グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2010年2月 8日

今年のフリーエージェント UFA編

FA解禁までに新労使協定に合意できる可能性はますます低くなり、来季はサラリーキャップなしとなることがもはや確実視されている。そのため、本来なら無制限フリーエージェント(UFA)になれるはずだったプロ経験4年・5年の選手たちは制限つきフリーエージェント(RFA)にしかなれないものとして考えることにする。(先月の解説へ

今回はまず、労使交渉に関係なく今年UFAになれる選手のまとめ。ILBブランドン・チラーが昨年12月に契約延長したため、UFAは以下の5選手となった。RBアーマン・グリーン以外の4人については、トンプソンGMが再契約したい考えを明確にしている。 

チャド・クリフトン Chad Clifton | Offensive Tackle | Tennessee
6-5 (195cm) | 320lbs (145kg) | 11年目 33歳 | 2000年ドラフト2巡

一流左タックルとしてながらく活躍してきたが、最近はケガが非常に多い。慢性の両ヒザ腱炎に加え、昨年は足首の捻挫に苦しんで4試合も途中退場(記事へ)。すでに昨年から後継者候補の確保が重要課題だったが、昨年のドラフトでは新3-4ディフェンスのための人材確保を優先し、LT問題は先送りにせざるをえなかった。4巡指名のT.J.ラングが代役として健闘したため、「ラングにもチャンスあり」と見られてはいるものの、腕の短さなどスケールの点で本格LTにはやや物足りない印象。

というわけで、LTクリフトンの後継問題が今年のパッカーズ最大の課題、という点で衆目は一致している。しかしこのポジションの難しさからして、「必要だから1巡23位で指名しました」というだけでは、なかなか一発で当たりを引けるものではない。うっかりクリフトンを手放してドラフトで失敗したらオフェンスが崩壊してしまいかねない。逆に、クリフトンもケガさえなければまだ高いレベルでパスプロテクトできることは昨季すでに証明している。

先日のインタビューでトンプソンGMは再契約したいと明言しており、本気で引き留める努力をするのは間違いなさそう。ホームタウン・ディスカウントを期待したいところだが、左タックルの希少性からして、もしFA市場に出たらバカ高い値がつく可能性もある。しかしパッカーズには、期日までに契約延長の合意ができなくても、フランチャイズ指名して無理やり引き留める手が残っている。OL選手のフランチャイズ指名は、今年は$10.731ミリオン。決して安くはないが、1年ならばなんとかなるはず。

マーク・タウシャー Mark Tauscher | Offensive Tackle | Wisconsin
6-3 (191cm) | 316lbs (143kg) | 11年目 32歳 | 2000年ドラフト7巡 (2009年FA再加入)

2008年12月にヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂したため昨年春は再契約を見送り、若手のアレン・バーバーに後継右タックルを任せたが、その若返り策が大失敗。そのため10月半ばに再契約すると、リハビリを完了した第9週から先発復帰してパスプロ向上に貢献してくれた。復帰1年目なので明らかに100%の状態ではなかったが、(ヒザさえ完治してしまえば)もともとクリフトンのようにあちこち爆弾を抱えているわけではなく、年齢も1歳若い。

クリフトンと同様、トンプソンGMは再契約したい考え。ただし、右タックルではT.J.ラングがさほど力の差のない後継者候補として控えているため、どの程度本気で引き留めを図るのかはまだわからない。再契約したとしてもスターター確定ではなく、キャンプで先発争いをしなければならないだろう。

アーロン・キャンプマン Aaron Kampman | Outside Linebacker | Iowa
6-4 (193cm) | 260lbs (118kg) | 9年目 30歳 | 2002年ドラフト5巡

3年間で37サックを挙げたリーグ屈指の左DEが、3-4ディフェンス導入のため左アウトサイドLBに転向し、新ディフェンスで最も割を食った選手となった。懸念されたとおりパスカバレッジに苦しみ、2ポイントスタンスからのパスラッシュもイマイチで、出場9試合でわずか3.5サック。さらに悪いことに、第13週49ers戦でヒザのACLを断裂。FA市場で目玉になるはずの選手が契約最終年で大ケガとはなんとも運が悪い。来季開幕に間に合うかはかなり微妙だ。

先日のインタビューで「間違いなくオファーする」とトンプソンGMが語ったことが注目されているが、問題はどの程度の金額・年数なのか。本来なら4-3のチームから数十ミリオンのオファーが来るのが当然の選手であり、来季100%の状態でないのを承知で大型契約をオファーをする球団が現れてもおかしくない。それに対して、3-4適性を考えればパッカーズは大型オファーはできないはず。残留への現実的なシナリオとしては、本人がリハビリ期間として1年契約を受け入れ、頑張って実力を証明して来年またFA市場に出よう、と考えた場合ではないか。

ライアン・ピケット  Ryan Pickett | Nose Tackle | Ohio State
6-2 (188cm) | 340lbs (154kg) | 10年目 30歳 | 2006年FA加入 (STLで2001年1巡)

B.J.ラジの入団でパッカーズ最後のシーズンかと思われたが、3-4の要であるノーズタックルとして優秀な働きを見せ、存在感を示した。プレーオフ直前には、契約延長に向けて本格交渉に入ったことが明らかに。先発トリオにラジを加えた4人のDLローテーションはラン守備1位の原動力であり、チーム側は来季もそれを続けたい考えなのだろう。ただ、その後動きがないのはひょっとして、労使交渉の関係でFA市場が手薄になりそうな情勢を見て、ピケット側が強気に出ているのだろうか。

アーマン・グリーン Ahman Green | Running Back | Nebraska
6-0 (183cm) | 217lbs (98kg) | 13年目 32歳 | 2009年FA再加入 (SEAで1998年3巡)

球団記録を塗り替えたかつての大エースが10月後半、2年半ぶりにパッカーズ復帰。以前のような爆発的なスピードはないものの、タックラーをひきずるようなパワフルなランでRBグラントの負担軽減に貢献した。しかし来季も同じRB陣で行くべきかとなると、「もっと一発の魅力あるタレントが欲しい」という見方が世間には多い。じっさい、グリーンとの再契約について質問されたトンプソンGMも、「まだわからない。検討中だ」と言葉を濁している。

比較的安価な1年契約を結んだとしても、ドラフトでライバルが入団してくる可能性は高く、グリーンが開幕ロースターに残るには競争に勝ち残る必要がありそう。それがイヤでも、この年齢のRBが他球団から誘ってもらえる保証はない。これからは毎年が1年契約で、(ケガ人の出る)機会を待ちつつ、チャンスが来なければ引退も、といった段階に入ったのではないか。

カテゴリ : Contract/Personnel