グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年7月27日

ロースター展望 CB編

パッカーズはリーグでも数少ないマンカバレッジ一辺倒のチームだったが、3-4が導入される今年はゾーンカバレッジが主体となる見込み。万能のチャールズ・ウッドソンはむしろ向いていそうだが、プレスカバレッジ職人のアル・ハリスがうまく適応できるかどうか。他の若手選手もマンカバレッジのスキームで育ってきただけに、破綻なくゾーン守備が布けるのか、フィールドでのコミュニケーションが課題となりそうだ。

もう1つの課題は言うまでもなく両スターターの高齢化。ウッドソンが32歳、ハリスはもう34歳だ。2人ともまだ衰えは見られず、リーグを代表するベテランBコンビであり続けているが、チームとしてはいつでも世代交代できるよう備えておきたい。トラモン・ウィリアムズは1人前になったが、ウィル・ブラックモンはやや伸び悩み中。今夏のキャンプでは、2年目のパット・リーの成長ぶりに期待がかかる。

ロースター枠は通常6人、たまに5人のこともある。両スターターに加えてウィリアムズ、ブラックモン(リターナーとしての価値は大きい)、パット・リーまではおそらく当確。残りの選手たちで最後のイスを争うことになりそうだが、今春RFA流出を阻止したジャレット・ブッシュが有力か。となると6巡ルーキーのブランドン・アンダーウッドが外れることになるが、ブッシュはセーフティ兼任なのでセーフティとして残す手もある。

チャールズ・ウッドソン Charles Woodson

ミシガン大ではディフェンス選手として史上初のハイズマン賞を受賞したスーパースターで、1998年のドラフト1巡4位でレイダーズに入団、すぐにプロボウルの常連となった。ケガ続きで評価の落ちた2006年にパッカーズにFA移籍し、ハリスと強力なベテランコンビを形成。昨季は開幕戦でつま先の骨にひびが入って毎週ろくに練習できなかったが、全試合に出場して7INTを量産し、7年ぶり5回目のプロボウルに選出された。(欠場のためハリスが繰り上げ出場)

相手QBを読んでパスコースに飛び込む嗅覚とボールスキルが素晴らしく、移籍後3年間で19INTを挙げている。ニッケル隊形では彼がニッケルバックに入り、トラモン・ウィリアムズが左アウトサイドを守ることが多い。プレスカバレッジ専門のハリスと違い、フットボールセンスや独特の嗅覚を活かした多様な仕事をしてきたので、ゾーンへの適応も問題なさそう。昨季終盤はチーム事情からセーフティをプレーしたが、あくまで一時的な措置で、恒久的なコンバートの話は出ていない。かつては一匹狼的だったが、最近は若手DBたちの師匠格としてリーダーシップも発揮している。

アル・ハリス  Al Harris

ディビジョンIIのテキサスA&Mキングズヴィル校から、1997年のドラフト6巡でバッカニアーズに入団。解雇されてイーグルスに移ると、そこから一歩ずつ地道に階段を上り、いまや2年連続のプロボウラーとなった。昨季は第3週に脾臓を損傷しながらわずか4試合しか欠場せず、復帰後のプレー内容もかなりよかった。これまで苦手とされてきたゾーンカバレッジへの挑戦が注目されるが、本人は自信を示している。(記事へ

細身ながら強力なバンプで相手WRのルートを狂わせ、キャッチ間際に手を出す技術も見事。ただウッドソンと比べるとインターセプトが少なく、しつこく接触するために反則を取られやすい。自己管理が完璧なので34歳となっても衰えはあまりなく、「現役であと8年やりたい」と本人は公言している。さすがに8年は難しそうだが、彼ならやりかねないと思わせるところがある。

トラモン・ウィリアムズ Tramon Williams

ルイジアナ工科大から2006年のドラフト外で入団、2年目にロースター入りを果たした。昨年はさらに成長を見せて5INTも記録。伸び悩むブラックモンを尻目に3番手CB/ニッケルバックの座を固めた。両スターターの壁は厚いが、いつでもスターターが務まる選手、と首脳陣も高く評価している。スピードとボールスキルに加え、失敗をひきずらない強気なメンタリティがいい。ただ、相手オフェンスが両スターターを避けて彼を狙う機会が多く(チーム最多の90回)、よいプレーと悪いプレーの波がやや大きい。

今年はハリスと同様、ゾーンカバレッジへの適応が課題となる。今春はEFAとしての最低額契約を拒否し、その後$90万ドルの1年契約にサインした。球団側の優先度は高く、今季中にも契約延長の可能性がある。

ウィル・ブラックモン  Will Blackmon

ボストン・カレッジから2006年の4巡指名で入団、最初の2年は足の骨折に悩まされたが、3年目の昨季は初めて全試合に出場。4番手CB/ダイムバックで、ケガ人状況によっては3番手/ニッケルバックを務めた。リターナーとしては何度もビッグプレーを繰り出したが、CBとしては成長がいまひとつ物足りない。トラモン・ウィリアムズを追い上げるよりも、今夏は下記のパット・リーの挑戦を受けることになりそうだ。リターナーの仕事についてはスペシャルチーマーの項で取り上げる。

パット・リー Pat Lee

オーバーン大から昨年のドラフト2巡指名で入団したが、出場はわずか5試合。プロのディフェンスに馴染むのに時間がかかり、4番手を脅かすことさえできなかった。ディフェンスでの出番は計26スナップ、1タックルだけ。スペシャルチームでも出場機会の割に活躍できていない。しかし今春はかなりの成長を見せていて、今夏のトレーニングキャンプでは注目の選手の1人だ。上記ブラックモンを追い越して4番手の座をつかんでほしいところ。

ジャレット・ブッシュ Jarrett Bush

ユタ州立大から2006年のドラフト外でパンサーズに入団、開幕前に解雇されてパッカーズでロースター入りを果たした。2007年には3番手CBとなったこともあるが、実戦では簡単にビッグプレーを許し、トラモン・ウィリアムズにあっさり追い抜かれた。練習ではよくても実戦で悪いのは、ウィリアムズとは対照的にメンタルが弱いためだろうと言われている。昨年途中からセーフティの練習もしており、ロースター表でもCB/Sと表示されている。

RFAとなった今春は再契約を見送られるかと思われたが、彼がタイタンズからのオファーシート(総額$4.5ミリオンの3年契約)にサインすると、パッカーズはマッチして引き留めた記事へ。両球団の高評価に驚きの声が上がったが、「そこそこ使える控えCBでスペシャルチーマーとして優秀」となると、こういった値段になってしまうらしい。とはいえ開幕ロースター入りは確実ではなく、下記アンダーウッドらと争わなければならない。

ブランドン・アンダーウッド Brandon Underwood

シンシナティ大から今年のドラフト6巡b指名で入団。6フィート1(185cm)の長身で腕が長く、アスレチック能力も高い。オハイオ州立大から転校したために先発経験が昨季1年だけしかなく、荒削りなところがある。フットボールセンスの良し悪しについてはスカウトによっても評価が分かれる。大学ではセーフティの経験もあり、プロではフリーセーフティになるべき、という見方も。

大学の授業の都合で6月のOTAを全休させられたのが残念なところで、どれだけ早くパッカーズのディフェンスに習熟し、キャンプで上記ライバルたちを追い上げることができるか。おそらくロースター最後の枠を争い、ダメならばプラクティス・スクワッドで育てることになりそう。

ジョー・ポーター Joe Porter

ラトガーズ大から2007年のドラフト外で入団。2年連続でプラクティス・スクワッドだったが、昨季12月、パット・リーの戦線離脱にともないロースターに初昇格して1試合に出場した。おそらくチーム最速、 40yds走4.31秒のスピードがあり、大学時代には陸上200mで同大記録を作っている。いっぽうフットボールでは大学時代にもニッケルバックでしかなかったらしい。ライバルは多く、そろそろ見切りをつけられてもおかしくない。

トレヴァー・フォード Trevor Ford

トロイ大出身のドラフト外ルーキー。フロリダ州立大で2年間過ごしたあと、トロイ大に移った。5月のルーキー・ミニキャンプにトライアウト参加し、働きが認められて正式契約となった。身長6フィート0(183cm)は十分なサイズだが、体重188ポンド(85kg)はチーム最軽量。40yds走は4.48秒。よくてプラクティス・スクワッドだろう。

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