グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年7月15日

ロースター展望 OT編

LTチャド・クリフトン&RTマーク・タウシャーの同期コンビが9年間にわたってスターターを務めてきた両タックルだが、ついに世代交代のときが訪れたようだ。RTタウシャーが契約最終年の昨季12月にヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂してしまい、しかも今春FAとなったため、パッカーズは再契約を見送っている。リハビリ期間を考えると開幕からバリバリ働けるはずはなく、再契約するとしてもシーズンに入ってからの緊急補強ではないか。

タウシャーに代わる右タックルは今のところ、アレン・バーバーブレノ・ジャコミニ、4巡ルーキーのT.J.ラングの争い。今夏のトレーニングキャンプで最も注目されるポジション争いだ。足首の手術を受けたジャコミニはOTAやミニキャンプで練習できず、今のところバーバーが大量リードを奪っている。逆転するとすれば、ミニキャンプで光るものを見せていた新人のラングの方だろう、と見られている。昨季最後に右タックルを務めたダリン・カレッジだが、チームとしては今年は左ガードに専念させたい考え。

いっぽう左タックルではチャド・クリフトン(今年33歳)が慢性の両ヒザ痛に悩まされながらもプレーを続け、能力的に彼を脅かす選手は見当たらない。ドラフト上位で後継LTを指名するのでは、との見方もあったが、今年はディフェンス補強を優先。5巡指名ののジャマーン・メレディスではクリフトンの後継者になるのは難しいだろう。

この項では省略したが、クリフトンに次ぐ2番手LTはLGダリン・カレッジが務める。ロースター枠はOL全体で通常9人。ポジション兼任が多いので、タックルだけで何人と数えるのは難しい。バーバーとラングはガードの控えも兼ねられるので、下記の選手から5人が開幕ロースターに残るのではないか。クリフトン、バーバー、ラングまでは当確として、残る2つの席をジャコミニ、メレディス、モールの3人が争うことになりそう。

LT チャド・クリフトン  Chad Clifton

プロ10年目の33歳。テネシー大ではペイトン・マニングの背後を守り、2000年のドラフト2巡でパッカーズに入団。1年目の途中で先発に昇格し、それ以来不動のスターターを務めてきた。2007年シーズンにはプロボウルにも選出。左タックルとして理想的なサイズとアスレチック能力があり、特にパスプロテクションに優れる。ただ最近はヒザの問題のためシーズン中の練習を休まざるをえず、そのせいでプレーの精度が落ちることに首脳陣は苛立ちを見せ始めている。

RTタウシャー同様、チームとしては今年か来年あたり世代交代を図るタイミングだが、左タックルというポジションの希少性もあって後継者が見当たらない。今年が契約最終年だけに判断が難しいが、プレーぶりとヒザの回復ぶりを見きわめたうえで、シーズン中に短めの契約延長をするのではないか。今年は見送られたが、来春のドラフトで左タックルを上位指名する可能性はかなり高い。

RT アレン・バーバー  Allen Barbre

ディビジョンIIのミズーリ・サザン州立大から2007年の4巡指名で入団。大学時代は左タックル専門で、入団と同時に左ガードにコンバートされたが、ここまで2年間たっぷり伸び悩んだ。昨年のトレーニングキャンプでは先発左ガードの最有力候補と期待されたが、不安定なプレーぶりから首脳陣の信頼を失い、それを尻目にダリン・カレッジがスターターとして大きく成長してしまった。今春は初めて右タックルに挑戦。ジャコミニの出遅れもあって、ミニキャンプまでは常に1stチームに入っている。

問題はパッドを着けたトレーニングキャンプの練習、そして実戦でどうなるか。これまではブリッツやスタントへの対応が拙く、NFLの複雑なディフェンスに対応できない部分があったが、1on1の戦いだけならNFLでも十分やっていけるだけの馬力とアスレチック能力はある。首脳陣の口ぶりからは、ランブロックは強力だが、パスプロテクションがすこし心配、といった様子がうかがえる。

RT ブレノ・ジャコミニ Breno Giacomini

昨年のドラフト5巡指名でルイヴィル大から入団。6フィート7(201cm)はパッカーズ最高身長。イタリア系ブラジル移民の息子で、中学まではサッカーをやっていたらしい。ルイヴィル大ではQBブライアン・ブローム率いる強力オフェンスに右タックルとして貢献。フットワークなど技術的にかなり粗削りで、昨夏のキャンプではRGシットンと対照的に苦しんだが、かろうじてロースター入りを果たすと、シーズン中にはかなりの進歩を見せたらしい。

今年は先発RT争いが期待されたが、足首の手術のためOTAやミニキャンプで練習できず、今のところバーバーの後塵を拝している。オフに首脳陣が繰り返した期待コメントが本当なのかどうか、トレーニングキャンプでのプレーが注目される。

RT/RG T.J.ラング T.J. Lang

今年のドラフト4巡指名でイースタンミシガン大から入団。大学では連続先発36試合のうち最初の10試合が右タックル、その後は左タックルをプレーした。入団後は右タックルと右ガードを兼任している。タフでハードノーズな選手で、プルやトラップブロック、カットブロックなども器用にこなす。OTAやミニキャンプではセンスのよい動きを見せていて、うまくいけばRTバーバーに挑戦できるかもしれない。腕がやや短くスケールの大きさには欠け、将来はガードやセンターの方が向いている、とする見方も。

LT ジャマーン・メレディス Jamon Meredith

今年のドラフト5巡b指名でサウスカロライナ大から入団。理想的なサイズと高いアスレチック能力をフィールドで活かし切れず、上記ラングとは対照的なタイプ。口ばかり達者でモティベーションに問題がある、といったメンタル面を同大のコーチ陣に嫌われていたらしい。そうした部分はパッカーズ首脳もけっして評価していなかったが、5巡下位で残っているなら試す価値はある、と考えて指名したようだ。全体に線が細く、まずは体作り。OTAやミニキャンプでは目立った動きができておらず、1年目はプラクティス・スクワッドの可能性もある。

T/G トニー・モール  Tony Moll

ネヴァダ大から2006年のドラフト5巡指名で入団。大学時代は左タックルだったが、プロ入り後は主に右ガードと右タックルとして、時おり代役スターターを務めてきた。3年間で18試合に先発して、能力の限界がわかってしまった観がある。今年右タックルの先発争いに加えてもらえず、クリフトンの代役として1stチームの左タックルを務めているのはそのせいだろう。今夏よほどの成長を見せない限り、ロースター入りは難しいのではないか。

デーン・ランドルフ  Dane Randolph

メリーランド大出身のドラフト外ルーキー。身長6-5(195cm)、体重300ポンド(136kg)。ルーキー・ミニキャンプにトライアウト参加し、その後契約した。大学では右タックルをプレー。プロ・デイでは40ydsを4.9秒で走ったらしい。すでに昨年春に同大を卒業し、大学院に進んでいる。

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