グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年7月28日

ロースター展望 S編

今年は3-4ディフェンスのカギを握るセーフティ(5月の解説記事へ)だが、両スターターとも不安な要素を抱えている。昨季プロボウルに初出場したFSニック・コリンズは契約問題でチーム合流が遅れ、SSアタリ・ビグビーは昨季のスランプから脱出できるかどうか。両者とも今年が契約最終年だが、2人ともがチーム側からビッグマネーをオファーされるとは考えにくく、このコンビは今季限りになるかもしれない。

ロースター枠は通常4人。現在5人しかセーフティがいないので競争率は低いが、ドラフト外ルーキーやプラクティス・スクワッド組といった泡沫候補がおらず、全員が2年以上ロースターを経験している。さらに昨日紹介したCB/S兼任のジャレット・ブッシュがもしセーフティとして一人前と判断されれば、下記の5人のうち3人しか生き残れない可能性もある。

FS ニック・コリンズ Nick Collins

ベスーン・クックマン大から2005年のドラフト2巡で入団、1年目から先発フリーセーフティを務めてきた。3年間伸び悩んだが、4年目の昨季は7インターセプト(NFL2位タイ)、計295ydsINTリターン(球団新記録)、3TDを挙げる大活躍を見せ、初プロボウルにも選ばれた。腰と足首のケガを抱えながら全試合に出場し、20yds以上のビッグプレーを許した回数もキャリア最少の2.5回。ただシーズン後半には荒っぽい一発狙いが目立ち、ミスタックル(チーム最多)はシーズン前半の5回から後半は12回に増えた。

今年は3-4ディフェンスのプレーコーラーとして重要な役割を担うが、契約延長を求めてプチ・ホールドアウトを敢行し、OTAを全休。もともと学習能力の高くないタイプだけに、新ディフェンスへの習熟に不安が残る。昨季の活躍がフロックだった可能性は大いにあり、球団側としては今季前半の働きを見きわめてから交渉を始めたい、と考えているのかもしれない。あまりに高額契約を希望するようなら契約延長を見送り、来季は下記アンソニー・スミスに入れ替わってもおかしくない。

SS アタリ・ビグビー  Atari Bigby

セントラル・フロリダ大から2005年のドラフト外で入団、プラクティス・スクワッドを経て2年目にロースター入り。3年目の2007年には先発ストロングセーフティとしてチーム躍進に貢献したが、昨季は完全に失速。プレシーズンで負った足首のケガが長引き(結局12月末に手術)、ハムストリングや肩のケガにも苦しんだ。持ち前のアグレッシブな動きが影をひそめ、ラン・パスともミスが多かった。慢心からか、昨夏のキャンプにオーバーウェイトで現れ、負傷の前から動きは悪かった、とする記者もいる。

今年は制限つきFAとなり、チーム側は下から2番目のいわゆる「2巡オファー」をして再契約。昨季のようなプレーぶりでは、2巡指名権を手放す球団が現れるはずもなかった。コリンズ同様、今年が契約最終年となるが、チーム側の優先度は高くない。新ディフェンスの成否を握るポジションなのは間違いなく、2007年後半の迫力を取り戻してほしいところだ。

FS アンソニー・スミス  Anthony Smith

シラキュース大から2006年のドラフト3巡でスティーラーズに入団し、主にFSライアン・クラークの控えを務めてきた。2年目はクラーク欠場の穴を埋めて10試合に先発出場したが、3年目の昨季は完全に干された形で、わずか9タックルに終わった。控えでいることに不満なのかスペシャルチームへの取り組み方も不十分で、そうした精神面の未熟さがコーチ陣の不興を買ったらしい。

今春は制限付きFAとなるはずだったが、スティーラーズがオファーをしなかったため、無制限FAとしてパッカーズに移籍。契約ボーナスわずか$10万ドルの2年契約だった。もともとアスレチック能力は高いので、頭脳面や精神面さえ成長すれば、と判断しての補強だろう。ダレン・ペリー新セーフティコーチがスティーラーズで指導した経験があり、3-4経験が豊富なのもありがたい。コリンズとの契約延長問題が先行き不透明なことも関係があるかもしれない。FSとSSのどちらが向いているか見方は分かれているが、移籍後はFSを務めている。

SS アーロン・ラウス Aaron Rouse

ヴァージニア工科大から2007年のドラフト3巡指名で入団。1年目はFSコリンズの代役として3試合に先発して光るものを見せたが、2年目は成長どころかプレー内容が後退し、大いに不満の残るシーズンだった。セーフティにしては背が高い(6フィート4)せいかショートエリアでのアジリティがよくない。時おりビッグプレーを見せるものの、あまりに雑でミスが多すぎる。CBウッドソンを終盤3試合にセーフティで先発させたのも、ラウスがだらしなかったためだ。

昨季まで2年間はフリーセーフティだったが、上記スミスが入団した今年は主にストロングセーフティをプレーしているようだ。先発組を追いかけるよりもロースター残留を気にしなければならないキャンプになりそう。

チャーリー・ペプラー Charlie Peprah

アラバマ大から2006年の5巡指名でジャイアンツに入団、開幕前に解雇されてパッカーズへ。主にスペシャルチーマーとしてなんとかロースター残留を続けてきた。3年目の昨夏のキャンプ序盤は大きな成長を見せたが、そこでハムストリングを負傷してプレシーズンを全休。シーズン後半はふくらはぎを痛め、ケガ人続出の時期に代役として活躍することができなかった。

今年は上記ラウスやCBブッシュと最後の枠を争うことになりそう。昨年まではストロングセーフティの控えが多かったが、今年はフリーセーフティが多い、との情報がある。祖父のイグナティウス・アチャンポンは西アフリカのガーナ共和国で1972年に軍事クーデターを起こし、6年間国家元首を務めた。その祖父がクーデターで失脚して処刑されると、両親はヨーロッパを経てアメリカに移住。テキサスでペプラー兄弟を生んだ。弟のジョシュは今年ウィスコンシン大に入り、DBをプレーする予定。

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