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2009年7月31日

1巡b指名OLBマシューズが契約合意

ドラフト1巡26位指名のOLBクレイ・マシューズがパッカーズとの契約に合意した。Journal Sentinel紙によると、総額約$10ミリオンの5年契約で、条件を満たせば$13.275ミリオンに増額されるらしい。これで未契約選手は1巡9位指名のNT B.J.ラジだけとなったが、今年は1巡指名選手たちの契約が例年にも増して遅れている。パッカーズのトレーニングキャンプは7月31日に集合、翌1日から練習が始まるが、ラジが初日に間に合うかは微妙なところ。

2009年7月29日

「復帰しない」とファーヴがMINに伝える

ヴァイキングスの地元Star Tribune紙によると、ブレット・ファーヴからブラッド・チルドレスHCに連絡があり、「現役復帰はしない」との決断を伝えたとのこと。ジャド・ザルガッド記者がチルドレスHC本人から直接聞いた話なので、この情報にほぼ間違いはなさそうだ(追記: ヴァイキングス公式サイトも公に認めた。毎日の身体的・精神的な重労働が復帰断念の理由の1つ、とチルドレスHCは説明している。

一時はヴァイキングス入団確実と言われていたファーヴだが、キャンプ入りが近づいた先週末あたりからちらほらと、「決断に苦しんでいる」との情報が本人の周辺から出てきて、復帰しない可能性が取り沙汰され始めていたところだった。連絡を受けたチルドレスHCは選手たちにこの知らせを伝達するなど、ダメージ・コントロールのプロセスに入っている様子。

「これでヴァイキングス側は完全にドアを閉じた、というのが球団内の雰囲気」との噂もあり、4月末にジェッツから解雇されて始まった今年のファーヴ騒動も、いちおう幕が下りたと言えそうだ。しかし、果てしなく変心を繰り返してきたファーヴだけに、いつまた気が変わるか分かったものではなく、たとえばどこかの有力QBが大ケガをするなど状況が大きく変化すれば、騒動が再燃しない保証はない。

ロースター展望 ST編

2007年に躍進したスペシャルチームだが、昨季は再び不振に陥り、マイク・ストックSTコーチが引退に追い込まれた。とくにパントとキックオフカバレッジとキックオフリターンが不振で、チームを不利なフィールドポジションに追い込んだ。今年はショーン・スローカムがアシスタントからSTコーチに昇格し、立て直しをはかる。3-4ディフェンスの導入に伴ってLB陣が大幅増員され、OLBブレイディ・ポピンガやOLBクレイ・マシューズといったスペシャルチーム得意の選手たちがひしめいているのは心強い。

昨季は両リターナーともCBウィル・ブラックモンが務めたが、パントリターンはNFL6位、逆にキックオフリターンはNFL最下位と極端な成績だった。ブラックモンの一発ホームランは魅力だが、キックオフリターンは彼のままでよいのかどうか。もし替えるなら、CBトラモン・ウィリアムズやWRジョーディ・ネルソンが候補となりそう。

スペシャルチーム専門選手のロースター枠は、キッカー、パンター、ロングスナッパー各1人。キッカーとロングスナッパーは昨年の2人で固まっており、プレシーズンでよほどの不振でないかぎり交代はないはず。パンターはジェレミー・カピノスとデュラント・ブルックスの争い(4月の記事へ)。2004年春にPジョシュ・ビドウェルが退団してからパンターにはずっと苦しめられてきただけに、どちらでもいいから一人前に育ってほしいところ。2人ともパンターとしては伸び盛りの時期なので、トレーニングキャンプでの争いが楽しみだ。

P ジェレミー・カピノス Jeremy Kapinos

ペン州立大から2007年のドラフト外でジェッツに入団、シーズン終盤にプラクティス・スクワッドから昇格して最終戦だけ出場。しかし昨年はPベン・グレアムと先発争いもしないうちに、6月に解雇されてしまった。12月になってパッカーズは不振のPデリック・フロストをとうとう解雇し、売れ残りのカピノスと契約した。4試合で平均39.2ydsという成績はいまひとつだが、厳寒期なのである程度仕方のない面はある。

ここまでのOTAやミニキャンプでは、飛距離ではブルックス、安定性とハングタイムでカピノス、総合するとカピノスがややリード、といった状況らしい。カピノスの父は陸軍士官学校でフットボールをプレーし、その後陸軍大佐として退役。兄のマシューは陸軍大尉としてイラクとアフガニスタンに行っている。

P デュラント・ブルックス Durant Brooks

ジョージア工科大から昨年のドラフト6巡でレッドスキンズに入団。キャンプではデリック・フロストを退けたものの(その後フロストはパッカーズへ)、大学時代に負ったヒップのケガもあってシーズン序盤から大不振に陥り(ネット32.1yds)、10月に解雇。12月半ばにパッカーズのプラクティス・スクワッドに拾われた。もともと優れたキック力を持っているだけに、ハング・タイムやゲットオフ・タイムを安定させて、上記カピノスを逆転したいところ。

K メイソン・クロスビー Mason Crosby

コロラド大から2007年のドラフト6巡c指名で入団。Pデイヴ・レイナーを退けてスターターとなると、開幕戦でいきなり53ydsのロングFGと終了2秒前の決勝FGを成功させてヒーローとなった。しかし2年目の昨季はいまひとつ伸び悩み、大事なところでのFGを何度も失敗。チームの連続惜敗の一端を担う形になってしまった。いっぽうキックオフは相変わらず飛距離がよく、タッチバック17回はNFL6位タイ。

50yds以上をらくらく蹴り込む素晴らしい飛距離があり、物怖じしないしっかりしたメンタルの持ち主。パンター陣とは違って首脳陣の信頼は厚い。今年は勝負強さを取り戻し、さらに一段上のキッカーに成長してほしい。

LS ブレット・グード Brett Goode

アーカンソー大から2007年のドラフト外でジャガーズに入団したが、1年目は開幕ロースターに残れず、昨年は6月に解雇。故郷アーカンソーに帰って働きながらトレーニングを続けていたところ、パッカーズのスターターに決まっていた新人J.J. ジャンセンがプレシーズン最終戦でヒザを負傷してIR入り。3人によるトライアウトでグードが選ばれると、ミスらしいミスのない素晴らしいシーズンを過ごした。今年パッカーズはジャンセンをトレードに出し、グード一本に絞っている。

KR/PR ウィル・ブラックモン Will Blackmon

経歴はCBの項を参照。昨年は、2007年までパントリターナーを務めてきたCBチャールズ・ウッドソンからその座を完全に奪い、キックオフリターナーも任された。パントリターンは平均11.1yds(NFL9位)、2TD(3位タイ)と素晴らしい数字を残したものの、キックオフリターンは平均 21.0yds(NFL34位)の不振だった。スペシャルチームでの計18タックルはチーム最多。パントリターンの際に4回もファンブル(さいわい全てパッカーズ側がリカバー)したように、ややナメた態度でボールハンドリングが雑になる場面もあった。

大学ではキックオフリターンで大きな実績を残したが、NFLではパントリターンの方が成績がいい。STコーチが替わっただけに、今年はキックオフリターナーの仕事を失ってもおかしくない。今年は大事な契約最終年なので、ビッグプレーで存在価値をアピールしたいところだ。

2009年7月28日

ロースター展望 S編

今年は3-4ディフェンスのカギを握るセーフティ(5月の解説記事へ)だが、両スターターとも不安な要素を抱えている。昨季プロボウルに初出場したFSニック・コリンズは契約問題でチーム合流が遅れ、SSアタリ・ビグビーは昨季のスランプから脱出できるかどうか。両者とも今年が契約最終年だが、2人ともがチーム側からビッグマネーをオファーされるとは考えにくく、このコンビは今季限りになるかもしれない。

ロースター枠は通常4人。現在5人しかセーフティがいないので競争率は低いが、ドラフト外ルーキーやプラクティス・スクワッド組といった泡沫候補がおらず、全員が2年以上ロースターを経験している。さらに昨日紹介したCB/S兼任のジャレット・ブッシュがもしセーフティとして一人前と判断されれば、下記の5人のうち3人しか生き残れない可能性もある。

FS ニック・コリンズ Nick Collins

ベスーン・クックマン大から2005年のドラフト2巡で入団、1年目から先発フリーセーフティを務めてきた。3年間伸び悩んだが、4年目の昨季は7インターセプト(NFL2位タイ)、計295ydsINTリターン(球団新記録)、3TDを挙げる大活躍を見せ、初プロボウルにも選ばれた。腰と足首のケガを抱えながら全試合に出場し、20yds以上のビッグプレーを許した回数もキャリア最少の2.5回。ただシーズン後半には荒っぽい一発狙いが目立ち、ミスタックル(チーム最多)はシーズン前半の5回から後半は12回に増えた。

今年は3-4ディフェンスのプレーコーラーとして重要な役割を担うが、契約延長を求めてプチ・ホールドアウトを敢行し、OTAを全休。もともと学習能力の高くないタイプだけに、新ディフェンスへの習熟に不安が残る。昨季の活躍がフロックだった可能性は大いにあり、球団側としては今季前半の働きを見きわめてから交渉を始めたい、と考えているのかもしれない。あまりに高額契約を希望するようなら契約延長を見送り、来季は下記アンソニー・スミスに入れ替わってもおかしくない。

SS アタリ・ビグビー  Atari Bigby

セントラル・フロリダ大から2005年のドラフト外で入団、プラクティス・スクワッドを経て2年目にロースター入り。3年目の2007年には先発ストロングセーフティとしてチーム躍進に貢献したが、昨季は完全に失速。プレシーズンで負った足首のケガが長引き(結局12月末に手術)、ハムストリングや肩のケガにも苦しんだ。持ち前のアグレッシブな動きが影をひそめ、ラン・パスともミスが多かった。慢心からか、昨夏のキャンプにオーバーウェイトで現れ、負傷の前から動きは悪かった、とする記者もいる。

今年は制限つきFAとなり、チーム側は下から2番目のいわゆる「2巡オファー」をして再契約。昨季のようなプレーぶりでは、2巡指名権を手放す球団が現れるはずもなかった。コリンズ同様、今年が契約最終年となるが、チーム側の優先度は高くない。新ディフェンスの成否を握るポジションなのは間違いなく、2007年後半の迫力を取り戻してほしいところだ。

FS アンソニー・スミス  Anthony Smith

シラキュース大から2006年のドラフト3巡でスティーラーズに入団し、主にFSライアン・クラークの控えを務めてきた。2年目はクラーク欠場の穴を埋めて10試合に先発出場したが、3年目の昨季は完全に干された形で、わずか9タックルに終わった。控えでいることに不満なのかスペシャルチームへの取り組み方も不十分で、そうした精神面の未熟さがコーチ陣の不興を買ったらしい。

今春は制限付きFAとなるはずだったが、スティーラーズがオファーをしなかったため、無制限FAとしてパッカーズに移籍。契約ボーナスわずか$10万ドルの2年契約だった。もともとアスレチック能力は高いので、頭脳面や精神面さえ成長すれば、と判断しての補強だろう。ダレン・ペリー新セーフティコーチがスティーラーズで指導した経験があり、3-4経験が豊富なのもありがたい。コリンズとの契約延長問題が先行き不透明なことも関係があるかもしれない。FSとSSのどちらが向いているか見方は分かれているが、移籍後はFSを務めている。

SS アーロン・ラウス Aaron Rouse

ヴァージニア工科大から2007年のドラフト3巡指名で入団。1年目はFSコリンズの代役として3試合に先発して光るものを見せたが、2年目は成長どころかプレー内容が後退し、大いに不満の残るシーズンだった。セーフティにしては背が高い(6フィート4)せいかショートエリアでのアジリティがよくない。時おりビッグプレーを見せるものの、あまりに雑でミスが多すぎる。CBウッドソンを終盤3試合にセーフティで先発させたのも、ラウスがだらしなかったためだ。

昨季まで2年間はフリーセーフティだったが、上記スミスが入団した今年は主にストロングセーフティをプレーしているようだ。先発組を追いかけるよりもロースター残留を気にしなければならないキャンプになりそう。

チャーリー・ペプラー Charlie Peprah

アラバマ大から2006年の5巡指名でジャイアンツに入団、開幕前に解雇されてパッカーズへ。主にスペシャルチーマーとしてなんとかロースター残留を続けてきた。3年目の昨夏のキャンプ序盤は大きな成長を見せたが、そこでハムストリングを負傷してプレシーズンを全休。シーズン後半はふくらはぎを痛め、ケガ人続出の時期に代役として活躍することができなかった。

今年は上記ラウスやCBブッシュと最後の枠を争うことになりそう。昨年まではストロングセーフティの控えが多かったが、今年はフリーセーフティが多い、との情報がある。祖父のイグナティウス・アチャンポンは西アフリカのガーナ共和国で1972年に軍事クーデターを起こし、6年間国家元首を務めた。その祖父がクーデターで失脚して処刑されると、両親はヨーロッパを経てアメリカに移住。テキサスでペプラー兄弟を生んだ。弟のジョシュは今年ウィスコンシン大に入り、DBをプレーする予定。

2009年7月27日

ロースター展望 CB編

パッカーズはリーグでも数少ないマンカバレッジ一辺倒のチームだったが、3-4が導入される今年はゾーンカバレッジが主体となる見込み。万能のチャールズ・ウッドソンはむしろ向いていそうだが、プレスカバレッジ職人のアル・ハリスがうまく適応できるかどうか。他の若手選手もマンカバレッジのスキームで育ってきただけに、破綻なくゾーン守備が布けるのか、フィールドでのコミュニケーションが課題となりそうだ。

もう1つの課題は言うまでもなく両スターターの高齢化。ウッドソンが32歳、ハリスはもう34歳だ。2人ともまだ衰えは見られず、リーグを代表するベテランBコンビであり続けているが、チームとしてはいつでも世代交代できるよう備えておきたい。トラモン・ウィリアムズは1人前になったが、ウィル・ブラックモンはやや伸び悩み中。今夏のキャンプでは、2年目のパット・リーの成長ぶりに期待がかかる。

ロースター枠は通常6人、たまに5人のこともある。両スターターに加えてウィリアムズ、ブラックモン(リターナーとしての価値は大きい)、パット・リーまではおそらく当確。残りの選手たちで最後のイスを争うことになりそうだが、今春RFA流出を阻止したジャレット・ブッシュが有力か。となると6巡ルーキーのブランドン・アンダーウッドが外れることになるが、ブッシュはセーフティ兼任なのでセーフティとして残す手もある。

チャールズ・ウッドソン Charles Woodson

ミシガン大ではディフェンス選手として史上初のハイズマン賞を受賞したスーパースターで、1998年のドラフト1巡4位でレイダーズに入団、すぐにプロボウルの常連となった。ケガ続きで評価の落ちた2006年にパッカーズにFA移籍し、ハリスと強力なベテランコンビを形成。昨季は開幕戦でつま先の骨にひびが入って毎週ろくに練習できなかったが、全試合に出場して7INTを量産し、7年ぶり5回目のプロボウルに選出された。(欠場のためハリスが繰り上げ出場)

相手QBを読んでパスコースに飛び込む嗅覚とボールスキルが素晴らしく、移籍後3年間で19INTを挙げている。ニッケル隊形では彼がニッケルバックに入り、トラモン・ウィリアムズが左アウトサイドを守ることが多い。プレスカバレッジ専門のハリスと違い、フットボールセンスや独特の嗅覚を活かした多様な仕事をしてきたので、ゾーンへの適応も問題なさそう。昨季終盤はチーム事情からセーフティをプレーしたが、あくまで一時的な措置で、恒久的なコンバートの話は出ていない。かつては一匹狼的だったが、最近は若手DBたちの師匠格としてリーダーシップも発揮している。

アル・ハリス  Al Harris

ディビジョンIIのテキサスA&Mキングズヴィル校から、1997年のドラフト6巡でバッカニアーズに入団。解雇されてイーグルスに移ると、そこから一歩ずつ地道に階段を上り、いまや2年連続のプロボウラーとなった。昨季は第3週に脾臓を損傷しながらわずか4試合しか欠場せず、復帰後のプレー内容もかなりよかった。これまで苦手とされてきたゾーンカバレッジへの挑戦が注目されるが、本人は自信を示している。(記事へ

細身ながら強力なバンプで相手WRのルートを狂わせ、キャッチ間際に手を出す技術も見事。ただウッドソンと比べるとインターセプトが少なく、しつこく接触するために反則を取られやすい。自己管理が完璧なので34歳となっても衰えはあまりなく、「現役であと8年やりたい」と本人は公言している。さすがに8年は難しそうだが、彼ならやりかねないと思わせるところがある。

トラモン・ウィリアムズ Tramon Williams

ルイジアナ工科大から2006年のドラフト外で入団、2年目にロースター入りを果たした。昨年はさらに成長を見せて5INTも記録。伸び悩むブラックモンを尻目に3番手CB/ニッケルバックの座を固めた。両スターターの壁は厚いが、いつでもスターターが務まる選手、と首脳陣も高く評価している。スピードとボールスキルに加え、失敗をひきずらない強気なメンタリティがいい。ただ、相手オフェンスが両スターターを避けて彼を狙う機会が多く(チーム最多の90回)、よいプレーと悪いプレーの波がやや大きい。

今年はハリスと同様、ゾーンカバレッジへの適応が課題となる。今春はEFAとしての最低額契約を拒否し、その後$90万ドルの1年契約にサインした。球団側の優先度は高く、今季中にも契約延長の可能性がある。

ウィル・ブラックモン  Will Blackmon

ボストン・カレッジから2006年の4巡指名で入団、最初の2年は足の骨折に悩まされたが、3年目の昨季は初めて全試合に出場。4番手CB/ダイムバックで、ケガ人状況によっては3番手/ニッケルバックを務めた。リターナーとしては何度もビッグプレーを繰り出したが、CBとしては成長がいまひとつ物足りない。トラモン・ウィリアムズを追い上げるよりも、今夏は下記のパット・リーの挑戦を受けることになりそうだ。リターナーの仕事についてはスペシャルチーマーの項で取り上げる。

パット・リー Pat Lee

オーバーン大から昨年のドラフト2巡指名で入団したが、出場はわずか5試合。プロのディフェンスに馴染むのに時間がかかり、4番手を脅かすことさえできなかった。ディフェンスでの出番は計26スナップ、1タックルだけ。スペシャルチームでも出場機会の割に活躍できていない。しかし今春はかなりの成長を見せていて、今夏のトレーニングキャンプでは注目の選手の1人だ。上記ブラックモンを追い越して4番手の座をつかんでほしいところ。

ジャレット・ブッシュ Jarrett Bush

ユタ州立大から2006年のドラフト外でパンサーズに入団、開幕前に解雇されてパッカーズでロースター入りを果たした。2007年には3番手CBとなったこともあるが、実戦では簡単にビッグプレーを許し、トラモン・ウィリアムズにあっさり追い抜かれた。練習ではよくても実戦で悪いのは、ウィリアムズとは対照的にメンタルが弱いためだろうと言われている。昨年途中からセーフティの練習もしており、ロースター表でもCB/Sと表示されている。

RFAとなった今春は再契約を見送られるかと思われたが、彼がタイタンズからのオファーシート(総額$4.5ミリオンの3年契約)にサインすると、パッカーズはマッチして引き留めた記事へ。両球団の高評価に驚きの声が上がったが、「そこそこ使える控えCBでスペシャルチーマーとして優秀」となると、こういった値段になってしまうらしい。とはいえ開幕ロースター入りは確実ではなく、下記アンダーウッドらと争わなければならない。

ブランドン・アンダーウッド Brandon Underwood

シンシナティ大から今年のドラフト6巡b指名で入団。6フィート1(185cm)の長身で腕が長く、アスレチック能力も高い。オハイオ州立大から転校したために先発経験が昨季1年だけしかなく、荒削りなところがある。フットボールセンスの良し悪しについてはスカウトによっても評価が分かれる。大学ではセーフティの経験もあり、プロではフリーセーフティになるべき、という見方も。

大学の授業の都合で6月のOTAを全休させられたのが残念なところで、どれだけ早くパッカーズのディフェンスに習熟し、キャンプで上記ライバルたちを追い上げることができるか。おそらくロースター最後の枠を争い、ダメならばプラクティス・スクワッドで育てることになりそう。

ジョー・ポーター Joe Porter

ラトガーズ大から2007年のドラフト外で入団。2年連続でプラクティス・スクワッドだったが、昨季12月、パット・リーの戦線離脱にともないロースターに初昇格して1試合に出場した。おそらくチーム最速、 40yds走4.31秒のスピードがあり、大学時代には陸上200mで同大記録を作っている。いっぽうフットボールでは大学時代にもニッケルバックでしかなかったらしい。ライバルは多く、そろそろ見切りをつけられてもおかしくない。

トレヴァー・フォード Trevor Ford

トロイ大出身のドラフト外ルーキー。フロリダ州立大で2年間過ごしたあと、トロイ大に移った。5月のルーキー・ミニキャンプにトライアウト参加し、働きが認められて正式契約となった。身長6フィート0(183cm)は十分なサイズだが、体重188ポンド(85kg)はチーム最軽量。40yds走は4.48秒。よくてプラクティス・スクワッドだろう。

2009年7月25日

ロースター展望 ILB編

3-4ディフェンスへの転換により、ミドルラインバッカー単独からインサイドラインバッカー2人に増員される。アウトサイドLBと比べれば役割の変化は少ないが、これまでのようにDT2人が守ってはくれないので相手ブロッカーにさらされやすく、それをかきわけてタックルに行かなければならない(先月の記事参照)。

OLBとは違い、こちらはスターター2人がすでに決まっている。これまでミドルLBだったニック・バーネットがウィークサイドのILBとなり、ウィークサイドLBだったA.J.ホークがストロングサイドのILBに入る。ただし、有名選手2人が揃うからといって実力が伴うとは限らない。バーネットはヒザの前十字靭帯(ACL)断裂からリハビリ途上。ホークはプロ入りから3年間、1巡指名の期待には応えられていない。3-4のILBにフィットするかとなるとさらに未知数で、むしろILBが新ディフェンスの弱点になるのではないかと危惧する地元記者もいる。

昨日も書いたように、ロースター枠はLB陣全体で9人か10人が普通なので、ILBは4人か5人。ブランドン・チラーはインサイドとアウトサイドの両方の控えを兼ねる便利な選手で、デズモンド・ビショップは昨季代役出場で光るプレーがあった。現状ではここまでの4人が合格圏内で、ダニー・ランサナーとスペンサー・ヘイヴナーがOLBの選手たちと最後のイスを争うのではないか。

ニック・バーネット Nick Barnett

オレゴン州立大から2003年のドラフト1巡29位指名で入団、1年目からずっとミドルLBとしてディフェンスの中核を担ってきた。2007年にはプロボウルにあと一歩まで迫ったが、2008年は予想外の不振で、なぜかおとなしいプレーぶりだった。出場9試合でINTゼロ、サックゼロ、ファンブルリカバリーゼロ、ファンブルフォース1回のみ。おまけに第11週ヴァイキングス戦でヒザのACLを断裂してシーズンエンドとなった。

3-4となる今年はインサイドのウィークサイドでスターターを務めるが、軽量スピード派の彼にとって、ブロッカーの荒波にもまれやすい3-4は不向きという見方もある。いっぽうヒザのリハビリは順調で、トレーニングキャンプ初日から参加できる見込み。おそらく当分は1日1回の練習に制限されるだろう。

A.J.ホーク  A.J. Hawk

オハイオ州立大から2006年の1巡5位指名で入団、1年目からウィークサイドのスターターを務めてきた。しかし飛躍を期待された2008年はキャリア最低のシーズンに終わった。キャンプで胸部を負傷してプレシーズンを全休、シーズン序盤には鼠蹊部を痛めた。バーネットの戦線離脱のためウィークサイドからミドルに移ったが、よかったのは最初のベアーズ戦だけ。ラン守備では迫力を欠き、パスカバレッジも不安定。ブリッツ10.7回に1回しかサック(計3回)を挙げられなかったのはLB陣最低で、インターセプトもゼロ。

アサインメントをよく守り、シュアなタックラーでもある堅実なスターターではあるが、ビッグプレーの少なさはいかんともしがたい。ウィンストン・モスLBコーチも昨季チラリと漏らしたことがあるが、アサインメントを守ろうとするあまり、激しさや思い切りといった部分を抑えてしまうのかもしれない。そうはいっても今年でプロ4年目になるので、いっそうの成長を期待するより、「この程度の選手なのだろう」という諦めに似た見方が増えてきてしまった。

今年はウィークサイドからインサイドのストロングサイドに移る。相手ブロッカーの多いサイドであるため、それをかき分けていく強さが重要。コンバートは彼にうってつけ、という見方と、その逆の見方がある。同期入団組と違って6年契約なので2011年まで契約が残っているが、昨季のようなプレーぶりでは契約延長の話はなかなか出てこないだろう。

ブランドン・チラー  Brandon Chillar

UCLAから2004年のドラフト4巡でラムズに入団し、昨年パッカーズにFA移籍。ディフェンス習得に手間取ってポピンガとの先発争いには敗れたが、しだいに実力を発揮してパス守備で出場機会を増やし、バーネットの戦線離脱で7試合にわたって先発ウィークサイドLBを務めた。インサイドもアウトサイドもこなせるセンスのよいプレーヤーで、とくにパスカバレッジがいい。相手TEが昨季一度も100ydsレセプションできなかったのも彼の貢献によるもので、パスのブレークアップは9回もあった。(他のLBの合計がわずか6回)

いっぽうラン守備はパス守備に比べるといまひとつ地味で、ブロッカーを受け止めるより避けようとする傾向があるらしい。そのような彼にとって3-4への転換はマイナスのはずで、今年はインサイドのウィークサイドでバーネットの控えを務める見込み。それでもバーネットのヒザが万全でない現状では、パスカバレッジの安定感ではチラーがLB陣No.1のはず。昨季同様パスシチュエーションで彼を活かす起用法を工夫するかもしれない。

デズモンド・ビショップ  Desmond Bishop

カリフォルニア大から2007年のドラフト6巡で入団し、2年間控えミドルLBの座を守っている。チラーの欠場した昨季第14週テキサンズでは、ウィークサイドで初先発も果たした。少ない出番でチーム最多のファンブルフォース3回を挙げるなどビッグプレーが多かったが、ミスでビッグプレーを許した回数も多かった。古典的なハードヒッターで嗅覚にも優れ、まだ伸びシロもありそう。今年はインサイド専門でプレーし、ストロングサイドのA.J.ホークの控えとなる見込み。ILBが4人枠だとすれば、ロースター入りは合格圏内のはず。

ダニー・ランサナー Danny Lansanah

コネチカット大から昨年のドラフト外で入団し、キャンプやプレシーズンゲームで活躍を見せた。昨季中盤までプラクティス・スクワッドにいたが、ドルフィンズに奪われそうになったため、LBトレイシー・ホワイトを解雇して彼をロースターに昇格させた。それだけランサナーの将来性を評価したわけだが、有力なスペシャルチーマーであるホワイトの解雇がスペシャルチームの弱体化につながったという批判もある。出場は5試合、スペシャルチームでのタックルは2回だけだった。40yds走4.7秒前後の選手だが、ハードヒッターでパスラッシュ能力もあるらしい。今夏のキャンプではチラーやビショップとの差を縮めることができるか。

スペンサー・ヘイヴナー Spencer Havner

チラーと同じUCLAから2006年のドラフト外で入団。2年間プラクティス・スクワッドにいたが、昨年12月の初めにロースターに昇格し、スペシャルチームで3タックルを記録。大学を出て3年も経つので、伸びシロを考えると上記ランサナーに分があるのではないか。

2009年7月24日

5巡a指名FBジョンソンと契約

5巡a指名のFBクイン・ジョンソンとの正式契約が発表された。詳細は不明だが、約$19万ドルの契約ボーナスを含む総額$1.94ミリオンの4年契約と見られている。4巡指名のOT T.J.ラングも7月7日に契約を済ませているので、残る未契約ルーキーは1巡指名の2人だけとなった。B.J.ラジは先日、「練習を休みたくないのでホールドアウトはしない」と語っていたものの、例年のパターンからして、トレーニングキャンプ合流が1日か2日遅れる可能性はある。

FBクイン・ジョンソンとの正式契約に伴い、ドラフト外ルーキーのTEカーソン・バトラー(ミシガン大)が解雇された。入団直後のルーキー・ミニキャンプでよいところを見せたものの、OTAでヒザを負傷してしまったのが残念だった。 

2009年7月23日

ロースター展望 OLB編

3-4ディフェンスへの転換により、アウトサイドラインバッカーの役割もやはり大きく変わる(先月の記事参照)。パスラッシュの主役としてフロント7で最も目立つポジションになるのは間違いないが、ラン守備やパスカバレッジの役割も重要で、ヴァーサタイルな能力を求められる。これまで1人だけだったLBコーチはOLBとILBに分けられ、アウトサイドはかつての名選手ケヴィン・グリーンが担当することになった。

昨年までのDEからアーロン・キャンプマンとジェレミー・トンプソンがOLBに転向し、A.J.ホークとブランドン・チラーはアウトサイドからインサイドに移る。左OLBのスターターはキャンプマンで確定しているが、問題は右OLBで、今夏のトレーニングキャンプで最も注目される先発争いの1つだ。2年目のトンプソンと1巡ルーキーのクレイ・マシューズがスターターを争い、昨年までストロングサイドで先発していたブレイディ・ポピンガは早々に脱落してキャンプマンの控えに回る見込み。

ロースター枠は昨年までよりも大幅に増える。他の3-4のチームを見てみると、LB陣全体で9人または10人、というところが多いようだ。アウトサイド組は4人か5人。(控え)LBが増えるのはスペシャルチームの強化にもつながり、それが3-4の美点の1つでもある、とマッカーシーHCはコメントしている。

アーロン・キャンプマン  Aaron Kampman

プロ8年目の29歳。アイオワ大から2002年のドラフト5巡指名で入団、いまやNFLを代表するDEの1人に成長した。昨季は逆サイドが弱体化したために9.5サックに終わり、3年連続プロボウル出場は逃したが、プレー内容自体が悪くなったわけではない。今オフは3-4ディフェンス導入とともに彼のOLB転向も発表され、首脳陣はプロボウルDEの心情に配慮した発言を繰り返した。それでも本人は6月上旬までメディアに口を開かず、コンバートに乗り気でないのではないかと取り沙汰された。

体重は入団時の286ポンドから昨季は265ポンドまで絞り込んでおり、サイズ的にはぴったり。もともとDL陣最高の頭脳派で、アスレチック能力も高いので大丈夫だろう、という見方が多い。心配されるパスカバレッジの方は、もしイマイチならばドム・ケイパース新DCがスキームの方を調整するはず。今年が契約最終年なので本来は最優先で契約延長するべき選手だが、チーム側もキャンプマン側も、「3-4への適性を見きわめてから」と静観しているようだ。もしうまく行くようならシーズン中盤にも契約延長、逆に不向きとなれば、来春はFA市場に出て行くことになる。

ジェレミー・トンプソン Jeremy Thompson

ウェイク・フォレスト大から昨年のドラフト4巡指名でDEとして入団。トンプソンGMにとってキャリア初のトレードアップ指名だった。DEジェンキンズ負傷後は数試合スターターを任せられたものの、いくつものケガに悩まされ、サックはけっきょくゼロに終わった。もどかしいルーキーシーズンではあったが、首脳陣はそのポテンシャルを高く評価していた。今年はキャンプマン同様アウトサイドLBに転向し、多少体重を絞る方向でトレーニングしている。

もともとパスラッシュ一辺倒ではなくラン守備もよいバランスの取れたDEで、嗅覚に優れた頭のよい選手。大学時代のディフェンスではパスカバレッジに下がる仕事も多く、OLBへのコンバートは彼にとって大きくプラスに働いたようだ。今春のOTAやミニキャンプではずっと先発組でプレー。トレーニングキャンプではクレイ・マシューズの挑戦を退けられるかどうか。

クレイ・マシューズ Clay Matthews

USCから今年のドラフト1巡26位指名で入団。トンプソンGMにとってキャリア二度目のトレードアップだった。素晴らしいサイズとスピードとクイックネスに恵まれ、柔軟な動きのパスカバレッジも評価が高い。超名門一家の出身ではあるが、ウォークオン入学して最終学年でスターターに這い上がった努力家。大学ではDE/OLBハイブリッド、しかも入学時はセーフティをプレーしていたヴァーサタイルな選手で、3-4のOLBはパーフェクト・フィットと見られている。

高い代償を払ってトレードアップ指名した選手だけに、入団即スターターかと思われたが、OTAやミニキャンプではジェレミー・トンプソンに次ぐ2番手ROLBに留まっている。それでも、開幕時にはマシューズがスターターだろうと予想する記者は少なくない。大学ではスペシャルチーム経験が豊富なので、たとえ即先発できなくてもチームに貢献はできそう。

ブレイディ・ポピンガ  Brady Poppinga

ブリガム・ヤング大から2005年のドラフト4巡指名で入団し、2年目からストロングサイドのスターターに。ブランドン・チラーが入団した昨季も先発の座を守ったが、ポピンガのパスカバレッジの拙さを補うため、パスシチュエーションではチラーが起用される場面が多かった。苦手なりにカバレッジ技術は向上し、昨季は一度もTDを許さなかった。終盤はパスラッシャーとして右DE(大学時代に経験豊富)にも入ったが、サックはゼロに終わった。

今春は右OLBの仮スターターかと思われたが、2年目のジェレミー・トンプソンの後塵を拝し、しかもマシューズ入団のため、ポピンガは左サイドでキャンプマンの控えとなっている。スペシャルチーマーとしては優秀だが、先発LBの座は遠のくばかりで、昨年7月に結んだ4年$13.4ミリオンの契約延長はチームにとって裏目だったかもしれない。3-4に不向きと判断されれば、開幕前に解雇の可能性も。

ブラッド・ジョーンズ Brad Jones

コロラド大から今年のドラフト7巡指名で入団。40yds走4.54秒という素晴らしいスピードの持ち主だが、232ポンド(LB陣最軽量)はやや線が細い印象。本人によると、「大学では3ポイントスタンスからパスラッシュもしたし、タイトエンドをマンカバーしてセーフティのようにドロップバックすることもあった」とのことで、ヴァーサタイルなところが3-4向きと評価されての指名だろう。おそらくロースター最後の枠を争い、ダメならばプラクティス・スクワッド。

シリル・オビオザー Cyril Obiozor

テキサスA&M出身のドラフト外ルーキー。大学2年の終盤から先発DEを務めた。身長6フィート4のサイズと、40yds走4.75秒のスピードを兼ね備えている。両親ともナイジェリア生まれ。

2009年7月21日

ロースター展望 DE編

3-4ディフェンスへの転換により、ディフェンシブエンドの役割も大きく変わる。パスラッシュの主役の座はアウトサイドLBに移り、DEはブロッカーを受け止めて後ろのLBたちにタックルさせる地味な役割(5月の記事参照)。これまでよりもサイズや馬力が必要になる。アーロン・キャンプマンやジェレミー・トンプソンら軽量組はアウトサイドLBにコンバートされ、ジョニー・ジョリーとジャスティン・ハレルがDTからDEに移ってくる。

右DEのスターターはこれまでどおり、昨季を胸筋断裂で棒に振ったカレン・ジェンキンズ。左DEはジョニー・ジョリーかと思われたが、1巡指名ルーキーのB.J.ラジが先発の座を奪いそうな情勢だ。どの選手も3-4経験がないこともあって、控え争いは混沌としている。ロースター枠はよくわからないが、DL全体で7人か8人。DEだけで4人か5人、プラスNTラジといったところ。

カレン・ジェンキンズ  Cullen Jenkins

セントラル・ミシガン大から2003年のドラフト外で入団、NFLヨーロッパ派遣を経た2年目に初ロースター入りを果たし、3年目の2005年に先発DTに昇格。2006年終盤からはバジャ=ビアミラを退けて右DEに移り、スターターを務めてきた。昨季序盤はチーム最多プレッシャーを挙げる大活躍を見せていたが、第4週バッカニアーズ戦で胸筋を断裂してシーズンエンド。彼の戦線離脱でDLの戦力が大きく低下し、やがてディフェンス全体の不振につながってしまった。

昨年までと同じ先発右DEとはいえ、長所のクイックネスが活かしにくくサックが稼げないポジションになったのは少し気の毒。もともと305ポンドの重量級DEなので3-4のDEにはぴったりの感じだが、身長(6-2)や腕の長さといった点で3-4に向いているのかどうか。胸筋断裂に加えてオフには足首の手術も受けており、まずは体調を100%に戻すことがカギになる。

ジョニー・ジョリー Johnny Jolly

テキサスA&Mから2006年のドラフト6巡指名で入団、2年目に急成長してスターターの座をつかんだ。しかし3年目の昨季の成長ぶりはいまひとつで、物足りないプレー内容。勝手な動きをして守るべきギャップを守らないプレーが時折あり、コーチ陣から叱責される場面もあった。昨夏に逮捕された事件では今季中か終了後に裁判が待っていて(詳細は18日の記事参照)、有罪ならばリーグからの処分は避けられない。

B.J.ラジ入団前は先発左DEの最有力候補だったが、OTAやミニキャンプでのラジの動きがよく、首脳陣の考えはラジ先発に大きく傾いてきたらしい。今年が契約最終年ではあるが、地元ヒューストンでの交友関係など私生活上のリスクが大きいだけに、そう簡単には契約延長してもらえないのではないか。

マイケル・モンゴメリー Michael Montgomery

ジョリーと同じくテキサスA&Mから2005年のドラフト6巡指名で入団。それなりに成長はしてきたものの、パスラッシュ・ラン守備ともスターターとしては物足りず、ジェンキンズの穴を埋めるには程遠かった。3-4は不向きと見られていたので、今春FAとして移籍濃厚と言われたが、けっきょく買い手が付かずパッカーズと安価な2年契約。今夏はハレルやウィンと控えDEの座を争い、ロースター残留を目指す。DE陣最軽量の273ポンド(公称)なので、多少バルクアップは必要のはず。

ジャスティン・ハレル  Justin Harrell

テネシー大から2007年のドラフト1巡16位で入団したが、これまで2年間はケガばかりでほとんど戦力にならず、トンプソンGM時代に入って最大のBUSTといっていい。プロ1年目は、在学中に負った上腕二頭筋断裂の影響がシーズン中まで残った。期待された2年目は春先に腰を負傷し、治りかけてはぶり返すことがけっきょくシーズン末まで続いた。今春は腰痛がようやく治って元気にOTAに参加できたが、ミニキャンプでの動きを見た記者たちの評判は芳しくない。

3-4となった今年は、ジョリーと同じくDTからDEにコンバート。マッカーシーHCは当初「NTとDEの両方で使ってみる」と語っていたが、ここまでDEばかりなのは、やはりNTには馬力不足(または腰痛再発が怖い)と見なされているからではないか。1巡指名から3年目、今夏のキャンプで結果を出せなければ解雇されてもおかしくない。

ジャリアス・ウィン Jarius Wynn

ジョージア大から今年のドラフト6巡a指名で入団。最初はジュニアカレッジのジョージア・ミリタリー・アカデミーで大活躍し、ジョージア大に途中編入して2年間プレーした。編入1年目はDEとDTの両方で控えとしてプレーし、昨季は先発DEを務めた。大学最後の2試合が素晴らしい出来で、才能が花開きつつあるのではないかという期待がある。チーム側は大学時代よりも15ポンドほど増やすことを望んでいるらしい。残れなければプラクティス・スクワッド。

アルフレッド・マローン Alfred Malone

トロイ大から2005年のドラフト外でテキサンズに入団し、2007年末にパッカーズのプラクティス・スクワッドへ。昨年12月の初めにロースターに初昇格し、4試合に出場して4タックルを挙げた。パスシチュエーションで登場してインサイドからラッシュする仕事がメインだったようだ。3-4に移行する今年はDTからDEに移り、上記選手たちとロースター枠ぎりぎりを争う。

ロナルド・タリー Ronald Talley

デラウェア大出身のドラフト外ルーキー。身長6フィート3(191cm)、体重282ポンド(128kg)。ノートルダム大で2年プレーしたあと、同大に転校した。先発DEを務めた2年間で計89タックルを挙げている。サックは2年で6.5回だけで、スピード(5.15秒)はさほどでもない。

2009年7月20日

パッカーズ・ホール・オブ・フェイム式典

土曜の夜、ランボーフィールドのアトリウムでパッカーズ・ホール・オブ・フェイム式典が行われた。今年パッカーズの殿堂入りを果たしたのは、元RBドーシー・レヴェンズと元WRアントニオ・フリーマン。昨年の元DTサンタナ・ドットソンや元Cフランク・ウィンタースに続き、90年代の黄金期を支えた選手たちの表彰となった。

会見場でポーズをとる 元RBドーシー・レヴェンズと元WRアントニオ・フリーマン
元RBドーシー・レヴェンズ
元WRアントニオ・フリーマン

2009年7月19日

ロースター展望 NT編

3-4ディフェンスへの転換により、ディフェンシブラインのインサイドはノーズタックル1人となる。役割の変化については5月の記事を参照のこと。相手OTに正対する両DEと距離を置き、常にダブルチームを相手にしなければならず、ノーズタックルが押し込まれるとディフェンス全体がガタガタになる。ノーズタックルが優秀であることは、しっかりした3-4を作るために欠かせない要素だ。

その最重要ポジションを補強するため、ドラフト1巡9位でB.J.ラジを指名し、ライアン・ピケットと2人をローテーション起用できることになった。首脳陣は「先発NTはピケットだ」と繰り返しコメント。今季についてはそのとおりかもしれないが、ピケットが衰えてラジが成長してくれば、来季はラジにスターターを任せればいい。

ロースター枠がどうなるのか、去年までと勝手が違ってよく分からないが、DL全体で7人か8人、NTは3人といったところか。NTが3人枠ならアンソニー・トリビオまで合格圏内だが、DEジャスティン・ハレルやDEジョニー・ジョリーが控えNTを兼ねるなら、3番手NTの座は流動的になる。

ライアン・ピケット Ryan Pickett

オハイオ州立大から2001年のドラフト1巡29位でラムズに入団し、2年目からスターターに。最初はややモタついたが次第に成長し、2006年に総額$14ミリオンの4年契約でパッカーズにFA移籍した。横幅があって重心が低く、ダブルチームをしっかり受け止める馬力がある。いっぽうパスラッシュでは1on1でもなかなか突破できず、移籍後3年間でサックはわずか2.5回。まだ29歳だが、すでにスピードが衰えを見せ始めていると心配する向きもある。

3-4のノーズタックルは彼にぴったりかもしれないが、B.J.ラジが加入したためスターター確定ではなくなった。契約最終年を迎え、来年以降も先発NTとして契約延長してもらえるのか、今季限りでラジと世代交代させられてFA市場に出て行くのか、今季のプレーぶりにかかっている。

NT/DE B.J.ラジ  B.J. Raji

ボストン・カレッジから今年のドラフト1巡9位指名で入団したゴールデンルーキー。低い重心から鋭い瞬発力を見せ、ポイントオブアタックでは強力な馬力で持ちこたえる。入団後のOTAやミニキャンプでの評判も上々。パッドつきの練習をまだしていないのでラン守備は未知数であるものの、337ポンドの巨体を軽々と動かすフットワークがとくに高く評価されている。

NTピケットと違うのはパスラッシャーとしてのスピードや瞬発力があることで、NTよりも左DEとしての先発起用が有力になってきたのもそのせい。当面はピケットを先発NTに固定し、ラジは左DEとNTを行ったりきたりすることになりそう。ミニキャンプでは、パスシチュエーションでの2-4-5の変則ニッケル隊形でDLに入るのは彼とジョリーだった。

アンソニー・トリビオ Anthony Toribio

ディビジョンIIのカーソン-ニューマン大から昨年のドラフト外でドルフィンズに入団、11月にプラクティス・スクワッドから解雇されてパッカーズのプラクティス・スクワッドに移り、12月半ばにロースター昇格。しかし2試合ともインアクティブで出場はならなかった。ドルフィンズでも3-4のノーズタックルをやっていたので、パッカーズの3-4転換はおあつらえむきかもしれない。今夏はDEモンゴメリー、DEジャリアス・ウィンといったDEたちとロースター枠ぎりぎりを争い、もしダメならプラクティス・スクワッドだろう。父はドミニカ出身、母はキューバ出身。

NT/DE ディーン・ムターディ  Dean Muhtadi

メリーランド大出身のドラフト外ルーキー。大学でもDEとDTを兼任していた。学業成績優秀ですでに昨年卒業をすませ、MBA課程に進んでいる。身長6フィート3(191cm)、体重304ポンド(134kg)のサイズは、今回のNT4人の中では最も背が高く、体重が軽い。3-4ならばDE向きのサイズに思えるが、NT/DEとなっているのは、これからノーズタックルで育ててみたい考えなのか。今年はよくてプラクティス・スクワッド。

2009年7月18日

Notebook: DEジョリーは今季出場できる公算

2009年7月16日

ロースター展望 C/G編

昨季まではセンターのウェルズが不動で両ガードが固定できなかったが、今夏は正反対。ガードはLGダリン・カレッジとRGジョシュ・シットンに固定し、センターでポジション争いを行うことになった。ここ数年間はゾーンブロッキングに合った軽量・機動力志向だったが、右ガードをスピッツからシットンに代え、センターをウェルズからスピッツに代え、控えに320ポンド級のプレストンを獲った背景には、やはりパワーブロッキングへの回帰、サイズ大型化の傾向があるのではないか。

これまで3年間おもに右ガードをプレーしてきたジェイソン・スピッツが、今年はスコット・ウェルズの先発センターの座に挑戦する。挑戦といってもウェルズはオフに肩の大きな手術を受けたため、OTAやミニキャンプではスピッツがずっと1stチームに入っている。ウェルズが復帰するトレーニングキャンプでの争いが注目される。

2005年春にLGマイク・ウォールとRGマルコ・リヴェラを同時に失って以来、4年間苦しんできたガード陣だが、今年はようやくスターターを固定し、しかも平均レベル以上の選手に成長しそうな見込みが立った。LGダリン・カレッジはアレン・バーバーの不振のせいもあって昨夏スターターの座を奪い返し、シーズン中に大きな成長を見せ、いまや契約延長の最有力候補となっている。

RGジョシュ・シットンはスケールの大きさを見込まれ、スピッツをセンターに追いやってスターター昇格を果たした。ルーキーだった昨夏(ケガでチャンスを失うまでは)スターターの座をつかみかけただけに、初先発といっても実力はあまり心配されていない。今夏のキャンプでも、これといったライバルは見当たらない。

複数ポジションをこなせる選手が多いだけに、ケガ人が出たときの代役はよくわからないが、スピッツ&ウェルズのセンター争いに敗れた方、バーバー&ラングの右タックル争いに敗れた方、そしてC/Gデューク・プレストンが控えの候補になりそうだ。ロースター枠はOL全体で通常9人。昨日取り上げたOT陣から5人残るとすれば、下記の7人のうち4人がロースター入りとなる。CスピッツとLGカレッジとRGシットンは確定とすると、残る枠は1人だけになってしまう。

C/G ジェイソン・スピッツ  Jason Spitz

2006年のドラフト3巡b指名でルイヴィル大から入団し、すぐに先発右ガードの座を確保。2年目からは控えセンターも兼ねてきた。全てをそつなくこなせる器用さはあるが、先発ガードとしてはややスケールが小さい、といった入団時からの懸念が的中してきたところへ、より大型&強力なジョシュ・シットンが入団してきたため、今年はセンターに専念することになった。先発右ガードを3年、ときおり代役で先発も務めてきたため、先発センターの準備は十分、と評価されている。

C スコット・ウェルズ  Scott Wells

テネシー大から2004年のドラフト7巡で入団。Cフラナガンの代役スターターや先発左ガードを務めたあと、3年目から不動の先発センターを務めてきた。レスリングで鍛えた馬力とテクニック、それに的確なコールで安定感のあるセンターだが、いかんせんサイズが小さく、同地区内の強力DTたちにオーバーパワーされやすい。プロ6年目でもう伸びシロもなさそうで、最近はケガも多い、ということで今夏はスピッツ相手に先発争いをさせられることになった。

もし先発センター争いに敗れた場合、解雇されるのではないかと見る地元記者も少なくない。FAでC/Gプレストンを獲ったのはそのための布石ではないか、というのだ。しかし振り返れば2005年には左ガードで8試合先発した経験もあり、インサイド3ポジションの控えをこなせる点で下記プレストンに劣ることはなさそうに思えるが、さてどうなるか。

C/G デューク・プレストン Duke Preston

イリノイ大から2005年のドラフト4巡指名でビルズに入団、以来4年間で59試合に出場、20試合に先発した。センターと右ガードが半々ぐらいだったようだ。今春FAとなり、契約ボーナスなしの総額$2ミリオンの2年契約でパッカーズにやってきた。先発候補というより控えのデプス強化が意図のようだ。身長6フィート4は、ウェルズより2インチ、スピッツより1インチ高く、体重も10ポンド以上重い。移籍後のOTAやミニキャンプでは(2番手)センターのみでプレーしていて、「ウェルズ放出の可能性」を強めている。

LG ダリン・カレッジ Daryn Colledge

ボイジー州立大から2006年のドラフト2巡a指名で入団。大学では左タックル専門だったが、入団後は左ガードに。先発を期待されると不振に陥り、もうダメかと思うとライバルのケガで返り咲く、といったチグハグな2年間を過ごしたが、昨夏バーバーの不振で先発の座を確保すると実戦では急成長を見せ、「今季パッカーズOLで最もよかった選手」とも評価された。

フットワークがよく、もともとパスプロには優れていたが、バルクアップの成果でようやく馬力がつき、ランブロックもよくなってきた。さらなるパワーアップの余地もありそうで、いずれリーグ有数のガードになってくれるとチームは期待している。左タックルの控えも兼ねるので、存在価値は高い。

RG ジョシュ・シットン Josh Sitton

セントラルフロリダ大から昨年のドラフト4巡b指名で入団。大学ではおもに右タックルだったが、パッカーズでは右ガードに専念している。入団直後から非常に高く評価され、昨夏はスピッツを退けていったん先発RGの座をつかんだが、プレシーズン第3戦でヒザを捻挫してしまい、シーズン半ばまで長引いてチャンスを失った。しかし今年は春からずっとスターター組でプレーし、スピッツやバーバーなどライバルたちは他ポジションへ。これもシットンへの信頼の表れだろう。

すでに昨年からランブロッキングは合格点以上なので、あとはパスプロテクションで安定感を増したいところ。昨年と違って隣が百戦錬磨のRTマーク・タウシャーでなく新先発の選手、というところは不安が残る。

G/C イヴァン・ディートリック=スミス  Evan Dietrich-Smith

アイダホ州立大出身のドラフト外ルーキー。大学最後の2年間は左タックル、それまでにも右タックルと左右ガードの先発経験があり、通算44先発の同大記録も持っている。パッカーズのOTAやミニキャンプでは、2ndチームの右ガードに入り、QBロジャースも賞賛コメントをしていた。しかし人数を考えるとロースター入りは難しく、よくてプラクティス・スクワッドか。ロースター表でG/Cと表示されているのは、(大学では経験のない)センターとして育てたい考えなのかもしれない。

G/T アンドリュー・ハートライン  Andrew Hartline

セントラルミシガン大出身のドラフト外ルーキー。LTジョー・ステイリー(2007年1巡で49ersへ)の後任左タックルであり、NCAA史上2位の52試合連続先発出場の記録も持っている。6フィート5で285ポンドでプレーしていたというから、OL選手としてはかなり細身だ。余談だが現在パッカーズにはDEジェンキンズ、TEハンフリー、そしてこのハートラインと3人ものセントラルミシガン大出身者がいる。

2009年7月15日

ロースター展望 OT編

LTチャド・クリフトン&RTマーク・タウシャーの同期コンビが9年間にわたってスターターを務めてきた両タックルだが、ついに世代交代のときが訪れたようだ。RTタウシャーが契約最終年の昨季12月にヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂してしまい、しかも今春FAとなったため、パッカーズは再契約を見送っている。リハビリ期間を考えると開幕からバリバリ働けるはずはなく、再契約するとしてもシーズンに入ってからの緊急補強ではないか。

タウシャーに代わる右タックルは今のところ、アレン・バーバーブレノ・ジャコミニ、4巡ルーキーのT.J.ラングの争い。今夏のトレーニングキャンプで最も注目されるポジション争いだ。足首の手術を受けたジャコミニはOTAやミニキャンプで練習できず、今のところバーバーが大量リードを奪っている。逆転するとすれば、ミニキャンプで光るものを見せていた新人のラングの方だろう、と見られている。昨季最後に右タックルを務めたダリン・カレッジだが、チームとしては今年は左ガードに専念させたい考え。

いっぽう左タックルではチャド・クリフトン(今年33歳)が慢性の両ヒザ痛に悩まされながらもプレーを続け、能力的に彼を脅かす選手は見当たらない。ドラフト上位で後継LTを指名するのでは、との見方もあったが、今年はディフェンス補強を優先。5巡指名ののジャマーン・メレディスではクリフトンの後継者になるのは難しいだろう。

この項では省略したが、クリフトンに次ぐ2番手LTはLGダリン・カレッジが務める。ロースター枠はOL全体で通常9人。ポジション兼任が多いので、タックルだけで何人と数えるのは難しい。バーバーとラングはガードの控えも兼ねられるので、下記の選手から5人が開幕ロースターに残るのではないか。クリフトン、バーバー、ラングまでは当確として、残る2つの席をジャコミニ、メレディス、モールの3人が争うことになりそう。

LT チャド・クリフトン  Chad Clifton

プロ10年目の33歳。テネシー大ではペイトン・マニングの背後を守り、2000年のドラフト2巡でパッカーズに入団。1年目の途中で先発に昇格し、それ以来不動のスターターを務めてきた。2007年シーズンにはプロボウルにも選出。左タックルとして理想的なサイズとアスレチック能力があり、特にパスプロテクションに優れる。ただ最近はヒザの問題のためシーズン中の練習を休まざるをえず、そのせいでプレーの精度が落ちることに首脳陣は苛立ちを見せ始めている。

RTタウシャー同様、チームとしては今年か来年あたり世代交代を図るタイミングだが、左タックルというポジションの希少性もあって後継者が見当たらない。今年が契約最終年だけに判断が難しいが、プレーぶりとヒザの回復ぶりを見きわめたうえで、シーズン中に短めの契約延長をするのではないか。今年は見送られたが、来春のドラフトで左タックルを上位指名する可能性はかなり高い。

RT アレン・バーバー  Allen Barbre

ディビジョンIIのミズーリ・サザン州立大から2007年の4巡指名で入団。大学時代は左タックル専門で、入団と同時に左ガードにコンバートされたが、ここまで2年間たっぷり伸び悩んだ。昨年のトレーニングキャンプでは先発左ガードの最有力候補と期待されたが、不安定なプレーぶりから首脳陣の信頼を失い、それを尻目にダリン・カレッジがスターターとして大きく成長してしまった。今春は初めて右タックルに挑戦。ジャコミニの出遅れもあって、ミニキャンプまでは常に1stチームに入っている。

問題はパッドを着けたトレーニングキャンプの練習、そして実戦でどうなるか。これまではブリッツやスタントへの対応が拙く、NFLの複雑なディフェンスに対応できない部分があったが、1on1の戦いだけならNFLでも十分やっていけるだけの馬力とアスレチック能力はある。首脳陣の口ぶりからは、ランブロックは強力だが、パスプロテクションがすこし心配、といった様子がうかがえる。

RT ブレノ・ジャコミニ Breno Giacomini

昨年のドラフト5巡指名でルイヴィル大から入団。6フィート7(201cm)はパッカーズ最高身長。イタリア系ブラジル移民の息子で、中学まではサッカーをやっていたらしい。ルイヴィル大ではQBブライアン・ブローム率いる強力オフェンスに右タックルとして貢献。フットワークなど技術的にかなり粗削りで、昨夏のキャンプではRGシットンと対照的に苦しんだが、かろうじてロースター入りを果たすと、シーズン中にはかなりの進歩を見せたらしい。

今年は先発RT争いが期待されたが、足首の手術のためOTAやミニキャンプで練習できず、今のところバーバーの後塵を拝している。オフに首脳陣が繰り返した期待コメントが本当なのかどうか、トレーニングキャンプでのプレーが注目される。

RT/RG T.J.ラング T.J. Lang

今年のドラフト4巡指名でイースタンミシガン大から入団。大学では連続先発36試合のうち最初の10試合が右タックル、その後は左タックルをプレーした。入団後は右タックルと右ガードを兼任している。タフでハードノーズな選手で、プルやトラップブロック、カットブロックなども器用にこなす。OTAやミニキャンプではセンスのよい動きを見せていて、うまくいけばRTバーバーに挑戦できるかもしれない。腕がやや短くスケールの大きさには欠け、将来はガードやセンターの方が向いている、とする見方も。

LT ジャマーン・メレディス Jamon Meredith

今年のドラフト5巡b指名でサウスカロライナ大から入団。理想的なサイズと高いアスレチック能力をフィールドで活かし切れず、上記ラングとは対照的なタイプ。口ばかり達者でモティベーションに問題がある、といったメンタル面を同大のコーチ陣に嫌われていたらしい。そうした部分はパッカーズ首脳もけっして評価していなかったが、5巡下位で残っているなら試す価値はある、と考えて指名したようだ。全体に線が細く、まずは体作り。OTAやミニキャンプでは目立った動きができておらず、1年目はプラクティス・スクワッドの可能性もある。

T/G トニー・モール  Tony Moll

ネヴァダ大から2006年のドラフト5巡指名で入団。大学時代は左タックルだったが、プロ入り後は主に右ガードと右タックルとして、時おり代役スターターを務めてきた。3年間で18試合に先発して、能力の限界がわかってしまった観がある。今年右タックルの先発争いに加えてもらえず、クリフトンの代役として1stチームの左タックルを務めているのはそのせいだろう。今夏よほどの成長を見せない限り、ロースター入りは難しいのではないか。

デーン・ランドルフ  Dane Randolph

メリーランド大出身のドラフト外ルーキー。身長6-5(195cm)、体重300ポンド(136kg)。ルーキー・ミニキャンプにトライアウト参加し、その後契約した。大学では右タックルをプレー。プロ・デイでは40ydsを4.9秒で走ったらしい。すでに昨年春に同大を卒業し、大学院に進んでいる。

2009年7月13日

ロースター展望 TE編

2007年にはドナルド・リーが急成長を見せて強力パス攻撃の一翼を担ったタイトエンド陣だったが(68回718yds)、昨年は56回539ydsへとダウン。若いQBを守るためパスプロテクションの仕事が増えたのがレシービング成績低下の要因だろう。QBロジャースが経験を積んだ今年はレシーバーとしての出番が再び増えそうだが、不確定要素は右タックルの新スターター。マーク・タウシャーの後任RTが不振に苦しむようなことになれば、タイトエンドはパスプロに釘付けとなり、5メン・プロテクションなどできなくなってしまう。

今年成長が期待されるのは2番手のジャーマイケル・フィンリー。ポテンシャルの高さは一番で、今夏の頑張りしだいではドナルド・リーの先発の座をプッシュしてもおかしくない。ロースター枠は通常3人。先発のリー、2番手のフィンリーまではほぼ確定しているので、最後の枠をトリー・ハンフリーが守れるかどうか。

ドナルド・リー Donald Lee

プロ7年目の28歳。ミシシッピ州立大から2003年のドラフト5巡でドルフィンズに入団、3年目の2005年開幕前に解雇されてパッカーズに移ってきた。伸び悩む時期もあったが、2007年にババ・フランクスを抜いてエースに昇格、48回575yds、6TDの活躍を見せた。前述のような事情もあって昨年は39回303ydsにダウン。パスキャッチ1回平均が12.0ydsから7.8ydsに下がったのは、ダウンフィールドを攻められずショートパスばかりだったことを示している。

苦手だったブロッキングは、バルクアップの甲斐あってそれなりに進歩してきた。しかし能力全般に頭打ちの観は否めず、フィンリーの成長しだいでは今年か来年あたり先発の座が危うくなるかもしれない。

ジャーマイケル・フィンリー  Jermichael Finley

テキサス大から昨年のドラフト3巡指名で入団、サイズ(6フィート5)とスピードに恵まれた大器と期待されている。昨季途中にはハンフリーを抜いて2番手に昇格。新人TEらしい不安定なプレー内容でパスキャッチ6回74ydsにとどまったが、シーズン終盤には才能の片鱗を見せるプレーもあった。今年のOTAやミニキャンプでは成長を見せ、昨年よりも安定感が出てきた。今年はダブルTE隊形での起用が増えてきそうだ。

昨季最も注目を集めたのは第9週タイタンズ戦直後の生意気発言。ようやくその試合でNFL初キャッチを決めたばかりの新人がQBのパスの精度やプレーコールを批判したため、チーム内外で不興を買い、コーチたちからこっぴどく叱られて神妙な謝罪コメントとなった。今春のOTAでもディフェンス選手を挑発する場面が見られ、名門テキサス大で甘やかされたらしき精神的未熟さはやはり不安要素だ。こうした「未完の大器」タイプのTEはNFLじゅうに数多く、未完のままで終わってもおかしくはない。

トリー・ハンフリー Tory Humphrey

セントラルミシガン大から2005年にドラフト外入団し、NFLヨーロッパ派遣やプラクティス・スクワッドを経て2006年にロースター入り。パスキャッチ能力の高さを評価されながら、毎年ケガに悩まされ、2008年が初めてのフル出場。パスキャッチ11回162ydsを記録し、キャッチミスはゼロだった。TE陣で最も背が低く、ライバルとなる下記のムーアとは対照的なタイプ。3番手の座を守るには、やはりレシーバーとして光るところを見せたい。

エヴァン・ムーア Evan Moore

昨年ドラフト外でスタンフォード大から入団。身長6-6(198cm)、247ポンド(112kg)とTE陣では最もサイズがある。昨夏トレーニングキャンプでのプレーぶりは高く評価されていたが、キャンプ終盤にヒザを負傷し、インジャリーリザーブでシーズンを終えた。いっぽう同じくドラフト外で同期入団のジョーイ・ヘイノス(メリーランド大)は、昨季開幕前にパッカーズから解雇されたところをドルフィンズに拾われ、7試合に出場している。

カーソン・バトラー Carson Butler

ミシガン大出身のドラフト外ルーキー。身長6-4(193cm)、255ポンド(116kg)。ルーキー・ミニキャンプでのプレーぶりはかなり評判がよかったが、OTAでヒザを負傷してしまい、その後プレーできていないのが残念。

デヴィン・フリシュネクト  Devin Frischknecht

ワシントン州立大出身のドラフト外ルーキー。身長6-3(191cm)、258ポンド(117kg)。短大を経て3年目から同大に編入。過去2シーズンでパスキャッチ35回412yds、4TDを記録している。

2009年7月12日

ロースター展望 WR編

ファーヴに鍛えられてオフェンスで最も充実したユニットとなったWR陣が、今度は若きフランチャイズQBを支えている。グレッグ・ジェニングスがプロボウル級WRへと成長し、プロボウル出場2回のドナルド・ドライバーをあっさり追い抜いてエースWRとなった。両先発の後ろはジェームズ・ジョーンズとジョーディ・ネルソンが同格で争っている。ジョーンズはプロ2年目の昨季ケガのために伸び悩み、今夏盛り返さないと3番手の座は2年目のネルソンのものになりそう。

ロースター枠は通常5人。たまに6人のこともある。過去2年間はルヴェル・マーティンが5番手の座を守ってきたが、今夏のキャンプではブレット・スウェインの挑戦を受けることになりそう。それ以外のドラフト外選手たちはかなり望み薄なのではないか。

グレッグ・ジェニングス Greg Jennings

ウェスタンミシガン大から2006年のドラフト2巡b指名で入団し、1年目の開幕からスターター。順調に成長を続け、3年目の昨季はNFL6位の1292yds、9TDを挙げてプロボウルの一歩手前だった。40yds以上のパスキャッチ8回はNFL1位。スピード、クイックネス、キャッチ力、相手CBのカバーを一瞬でかわすセンス、難しいボールを競り合う能力など全てにおいて優秀で、チーム最高のプレイメーカーなのは間違いない。これといった欠点は見当たらず、身長が5フィート11(180cm)と低いことぐらい。

怖いのはケガだけなので、QBロジャースとのホットラインをさらに強力なものにしていってほしい。いまどきの一流WRにしては頭がイカれていないのも有り難いところ。先日は2011年までの契約延長を済ませた。

ドナルド・ドライバー  Donald Driver

スティーヴ・マクネアと同じアルコーン州立大から1999年のドラフト7巡b指名で入団し、今年がプロ11年目。大学時代は走り高跳びでオリンピック代表を目指したアスリート。一介のスペシャルチーマーからたゆまぬ努力でスターターの座をつかみ、1000ydsレシービング6回、二度のプロボウル出場を果たした。33歳の昨季はジェニングスにエースの座を譲ったが、それでもパスキャッチ74回1012ydsと立派な数字を残している。

いまやCBアル・ハリスと並んでチーム最年長の34歳。自己管理能力が高くオフシーズンのトレーニングも熱心なせいか、衰えはさほど見られない。そろそろ下記2人の追い上げもありそうだが、ルート取りなどプレーの精度ではまだまだ差がある。よほど急激な衰えがこないかぎり、今年はまだスターターの座は安泰だろう。

ジョーディ・ネルソン Jordy Nelson

カンザス州立大から昨年のドラフト2巡a指名で入団。昨季はケガに苦しむジョーンズの代わりに3番手を務め、チーム3位の366ydsを挙げた。6フィート3(191cm)の長身で、パスキャッチがうまくルート取りのセンスがいい。白人大型WRだけに一瞬のクイックネスには欠けるが、相手からフリーになる術を心得ている。サイズを活かしてスペシャルチーマーとしても頑張っている。下半身はしっかりしているがまだ上体の線が細いので、今後はバルクアップして当たりに強くなりたい。

今夏のトレーニングキャンプでは、下記ジョーンズと同等のプレー機会を与えられて3番手WR争いをすることになりそう。今春のOTAやミニキャンプでもプレーぶりの評価は高く、今のところネルソンがやや有利と思われる。

ジェームズ・ジョーンズ  James Jones

サンノゼ州立大から2007年のドラフト3巡指名で入団。1年目から9試合に先発して47回676ydsを記録したが、期待された2年目はプレシーズンからヒザのケガに苦しんだ。ヒザの痛みで集中力を欠いてキャッチミスを連発、わずか20回274ydsに終わり、精神的タフさの点でも首脳陣の信頼を失った。スピードはないが、まるでTEのようなガタイを持つ重戦車型。高いキャッチ力を持っているが、全てのボールを体から離して手で捕ろうとするのが問題、と指摘する向きもある。

ルヴェル・マーティン Ruvell Martin

NCAAディビジョンIIのサギノーヴァレー州立大(ミシガン州)から2004年のドラフト外でNFLに入り、NFLヨーロッパ派遣を経て2006年に初ロースター入りを果たした。6フィート4(193cm)のサイズがあり、ブロッキングにも優れた安定感のあるハードワーカー。しかし最近は上記ジョーンズとネルソンの加入で出場機会が減り、1年目の358ydsから242yds、149ydsとレシービング成績が下がってきた。今年も5番手の座をキープしているが、キャンプでは下記スウェインの挑戦を受ける。

ブレット・スウェイン Brett Swain

サンディエゴ州立大から昨年のドラフト7巡b指名で入団。1年目のプレー内容はさっぱりで、当然のごとく開幕ロースターから外れた(昨季ドラフト組で唯一)。プラクティス・スクワッドに入れておくこと自体に疑問を投げかける向きもあったが、我慢の甲斐あって今年はかなりの進歩が見られ、ミニキャンプでは注目の選手の1人となった。トレーニングキャンプやプレシーズンゲームで活躍を見せて上記マーティンを引きずり下ろしたいところ。

ジャイク・アレン Jake Allen

NCAAディビジョンIIIのミシシッピ・カレッジで数々の同大記録を残し、昨年のドラフト外でパッカーズに入団。6フィート4(193cm)の長身に似合わぬクイックネスがあり、昨年のミニキャンプあたりでは非常に評判がよかった。ロースターには残れなかったものの、プラクティス・スクワッドでシーズンを過ごした。

ジャマーコ・シモンズ Jamarko Simmons

ウェスタンミシガン大出身のドラフト外ルーキー。6-2(188cm)、231ポンド(105kg)の重量級レシーバー。ジェニングスの後輩で、先輩を慕って複数球団からパッカーズを選んだらしい。大学最初の2年間はRBだったが、WR転向後はジェニングスの持っていた同大のレシービング記録を破っている。今年のパッカーズのドラフト外WRとしては実績ナンバーワン。

ジェイロン・ハリス JaRon Harris

サウスダコタ州立大出身のドラフト外ルーキー。身長6-0(183cm)、体重193ポンド(88kg)。同大のプロ・デイでは40yds走で4.35秒を出したらしい。

パトリック・ウィリアムズ Patrick Williams

コロラド大出身のドラフト外ルーキー。身長6-1(185cm)、体重204ポンド(93kg)。

コール・ヘッケンドーフ Kole Heckendorf

ノースダコタ大州立大出身のドラフト外ルーキー。6-2(188cm)、191ポンド(87kg)。地元ウィスコンシン州モシニー市の出身。今年は南北ダコタからWRが入団したのが面白い。

2009年7月10日

ロースター展望 FB編

古典的ブロッキングFBとして長年活躍したヘンダーソンを退団させ、コーリー・ホール&ジョン・クーンの若手コンビで2シーズンが経過。ゾーンブロッキングを導入して以来、このユニットはどうもパッとしない。そのせいか、昨季あたりから(ランブロッキング全体で)パワー・ブロッキングへの回帰の傾向が見られ、今春ドラフト5巡でクイン・ジョンソンを指名したのも、おそらくその表れであろうと言われている。

マルチプルWR隊形の多用でフルバックの出番そのものが少ないこともあり、レシービングでの貢献は微々たるもの。シャーマン前HC時代は例年FB陣へのパス成功が30回以上/250yds以上あったが、マッカーシーHC時代の3年間は21回119yds、10回56yds、11回59yds。今年もその傾向が大きく変わることはなさそうだが、3人の中でパスキャッチが一番上手いのはホール。ボールキャリアーならクーン。スペシャルチーマーとしては3人とも能力が高い。

ロースター枠は2人。昨年までと同じコンビで行くものと思われていたため、ドラフト5巡でクイン・ジョンソンを指名したのはちょっとしたサプライズ。これでキャンプでのポジション争いが面白くなった。今のところホールが1番手のようなので、あと1人の座を同タイプのクーンとジョンソンが争うのではないか。Press-Gazette紙の暫定デプスチャートでは、ホール、ジョンソン、クーンの順番となっている。

コーリー・ホール Korey Hall

ボイジー州立大ではインサイドLBとして素晴らしい実績を残したが、FBコンバート前提で2007年のドラフト6巡指名でパッカーズに入団。フットボールセンスのよい選手だがサイズが小さく、相手にオーバーパワーされやすい。2年目の昨季はランブロッキングのミスが大幅に減り、パス落球もゼロだった。いまのところは1番手扱いだが、さらなる成長が見られないようだと、開幕ロースターに残れない可能性も出てくる。

ジョン・クーン John Kuhn

ディビジョンIIIのシッペンバーグ大で大型RBとして大活躍し、2005年のドラフト外でスティーラーズに入団してフルバックに転向。2007年開幕前に解雇されてパッカーズにやってきた。スピードやクイックネスはいまひとつだが、ハマったときのブロッキングは迫力がある。昨季はショートヤーデージでボールキャリアーとして起用され、4回連続でコンバージョンを成功させた時期もあった。落球率が14.3%と高く、レシービングはいまひとつ。ホールは2年間で7試合欠場しているが、クーンは全試合出場を続けている。

クイン・ジョンソン Quinn Johnson

ルイジアナ州立大から今年の5巡a指名で入団。QBマット・フリンの1年後輩にあたる。上記2人よりもサイズに優れたパワフルなリードブロッカーで、古典的FBとしては今年のドラフトナンバーワンとの評価も。大学通算5回54ydsとパスキャッチ機会が少なかったが、プロ・デイ等ではスムーズなキャッチング能力をアピールした。昨季中からテッド・トンプソンGMが惚れ込んでいた選手らしい。

2009年7月 9日

ロースター展望 RB編

昨季はライアン・グラントがハムストリングのケガに苦しみ、シーズン中盤までオフェンスの足を引っ張った。エースRBにふさわしいキャリー数はこなしたものの、穴を抜けた後の鋭い加速やカットバックがなく、2007年後半のようなビッグゲインが影をひそめた。かといって2番手・3番手にキャリーを分散させることはなく、ブランドン・ジャクソンは3rdダウンバックのみ、3番手のデショーン・ウィンはわずか8キャリーだった。そうした起用法に批判もあるが、今年もグラントさえ元気であれば同じような形になるのではないか。

ロースター枠は通常3人。たまに4人のこともある。グラント、ジャクソンの序列は変わらず、3番手も今のところウィンがリード。昨季ドラフト外から開幕ロースター入りしたクレッグ・ランプキン(10月にIR入り)、今年のドラフト外ルーキーのタイレル・サットンが3番手の座をプッシュできるかどうか。今オフはRB陣にまったくケガがないのは好材料だ。

ライアン・グラント Ryan Grant

ノートルダム大ではジュリアス・ジョーンズの影にかくれてスターRBになれず、2005年のドラフト外でジャイアンツに入団。2年間は出番がなかったが、3年目の2007年開幕直前にパッカーズにトレードされ、平均5.1ydsの大活躍でシンデレラボーイとなった。昨年は契約問題でホールドアウトし、8月上旬にキャンプに合流した直後にハムストリングを負傷。その影響がシーズン半ばまで残ってしまった。穴を抜けた後のキレが2007年とは段違いに悪く、タックルを振り切ることがまったくできなかった。

とはいえ、ハムストリングに不安を抱えながらもNFL5位の312キャリーをこなし、1203yds走ったタフネスは評価されていいだろう。体調さえ万全であれば走る方の課題はあまりなく、2007年のキレを取り戻してくれさえすればいい。いっぽうブロッキング、パスキャッチ、スクリーンパスといった部分はまだまだ未熟。昨年はホールドアウトのために細かい技術面の進歩が見られなかったので、今年はこそエヴリダウン・バックへと脱皮したいところ。

ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson

ネブラスカ大から2007年のドラフト2巡指名で入団。周囲のケガもあって開幕スターターを務めたが、不振のため先発の座を失い、グラントに飛躍の機会を与える結果となった。2年目の昨季はブロッキングがよくなったこともあり、シーズンを通して3rdダウンバックとしてプレーしたが、パスキャッチの最長18ydsは物足りない。ラッシングでは、出番は少ないながら45回248yds(平均5.5yds)と光るものを見せた。ただグラント一本槍の起用法は変わりそうもなく、今年も3rdダウン中心になるだろう。

デショーン・ウィン DeShawn Wynn

フロリダ大では全米制覇に貢献し、2007年の7巡指名で入団。同期ジャクソンの不振のため1年目から4試合に先発し、平均4.1yds、4TDとまずまずの働きを見せた。昨年は開幕ロースターから外れたものの、ランプキンの負傷でプラクティス・スクワッドから昇格し、3番手を務めた。230ポンド級のサイズとパワーとスピードを兼ね備え、ブロッキングのセンスも悪くないオールラウンドプレーヤー。もしグラントが負傷欠場するようなことがあれば、ジャクソンは3rdダウンバックのまま据え置き、ウィンがスターター役を務めることになりそう。

大学時代から問題児との評判で、プロに入っても精神面の甘さが抜けない。オフシーズンの体作りができていないためキャンプ入り時にはオーバーウェイトで、ケガを押してプレーしたがらないところもある。これまで2年間はライバルのケガや不振もあってロースター入りできていたが、今年はそろそろ悪運が尽きてもおかしくない。逆に精神面さえしっかりしてくれば、2番手のジャクソンをプッシュするだけのセンスはある。

クレッグ・ランプキン Kregg Lumpkin

高卒時は全米トップクラスのRBと評価された選手だが、ジョージア大ではケガに苦しみ、昨年ドラフト外でパッカーズに入団。プレシーズンでの活躍が認められ、みごと開幕ロースター入りを果たした。しかしハムストリングをひどく痛め、10月にインジャリーリザーブ入りとなってしまった。サイズ、スピードとも上記のウィンとよく似たパワーランナーで、パスプレーで貢献できる器用さも兼ね備えている。

タイレル・サットン  Tyrell Sutton

かつて在籍したRBノア・ヘロンと同じノースウェスタン大から今年のドラフト外で入団。5フィート8(173cm)の小兵で、クイックネスに優れている。4.6秒台とトップスピードは物足りないが、重心の低さを活かしてタックルをかわす。パスキャッチもかなり上手いらしい。

2009年7月 7日

ロースター展望 QB編

ファーヴからロジャースへの世代交代が(フィールド上では)驚くほどスムーズにいったクォーターバック。ディフェンス不振のせいもあって勝ち星こそ伴わなかったものの、アーロン・ロジャースは先発1年目でNFL上位の成績を残し、若手有力QBの一角としての地位をすでに確保した。

問題は控えQB陣のレベルの低さ。昨年ドラフト指名された2人が今年も控えを務めるが、とくに2巡入団のブライアン・ブロームが伸び悩んでいて、7巡入団のマット・フリンにさえ劣っているのだから頭が痛い。今のままでは、もしロジャースが大ケガでもしたらパッカーズのシーズンはそこで終了になってしまう。今夏のキャンプやプレシーズンゲームでは、控えコンビの成長ぶりに期待したいところだ。2人はほぼ同格扱いで、プレー機会もほぼ同数与えられる予定。

ロースター枠は3人なので、大ケガさえなければこのままの3人で開幕を迎えることになる。ドラフト外で新人を獲らなかったのは、ロースター枠80人の制限よりも、2年目コンビにできる限りプレー機会を与えたい、という考えからではないか。

アーロン・ロジャース Aaron Rodgers

カリフォルニア大から2005年のドラフト1巡24位で入団。3年間控えで我慢した甲斐あって、4年目に訪れたチャンスを見事にモノにした。2年目までは「これが1巡指名QBか?」と思うほどのプレーぶりで、3年目にようやくNFLのQBらしくなった。いま思えば大学3年終了でアーリーエントリーした判断が誤りで、プロ4年目での先発昇格は理想的なタイミングだったにちがいない。このまま順調に伸びてくれさえすればよく、当分フランチャイズQB確保の心配をしなくて済むのはありがたい。

プレースタイルは、ウェストコーストオフェンスの基本に忠実なタイプ。判断が安定していて、ポケットでの落ち着きがあり、コントロールも非常によく、高低のブレが少ない。ロングボールも優秀で、40yds以上のパス成功16回はブリーズと並んでNFL首位タイ。俊足を活かした思い切ったスクランブルで1stダウンを稼ぐプレーも随所に見られた。前任者と比べるとローリスク志向なのは間違いないが、先発1年目はやや安全運転すぎるきらいはあったので、今年はもっと彼の色を出していくことになるようだ(先月の記事参照)。

ファーヴ時代と比べて明らかに悪くなったスタッツは被サックだろう。OL陣の能力はさほど変わらないのに、被サックは前年の19回(NFL3位タイ)から34回(19位)へと大幅増。「焦って無理な場所に投げ込むよりは」というロジャースの性向によるもので、これも経験を積んでより素早く的確な判断ができるようになれば、しだいに解消できるのではないか。

マット・フリン Matt Flynn

ルイジアナ州立大では3年間ジャマーカス・ラッセル(現OAK)の控えを務め、ようやく先発に昇格した4年目に同大を全米制覇に導いた。肩の強さやパスの正確性など、すべてにおいてそこそこで、スケールの大きさが感じられないためにプロのスカウトから評価されず、7巡指名に甘んじた。タフで気骨がありリーダーシップに優れ勝負強い、といった"Intangibles"に優れ、成長しだいではNFLで一人前の控えQBとしてやっていける(それだって立派なものだ)可能性はある、と評価されている。

昨年夏に2番手QBに昇格したのはむしろ後述のブロームの不振によるもので、今年もそのまま2番手の座を確保しているが、はっきりとした差があるわけではない。2人のうちどちらかが成長してくれなければ心配で仕方がないが、昨夏のプレー内容からすると、2人が本当によくなってくるのは来年かもしれない。

ブライアン・ブローム Brian Brohm

ルイヴィル大のスターQBとして3年間活躍し、昨年の2巡25位指名でパッカーズに入団。ドラフト前は1位指名候補としても取り沙汰されたが、プロの見る目は正しかった。入団後はパッカーズのオフェンス習得に手間取り、プレッシャーに対処できず判断ミスを連発、よかったはずのコントロールもガタガタ。昨夏のプレシーズンでのQBレーティングは45.2で(フリンは100.2)、ついにフリンに2番手の座を譲った。すっかり自信を失ったまま今にいたっている。

リリースをクイックにするため、最近はコーチの指導で投球モーションの改善にも取り組んでいる。昨年よりマシになったとはいえ今年のミニキャンプでもプレーぶりは不安定で、今のところ大きな進歩は見られない。「球団首脳に静かな失望が広がりつつある」との噂まであるが、ロジャースも1年目・2年目はまったく使い物にならなくなったのだから、まだ希望はある。

2009年7月 6日

契約問題のまとめ

ようやくWRジェニングスとの契約延長が完了し、サラリーキャップの空きが$16ミリオン以上あるパッカーズだが、ことし契約最終年を迎える主力選手が山のように残っている。総勢16人、スターター級の主力選手が9人。チーム側にとって優先度の高そうな選手から(大雑把に)並べ、それぞれの事情を列挙してみる。

なお、新労使協約が締結できずに2010年がサラリーキャップなしのシーズンとなる場合、来春無制限フリーエージェントとなれるのはNFLで6年を終えた選手だけ。その場合、OLBキャンプマン、LTクリフトン、NTピケット、ILBチラー以外の12人は制限付きフリーエージェントにしかなることができない。

2009年7月 4日

OTAおよびミニキャンプのまとめ

ここまでのOTAおよびミニキャンプで評判のよかった選手をまとめてみる。ただしパッドを着けない練習ばかりでは、ラン攻撃/守備、とくに攻守ラインマンやRB/FBについてロクなことはわからない。

2009年7月 3日

ファーヴ騒動2009: いよいよ秒読みか

具体的な新しい情報はないものの、最近の噂はファーヴのヴァイキングス入団はもはや確実と思わせるものばかり。肩の状態も悪くなさそうで、残る障害は本人の変心(これがまた厄介)だけだろう、という見方が一般的になっている。 profootballtalk.com は、「ヴァイキングスのシングルゲーム・チケット発売が7月9日なので、正式発表はその直前ではないか。昨季もヴァイキングスはチケット完売に苦労し、8年ぶりのプレーオフ開催にもかかわらず完売が危ういところだったのだから」という見方を示している。

6月 22日 ブラッド・チルドレスHCとイーグルスのアンディ・リードHC(師匠にあたる)が、22日から29日にかけてアラスカに釣り旅行。
  22日 ハティスバーグの地元高校で試運転したファーヴの様子について、同校ヘッドコーチがコメント。「よかったと思う。本人はまだ少し違和感が残っていると言っているが、私の目には元通りに見えた」
  23日 ファーヴはヴァイキングスのキャンプに参加する、すでにヴァイキングスとの契約に合意した、との情報をミネソタのTV局WCCOが伝える。
  24日 例によって代理人バス・クックは上記報道を否定。
  25日 ファーヴが22日にミネソタの医師を訪れて肩の回復具合をチェックした、と地元紙Pioneer Pressが報じる。
  25日 Forebes誌のコラムから。「ファーヴを獲得するのは、オーナーのジギ・ウィルフがチームを手放したがっている証拠に見える。(新スタジアム建設承認をあてにして)$600ミリオンで球団を買収した賭けは失敗に終わりそうだが、ここで大きな花火を打ち上げて、球団の価値を高めようとしている」
  26日 ファーヴがすでにミネソタで家を購入した、との噂がネットを駆けめぐる。いまだ未確認。
  26日 NFL選手会のスポークスマンが、「ファーヴとヴァイキングスとの契約書類はまだ提出されていない」と明言。
  26日 RBエイドリアン・ピーターソンが、ファーヴを歓迎するとコメント。