はそう思えなくなるのではないだろうか。学ぶのは難しいが、必要なことだ。数字は嘘をつかない。プロアスリートの100%が、最後には退職させられるのだから」

カテゴリ : Coach/Front Office, NFL, Player