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2009年5月31日

OTA Notebook: WRドライバーも新契約を求める

2009年5月30日

OTA Notebook: B.J.ラジは左DEオンリー

Organized Team Activities(OTA)のファン/メディア公開初日は、あいにく前日の雨でフィールドコンディションが悪いため、屋内練習場での練習となった。

2009年5月29日

3-4ディフェンスのポジション解説 2

Journal Sentinel紙による新旧ポジション解説の第2回。(想定スターター図解

左アウトサイドLB

旧 : ボブ・サンダース前DCの4-3ディフェンスでは、アーロン・キャンプマンが左ディフェンシブエンドを務め、主な役割はパスラッシュ。ときおりパスカバレッジに下がることもあった。

新 : 状況にもよるが、多くの場合、OLBキャンプマンはパスラッシュを求められることになるだろう。彼にとって慣れ親しんだ仕事であり、過去数シーズンにわたってリーグ最高のパスラッシャーの1人だった。パッカーズは彼のコンバートが可能な限りスムーズにできるよう努力するはず。それでもカバレッジに下がる場面がこれまでより増えるのは確実で、相手ディフェンスを読んでそれによって動く役割も増えるだろう。 

コメント : ドルフィンズで同じコンバート(逆サイドだが)を経験したジェイソン・テイラー。「パスカバレッジに下がって柔軟に動き回ることが、おそらく一番大変だろう。DEにセットして前に向かってQBやボールキャリアーを追いかけるのとは、かなり違う。常にボディバランスを保ち、ヒザを曲げて姿勢を低くし、それでいてパワフルにプレーしなければならないし、ゾーンにもドロップバックしなきゃいけない。不可能な仕事ではないけれど、1つの仕事を長くやっていた者には少々大変なことだ。僕にとっては全く新しいポジションだった」

右アウトサイドLB

旧 : ストロングサイドLBの役目は、ポイントオブアタックでブロッカーを受け止めること。パスプレーではタイトエンドをカバーする。

新 : 旧ポジションと同じ部分もあるが、以前よりもパスラッシュ機会が増えるのは間違いない。パスラッシュ以外の役割がどれほど多様なものになるのか、逆サイドのキャンプマンがどれだけ上手くパスカバレッジをこなせるかにもよる。 

コメント : 元スティーラーズのフルバックでESPN解説者のメリル・ホッジ。「我々の場合はグレッグ・ロイドが右アウトサイド、ケヴィン・グリーンが左アウトサイドだった。相手オフェンスがキャンプマン対策のプロテクションをしてきたら、右アウトサイドの選手がそれを判断して動けなければならない。もしそうなったら、ドム・ケイパースは彼をラッシュに送り込むだろう。これまでよりもブリッツの機会が増えるのは間違いないし、そのためのテクニックがある」

フリーセーフティ

旧 : ディフェンス最後の砦として深く守ることが多い。機を見てカバレッジに飛び込んでもよい。相手RBがこちらのLBを越えたらランサポート。

新 : ミドルLBに代わってディフェンスのクォーターバック役を務める。ディフェンス全員の呼吸が合うよう、全てのコールを行わなければならない。パスでもランでも個人的な役割は旧ディフェンスとさほど変わらないが、ディープに残ることがさらに増える。 

コメント : 元スティーラーズのFBメリル・ホッジ。「相手オフェンスがハドルを解いたとき、ディフェンスも相手の陣形をそれなりに予想してブリッツを組み立てている。しかしオフェンスはモーションしたりシフトしたり、いろいろと変えてくる。だから誰かがアジャストメントをしなければならないし、何が起きていてどんな変更が必要か、誰がブリッツに入るべきか、ディフェンス全体に知らせなければならない。非常に難しく、複雑な仕事だ。だからそういった仕事をこなせるインテリジェントなプレーヤーが後ろに必要だ。ハドルを解いた時点では 『なにがあろうと我々はこれをやる』 などとは言えないのだ」

ストロングセーフティ

旧 : エクストラ・ラインバッカーとしてボックスに加わり、カバレッジでもヘルプする。主にタイトエンド相手が多い。相手RBをオープンフィールドでしっかりタックルする技術が必要。

新 : スティーラーズのトロイ・ポラマルのように、ディフェンスのプレイメーカーの1人。ボックスの中心であるとともに、これまでよりもブリッツの機会が多くなりそう。予測に優れ、フロント7の失敗もカバーしなければならない。 

コメント : 元スティーラーズのFBメリル・ホッジ。「ボックスでの働きがよく、タイミングをよく見計らい、ディスガイズ(偽装)をたくみに行う。多くのことに長けていなければならない。ただカバレッジやタックルがよいだけではダメだ。ディスガイズが巧く、ブリッツが巧く、ポイントオブアタックでもプレーしなければならない。プレッシャーに関しても、おそらく最も重要な要素になるだろう」

コーナーバック

旧 : ボブ・サンダース前DCのスキームにおいて最も重要なカギの1つは、両コーナーバックのプレスカバレッジ能力だった。チャールズ・ウッドソンとアル・ハリスというリーグ屈指のコンビのおかげで、ラン守備に多くの人員を割くことができていた。

新 : ケイパース新DCも多少のプレスカバレッジは残すはずだが、基本的なカバレッジでは、相手レシーバーから5yds離れたところからプレーがスタートする。マンもゾーンも、そこから始まる。両CBはこれまでよりも相手QBを読まなければならず、タイミングがより重要になる。 

コメント : 元スティーラーズのFBメリル・ホッジ。「プレッシャーがどこから来るかを彼らは理解していなければならない。だからテープをよく勉強して理解しておくことが非常に重要になる。こちらがどこからブリッツするか? 相手はどのホットレシーバーに投げてくる? プレッシャー下で相手はどうしてくる? 相手はどんなルートを走ってくる? そうしたこと全てが非常に重要だ。このスキームでは、こちらのプレッシャーがどこから来るか、相手はそのプレッシャーにどう対処するか理解していれば、優秀なコーナーバックになることができる」

2009年5月28日

3-4ディフェンスのポジション解説 1

Journal Sentinel紙のグレッグ・ベダード記者が、ボブ・サンダース前DC時代のディフェンスと今年の4-3ディフェンスでの各ポジションの役割の変化について、コーチや解説者から取材した内容をまとめているので、数回に分けて紹介する。(想定スターター図解

ノーズタックル

旧 : 2人のディフェンシブタックルが相手センターと両ガードを引き受けた。主な役割は、ブロッカーを受け止めて後ろのラインバッカーたちにタックルをさせること。パスラッシュは、プレッシャーがかかればもうけもの、といった程度の期待。

新 : ノーズタックル1人だけとなる。毎プレーで2人のOLを相手にしなければならないため、ディフェンス最強の人間でなければならない。もし彼が失敗すれば、センターかガードが易々と前に踏み込んでインサイドLBを料理してしまうことになる。 

コメント : 元DTギルバート・ブラウン。「旧スキームと比べてタックルを決める機会が少なくなるだろう。試合を通して激しく当たられ続けることになる。LBたちが自由に動けるよう、自分は必ず持ちこたえなければならない。それが最重要課題だ。押し出されてはいけない。姿勢を低く。これまでと変わらない部分もあるが、そうでない部分も多い。ヘルプはなく、重荷を軽くしてくれる仲間はいない。(両DEと離れて)孤島に取り残され、そこへ三隻の敵艦が向かってくる」

ディフェンシブエンド

旧 : 非常にシンプル。パスプレーではパスラッシュの主役を担い、サックの量産を期待されていた。ランプレーではエッジを固める。

新 : むしろ働きバチ。ラン守備ではブロッカーを引き受け、パス守備でもブリッツァーのためにブロッカーを引き受ける。サックはあまり求められていない。DEがいないギャップは、ブリッツに入るLBやSが埋めてプレッシャーを生み出す。DEの役割はむしろ旧スキームのDTの仕事に近い。 

コメント : スティーラーズGMのケヴィン・コルバート。「とても非利己的なポジションだ。カレッジでもプロでも、彼らはQBを追うことに慣れている。それがゴールなのだ。ところがこのスキームでは、数試合に一度しかサックは決められないかもしれない。そのことになかなか順応できない選手もいるものだ。しかし彼らはこのディフェンスにとって非常に重要だ。彼らがラインを持ちこたえてくれる必要がある」

インサイドラインバッカー

旧 : ミドルLBは1人であり、ニック・バーネットがプレイメイカーとなるように旧スキームは設計されていた。2人のDTに守られたミドルLBが、サイドラインからサイドラインまで走り回ってタックルを決める。

新 : ウィークサイドLBだったA.J.ホークがストロングサイドのインサイドLBとなり、バーネットがウィークサイドのインサイドLB。つまり、これまでとは逆転した形になる。ホークは以前のミドルLB的にラン守備にアタックする傾向が強くなり、バーネットはパスカバレッジでの役割が増える。 

コメント : かつてパッカーズで3-4と4-3の両方を経験した元LBブライアン・ノーブル。「4-3のときは大型DTたちに守られて自由に飛び回ることができたが、3-4では自分たちもブロッカーにさらされることになる。3-4では相手OLたちがこちらを押し込み、コンボ・ブロッキングもしてくる。そんな中を、LBはただ受け止めるだけでなく、かいくぐってタックルを決めなきゃいけない。私からすると、それが一番大変だと思う。これまでは、相手OLがこちらのミドルLBを捕まえに来たらそれは誰かがしくじった、ということだった。今度はそういった相手からセパレートしてタックルを決める術を身につけなきゃいけない」

2009年5月20日

ファーヴ騒動2009: すべては彼の「肩」に

jason hunterこのところ大きな動きはないものの、諸情報から、肩さえ問題なければヴァイキングスで現役復帰したいとファーヴが考えていることは、もはや疑いようがない。今週月曜にはヴァイキングスの地元Pioneer Press紙が「今週中に手術の予定」と報じたが、火曜にはESPNが「本人は今すぐの手術は考えていない」と否定したところ。

    前回までのあらすじは9日の記事へ
5月 11日 地元のおなじみオーク・グローヴ高校で軽く肩を試した(昨夏のような本格練習ではない)。10球投げただけで肩が痛んだとファーヴが代理人に話した、とESPN。
  12日 マイク・ホルムグレンが、来年には現場に復帰したいと表明。愛弟子ファーヴについては、「3月に家族でディズニー・ワールドに行ったときに彼の一家とばったり会った。そのとき話した感触では、もうプレーする気はないのだと感じた。(引退を選んだのが正しいと)確信しているようだった。私は彼に、『我々は"最後の対戦"を3回もやったのだから、次が絶対にないとは言えないだろう』 と言ったが、彼は本気のようだった。そのことに私は少し驚いた。ただ、彼がなにをしようと驚くべきじゃない」
  14日 Star Tribune紙によると、ファーヴはジェッツ引退以来、ヴァイキングスのダレル・ビーヴェルOCと連絡を取り合っている、とのこと。ビーヴェルはパッカーズのQBコーチだった。
  14日 ファーヴがスポーツ外科の権威、ジェームズ・アンドリューズの診察を受けた、とのESPN情報。大きな手術が必要であれば復帰を諦める、手術不要ならば復帰、軽い手術が必要であればファーヴの気分しだい、といったところか。
  17日 代理人バス・クックがHattiesburg American紙の取材に、「全ては憶測にすぎない」と復帰の噂を否定。「来週になれば彼は 『また仕事がしたい』 と言い出すかもしれない。しかし現時点では彼は引退している」
  18日 St. Paul Pioneer Press紙が手術の予定を報じる。「ファーヴは先週はDr.アンドリューズの診察を受けに行かなかったが、明日19日に診察を受け、今週後半に手術の予定」
  19日 ファーヴは今すぐ手術を受けることは考えていないとして、上記の地元紙報道をESPNが否定。手術以外の選択肢を先週Dr.アンドリューズと相談したとのこと。(直接会ったのか電話相談なのかはっきりしない)

2009年5月18日

LSブレット・グード

ロングスナッパーのブレット・グードは昨季開幕直前に入団し、ほとんどミスのないシーズンを過ごした。ライバルとなるはずのJ.J.ジャンセン(昨季インジャリーリザーブ)が先日パンサーズにトレードされたので、今夏はポジション争いをしなくていい。「僕への信頼の表れだと思う。でも同時に、チームの判断が正しかったことを僕は証明しなきゃいけない。この業界ではパフォーマンスが全てだ。ライバルがいま球団にいなくても、この仕事を守るためには毎日自分をプッシュしなければだめなんだ」

彼はアーカンソー大から2007年のドラフト外でジャガーズに入団したが開幕ロースターには残れず、昨年は早くも6月半ばに解雇されてしまい、どこのトレーニングキャンプにも参加できなかった。「故郷アーカンソーへと向かうロング・ドライブの間、いろいろ考えさせられたよ。どうしてもNFLを諦めたくなかった。家に帰り、働き始めた。当座をしのぐための金を稼ぎながら、できればトライアウトのチャンスを待ちたいと思った」。 グードは父の建設会社で働いた。そうすれば、半日働いて、あとの半日はフットボールのトレーニングに充てられたからだ。そうした暮らしを続けながら、代理人からトライアウトの連絡を待ち続けた。

8月29日金曜日、初めての電話がパッカーズからかかってきた。正ロングスナッパーに決まっていた新人J.J. ジャンセンが前日のプレシーズン最終戦でヒザを負傷してしまい、急きょ3人の選手を集めてトライアウトを行うことになったのだ。灼熱の日差しの下で車庫の工事をしていた彼は飛行機に飛び乗り、グリーンベイに着いたのは土曜深夜のこと。翌日曜には約2年ぶりのフルパッド練習でロングスナップを行い、みごと開幕スターターの座をつかみ取った。

そしてNFL初出場が全米放送のマンデーナイトゲームとなった。「チャンスをものにできて素晴らしい気分だった。そのうえ、初めてのゲームがマンデーナイトだからね。ただ、どんな試合であろうとパンターやホルダーの位置が変わるわけじゃない。雰囲気は変わるかもしれないが、僕がスナップする相手は同じ場所。そのことに助けられた」

シーズン唯一の汚点は第2週ライオンズ戦でセーフティとなったプレーだが、これとてスナップはパンターの顔の高さに飛んでおり、むしろPデリック・フロストのキャッチミスだろう。「シーズンを通して1つか2つ、タイミングを崩して正しいテクニックでスナップできなかったプレーがあった。素人目には、悪いスナップとはパンターの頭を越したりワンバウンドしたり、というヤツだけだろう。でも僕としては、スパイラル等を含めてさらに正確性を追求したい。今はそれに取り組んでいる」

第14週テキサンズ戦ではファンブルリカバリーを記録。第16週ベアーズ戦では、完璧なスナップをQBフリンに送ってフェイクパントを成功させた。ただしカバレッジチームのタックラーとしては、12年間で通算57タックルを記録した前任者のロブ・デイヴィスと比べてまだ線が細く、物足りない。今オフはパワーもスピードも向上させたいと本人は語っている。

2009年5月15日

Notebook: タウシャーはキャンプ開幕に自信

2009年5月14日

RTタウシャーの復帰は早くて10月半ばか

パッカーズ・テイルゲート・ツアーに参加しているマーク・マーフィ社長が、RTマーク・タウシャーがフィールドに復帰できるのは早くて10月半ばだろう、というチームドクターの診断を明らかにした。今春はフリーエージェントとなっているRTタウシャーだが、昨年12月に前十字靭帯(ACL)を断裂したため、これまでのところ興味を示すチームはなく、パッカーズのトンプソンGMも「ケガが治ってから判断」とコメントしている。

マーフィ社長。「彼は昨年、ひどいケガをした。彼がヒザの手術を受けるのは(2002年に続いて)二度目だ。彼は来季の契約がない状況にあり、我々としてはヒザのリハビリが進むのを待っているところだ。契約は、リハビリがどれだけ早く進むかにかかっている。しかし彼は素晴らしい選手だし、これまでオフェンシブラインに常によい影響を与えてきた。ドクターの診断よりも早く復帰できることを我々は願っている」

ドラフトで2人OTを指名したことで、「タウシャー再契約の可能性は消えた」という見方が広がる一方で、関係筋は「復帰へのドアは完全には閉じていない。後継RT候補の若手たちがもしだらしなければ、1年契約での復帰もありうる」と話している。

2009年5月13日

FSコリンズ: 「契約問題が理由じゃない」

月曜から始まった第4回パッカーズ・テイルゲート・ツアー。今回はマーフィ社長とFSコリンズ、LBポピンガ、WRネルソンなどが参加し、大型バスで4日間をかけてウィスコンシン各地を回っていく(ブログ写真1写真2写真3)。なかでも注目は、契約問題からオフシーズンプログラムの多くを欠席、と報じられているFSコリンズ。しかし記者がその件について尋ねると、契約延長を求めていることが欠席の理由ではない、と本人は強調した。

「家族の問題だ。詳しいことは言いたくないが、問題はそちらなんだ。みなさん契約問題だと書いているけれど、契約のことが問題になったことはないし、口にしたこともない。僕が対処しなければならない家族の問題があるんだ」とFSコリンズ。その「問題」とは先日子供が生まれたこととも関係ないとのこと。今月26日に始まるOrganized Team Activities(OTA)への出席については明言を避けた。「できれば出たい。ただ、さっき言ったように家族の問題がある。コーチたちとは話し合っている」

家庭の事情を強調するコリンズだが、先日マッカーシーHCが「ビジネス上の問題」と理解を示したこととは矛盾していて(5日の記事参照)、表面上はいい子ぶっているだけではないか、という見方が少なくない。初プロボウル出場を果たした彼が、契約延長を望んでいるのは疑いようがないからだ。Press-Gazette紙は、「契約延長を望んでいるというメッセージを球団に伝えつつ、甲高い声で要求はしない、頭のいいやり方」と評している。

なお、FSコリンズはルーキー契約時のエスカレーター条項を満たしたため、今年のサラリーは$3.045ミリオン。セーフティとしてはけっこうな額で、昨年のRBライアン・グラント(や今年のCBトラモン・ウィリアムズ)のように、ホールドアウトに持ち込むほど動機は強くないはず。

いっぽう、新ディフェンスについてFSニック・コリンズは、すでにコーチ全員とミーティングをしていて、ディフェンスのクォーターバック的役割を引き受ける準備はできている、と自信を示している。「セーフティなら誰もがやってみたい、と望むようなスキームだからね。あとは僕ら選手たちがプレーブックをよく消化し、全員の呼吸が合うようにコミュニケーションの取り方を学ぶことだ」

2009年5月12日

B.J.ラジの人となり

ドラフト候補は人柄や素行に関しても詳しく調べられるが、1巡候補ともなればなおさらだ。B.J.ラジの場合、人間性そのものは「なかなかいいヤツ」と定評があるものの、学業問題で2007年シーズンを棒に振ったことが注目された。スカウティング・コンバインでの個別面談でも、各球団から質問が浴びせかけられる。こいつは怠け者なのか? 正直に話すのか? 責任逃れするのか? ときにはソフトに、ときには容赦なく詰問調で。15分間の面談を18球団と行ったため、パッカーズのアプローチがどのようなものだったか覚えていない、とラジは笑う。

2007年シーズンに出場できなかった実情は以下のようなもので、一部はボストン・カレッジ当局にも責任がある。学業が遅れていたラジは、春から夏にかけてこれだけ授業に出て合格しないと来季出場できないぞ、と学生部長から説明を受けた。指示どおりに履修し、いよいよ2007年シーズンが開幕しようとしたとき、体育局が履修単位が足りないことに気づいた。学生部長が履修単位を計算ミスしていたのだ。ジェフ・ジャゴジンスキーHCからその話を聞かされたとき、ラジは両親の肩に泣き崩れた。

しかし責任がラジにもあるのは事実だ。2008年ドラフトにアーリーエントリーするつもりだったラジは、2006年度の勉強をなおざりにしてしまっていたからだ。「そもそも僕がそんな状況に陥らなければ、あのような事態にはならなかった。ただ同時に、回復不能なほど学業が遅れていたわけじゃない。学生部長と話し合って対策を検討したのに、その学生部長が単位を計算ミスしていた」

もう1つはマリファナ問題。合衆国では一般に、マリファナであれば学生時代に一度か二度経験する程度なら大目に見られる傾向がある。ただし、「二度も捕まるようなヤツはプロでも問題を起こしかねない」 「2月のコンバインで検査があるのがわかっていて吸うようなバカでは困る」というのがNFL関係者の考え方。さいわい、「コンバインで陽性反応」という報道は誤報と判明したため、今のところこちらを懸念する声はほとんどない。

ラジの両親はどちらもペンテコステ派の牧師をしている。比較的保守的かつ厳格な宗派だ。しかし、「もっと聖書を読め」と両親から叱られることはあるものの、ラジの非宗教的な生き方そのものを批判することはないという。「僕が大人だということを両親は理解してくれてる」

さすがに大学の検査でマリファナ陽性が出たときはそうもいかなかったが、息子を非難するというより、「私たちの育て方のどこが悪かったのだろう」と嘆くような感じだったらしい。「僕は言ったんだ。『どう説明すればいいかわからない。正しいことじゃないのはわかってるけど、大学での冒険(経験してみたかっただけ)のようなものなんだ。父さんや母さんが間違ってたんじゃない。僕自身の過ちだ』 ってね。もう過去のことだし、今後の人生では決して起きることはないと」

2009年5月10日

Packers' Draft Consequences

既存の選手たちから見たドラフトの結果をポジションごとにまとめてみる。

ケツに火がついた人たち

ホッとした人たち

2009年5月 9日

ファーヴ騒動 2009春

jason hunterファーヴがヴァイキングス側に「復帰はしない」と伝えたことで、一応の区切りを迎えた今年のファーヴ騒動。昨年も最終的な復帰決意までさんざん紆余曲折があったことを考えると(時系列リスト)、これで完全に引退と素直に信じるわけにもいかないし、ヴァイキングス相手に優位に立つための戦術、という可能性も残っている。しかしちょうどニュースもないことなので、ここまでのあらすじを整理してみる。

追記 : ESPNの最新報道では、「ファーヴは肩のX線写真をヴァイキングスに検討してもらっている最中で、もし軽い手術で済む程度ならヴァイキングスで現役復帰」とのこと。これが本当であれば「一応の区切り」どころではない。

2月 11日 引退を表明。今年は引退会見を行わなかった。
  16日 Sports Illustrated誌のピーター・キングのインタビューで本人。「オフシーズンにはまたプレーしたいという衝動にかられるとは思うが、ジェッツを困難な立場に追い込みたくない」
4月 28日 "reserve-reired list"に入っていた彼をジェッツが解雇。ジェッツはドラフト1巡5位でQBマーク・サンチェスを指名したため、ファーヴの保有権を手放した。これで彼は好きな球団と契約できる自由の身となり、今年のファーヴ騒動が幕を開けた。
  29日 本人が声明を発表し、「なにも変わってはいない。いまの時点で僕は引退しているし、フットボールに復帰する意図はまったく持っていない」と説明。「いまの時点で」がついているため、事態沈静化の役にはまったく立たず。だいいち、復帰の意図がまったくないなら、なぜしつこく解雇を求めるのか。
  ファーヴ陣営は数週間前からジェッツに解雇を求めていた、と関係者がコメント。
  代理人バス・クック、ジェッツGMマイク・タネンバウムも、「本人に復帰の意図はない」 
  30日 ファーヴの自宅のあるハティスバーグからミネアポリスに飛んだプライベートジェット機があり、ちょっとした騒ぎに。のちにターゲット社の重役のものだと判明。
5月 1日 ファーヴが個人トレーナーを雇った、との噂をミネソタのPioneer Press紙が報じる。(情報の確度は低いと見られ、トレーナーの有無は依然として不明のまま)
  ヴァイキングスのブラッド・チルドレスHCが、「我々はまだ(獲得の可能性について)話し合っていないが、いずれ話し合うことになるだろう」と発言。ドラフトでQBを指名しなかったこともあり、ヴァイキングスも乗り気なのではないか、という憶測が始まる。
  2日 New York Daily News紙が関係筋の話を紹介。「ファーヴはグリーンベイに我慢がならず、グリーンベイと対戦したがっている。そうした敵意が動機となっている。彼はミネソタに連絡を取っているところだと思う。いまこのときもヴァイキングスでは議論が行われているはずだ」 (Journal Sentinel紙のグレッグ・ベダード記者は、「私もシニアボウルのときにジェッツ関係者からまったく同じ話を聞いた」とブログに書いている)
  ヴァイキングスのオーナー、ジギ・ウルフはファーヴ獲得の可能性について、「ノーコメント」。 2月には「15年前ならともかく、今はまったく興味はない」と強く否定していただけに、事実上かなり前向きの変化。騒動に拍車をかけた。
  4日 ESPNの解説者を務める元QBトレント・ディルファーが、復帰するのかと本人に聞くと、携帯メールで「No」と返事。
  5日 ファーヴの夫人ディアナが午前中をグリーンベイで過ごし、昼前にハティスバーグへと発つ。パッカーズ関係者と会った形跡はなく(マーフィ社長は出張中)、ファーヴ騒動とは関係なさそう。ビジネス関係(たとえば不動産の売却)か友人関係かチャリティ関係か。
  先発の座を奪われることになるQBセイジ・ローゼンフェルズ。「この世界ではなにがあっても驚かない。これまでどおり、自分のすべきことをするだけだ。イラつくのは自分のためにならない」
  6日 「ちかくファーヴとチルドレスHCが会う」とESPNが報じ、いよいよ大騒ぎに。復帰の準備を助けてくれるフリーのQBコーチを代理人バス・クックが探している、との情報も。
  代理人バス・クックは、「どこから出た話か知らないが、私の知るかぎり、ブレットは気持ちを変えてはいない。まず真っ先に彼自身が 『バス、僕はまたプレーしたい』 と言ってこなければならないが、それはまだ起きていない」と否定。しかしもはや誰も信じない。 後から考えると、実はこれが真相に近く、両者の会談についてはヴァイキングス側が先走りしていたのかも。
  チルドレスHCは今日ミシシッピに向かい、今日と明日ファーヴと話し合う、とStar-Tribune紙が報じる。
  関係筋がStar-Tribune紙にコメント。 「上腕の腱の簡単な手術について、ファーヴと合意するのは難しくないだろう。回復期間は短く、トレーニングキャンプ開幕に間に合う」
  事実上入団は決まりではないか、との雰囲気のなか、「ヴァイキングス内でも意見が割れていて、ファーヴ獲得は確定ではない」とFox Sportsのジェイ・グレイザーが報じる。
  QBカート・ワーナー。「(現役/引退を決めるのに)シーズンが終わって数ヶ月かかる選手もいるが、チームの都合から、早く決断を迫られることもある。幸い自分の場合はシーズンが終わってからさほど時間がかからなかった」
  ヴァイキングスからセインツに移った元同僚のSダレン・シャーパー。「予想はできないが、ファーヴとヴァイキングスはぴったりフィットすると思う。自分もヴァイキングス入りしたときにはウィスコンシンのファンから叩かれた」
  「今夜はチルドレスHCはミシシッピに行かない」とのヴァイキングス首脳の発言をNFL Networkが報じる。
  ハティスバーグ空港で張り込むメディアはチルドレスHCの姿を見つけられず。別ルートで隠密にハティスバーグ入りか?との憶測も。
  7日 朝7時ごろ、ヴァイキングス本部付近でチルドレスHCの姿が目撃される。(動画付きの記事
  Yahoo! Sportsがヴァイキング関係筋からの話を速報。前日ファーヴからチルドレスHCに電話があり、「引退したままでいたい、近いうちに公に説明する」とのこと。
追記 8日 ESPNの最新報道では、右肩の手術が必要かどうか、ファーヴからヴァイキングスにX線写真が送られていて、ヴァイキングス側で検討をしている最中とのこと。大きな手術が必要であれば引退続行、軽めの手術でよいならばヴァイキングスでプレーする、と関係筋は語っている。
追記 代理人バス・クックはESPNの取材に対し、自分はX線写真の件は知らない、とのこと。

2009年5月 6日

4選手と契約 OLBハンターを解雇

jason hunterパッカーズは先日トライアウト扱いでルーキー・ミニキャンプに参加していた下表の4選手と契約し、OLBジェイソン・ハンターを解雇した。前日の時点でロースター枠が77人だったため、80人枠に収めるために1人が犠牲となった。ハンターは2006年のドラフト外でアパラチアン州立大から入団、主にスペシャルチーマーとして働いてきた。2007年にはスペシャルチーム最多の25タックルを挙げたものの、昨季はケガがちで十分に働けず、さらに3-4向きの新人たちが入ってきたために押し出される形となった。

新加入のPアダム・グレースルは、2007年にピッツバーグ大を出た後どことも契約しておらず、これが初めてのNFL契約。キッキング専門コーチについて技術を磨いてきた甲斐あって、先月のワークアウトでは、平均58yds、ハングタイム4.9秒(代理人の話)という素晴らしいキック力でスローカム新STコーチにアピールした。あとは安定性がどうか、ということで今回ルーキー・ミニキャンプに誘われ、合格点となったらしい。

すでにジェレミー・カピノス、デュラント・ブルックスがいるパンター陣にさらに1人加えて珍しい3人体制としたのは、パンター強化に必死である表れだろう。2人のパンターでトレーニングキャンプを迎えるつもり、とマッカーシーHCは語っているので、OTAの間に1人が脱落することになる。

Rookie Free Agents
Pos. Name College ht. wt. 40走 備考
OT Dane Randolph Maryland 6-5 300 5.15 右タックル
DE/NT Dean Muhtadi Maryland 6-3 295 5.15 大学でもDT/DE兼任 「ムターディ」と読むらしい
CB Trevor Ford Troy 6-0 188 4.45 フロリダ州立大から転校
P Adam Graessle Pittsburgh 6-4 232 - パンターにしてはすごいガタイ

2009年5月 5日

Notebook: 先発NTはライアン・ピケット

2009年5月 3日

ルーキー・ミニキャンプ始まる

金曜に始まったルーキー・ミニキャンプには、先日ドラフト指名された8選手、ドラフト外11選手(リスト)、それ以外にもトライアウト扱いの21人(リスト)、さらに昨季プラクティス・スクワッドにいた選手たちも参加している。

11人のドラフト外ルーキーと契約

パッカーズはドラフト外11選手との契約を発表した。ドラフトではディフェンス主体だったため、こちらははオフェンスのスキルポジション中心となっている。

2009 Packers Rookie Free Agents
Pos. Name College ht. wt. 40走 備考
RB Tyrell Sutton Northwestern 5-8 213 4.68 5球団で競合 小兵でずんぐり
WR Patrick Williams Colorado 6-1 204 4.49 フルタイムの先発ではなかった
WR Jamarko Simmons Western Michigan 6-2 231 4.50 自称ジェニングスの弟分 TEのようなガタイ
WR Kole Heckendorf North Dakota State 6-2 191 4.49 同大レシービング記録作る ウィスコンシン州モシニー出身
WR JaRon Harris South Dakota State 6-0 193 4.46 リターンスペシャリスト
TE Carson Butler Michigan 6-4 255 4.72 昨年だけDEをプレーしたがTEに戻る
TE Travis Dekker Air Force 6-4 256 4.87 珍しい空軍士官学校 ブロッキングTE
G/T Andy Hartline Central Michigan 6-5 297 5.25 52戦連続先発 カンファレンス1stチーム
C Evan Dietrich-Smith Idaho State 6-2 297 5.13 LGやRT経験もある器用な選手
DE Ronald Talley Delaware 6-3 282 5.00 ノートルダム大から転校
OLB Cyril Obiozor Texas A&M 6-4 267 4.75 大学ではDE、パッカーズではOLB 

トライアウト参加者リスト

未契約ながらトライアウトとして今週末のルーキー・ミニキャンプに参加する選手は以下のとおり。名前の色が白いのは、まったくのルーキーでなく「1年目」の選手。

Invited to Minicamp as Try-out
Pos. Name College ht. wt. 40走 備考
QB Brian Johnson Utah 6-0 205 4.88 ユタ大の無敗シーズンに貢献
QB David Johnson Tulsa 6-1 219 4.94 昨季4059yds、46TD
RB Darrell Blackman North Carolina State 5-10 220 4.40 優秀なリターナー
TE Branden Ledbetter Western Michigan 6-5 250 4.77 これもWRジェニングスの後輩
OT Tyler Booth Youngstown State 6-5 312 5.19 LTのほかにRTとLG経験あり
OT Dane Randolph Maryland 6-5 299 5.15 右タックル
OG Lawrence Lovell Stony Brook 6-3 295    
C Scott Witte UW-River Falls 6-5 328   地元ウィスコンシン大リヴァーフォールズ校
C Ryan Shuman Virginia Tech 6-3 289 5.17  
DE Rhyan Anderson New Mexico State 6-4 283 4.61 ミルウォーキー近郊の出身
DE Dean Muhtadi Maryland 6-5 305 5.15 上記OTランドルフのチームメイト
OLB Michael Bibbs Iowa State 6-1 241   アーカンソー大を辞め短大経由でアイオワ州立
LB Ezra Butler Nevada 6-2 248    
ILB Jon Copper Virginia 6-0 230    
LB Maurice Davis Tennessee State 6-2 245    
CB Trevor Ford Troy 5-11 186 4.45 フロリダ州立大から転校
CB Sam Pope Hampton 6-0 190    
S Bret Lockett UCLA 6-1 210    
S Louis Gachette South Florida 6-3 215    
P Adam Graessle Pittsburgh 6-4 225    
P Chris Keagle Louisiana Tech 6-0 240    

2009年5月 2日

Notebook: 1巡指名コンビの入団会見

2009年5月 1日

Draft Notebook 8: OLB Brad Jones

  • 今年最後の7巡指名は7巡コロラド大のOLBブラッド・ジョーンズ。身長6フィート3、232ポンド。ひょろりとした体型だが4.5秒台の素晴らしいスピードを持っている。この3年間で36試合に先発出場して欠場ゼロ。昨季は78タックル、7サック、14ロスタックルという見事な成績で大学生活を締めくくった。
  • これでパッカーズのLB陣は総勢12名。熾烈なロースター争いを勝ち残るには、スペシャルチームでの貢献も重要になりそうだ。LBを数多く抱えることはすなわちスペシャルチームの強化にもなる、というのが3-4ディフェンスを導入する上でのマッカーシーHCの考え。
  • ヴァーサタイルなところが自分の取り柄だと思う。(実質DEのように)3ポイントスタンスからパスラッシュもしたし、タイトエンドをマンカバーしてセーフティのようにドロップバックすることもあった。彼らのスキームにすごくフィットする、とパッカーズは判断したんだろうと思う。僕が大学でプレーしたのと基本的に同じ役割を求められることになるだろう」
  • テッド・トンプソンGM。「ブラッド・ジョーンズは非常に興味深いプレーヤーだ。この1ヶ月ほど、我々は彼のテープをたくさん見たが、見れば見るほど気に入った。彼はあらゆるポジションにラインナップする。手をついてパスラッシャーとしてラインナップするし、インサイドラインバッカーの位置からラッシュすることもある。すごくよく走れてカバレッジの能力があるし、パスラッシャーとしても優れた実績がある。クレイ・マシューズとよく似たプレーをする。7巡で獲れるならありがたいと我々は思った」
  • ドラフトされなかった場合でも、ドラフト外でパッカーズと契約する予定だったらしい。
  • 経済学の学位を取って昨年12月にすでに卒業している。ヴィオラも弾く。
  • 父ドンはかつてインディアナ大でおなじくLBをプレー。兄プレストンはアリゾナ州立大で控えRBだった。
  • Draft Notebook 7: CB Brandon Underwood

    Draft Notebook 6: DE Jarius Wynn