過去の記事 2009年2月 全文表示  (リスト表示はこちら

2009年2月28日

RFA各選手へのテンダー決まる

FA解禁前日の26日、パッカーズから制限付きフリーエージェント(RFA)となる7選手の扱いが決まった。予想されていたとおり、先発SSアタリ・ビグビーだけは$1.545ミリオンのいわゆる「2巡テンダー」がオファーされ、それ以外は$1.01ミリオンの最低テンダー。

RFA予定だった下表の7選手のうち、WRショーン・ボディフォードにオファーしなかったのは予想どおりだが、TEトリー・ハンフリーにもオファーしなかったのが軽いサプライズ。2人は即無制限フリーエージェント(UFA)となる。TEハンフリーの代理人によると、パッカーズはオファーしなかったものの再契約は望んでいて、現在交渉中とのこと。RFA選手へのテンダー額は毎年増額されてついに$1ミリオンを突破してしまったので、4年目選手の最低額$535,000ドルとの差額を惜しんだのだろう。 

Packers 2009 Restricted Free Agents
Name Pos Age Tender 備考
Atari Bigby S 27 $1.545ミリオンの2巡クラス スターターなので当然
Ruvell Martin WR 26 $1.01ミリオンの最低額 他から誘いがかかる可能性も
John Kuhn FB 26 $1.01ミリオンの最低額 いまどきFBの需要そのものが小さい
Jason Hunter DE 25 $1.01ミリオンの最低額 今年は3-4のOLBに挑戦予定
Jarrett Bush CB 24 $1.01ミリオンの最低額 いいかげん見切ったらどうか、との声も
Tory Humphrey TE 26 オファーされず 安価で再契約交渉中
Shaun Bodiford WR 26 オファーされず 3年のうち2年はインジャリーリザーブ

2009年2月27日

Notebook: キャップの空きはNFL7位か

2009年2月26日

シーズン総括と展望 CB編

アル・ハリスが脾臓損傷のため4試合欠場し、その間にトラモン・ウィリアムズがまずまずの働きで穴を埋めた。チャールズ・ウッドソンが7INT(3TD)、ウィリアムズも5INTを挙げ、FSニック・コリンズの7INTを含めてDB陣でターンオーバーを量産。シーズン後半にパス守備の成績が悪化したのは、彼らよりもプレッシャーをかけられないフロントラインの責任といっていいだろう。

現在のプレー内容よりも、ウッドソン32歳、ハリス34歳という年齢が最大の問題。ウッドソンは円熟のプレー内容で5回目のプロボウルに選ばれ(欠場)、アル・ハリスも安定したプレーを見せ、(ウッドソンらの欠場により)繰り上げで二度目のプロボウル出場を果たした。ウィリアムズはいちおう一人前になったものの、4番手のウィル・ブラックモンは伸び悩み、2巡ルーキーのパット・リーは出番を勝ち取ることさえできず5番手どまり。ベテランコンビが今年急に衰える心配はしなくてよいかもしれないが、世代交代の準備ができたとはとても言えない。

これまではNFLでも最もマンカバレッジを多用してきたパッカーズだが、3-4ディフェンスへの移行にともない、ゾーンカバレッジがかなり増えるものと予想されている。万能のウッドソンはむしろ向いていそうだが、プレスカバレッジ職人のハリスは、ゾーンでは存在価値がなくなってしまう。経験豊富なケイパース新DCのこと、彼らのよさを殺さないスキームを工夫してくれると期待したい。

プレミア・ポジションだけに若い一流CBがFA市場に出てくるはずもなく、補強するならやはりドラフトだろう。重要度としてはOLBやNTの次といったところか。1巡指名を予想するモック・ドラフトも一部にはある。

チャールズ・ウッドソン  Charles Woodson

ミシガン大ではディフェンス選手として史上初のハイズマン賞。1998年のドラフト1巡4位でレイダーズに入団し、すぐにプロボウルの常連となった。ケガ続きで評価の落ちた2006年にパッカーズにFA移籍し、ハリスと強力なベテランコンビを形成している。QBの意図を読んでパスコースに飛び込む嗅覚と技術が素晴らしく、移籍後3年間で19INTを量産している。密着カバレッジ専門のハリスと比べると、全般的なフットボールセンスの良さを活かした役割が多く、ニッケルバックの位置からブリッツに入ることも多い(3サック)。

2008年は開幕戦でつま先の骨にひびが入り、毎週ろくに練習できないまま16試合頑張り通した。終盤はチーム事情からセーフティをやらされたが、来季はCB専業に戻るようだ。本来は一匹狼タイプだが、最近は若手DBたちの師匠格としてリーダーシップも発揮している。移籍後2年間務めたパントリターナーの仕事は、完全にブラックモンに譲っている。

アル・ハリス  Al Harris

ディビジョンIIのテキサスA&Mキングズヴィル校から1997年のドラフト6巡でバッカニアーズに入団、解雇されてイーグルスで実質的なキャリアをスタート。地道な努力で一歩ずつ階段を上り、いまや2年連続のプロボウラーとなった。細身ながら芯が強く、強力なバンプで相手WRのルートを狂わせ、キャッチ間際に手を出す技術も見事なもの。ウッドソンと比べてINTが少なく、しつこく接触するために反則が多いのが玉にキズ。しかしウッドソンのインターセプトがGB移籍後に急増したのは、ハリスのカバレッジがよいためにウッドソン側にパスが行くためだ。

昨年は第3週に脾臓を損傷しながらわずか4試合しか欠場せずにすみ、復帰後のプレーは、最終戦を除き非常によかった。34歳となっても衰えを見せず、「あと8年やりたい」と希望しているが、問題はゾーンカバレッジでどれだけのプレーができるか。今年のプレー内容によっては、パッカーズ最後の年になってもおかしくはない。

トラモン・ウィリアムズ  Tramon Williams

ルイジアナ工科大から2006年のドラフト外で入団し、2年目には多くのライバルを退けてロースター入りを果たした。2007年シーズンから2008年にかけてさらに成長を見せ、両ベテランに次ぐ3番手CB/ニッケルバックの座をしっかり確保。相手が両ベテランを避けてくるのでターゲットになることが最も多く(チーム最多の90回)、よいプレーと悪いプレーの波がやや大きかった。スピードがあり、ボールスキルに優れ、失敗をひきずらない強気なメンタリティもいい。これまではマンカバレッジの技術を磨いてきたが、新スキームでどうなるか。

ウィル・ブラックモン   Will Blackmon

ボストン・カレッジから2006年の4巡指名で入団、最初の2年は足の骨折に悩まされたが、3年目に初めて全試合に出場できた。4番手CB/ダイムバックで、ケガ人状況によっては3番手/ニッケルバックを務めたが、パスカバレッジに関してはあまり成長が見られない。相手WRのルートの読みが悪く、ターゲットになったうち54.8%がパス成功、2TDを許している。プロ入り後にケガで時間を無駄にしたとはいえ、3年目でこの程度では、スターターになるのは無理なのかもしれない。

パントリターナーとしては平均11.1yds(NFL9位)、2TD(3位タイ)と優秀な成績を残したものの、キックオフリターナーとしては平均21.0yds(NFL34位)の不振だった。スペシャルチームでの計18タックルはチーム最多。パントリターンの際に4回もファンブル(全てこちらがリカバー)した雑なボールハンドリングはいただけない。

ジャレット・ブッシュ  Jarrett Bush

ユタ州立大から2006年のドラフト外でパンサーズに入団、開幕前に解雇されてパッカーズでロースター入りを果たした。2007年にはいったん3番手CBとなったが、シーズンが進むうちにプレー内容が悪化し、トラモン・ウィリアムズに追い抜かれた。昨年途中からセーフティの練習もしたが、転向は不発に終わったようだ。練習でよくても実戦に弱いのは、ウィリアムズとは対照的にメンタルが弱いためだろうと言われている。スペシャルチームでは中核の1人として17タックルを挙げているが、ミスタックルも6回(スペシャルチーム最多)あり、反則も6回。そろそろ見切りをつけられてもおかしくないシーズンだろう。

パット・リー  Pat Lee

公式サイトがニックネームの「パット」となっているので、当サイトでも「パトリック」から「パット」に変更。
オーバーン大から昨年のドラフト2巡指名で入団。しかしプロのディフェンスに馴染むのに時間がかかったのか、4番手を脅かすことさえできないうちに1年目が終わった。出場はわずか5試合で、ディフェンスでの出番は計26スナップ、1タックルのみ。スペシャルチームでも69スナップに出場してわずか2タックルだった。サイズがありフィジカルなマンカバレッジが評価されてパッカーズに入ったが、そういったタイプであればスキームの変更はマイナスではないか。

ジョー・ポーター  Joe Porter

ルトガーズ大から2007年のドラフト外で入団、2年連続でプラクティス・スクワッドだったが、12月初めにロースターに昇格した。おそらくチーム最速、40yds走4.31秒のスピードがあるが、大学時代にニッケルバックでしかなかったのは、やはり何か欠けているのではないか。

シーズン総括と展望 S編

FSニック・コリンズが7インターセプト(うちTD3回!)を挙げて一躍プロボウラーとなったが、2007年に活躍したSSアタリ・ビグビーはケガに苦しんでまるで別人。彼の欠場や不調が、とくにラン守備で大きく響いた。それに加えてプロ2年目のアーロン・ラウスの伸び悩みがひどく、彼の不振のため、ビグビー戦線離脱後はCBウッドソンをセーフティに移さなければならなかった。

これまでは両セーフティの役割はかなり"interchangeable"(入れ替え可能)だったが、新しく導入される3-4ディフェンスでははっきり違ってくるらしい。ストロングセーフティはスクリメージ近くでプレーすることが増え、フリーセーフティは"ディフェンスのQB"として全員に指示を出す、読みやコミュニケーション面の役割が重要になる。一人前になるまで時間がかかり、学習能力に不安があるFSコリンズだけに、習熟に手間取ってもおかしくない。

スターターは今のままでいいとしても、前述のようにラウスが期待を裏切っているため、デプスには不安がある。先発コンビが習得に苦しんだ場合の保険を兼ねて、3-4経験のある安価なベテランを獲得する可能性はありそうだ。ドラフトでなら中位以降で指名して育てる形か。

FS ニック・コリンズ  Nick Collins

ベスーン・クックマン大から2005年のドラフト2巡で入団、ダレン・シャーパーの後任として、1年目から先発フリーセーフティを務めてきた。長く伸び悩んだが、4年目の2008年に飛躍的な成長を見せ、プロボウルにも選ばれた。経験を積んでゲーム理解が深まったことで自然に体が動くようになり、CB級のスピードがようやく生きてきた。NFL2位タイの7インターセプトに加え、球団記録の計295ydsリターンで3タッチダウン。20yds以上のビッグプレーを許したのは2.5回でキャリア最少。腰と足首のケガを抱えながら全試合に出場したタフネスも評価できる。

ただシーズン後半には荒っぽい一発狙いが目立つようになり、ポジション取りやアングルのミスが増え、ミスタックル(チーム最多の17回)はシーズン前半の5回から後半は12回にも上った。プロ4年間ほぼ同じディフェンスをプレーしてきたが、今年は大きな変化の年になる。リーダー役であるフリーセーフティが新ディフェンスに早く習熟できるかどうかが、今年のディフェンスを大きく左右するかもしれない。

SS アタリ・ビグビー  Atari Bigby

セントラル・フロリダ大から2005年のドラフト外で入団、プラクティス・スクワッドを経て2年目にロースター入りし、3年目の2007年にはスターターへと大きく成長した。しかし先発2年目の2008年は大きな失望のシーズン。ハムストリングや肩も負傷したが、とくにプレシーズンで負った足首のケガが長引いたらしい(12月末に手術)。持ち前のアグレッシブなプレーが影をひそめ、ミスタックルも多く、パスカバレッジの出来もよくなかった。慢心からか、昨夏のキャンプにはオーバーウェイトで現れ、負傷の前から動きは悪かった、との報道もある。

今年は制限つきフリーエージェントとなるため、下から2番目のいわゆる「2巡オファー」をして引き留めることが予想されている。2007年の活躍が続いていれば今ごろは長期契約交渉をしていたはずだが、来季の復活ぶりを見極めたいと球団が考えるのは当然だろう。

アーロン・ラウス  Aaron Rouse

ヴァージニア工科大から2007年のドラフト3巡指名で入団。1年目はFSコリンズの代役として3試合に先発して光るものを見せたので、コリンズとの先発争いを期待する見方が多かったが、大いに不満の残る2年目シーズンだった。ひょろりと背が高い(6フィート4)せいかショートエリアでのアジリティがよくない。優れたボールスキルがあって時おりビッグプレーを見せるものの、アサイントメントなど基本的な部分でのミスが多すぎて信頼できない。CBウッドソンを3試合もストロングセーフティで先発させたのも、ラウスがだらしなかったためだ。

経験を積んでよくなるポジションなのでこれから伸びてもおかしくないが、スターターの器ではない、という見方がメディアに増えてきたのは事実。

チャーリー・ペプラー   Charlie Peprah

アラバマ大から2006年の5巡指名でジャイアンツに入団、開幕前に解雇されてパッカーズへ。ストロングセーフティの控え兼スペシャルチーマーとして働いている。3年目の昨夏のキャンプ序盤は大きな成長を見せて好評だったが、そこでハムストリングを負傷してプレシーズンを全休したのが残念だった。

2009年2月25日

シーズン総括と展望 LB編

まずまず充実したユニットと見られていたが、ケガとディフェンシブラインの戦力低下により、予想外の不振に苦しんだ。ミドルLBバーネットは第11週にヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂、ウィークサイドLBのA.J.ホークもシーズンを通してケガに苦しんだ。ストロングサイドでは、FA補強のブランドン・チラーがブレイディ・ポピンガとの開幕スターター争いには敗れたものの、パスシチュエーションで起用される機会が次第に増え、LBバーネット戦線離脱後はウィークサイドでスターターを務めた。

今オフは3-4ディフェンスへの転換が決まり、DL陣同様に大きな変化が待っている。インサイドLBのコンビはバーネット(ウィークサイド)とホーク(ストロングサイド)でほぼ決まり、バーネットの復帰が遅れればチラーかビショップが代役を務めることになりそう。左アウトサイドはアーロン・キャンプマンがDEから移ってくる。問題は右アウトサイドで、今のロースターから選ぶならブレイディ・ポピンガだが、新戦力がスターターとなる可能性はじゅうぶんある。

今年のFA市場の目玉となるはずだったDEジュリアス・ペッパーズ(CAR)もLBテレル・サッグス(BAL)もすでにフランチャイズ指名されてしまい、獲得したければトレードしかない。それ以外には大物のパスラッシャーは残っていない。「パッカーズはFAでは大物を狙ってはおらず、獲るとしても地味目の選手だろう」という見方が一般的。ドラフトではパスラッシュLB/軽量DEがかなり豊作のようで、上位指名が有力視されている。

ニック・バーネット  Nick Barnett

オレゴン州立大から2003年のドラフト1巡指名で入団、1年目からずっとミドルLBとしてディフェンスの中核を担ってきた。2007年にはプロボウルにあと一歩まで迫る働きを見せたが、2008年は予想外の不振で、プレーぶりが大人しくなり、ビッグプレーが影をひそめた。9試合でINTゼロ、サックゼロ、ファンブルリカバリーゼロ、ファンブルフォース1回のみ。さらに第11週ヴァイキングス戦でヒザのACLを断裂してシーズンエンド。リハビリはかなり順調で、このまま行けばキャンプ開始に間に合うかもしれない。

3-4ディフェンスとなる今年は、インサイドLBのウィークサイドを担当するものと見られている。公称236ポンド、昨季の実際のプレー体重は230ポンドを切っていたらしいので、スキーム変更は彼にとって不利ではないか。彼がブロッカーの荒波にさらされないよう、ノーズタックルがダブルチームをしっかり受け止めることも重要になる。

A.J. ホーク  A.J. Hawk

オハイオ州立大から2006年の1巡5位指名で入団。飛躍を期待されながら、キャリア最低のシーズンに終わった。キャンプ序盤で胸部を負傷してプレシーズンを全休、シーズン序盤には鼠蹊部を痛め、本来の動きがなかなか戻らなかった。バーネットの戦線離脱のためウィークサイドからミドルに移ったが、よかったのは最初のベアーズ戦だけ。ラン守備では相手ブロッカーを吹っ飛ばすような迫力がなく、パスカバレッジも不安定。ブリッツ10.7回に1回しかサック(計3回)を挙げられなかったのはLB陣最低で、インターセプトもゼロ。

ケガは同情できるものの、超一流LBへとブレークしきれないのは彼自身にも問題があるとの見方が少なくない。シュアなタックラーでアサインメントを完璧にこなす安定感はあるが、枠からはみ出るようなアグレッシブさに欠け、基本的に受け身で、ビッグプレーが少ない。激しさ、気合い、思い切り、激情といったメンタルな部分の問題ではないか、と言われ始めている。ケガを言い訳にしない頼りになるチームメイトであり、大変な練習の虫であるだけに、伸び悩みが歯がゆい。

今年はバーネットとともに3-4のインサイドに入り、彼はストロングサイドに入るものと見られている。相手ブロッカーの多いサイドであるため、それをかき分けていく強さが重要になる。コンバートは彼にうってつけ、という見方と、その逆の見方がある。

ブレイディ・ポピンガ Brady Poppinga

ブリガム・ヤング大から2005年のドラフト4巡指名で入団し、2年目からストロングサイドのスターターを務めている。昨年はライバルとしてチラーが入団したが、キャンプでの争いに勝ってスターターの座を確保。ただし、彼のパスカバレッジの拙さを補うため、パスシチュエーションではサイドラインに下がってチラーが入る場面が多かった。それでもカバレッジはそれなりに向上し、パス成功1回あたりのゲインがわずか6.3yds、TDは一度も許さなかった。終盤はパスラッシャーとして右DEに入る機会が計46スナップあったがサックはゼロで、ほとんどインパクトはなかった。

LB陣では最も大きい6フィート3、247ポンドのサイズがあり、(上記ホークとは逆に)やたらとテンションが高く激しいプレースタイルが持ち味。大学では4年目の途中までは先発右DEをしており(通算20サック)、3-4のアウトサイドLBがかえってハマってもおかしくない。今夏は右OLBの先発争いが注目される。

ブランドン・チラー Brandon Chillar

UCLAから2004年のドラフト4巡でラムズに入団し、昨年パッカーズにFA移籍してきた。ディフェンス習得に手間取ってポピンガとの先発争いに敗れたが、しだいに実力を発揮してパス守備で出場機会を増やし、バーネットの戦線離脱で7試合にわたって先発ウィークサイドLBを務めた。頭脳と嗅覚に優れたセンスのよい選手で全LBのポジションがこなせる。とくにパスカバレッジがよく、相手TEが一度も100ydsレセプションできなかったのは彼のおかげ。パスのブレークアップは9回もあり、他のLBの合計がわずか6回だった。

いっぽうラン守備はパス守備に比べるといまひとつで、相手ブロッカーを受け止めずに避けようとする傾向がある。3-4への転換は彼にとってはどちらかというとマイナスと思われ、バーネットの回復やOLB補強がうまくいけば再び控えに戻ることになりそうだ。マッカーシーHCによると、インサイドとアウトサイドの両方で試すとのこと。サブ・パッケージで彼の能力を活かすかも、との発言があったので、昨季同様ニッケルやダイム隊形で出番を作ってもらえるかもしれない。

デズモンド・ビショップ Desmond Bishop

カリフォルニア大から2007年のドラフト6巡で入団し、LBアブドゥル・ホッジらを退けて控えミドルLBの座を確保している。チラーの欠場した第14週テキサンズでは、ウィークサイドで初先発も果たした。チーム最多のファンブルフォース3回を挙げるなど、少ない出番でビッグプレーを次々に繰り出したものの、バーネットの退場後ミドルLBに入ったヴァイキングス戦ではRBテイラーに47ydsのTDレセプションを許すなど、ビッグプレーを許した回数も多いシーズンだった。スピードはないがハードヒッターで、嗅覚にも優れている。今年はインサイドだけでなくアウトサイドでも試す、とマッカーシーHC。

ダニー・ランサナー  Danny Lansanah

コネチカット大出身のドラフト外ルーキー。10月上旬、プラクティス・スクワッドにいた彼がドルフィンズに奪われそうになったため、スペシャルチーマーのLBトレイシー・ホワイトを解雇して彼をロースターに昇格させた。その人事がスペシャルチームの弱体化に拍車をかけた、と批判されている。出場は5試合、スペシャルチームで2タックルを記録。40yds走4.7秒前後の選手だが、ハードヒッターでパスラッシュ能力もあるらしい。マッカーシーHCによるとインサイドのストロングサイドとのこと。

スペンサー・ヘイヴナー  Spencer Havner

チラーと同じUCLAから2006年のドラフト外で入団、この2年はプラクティス・スクワッドにいたが、12月の初めにロースターに昇格し、スペシャルチームで3タックルを記録。

2009年2月24日

シーズン総括と展望 DE編

好調だったカレン・ジェンキンズが第4週に胸筋を断裂してシーズン終了、DE陣はガタガタになってしまった。どの代役もスターターの力がなく、DEアーロン・キャンプマンの孤軍奮闘のままシーズンが終わってしまった。DEキャンプマンが1人でポケットを押し込んでもQBを捕まえきれず、チームのサック数は前年の36回(13位タイ)から27回(25位タイ)へ減少、ブリッツを増やさざるをえなくなった。ラン守備でもジェンキンズの抜けた穴は大きかった。

今オフは3-4ディフェンスへの転換が決まり、大きな変革のシーズンとなった(この項では旧ポジションのまま紹介する)。3-4のDEは縁の下の力持ち的な役割で、軽量パスラッシャーでは務まらず、300ポンド級のサイズと馬力、アンセルフィッシュなチームプレーヤーであることが重要になる。キャンプマンはアウトサイドLBへのコンバートが決まり、ジェレミー・トンプソンやジェイソン・ハンターも今年はアウトサイドLBに挑戦するようだ。マイケル・モンゴメリーは今週末にフリーエージェントになるが、3-4に合わないタイプなので無理に再契約はしないのではないか。ジェンキンズはケガさえ治れば右DEでスターターを務める見込み。

補強をするとすればジェンキンズの逆サイドの左DEということになるが、ジョリーやハレルもいて、右アウトサイドLBやノーズタックルと比べれば重要度はやや落ちる。今年のFA市場で3-4のDEといえばカウボーイズのDEクリス・キャンティあたりが有力だが、パッカーズは今のところまったく興味を示していないらしい。ドラフトで指名するとすれば、かつてのような270ポンド級ではなく、290ポンドから310ポンドの大型DE、またはDTを獲ることになりそう。

アーロン・キャンプマン Aaron Kampman

アイオワ大から2002年のドラフト5巡指名で入団、押しも押されもせぬNFLを代表するDEの1人に成長した。逆サイドが弱体化したために9.5サックに終わった2008年シーズンだが、彼のプレー内容が悪くなったわけではない。今年は3-4の左アウトサイドLBに転向することが早々と発表され、コンバートの成否が大きな注目を浴びている。入団時の286ポンドから昨季は265ポンドまで絞り込んでいた。DL陣最高の頭脳派であるとともに、アスレチック能力(大学2年まではインサイドLB)もかなり高いので大丈夫、と楽観視する向きが増えてきている。

カレン・ジェンキンズ  Cullen Jenkins

セントラル・ミシガン大から2003年のドラフト外で入団し、NFLヨーロッパを経て2004年に初ロースター入り。2006年終盤にはバジャ=ビアミラから先発の座を奪った。早いダウンでは右DEに入り、パスシチュエーションではDTのポジションからラッシュする。昨年の序盤はチーム最多プレッシャーを挙げる大活躍を見せていたが、第4週バッカニアーズ戦で胸筋を断裂してシーズンエンド。ラン・パスとも彼の不在は大きく、ディフェンス崩壊の一因となってしまった。

もともとDT兼務だったため、3-4での右DEもこなせると見られているが、問題は胸筋断裂から完全復活することかもしれない。上体の筋力を最も酷使するポジションだけに、今回のケガの影響が長引いてもおかしくない。かつてパッカーズでは、DEヴォニー・ホリデイ(現MIA)が胸筋断裂で以前の力を取り戻すまで何年もかかり、DEジョー・ジョンソンもセインツ時代の上腕三頭筋断裂のため、パッカーズに移ってからは精細を欠いたままだった。

マイケル・モンゴメリー Michael Montgomery

テキサスA&Mから2005年のドラフト6巡指名で入団。それなりに成長はしてきたものの、パスラッシュ・ラン守備ともスターターとしては物足りず、ジェンキンズの穴を埋めるには程遠かった。もうじきフリーエージェントなので、昨季終盤にはかなり交渉が進んでいたが、3-4ディフェンスへの移行が決まってからは棚上げになっているようだ。273ポンドの長身DEで、3-4のアウトサイドLBをやるにはアスレチック能力が足りず、DEをやるにはかなりのバルクアップが必要になる。

ジェレミー・トンプソン   Jeremy Thompson

昨年のドラフト4巡指名でウェイク・フォレスト大から入団。ジェンキンズ負傷後はスターターを任せられるほどコーチ陣から期待されていたが、いくつものケガに悩まされ、けっきょくサックゼロに終わるなど、十分なポテンシャルを発揮できたとはいえない。3-4への転換により、今年はアウトサイドLBに挑戦することになったが、コンバートが彼に向いているのかいないのか、よくわからない。頭がよく嗅覚に優れた選手で、伸びシロはまだまだ大きい。

ジェイソン・ハンター  Jason Hunter

アパラチアン州立大から2006年のドラフト外で入団し、みごとロースター入り。最初の2年間はほぼスペシャルチームのみで、2007年には(プレーオフを含めた18試合で)30タックルを挙げる大活躍だった。しかし昨年はディフェンスでの出番が増えるとともにスペシャルチームでの働きが鈍り、わずか3タックル(12試合)。約10ポンド増やして270ポンドになった悪影響かもしれない。今年はアウトサイドLBに転向するため、再び体重を絞ることになりそうだ。40yds走4.5秒前後の素晴らしいスピードのある選手なので、転向はプラスかもしれない。

シーズン総括と展望 DT編

昨年春にDTコーリー・ウィリアムズをフランチャイズ指名で引き留めたあとトレードに出しことが、短期的には大きな悪影響をもたらした。パスラッシャーとして優秀だったウィリアムズがいなくなるとパスラッシュ能力がまるでなくなってしまい、DEジェンキンズの戦線離脱とあいまって、パス守備の悪化に歯止めがかからなくなった。

今年は3-4ディフェンスへの移行にともない、ノーズタックルをやる選手とディフェンシブエンドに移る選手に分かれることになる。3-4ディフェンスのキモと言われるノーズタックルにはライアン・ピケット。FAとなるコリン・コールがもし再契約すれば、ピケットの控えになりそうだ。ジョリーは左DEのスターターとなる見込み。ケガに苦しむ元1巡指名選手、ジャスティン・ハレルはNTとDEの両方をやらせる、とマッカーシーHCは語っている。

ポジションの重要性からいっても層の薄さから言っても補強が必要なノーズタックルだが、今年のFA市場には目立った選手はいない。OTやアウトサイドLBとともに、ドラフト上位指名の可能性がもっとも高いポジションと見られ、ボストン・カレッジのDT B.J.ラジの1巡9位指名を予想するモック・ドラフトもけっこうある。体作りが重要なポジションだけに、たとえ1巡や2巡で指名したとしても、いきなりスターターでバリバリ活躍というわけにはいかず、今年はピケットで行くことになるのではないか。アウトサイドLBとくらべ、今年のドラフトではノーズタックルの層は厚くないようだ。

ライアン・ピケット Ryan Pickett

オハイオ州立大から2001年のドラフト1巡指名でラムズに入団、2006年にパッカーズにFA移籍し、不動のスターターとして活躍している。重心の低い優れたランスタッファーである一方で、パスラッシュはまったくアテにならない。「ダブルチームにも押されないが、シングルチーム相手でも突破できない」という評価もあり、すでにスピードが衰えを見せ始めていると心配する向きもある。コーチ陣は彼ならノーズタックルにうってつけ、と自信を見せているが、優れた3-4ディフェンスを作るにはもっと上の選手が必要、とする見方が一般的。

ジョニー・ジョリー  Johnny Jolly

テキサスA&Mから2006年のドラフト6巡指名で入団し、2年目に大きな成長を見せてスターターの座をつかんだ。しかし3年目の2008年はさらなる成長が見られず、物足りない内容だった。ラン守備では、遠いプレーをパスートして仕留める好プレーがある一方で、勝手気ままな動きをして守るべきギャップを守らないことが多く、コーチ陣から叱責された。パスラッシュはさらに悪く(サックゼロ)、スピンムーブは全く通用せず、ブルラッシュでもなかなかプレッシャーをかけられない。3-4転換の今年は、今のところ左DEのスターター最有力候補となっている。

コリン・コール Colin Cole

キャンプマンと同じアイオワ大から2003年のドラフト外でヴァイキングスに入団し、ライオンズを経て2004年のシーズン途中からパッカーズに。地味ながら着実に成長し、ノーズタックルの控えとしてローテーションの一角を占めている。身長6フィート1の低い重心を活かし、ポイントオブアタックで持ちこたえる馬力がある。今週末にはフリーエージェントとなる予定。先日のトンプソンGMはFA解禁前の再契約に悲観的なコメントをしていたが、最新情報では、契約延長に向けて現在話し合いが進行中らしい。FA市場やドラフトでのNTの層の薄さを考慮してのことかもしれない。

ジャスティン・ハレル   Justin Harrell

テネシー大から2007年のドラフト1巡16位で入団したが、ケガばかりでほとんど戦力にならず、トンプソンGM批判派の攻撃の的になっている。プロ1年目は、在学中に負った上腕二頭筋断裂の影響がシーズン中まで残った。期待された2年目は春先に腰を負傷し、治りかけてはぶり返すことがけっきょくシーズン末まで続いてしまった。若手DTにとって何より重要な体作りがまったく進まないのだからどうしようもない。「今年はNTとDEの両方で使ってみる」とマッカーシーHCは語っているが、もし今夏のキャンプで結果を出せなければ、解雇への圧力が大きくなってきそうだ。

アルフレッド・マローン  Alfred Malone

トロイ大から2005年のドラフト外でテキサンズに入団し、2007年末にパッカーズのプラクティス・スクワッドへ。昨年12月の初めにロースターに初昇格し、4試合に出場して4タックルを挙げた。パスシチュエーションで登場してインサイドからラッシュする仕事がメインだったようだ。3-4に移行する今年はDEで起用する、とマッカーシーHC。

アンソニー・トリビオ  Anthony Toribio

ディビジョンIIのカーソン・ニューマン大から昨年のドラフト外でドルフィンズに入団し、11月半ばにプラクティス・スクワッドから解雇されてすぐパッカーズのプラクティス・スクワッドへ。12月半ばにロースター昇格を果たしたものの、2試合ともアクティブ登録されず出場はゼロに終わった。「ノーズタックルで使う。マイアミでもそうしていたし」とマッカーシーHC。

2009年2月23日

シーズン総括と展望 G/C編

2005年から低迷の続いてきたガード陣だが、LGダリン・カレッジの成長と新人RGジョシュ・シットンの登場で、ようやく「並」以上のコンビになる見通しが立ったシーズンだった。いっぽうRGジェイソン・スピッツの伸びは期待ほどではなく、このままではRGシットンに追い抜かれて便利屋で終わってしまいそうなので、今年はセンターでスコット・ウェルズと先発争いをさせることになりそうだ。

ケガや衰えの心配されるタックル陣とは違い、伸び盛りの選手たちが揃っているため、今年は補強の重要度は高くない。おそらくFA補強はせず、ドラフトで指名するとしても下位ではないか。ウェルズ対スピッツのセンター争い、スピッツ対シットンの右ガード争い、そして伸び悩んでいるLGバーバーはどのポジションでチャンスがあるのか、キャンプでのバトルに注目だ。

C スコット・ウェルズ Scott Wells

テネシー大からドラフト7巡指名で入団して5年目、先発センターとして3年目のシーズンは、背中、胸、肩、脳震盪などケガに悩まされながら14試合に先発した。スナップ前のアジャストメントのコールは正確で、ブロッキングのミスも年々減っている。そうした安定感をコーチ陣から高く評価されているいっぽう、サイズの小ささ(身長6フィート2)のため、巨大なDTにたやすくオーバーパワーされやすいのも事実。ひとまわりスケールの大きなスピッツ待望論が出てきているのはそのせいで、スターターの座を守るには今夏のポジション争いに勝たなければならないだろう。

LG ダリン・カレッジ  Daryn Colledge

ボイジー州立大から2006年のドラフト2巡で入団し、毎年蹴落とされそうになりながらも、ライバルのケガにも助けられてスターターの座を守ってきた。3年目の昨年もLGバーバーの伸び悩みと新人RGシットンのケガのために先発左ガードをキープし、シーズン後半にはかなりの進歩を見せた。上半身・下半身ともようやくパワーアップの成果が出て、持ち前のアスレチック能力を活かせるようになった。昨年OL陣で最も成長した選手なのはたしかで、「今季パッカーズのベストラインマン」と評価する声も少なくなかった。

このぶんなら来季の先発左ガードの座は固そうだが、不透明なのは、退団するかもしれないRTタウシャー(大ケガ&再契約見送り)の後任に彼がなる可能性があること。第15週・16週で先発右タックルを務めたモールが不振だったため、最終戦ではカレッジが右タックルに入り、まずまずの働きを見せた。右タックルの補強しだいでは、RTカレッジが有力な選択肢になってもおかしくはない。

RG/C ジェイソン・スピッツ Jason Spitz

ルイヴィル大から2006年の3巡指名で入団し、インサイド3ポジション全てこなせる器用さでスターターを務めてきた。昨年も新人シットンに譲る形で右ガードから左ガードに移り、今度はCウェルズのケガで開幕戦のセンターに。さらにシットンも負傷したので、Cウェルズが復帰しだい右ガードに戻った。しょっちゅうポジションが変わることが成長を阻害したことは否めないが、アスレチック能力もパワーもいまひとつで、(入団時から言われていたことだが)結局ガードでは「そこそこ」止まりでは、という見方が定着してきたのも事実。

今年ウェルズと先発センター争いをさせることは、マッカーシーHCも認めている。もちろん、RGシットンが期待通りに伸びてくれればの話だ。じっさいスピッツが代役センターを務めたゲームでもウェルズと遜色ないプレー内容を見せており、頭脳面ではまだウェルズに一日の長があるものの、1対1のブロッキングではスピッツが強い。

RG ジョシュ・シットン   Josh Sitton

昨年のドラフト4巡指名でセントラル・フロリダ大から入団。直後のミニキャンプからよい動きを見せ、「新人で一番の当たり」と一貫して言われ続けている。昨夏のキャンプではスピッツを退けて先発右ガードの座を確保したが、プレシーズン第3戦でヒザのMCLを捻挫してしまい、シーズン半ばまで長引いてチャンスを失った。317ポンドのサイズも、モコモコした体型もRTタウシャーによく似ている。現状では、ポイントオブアタックで押し込む力のあるランブロッキングの方が得意で、パスプロはやや不安定。今年はさらに成長してスターターの座を確保してほしい。

LG アレン・バーバー Allen Barbre

無名のミズーリ・サザン州立大から2007年のドラフト4巡指名で入団。LGカレッジと同様、大学時代はずっと左タックルだった。そのポテンシャルは1年目から評価が高く、先発を奪ってくれると期待された2年目シーズンだったが、結果は大きく期待を裏切った。キャンプではさんざんチャンスを与えられたのにLGカレッジに完敗。1on1のドリルではいいのに、頭脳面でゲームのスピードについてこられない部分があり、安心して実戦で使えない。

マッカーシーHCが先週の会見で「今年は両タックルでも試していく」と語ったのは、左ガードとしてはカレッジに水をあけられたと見なしているからだろう。今年は、先発RT候補およびLTクリフトンの控えとして練習する機会が多くなりそうだ。

2009年2月22日

テッド・トンプソンGMの記者会見から

スカウティング・コンバインの会場でテッド・トンプソンGMが記者会見を行った。ほとんど実のあることを話してくれない普段の彼と比べれば、注目に値する発言がいくつかあった。

マイク・マッカーシーHCの記者会見から

おなじくスカウティング・コンバインの会場でのマイク・マッカーシーHCの記者会見。人事責任者たるGMと比べると、今の時期のヘッドコーチの発言は多少気楽だ。

2009年2月21日

シーズン総括と展望 OT編

長年パッカーズの安定したパスプロテクションを支えてきた同期コンビだが、LTクリフトンもRTタウシャーもケガに苦しんだシーズンだった。被サック数が前年の19回(NFL3位タイ)から34回(19位)へと急落したのは、QB交代の影響があるとはいえ、両タックルのプレー内容がよくなかったのも事実。RTタウシャーはヒザの前十字靭帯(ACL)断裂で1月に手術を受けリハビリ中、LTクリフトンも慢性のヒザ痛のため、今オフに両ヒザの関節鏡手術を受けている。

ガード陣がそれなりに一人前になってきたこともあり、両タックルの補強はオフェンス最大のテーマ。LTクリフトンはらくらくキャンプに間に合うはずで、ケガさえ治ればあと数年活躍できてもおかしくはない。問題は長いリハビリ期間が必要なRTタウシャーの方だ。今春FAとなり、契約できたとしてもキャンプ開幕にはおそらく間に合わず、一時的な代役スターターが必要になる。

コーチ陣はしきりに昨年の5巡指名RTブレノ・ジャコミニを高く評価するコメントをしているものの、昨年のキャンプでのプレーを見た地元記者たちは、あまり信じていない。シーズン末に試したように、T/Gダリン・カレッジを右タックルに移すのが現実的な策かもしれないが、LGカレッジ&RGシットンがベストのガードコンビと思われ、彼ら2人はできれば動かしたくない。

まずフリーエージェント市場だが、プレミア・ポジションだけにどのチームも長期契約で引き留めていて、いまどき優秀なタックル(とくに左タックル)がFA市場に出てくることは滅多にない。「今年のFA市場で有力なタックル」といったところで、たいていは年をとって衰えていたり、若ければ能力的に疑問符のつく(そのため現所属チームが大型契約を見送った)選手ばかり。

そこでドラフト上位指名が有力になる。今年は上位指名候補として優秀なタックルが数人いるが、タックルがほしいチームも上位にひしめいていて、パッカーズの1巡9位までに上位OT3人が消えてしまうと予想するモックドラフトも少なくない。それに今年3-4に転換するパッカーズはディフェンスのフロント7補強が急務なので、そちらとの兼ね合いが難しいところ。ディフェンスを優先した場合でも、遅くとも3巡までにはOTを指名するだろう。

LT チャド・クリフトン  Chad Clifton

テネシー大から2000年の2巡指名で入団、1年目から先発左タックルを務め、昨年2月には初プロボウルも経験した。鉄壁のパスプロテクションでQBファーヴの背後を守ってきたクリフトンだが、ここ数年は両ヒザ痛に悩まされ、2008年はキャリア最悪(チーム最多)のプレッシャー25回(サック + ノックダウン + ハリー)を許した。最近左サイドへのランプレーが増えたのも、彼のブロッキングが強力だからではなく、逆サイドへのランプレーだと、バックサイドの彼が苦手なカットブロックを失敗しがちだから、というのがどうやら理由らしい。

ヒザさえ問題なければ能力的にはまだ大丈夫と見られているが、重要なポジションだけに、早く後継者を確保するにこしたことはない。たとえば左右両サイドをこなせる新人をドラフト上位で獲り、今年は右タックルで先発を争わせ、将来的にLTクリフトンの後継になってくれる、という形になれば最高だろう。

RT マーク・タウシャー Mark Tauscher

クリフトンと同期、2000年のドラフト7巡指名で地元ウィスコンシン大から入団、1年目から不動の右タックルとして活躍を続けてきた。相手のスピードに多少出遅れても、巧みに追いついて最後はまるめこんでしまう技術は玄人筋から評価が高い。2008年は序盤こそ不調に苦しんだが、しだいに調子を上げ、安定したプレーを見せていた。それだけに第14週テキサンズ戦でのACL断裂は残念だった。ACL断裂は2002年以来2回目。

長いリハビリが必要なACL断裂だが、リハビリはきわめて順調だと本人は強調。チーム側としてもこれといった有力な後継者がいないこともあり、出場試合数に応じたインセンティブを多くした契約で引き留めるのではないか。地元ウィスコンシン州出身だけに、ホームタウン・ディスカウントに応じてくれればありがたい。

G/T ダリン・カレッジ  Daryn Colledge

LTクリフトンの控えでありRTタウシャーの後任候補でもあるが、次回先発左ガードの項で紹介。

RT/RG トニー・モール Tony Moll

ネヴァダ大から2006年のドラフト5巡指名で入団、右サイドのタックルおよびガードの控えとして、ときおり代役スターターを務めてきた。2008年序盤3試合はCウェルズとRGシットンの負傷のため右ガードとして先発出場し、第15・16週はRTタウシャー戦線離脱のため右タックルとして先発した。出場数のわりに被サックや反則(チーム最多の8回)が多く、この3年間の成長(大学では3年目までTEだった)を見せたとはとても言えない。スターターの器でないことはもはやはっきりしていて、今年の夏はロースター枠ぎりぎりを争うことになりそうだ。

RT ブレノ・ジャコミニ Breno Giacomini

ルイヴィル大出身のドラフト5巡ルーキーで、身長6フィート7(201cm)の長身選手。彼もモールと同じく大学途中までタイトエンドをしていて、先発RTに定着したのは大学4年目になってから。経験が浅いせいか技術的に未熟で、トレーニングキャンプではパスプロテクションにひどく苦しんだ。かろうじて開幕ロースター入りを果たしたあと、レギュラーシーズンに入ってから大きな進歩を見せた、とコーチ陣は高く評価している。ほんとうにRTタウシャーの後継候補としてポジション争いができるレベルなのか、地元記者たちも半信半疑で、今夏のキャンプでのプレーぶりが注目される。

2009年2月20日

シーズン総括と展望 WR編

パス成績の躍進した2007年のWR陣は合計パスキャッチ220回3140ydsだったが、2008年も222回3093ydsとさほどダウンしていない。違うのは先発コンビの占有率が62.7%から74.5%にアップしたこと。グレッグ・ジェニングスがスターWRに成長したのはめでたいが、3番手以下の貢献度が低いのは、ウェストコーストオフェンスとしてはあまり望ましくないことだろう。原因はジェームズ・ジョーンズの負傷&不調、代わって3番手を務めた新人ネルソンの才能がまだフル活用できなかったこと、そしてマルチプルWR隊形の回数が減ったこと。

ドナルド・ドライバーはエースの座をジェニングスに譲ったとはいえ、さほど衰えを見せていない。5番手のルヴェル・マーティンは制限付きフリーエージェントなので残留するかどうかわからないが、ネルソンの成長とジョーンズの復調が見込めるので、今年は大きな補強は不要だろう。キックオフリターナーも兼ねて、ドラフト中位以降で1人指名するぐらいか。(昨年も似たような状況だったが、けっきょくトンプソンGMは2巡でネルソンを指名、就任以来4年連続で2人WRをドラフト指名している)

グレッグ・ジェニングス  Greg Jennings

ウェスタン・ミシガン大から2006年のドラフト2巡指名で入団。毎年着実に成長を続け、2008年は80回1292yds・9TDを挙げて惜しくもプロボウル、というところまで伸びてきた。「シルキー・スムーズ」とプレーぶりが表現されるように、見た目はダイナミックではないが、ごく自然な動きで加速し、カバーを引き離し、スピードを落とさずにキャッチし、ランアフターキャッチでゲインできる。もうさほど注文を付けるところもないが、試合序盤に集中力不足から落球する場面がある。ランアフターキャッチが2007年よりも悪くなったのは、相手のマークが厳しくなってきたからだろう。

ルーキー時の契約が今年いっぱいで切れるので、彼と長期契約するのが今オフのフロントの最優先事項。いまのところ慢心系や天狗系の選手には見えず、大型契約のリスクは小さいのではないか。

ドナルド・ドライバー Donald Driver

アルコーン州立大から1999年のドラフト7巡指名で入団。たゆまぬ努力でロースターに食らいつき、ついにはプロボウラーとなった。6年間守ってきたエースWRの座はジェニングスに譲ったものの、33歳となった2008年も74回1012ydsを記録して健在ぶりを示した。飛び抜けた能力があるわけではないが、密集でのハードヒットを恐れぬタフなプレーぶりはなかなか真似できるものではなく、たとえスピードが衰えてもショートパス中心のポゼッション型として頼りになりそう。

オフシーズンも練習熱心なので、急激に衰えるタイプではない。ジョーンズやネルソンの成長しだいでは先発の座が危うくなってもおかしくないが、今年はまだ大丈夫なのではないか。

ジェームズ・ジョーンズ James Jones

サンノゼ州立大から2007年のドラフト3巡指名で入団し、47回676yds(新人WR中3位)を記録したが、期待のプロ2年目はヒザのケガに悩まされて6試合欠場、わずか20回274ydsに終わった。ヒザの捻挫が治りかけてはぶり返すことの繰り返し。痛みのせいで集中力のないプレーぶりが目立ち、重戦車のような上半身にもかかわらずブロッキングのミスも多く、コーチ陣の信頼と3番手の座を失った。3年目の今年は、下記ネルソンとハイレベルの3番手争いをしてほしいところ。

ジョーディ・ネルソン Jordy Nelson

カンザス州立大から昨年の2巡指名で入団し、新人WR中5位の33回366ydsを記録。ジョーンズの負傷のため、実質3番手としてプレーすることが多かった。全てのルートで信頼できる状態ではまだなく、ワンフェイクを入れて縦に抜け、6フィート3(191cm)の高さを活かそうとするプレーが多かった。53回ターゲットとなって1回しか落球がなかったのは立派。ランアフターキャッチはユニット中最低の平均2.58ydsだったが、最初の1人さえかわせばロングゲインできる良いセンスを持っている。

それなりに能力の高さを示した1年目シーズンだったが、万能タイプの先発WRとなれるか、地味なポゼッション型白人WRで終わるのか、今年・来年の成長を見守りたい。スクリメージ上でジャムされてルート取りを乱されやすいのが課題。腰回りはかなりガッチリしているので、あとは上体をバルクアップすること。キックオフリターナーの候補でもある。

ルヴェル・マーティン Ruvell Martin

サギノーバレー州立大からドラフト外入団、NFLヨーロッパやプラクティス・スクワッドを経て、3年目の2006年に初めてロースター入りを果たした。2007年はマルチプルWRの一翼として16回242yds・4TDを記録したが、2008年は15回149ydsに後退。身長6フィート4(193cm)はWR陣で最も高く、パスキャッチがうまく競り合いに強い典型的なポゼッション型。ランブロッキングも非常によく、自己犠牲をいとわない。不遇の時代からQBロジャースとは非常に仲が良く、「僕のレシーバー」とロジャースが言うほど(冗談めかしてだが)。

今春は制限付きフリーエージェントとなるので、他球団から狙われる可能性もある。もし引き留めることができれば、WR5人枠が2008年と同じ5人ですんなり固まってしまいそう。移籍する場合は、プラクティス・スクワッドにいた3人や新人が5人目の座を争うか。

2009年2月19日

シーズン総括と展望 TE編

ドナルド・リーがスプレッド隊形の一翼として活躍した2007年とは違い、新先発QBを守るため(両OTのケガや不調のせいもあったかもしれない)パスプロの仕事が増え、レシーバーとしての役割は縮小してしまった。複数TE隊形から1人フルバックの位置にシフトする、いわゆるHバック的な起用も多く、2006年シーズンに戻ったような印象。2007年のTE陣は合計パスキャッチ68回718ydsだったが、2008年は56回539yds。

むしろ2008年最大の話題は、TEトニー・ゴンザレス(KC)のトレード話だった。10月のトレード期限ぎりぎりに3巡指名権と交換でゴンザレスを獲得することに両球団がほぼ合意したが、チーフス側が「やはり2巡でなければ」と言い出してご破算に。実績からすればたしかに3巡は安いが、実績よりも伸びシロを重視するタイプのトンプソンGMが、32歳のTEにそれだけの代償を支払おうとしたことは注目に値する。優秀なTEがいればエースWRジェニングスへのマーク集中を防ぐことができ、また相手セーフティの仕事を苦しくすればこちらのラン攻撃を楽にすることにもつながる、という考えか。

そういった経緯からすると、今春またTE補強に動いてもおかしくない。昨年3巡指名でフィンリーを獲ったばかりなので、それなりに経験のある選手を補強して、リーとフィンリーの3人で競わせる形が理想的か。その前にまずフィンリーの潜在能力と成長具合の見極めが重要だろう。2年目の今年、先発のリーを脅かすほど伸びると判断したら、逆にまったく補強に動かなくてもおかしくはない。

ドナルド・リー  Donald Lee

ミシシッピ州立大から2003年の5巡指名でドルフィンズに入団し、2005年にパッカーズへ。初スターターの2007年に48キャッチ・575yds(TE中11位)・6TDの活躍を見せ、4年総額$11ミリオンの契約延長も手にしたが、2008年は303yds(TE中29位)に逆戻り。パスプロ重視の役割になり、パスキャッチ機会そのものが前年の69回から49回へと減ったのだから、彼の不調というわけではないだろう。パスキャッチ1回あたり12.0ydsから7.8ydsへと大幅ダウンしたのも、ディープへ走り込む機会が減ったことを示している。

いっぽうブロッキングは努力の甲斐あって、以前よりずっとマシになってきている。先発3年目の今年は、フィンリーの挑戦を受けることになりそうだ。

ジャーマイケル・フィンリー Jermichael Finley

テキサス大から昨年の3巡指名で入団。公式デプスチャート上は最後まで3番手のままだったが、実際はシーズン途中で2番手に昇格したようだ。いかにも新人TEらしい不安定なプレー内容でパスキャッチ6回74ydsにとどまったが、シーズン終盤には才能の片鱗を見せるプレーもあった。それよりも注目を集めたのは、第9週タイタンズ戦直後の生意気発言。ようやくその試合でNFL初キャッチを決めたばかりの新人が、QBのパスの精度やプレーコールを批判したためチーム内外で不興を買い、コーチたちからこっぴどく叱られて神妙な謝罪コメントとなった。

身長6フィート5(195cm)のサイズとスピードを兼ね備えた魅力的な素材だが、いかにも名門テキサス大で甘やかされたらしき精神的未熟さは進歩の妨げになりかねない。こうした「未完の大器」タイプのTEはNFLじゅうに数多いからだ。ドナルド・リーの先発の座を脅かせるかどうか、プロ2年目の成長が大いに注目されている。

トリー・ハンフリー Tory Humphrey

セントラル・ミシガン大から2005年にドラフト外入団し、NFLヨーロッパ派遣やプラクティス・スクワッドを経て2006年にロースター入り。しかし毎年ケガに悩まされ、2008年が初めてのフル出場だった。パスキャッチ11回162ydsを記録し、キャッチミスはゼロ。しかしサイズはTE陣で最も小さく(身長6フィート2)、ブロッキングは物足りない。フィンリーが入団したいま、ハンフリーの成長を待って使い続ける価値があるのかどうか。今夏もまた開幕ロースター入りを賭けて必死で争う必要がありそうだ。

2009年2月18日

シーズン総括と展望 FB編

2007年春のヘンダーソン退団以来、大きな弱点ではないが強力でもない微妙なユニットである状態が続いている。ボールキャリアーはジョン・クーンしかできず、逆にレシーバーとしてはコーリー・ホールが優れている。いちおうホールがスターターだが、実際はほぼ同格。FB2人を両方投入するラン隊形からプレーアクションパスを投げる工夫もあるが、WR5人やTE3人の隊形など、FBの出場機会がそもそもあまり多くない。スペシャルチーマーとしては2人とも優秀で、頼りになる。

2人ともまだ若く伸びシロはあるが、この2シーズンの成長はさほどでもなく、けっきょく「そこそこ」止まりなのかもしれない。今年新戦力の補強に動くのか難しいところだが、FAでベテランを獲る可能性もドラフト指名の可能性もある。逆にまったく動かなくてもおかしくはない。ディフェンスやOLと比べると補強の優先度は高くない。

コーリー・ホール  Korey Hall

ボイジー州立大ではLBとして大活躍し、6巡指名入団と同時にフルバックに転向。器用さはあるが、サイズがやや小さく、相手にオーバーパワーされる場面も少なくない。1年目に2試合、2年目に5試合欠場し、ケガがやや多い。"Bad Run"(1yds以下のラン)の原因を作った回数は前年の10回から4.5回に減ったが、出場スナップ数が32.9%からわずか18.3%に減ったのだから、あまり違いはないのかも。開幕戦でQBロジャースの初TDパスをキャッチしたように、レシーバーとしてのセンスは悪くなく(キャッチミスもゼロ)、パス攻撃のセーフティバルブとして今後さらに活躍できる可能性はある。

ジョン・クーン John Kuhn

シッペンバーグ大(ディビジョンII)では大型RBとして活躍し、4685ydsラッシング、53TDなど、数々の同大記録を打ち立てた。2005年にドラフト外でスティーラーズに入団してフルバックとなり、翌年ロースター入りを果たす。2007年開幕前に解雇されてパッカーズに移り、ホールと若手コンビを組んできた。259ポンド(117kg)のサイズとパワーがあり、ハマったときの迫力はホール以上。3rdダウン1や4thダウン1の専門家として4回連続でコンバージョンを成功させたが、パンサーズ戦では第4Qにゴール前でランを止められたことが敗戦に直結した。落球率14.3%と、レシービングは安定感を欠く。

2009年2月17日

シーズン総括と展望 RB編

それなりの数字は残したものの、エースRBライアン・グラントはハムストリングのケガに悩まされ続け、2007年後半のようなビッグプレーは影をひそめた。ならばもっとRBブランドン・ジャクソンを使えばいいものを、万全でないグラントを多用し続けたことは、今オフに入ってからも批判の声が多い。「まるでグラントに与えた高額契約を正当化しようとするかのような起用法」と揶揄する向きもあるほど。

いっぽうで、ラン攻撃不振はグラントやブロッキングのせいばかりではない。2007年にはマルチプルWR攻撃が大成功を収め、シーズン後半は「パスが出るからランも出る」という好循環だった。しかし2008年は新先発QBにそこまで思い切った攻撃をさせるわけにもいかず、相手ディフェンスは「まずランを止めてQBを3rdダウンロングに追い込む」という気構えでセーフティをどんどん上げてくる。それでもこちらは新先発QBを守るため、止められるのを承知でランをコールする場面も少なくなかった。QBロジャースへの信頼が深まった来季は、もっと思い切ったパス攻撃を展開(マッカーシーHCもそうした発言をしている)できれば、ランも出やすくなるかもしれない。

今のところRB陣に1人もケガ人がおらず、デショーン・ウィンやクレッグ・ランプキンの成長も期待できるので、他のポジションとくらべ補強の優先度は高くない。おそらくFA市場では動かず、ドラフト中位以降で魅力的な素材がいれば指名する程度ではないか。前述のように、グラント一辺倒を続けるのか、キャリー分散型にするのか、補強よりもむしろ起用法が注目されている。

ライアン・グラント Ryan Grant

大型契約を求めたホールドアウトで出遅れ、キャンプ合流直後にハムストリングを負傷。けっきょくシーズン半ばまで影響が残ってしまった。穴を抜けたあとの加速や鋭いカットバックができず、2007年のように二塁打をホームランにできない。全試合出場できたためNFL9位の1203ydsを記録したが、1回平均ydsは2007年の5.1ydsから3.9ydsへと大幅にダウン。オフシーズン練習欠席の悪影響はボールキャリー以外の仕事にもおよび、ブリッツのピックアップ(被サック3回許す)、パスキャッチ(落球率9.1%)などで進歩が見られなかった。

起用法はともかく、ケガを押してもエースとしてフル出場したタフネス(312キャリーはNFL5位)は評価していい。大型契約をしたとたんに、あそこが痛いここが痛いと言って休みがちになるパターンは少なくないからだ。プレミア級ではないにしても、立派にスターターが務まることは認められている。今年はブロッキングなど細かい技術を向上させ、エヴリダウンバックとしてもう一皮むけたいところ。3rdダウンで安心して彼を使えるようになれば、逆に3rdダウンバックのジャクソンを早いダウンで使いやすくもなる。

ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson

ドラフト2巡指名選手としては不本意かもしれないが、2年目シーズンはブロッキングやパスキャッチに優れた3rdダウンバック専門としての起用。しかし起用法とは逆に、数字が伸びたのはラッシング(平均3.6yds→5.5yds)の方で、ラインの後で穴が開くのを忍耐強く待てるようになったのがいい。相手に警戒されていない面があるのかもしれないが、少ないラン機会にロングゲインを繰り出す場面が目立った。グラントのようなカットバックはせず、スピードで直線的に突っ込み、タックルを破る馬力も意外にある。

いっぽうパスキャッチは回数こそ16回から30回に増えたものの、1回平均は8.1ydsから6.2ydsへとダウン。落球率も前年の13.6%よりはマシになったが、10.1%はまだまだ高すぎる。ブロックミスによるサック献上も2回あり、3rdダウンバックとして一流になるにはもっとパスプレーで貢献したい。

デショーン・ウィン DeShawn Wynn

2007年の7巡指名選手。開幕ロースターに残れず解雇されたが、下記のランプキンの負傷でプラクティス・スクワッドから昇格。1年目もRB陣のケガのためにロースターに勝ち残っており、どこまでも悪運が強い。自己管理が甘くケガに弱い選手だが、この2年で精神的に成長した、とコーチ陣は(手放しではないものの)それなりに評価している。最終戦で71ydsTDランを含む7回106ydsを走ったほか、巧みなブリッツのピックアップでビッグプレーを支えたゲームもあった。

サイズ(240ポンド前後)・スピード(4.48秒)に加えてセンスもよく、上記2人が負傷したらスターターを務めてもおかしくない器ではある。あとは、フロリダ大学時代から指摘されている精神面の幼さが解消され、オフシーズンにしっかり体作りをすること。それができなければ、けっきょく上記2人を脅かすことはできず、今度こそ次のチームを探すことになるだろう。

クレッグ・ランプキン Kregg Lumpkin

ジョージア大ではケガばかりで才能が発揮できず(4年間で1699yds)、昨年ドラフト外でパッカーズに入団した。キャンプやプレシーズンの活躍が認められ、3番手RBとして開幕ロースター入りする快挙。第2週ライオンズ戦で1回19yds、パスキャッチ3回22ydsを記録したが、第3週にハムストリングを負傷してしまい、残念ながらインジャリーリザーブ入りとなった。ウィンと似たサイズのパワーランナーで、器用さもある。開幕戦で積極的に起用されたように、首脳陣からも将来性は高く評価されていて、今年もウィンと3番手争いになりそう。

2009年2月16日

シーズン総括と展望 QB編

16年間スターターを務めたファーヴが抜け、「3人合わせて先発経験ゼロ」で開幕を迎えたQB陣。ようやくスターターのチャンスをつかんだQBアーロン・ロジャースが期待以上の働きを見せ、開幕からオフェンスをよく引っ張った。NFL北地区3球団で先発QB問題が存在しないのはパッカーズだけ、という状況はロジャースに代替わりしても続いているようだ。

いっぽう「控えQB陣はNFLで最低」という評価が一般的で、その弱点が露呈せずに済んだのは、ロジャースがなんとか全試合先発できたおかげ。キャンプやプレシーズンゲームでの新人2人の出来は散々で、2巡ルーキーのQBブロームは7巡ルーキーのQBフリンに敗れて3番手に転落。第4週バッカニアーズ戦でロジャースが負傷退場したあとに登場したQBフリンも、NFLの水準とはとてもいえない内容だった。

普通のチームならば、「今年は先発経験のあるベテランを1人獲って、若手と2番手の座を競わせる」というのが一般的なやり方かもしれないが、そこは若手の成長を好むトンプソンGM。昨年あれほどのリスクを冒して新人2人に控えを任せたのだから、成長が見込める2年目にわざわざ入れ替える必要はない、という考え方もできる。経験のあるQBを補強する場合(4人枠には普通できないので)、2巡指名のQBブロームはまだ解雇するわけにもいかず、昨年マシだった方のQBフリンをカットするのか、というジレンマに陥ってしまう。

それでもロジャースがファーヴと比べてケガのリスクが大きいのはたしかで、彼が大ケガしたらシーズンはおしまい、という事態は避けたい。理想的なのは、経験のあるQBを一応補強して、2年目コンビの成長を見てから開幕前に1人をカットする形かもしれない。しかし、実績のあるFA選手にとって、先発争いできる可能性のないチームは魅力的とはいえないだろう。

アーロン・ロジャース Aaron Rodgers

3年間の控え生活で着実に成長し、昇格1年目でフランチャイズQBにふさわしい活躍を見せた。ファーヴのような破天荒な魅力はないものの、すでにこれといった欠点が見あたらないのだから立派。判断がしっかりしていてパスのコントロールも非常に安定し、ロングパスの精度もいい。必ずしもパスプロには恵まれなかったが、モビリティでサックを逃れ、スクランブルで1stダウンをとる場面もしばしば。ファーヴ騒動で倍加したプレッシャーによく耐え、しっかりしたリーダーシップを発揮した。

早くも大型の契約延長にサインし、将来にわたって彼に先発QBを任せることは確定している。競り負けばかりだったとはいえ実際のところは、彼がいったん逆転ドライブを成功させても、ディフェンスがすぐに再逆転を許したり、キッカーの決勝FG失敗も2回。二度の延長戦はどちらもコイントスに負け、攻撃機会の前にあっさりディフェンスがやられておしまいだった。課題はさほど多くないが、ボールを持ち過ぎてサックを喰らうことが多いので、相手ディフェンスの読みや判断を早くすることぐらいか。

マット・フリン Matt Flynn

ジャマーカス・ラッセルの控えを3年間務めたあと先発に昇格し、ルイジアナ州立大を全米王座に導いた。昨年7巡指名で入団し、ブロームに競り勝って2番手の座を確保。しかしそれは彼がよかったからではなく、ブロームがひどすぎたから。NFLのQBとしては肩が弱く、「将来スターターが務まる器ではない」という入団時の評判は変わっていない。それでも、リーダーシップ、ポケットでの落ち着きやガッツ、プレーが崩れたときのセンスやモビリティなどは良いものを持っていて、成長しだいではウェストコーストオフェンスの堅実な控えQBとしてやっていけるかもしれない。

ブライアン・ブローム Brian Brohm

ルイヴィル大のスターとして活躍し、2巡25位でパッカーズへ。「最も即戦力に近いQB」として昨年のドラフトのトップQBに推す声もあったが、けっきょくプロのGMたちの見る目が正しかった。オフェンス習得に手間取り、相手ディフェンスの読みとなると、もう頭の中がグチャグチャ。結果として判断が遅れ、パスの正確さも損なわれてしまった。ロジャースの最初の2年間もひどかったが、ブロームの内容それを下回り、プレシーズンゲームのレーティングが45.2。リーダーシップ面でも、上記フリンと比べて評判がよくなかったらしい。

それでもQBは2年目・3年目の成長が期待できるし、マッカーシーHCは若手QB育成の大きな実績がある。いずれ大きく成長し、先発級のQBになってもおかしくはない。まずは粉々になった自信を取り戻し、フリンに勝って2番手の座を取り戻せるかどうか。

2009年2月14日

2009年パッカーズFA選手リスト

今年パッカーズからフリーエージェントになる選手は下表のとおり。用語集オフシーズンの流れも参考のこと。まず紹介するのは無制限フリーエージェント(UFA)で、どことでも好きに契約できるいわゆる普通の"フリーエージェント"のこと。今年はわずか3人、先発クラスはRTタウシャーだけ。たとえ全員と再契約してもサラリーキャップ的な心配はさほどない。

Packers 2009 Unrestricted Free Agents
Name Pos 種類 Age 備考
Mark Tauscher OT UFA 31 今春の有力FAとなるはずだったが、ACL断裂で価値暴落。再契約しない手もあるが、後任の若手OLたちが頼りない。出場試合に応じたインセンティブを多くして再契約し、若手と争わせるのが妥当か
Colin Cole DT UFA 28 3-4のノーズタックルとしてどうなのか、新スタッフの評価次第
Michael Montgomery DE UFA 25 そこそこの控えDE。3-4への転換で居場所がなくなったかも

唯一のスターターであるRTマーク・タウシャーだが、ヒザの前十字靭帯(ACL)断裂で話がややこしくなってしまった。トンプソンGMは若手を優先させることが多いが、タウシャーの代役を務めた若手たちの働きは今ひとつで、やはり再契約せざるをえないのではないかと見られている。

DLの2人はシーズン末に契約延長交渉が進み、もう少しでサインというところまで行ったらしいが、その後の新DC就任と3-4ディフェンス導入決定により、状況ががらりと変わってしまった(逆にいえば、慌てて契約延長しないでよかった)。DTコリン・コールはDTライアン・ピケットの控えとして3-4のノーズタックルが務まるのか、新コーチ陣の評価によるだろう。いっぽうDEマイケル・モンゴメリーは270ポンド級のDEであるため、3-4のDEをやるにはよほどのバルクアップが必要、アウトサイドLBをやるにはクイックネスが足りない。

◆ ◆ ◆

次に紹介する制限つきフリーエージェント(RFA)はNFL3年目を終えて契約が切れた選手で、制約があって移籍実現は難しい。スター級の選手でないかぎり、所属チームの提示した1年契約(Qualifying Offer)にサインして残留し、翌年UFAとなるのが一般的なパターン。

RFA選手へのQualifying Offerには下記の4つがあり、高い金額をオファーするほど移籍が難しくなる仕組みになっている。RFA選手は外部球団と交渉して契約オファーにサインすることはできるが、現所属球団は同等のオファーをすれば流出を阻止することができる。阻止せず流出を許す場合は、移籍先の球団からドラフト指名権を受け取ることができる。

  1. 最高額オファーは今年の場合$2.792ミリオン。このオファーをした場合、移籍先の球団は現所属球団に対してドラフト1巡指名権および3巡指名権を譲渡しなければならない。
  2. 2番目は$2.198ミリオン。獲得には1巡指名権の譲渡が必要。
  3. 3番目は$1.545ミリオン。獲得には2巡指名権の譲渡が必要。
  4. 最も安く、最も多いのが$1.01ミリオンのオファー。獲得するには、その選手が入団したときのドラフト指名巡を譲渡しなければならない。じっさいはドラフト外入団の選手が多いため(今年のパッカーズは全員ドラフト外)、このオファーをしただけでは移籍時になにも受け取ることができず、抑止力は弱い。
Packers 2009 Restricted Free Agents
Name Pos 種類 Age 備考
Atari Bigby S RFA 27 足首、ハムストリング、肩とケガばかりで不本意なシーズン。2巡オファーが妥当か。2007年後半の輝きを取り戻せるか、新ディフェンスへの適性はどうか
Ruvell Martin WR RFA 26 ランブロッキングにも優れた大型レシーバー。WRネルソンの登場で出番が減り、プレー内容もいまひとつだった
John Kuhn FB RFA 26 先発のFBホールとほぼ同格で、ショートヤーデージのボールキャリアーもできる
Tory Humphrey TE RFA 26 新人TEフィンリーに追い抜かれ3番手
Jason Hunter DE RFA 25 優れたスペシャルチーマーだが、3-4ディフェンスは不向きでは
Jarrett Bush CB RFA 24 5番手か6番手CB。セーフティ転向の試みは不発
Shaun Bodiford WR RFA 26 オファーされない見込み

今年のパッカーズで問題になりそうなのはSSアタリ・ビグビー。2007年後半の働きが続けば大型契約の可能性もあったが、先発2年目はケガに悩まされて不本意なシーズンだった。とはいえ最低額オファーでは他から横取りされそうなので、$1.545ミリオンの「2巡オファー」になるのではないか。来季の活躍次第ではシーズン中に長期契約を結ぶ可能性もある。

次に問題なのはWRルヴェル・マーティン。5番手にはもったいないようなレシーバーだが、上位4人に隠れてろくに出番もないようなら、「2巡オファー」で$1.545ミリオンも払う価値があるのかどうか。Journal Sentinel紙は最低額オファーを予想している。

FBクーン、TEハンフリー、DEハンター、CBブッシュの4人はみな最低額オファーだろうと見られている。DEハンターは上記のDEモンゴメリーと同じく、3-4に不向きだと判断されればオファーされない可能性も。WRボディフォードはケガのためインジャリー・リザーブでシーズンを過ごしたが、残留はなさそう。

2009年2月13日

"It's time to leave"

引退を表明したブレット・ファーヴが、昨年のような記者会見は開かなかったものの、電話によるインタビューを行った。そこでの話しぶりから、「やはり(今のところは)本気らしい」という見方が記者たちにも広まっている。身体的な問題が最大の理由であると強調し、またパッカーズとの感情的なしこりが完全には消えていない様子もうかがえる。

Brett Favre Notebook

2009年2月12日

QBブレット・ファーヴが引退を表明

去就の注目されていたQBブレット・ファーヴが引退を表明した。シーズン終盤5試合(1勝4敗)が2TD・9INTのレーティング55.2と惨憺たる成績で、たしかに肩のケガに苦しんではいたものの、ジェッツが8勝3敗からプレーオフを逃す元凶になってしまったのは事実。チームメイトからも批判の声があがる始末で、表向きは現役続行を希望していたジェッツ首脳も、$13ミリオンのファーヴが引退するのを望んでいるのではないかと見られていた。なお、先日すでに「引退するとしても会見は行わない」と本人が語っていたらしい。

問題は、今度こそ本当の引退なのか。「上腕の腱を断裂したので現役続行には手術が必要だが、本人は受ける気がない」という先月8日の報道は、本気引退説を裏付けている。

逆に、代理人バス・クックがジェッツに解雇を求めて断られた、という情報筋の話もESPNは伝えている。本当だとすれば、ジェッツ以外でプレーする可能性を探ったことになる。パッカーズとのトレード条件には「NFC北地区の他球団にトレードする場合は3つの1巡指名権をパッカーズに譲渡する」という強烈な条項が含まれており、当初の希望どおりヴァイキングスに行くには、まず解雇してもらって自由の身にならなければならない。ただこの情報が本当だとしても、本人でなく代理人が「ファーヴが現役復帰を望んだときに好きな球団に行けるように」と準備をしているだけかもしれない。

今回本気で引退を決断したのだとしても、また昨年のように変心する可能性はあり、今後も現役復帰の噂はいくらでも出てくるはず。

2009年2月10日

アンドリュー・ブラント: プロボウル・ウィークの恐怖

昨年1月にパッカーズを退団したアンドリュー・ブラントが、選手サラリー担当副社長だったころのプロボウルの思い出について、興味深いコラムを書いている。

私はいつも"プロボウル・ウィーク"が嫌いだった。とはいっても嫌いなのはプロボウル前の週ではなく、プロボウル後の週のことだ。魅惑の島々への旅を終え、選手たちが本土に戻ってくる。現地でたくわえた知識やアイディアや見解、そして要求をたずさえて。

ハワイでの2月第1週ほどNFLのタレント集団が集まる機会は他にない。そのため、エージェントやアドバイザーや取り巻きたちもたくさん集まってくる。そういった「ささやき屋」がフル回転し、キミはいかに不当に扱われているか、いかに安すぎるサラリーで働かされているか、より大きな契約を積極的に求めない今の代理人をいかに解雇すべきか、といった話を選手たちの耳に吹き込んで回るのだ。

首謀者はたいていエージェントで、もうじき大型契約を手にしそうなNFLのトップスターたちと付き合いを深める手段として、プロボウル旅行を活用している。

たとえばドリュー・ローゼンハウス。プロボウル・ウィークになると彼は、ホテルでも公式イベントでもロビーでもプールでも選手の個室でも、あらゆるところに姿を現す。将来の顧客たる選手たちと接触する機会をなんとかして作り出し、自分こそがキミを裕福にし、キャリア上の野心を実現する代理人であると説得するのだ。じっさい彼の顧客である選手たちが多数プロボウルに出場していて、自らの優秀さに気付いていない選手の「転向」を手助けする。チャド・ジョンソン、クリントン・ポーティス、テレル・オーウェンスといったおしゃべりな選手たちだ。

これまでに私は、「プロボウル後の不満増大」に何度も遭遇した。CBマイク・マッケンジー(管理人注 : プロボウルには出ていないので思い違いだろう)、RBアーマン・グリーン、WRジャヴォン・ウォーカー、WRドナルド・ドライバー。マッケンジーとウォーカーは(別の代理人を解雇して)ドリューを雇い、その直後からトレードへの熱心な働きかけが始まった。グリーンやドライバーはトレードを求めなかったものの、「ささやき屋」たちと1週間を過ごしてからは、もっと高額の契約が自分にはふさわしいと感じるようになった。

契約交渉担当として私が肝に銘じていたのは、彼らのエゴや不安感を決して見くびってはならない、ということだ。プロボウル・ウィークは多くの選手たちの気持ちに影響を与え、本土へ帰ってからの困難な話し合いに結びつくこともあった。試合が終わって帰国便が着陸したらすぐにでも、電話が鳴ることを私は覚悟したものだ。いつ鳴るのか、どんな要求なのかはその時どきだが、必ず来るとわかっていた。プロボウルの翌週には、リーグじゅうのチームがそうした電話を恐れ・・・じっさいに受け取ることになる。 

2009年2月 9日

キャップの余裕は$25ミリオンか

2009年度のサラリーキャップ枠はまだ確定はしていないものの、昨年より$6ミリオンほど高い約$123ミリオンあたりと予想されていて、$130ミリオン近くなる可能性もあるらしい。Press-Gazette紙によると、パッカーズは($123ミリオンだとすると)今のところ$25ミリオンほど余裕があるとのこと。

パッカーズから無制限フリーエージェントになる選手(当然キャップにはカウントされていない)は、RTマーク・タウシャー、DTコリン・コール、DEマイケル・モンゴメリーの3人だけ。昨年はDTコーリー・ウィリアムズをいったんフランチャイズ指名で引き留めた上で2巡指名権とトレードしたが、今年はフランチャイズ/トランジション指名はなさそう。彼らと再契約するとしても、ビッグマネーは不要だろう。(パッカーズからFAとなる選手の紹介はまた後日)

パッカーズにはWRジェニングスをはじめ2009年で契約の切れる主力選手が多いので、早めの契約延長を進めるために今年のキャップ枠をかなり残しておかなければならない。それでも$25ミリオンあれば、トンプソンGMさえその気になればFA市場で主要なプレイヤーとなることは十分可能と見られている。

2009年2月 7日

新コーチ陣の初インタビュー 3

新コーチたちのインタビュー集の第3回。(写真集1写真集2

2009年2月 6日

新コーチ陣の初インタビュー 2

新コーチたちのインタビュー集の第2回。(写真集1写真集2

2009年2月 5日

新コーチ陣の初インタビュー 1

ようやく新コーチ陣の顔ぶれが正式発表され、全員がインタビューを受けた。1人ずつ会見場の壇上に立つのではなく、個別のテーブルに着いて待ち、そこへ記者たちが寄り集まって好きなように質問をする形式(写真)。ジャージやセーターなど普段着のコーチが多い中、なんとケヴィン・グリーン新OLBコーチだけがビシッとスーツを着ていた。 (人数も多いので、複数回に分けて報告)

2009年2月 2日

コーチ陣すべて決まる

パッカーズの新コーチ陣が全て決まった。すでに噂になっていたとおり、CBコーチにはジョー・ウィットJrがクォリティ・コントロールから昇格、その後任にはさらに若いスコット・マカーリーが昇格した。今年入れ替わったポジションについては下表を参考のこと。

新CBコーチのジョー・ウィットJr. Joe Whitt Jr. はオーバーン大出身の30歳。ウォークオン(奨学金なし)入学からWRのローテーションに加わるほど頑張ったが、肩やヒザの度重なる大ケガでプレー続行を断念。父が同大のLBコーチをしていたこともあり、大学最後の2年間は学生アシスタントコーチとしてチームをサポートした。(父のジョーSr.は同大で25年間アシスタントコーチを務めた後、現在も新HCに請われてリクルーティングの仕事を手伝っている)

2002年に大学を卒業するとミリタリー・カレッジのシタデルでWRコーチとしてコーチ修業を始め、ルイヴィル大ではCBコーチ兼リクルーティング・コーディネーターを4年間務めた。2007年にはボビー・ペトリーノHCとともにファルコンズに移り、アシスタントDBコーチに。ペトリーノ政権が1年で崩壊すると昨年3月にパッカーズのクォリティ・コントロールとなり、わずか1年でCBコーチに昇格することになった。

新クォリティ・コントロールのスコット・マカーリー Scott McCurley は現在28歳。ウォークオンで入ったピッツバーグ大ではLBをプレーし、WRラリー・フィッツジェラルドともチームメイト。卒業直後から母校でコーチのキャリアを始め、(デラウェア大に転校する前の)QBジョー・フラッコを指導したこともある。パッカーズではインターンを経て2年前に Coaching Administrator として正式採用。ゲームプラン作成やスタッツ分析や選手評価などでコーチ陣をアシスト、練習ではウィンストン・モスLBコーチをアシスト、試合ではサンダースDCをアシストする役目だった。

上記マカーリーの後任のコーチング・アドミニストレーターとして元RB/KRチャド・モートンの入団も発表された。USC出身の31歳。2000年のドラフト5巡指名でセインツに入団し、翌年からはジェッツ、レッドスキンズ、ジャイアンツでそれぞれ2年間ずつプレーした。RBよりも小兵のリターナーとしての活躍で知られ、パント/キックオフあわせて4回のリターンTDを記録、プロボウルの補欠に選ばれたこともある。

なお先月パッカーズから解任されたロバート・ナンは、かつての上司ジム・ベイツの誘いでバッカニアーズのDLコーチに。トレーニングコーチのロック・ガリクソンはラムズ入団が決まった。

2009 Packers Coaching Staff Changes
Position 2008 2009 備考
Defensive Coordinator Bob Sanders Dom Capers いわずとしれた名DC
Defensive Line (End) Carl Hairston Mike Trgovac 元パンサーズDC
Defensive Line (Tackle) Robert Nunn
Linebackers (Inside) Winston Moss Winston Moss 留任だがインサイドLB専任に
Linebackers (Outside) Kevin Greene NFL史上3位のパスラッシャー
Safeties Kurt Schottenheimer Darren Perry ケイパースのPITでの教え子
Cornerbacks Lionel Washington Joe Whitt Jr. 上記参照
Defensive Quality Control Joe Whitt Jr. Scott McCurley 上記参照
       
Offensive Quality Control Ty Knott John Rushing ユタ州立大のDBコーチ
       
Special Teams Coordinator Mike Stock Shawn Slocum アシスタントから昇格
Special Teams Assistant Shawn Slocum Curtis Fuller 現役時はパッカーズにも在籍
       
Strength & Conditioning Rock Gullickson Dave Redding ショッテンハイマー人脈

2009年2月 1日

QBアーロン・ロジャースのインタビュー

オーストラリアでの休暇を終えたQBアーロン・ロジャースが、スーパーボウルに合わせてタンパを訪問中。さっぱりとヒゲを剃った姿で、パッカーズのPR担当をともない、ラジオ局などたくさんのメディアのインタビューをこなしている(写真)。一介の控えQBに過ぎなかった昨年とは扱いが全く違っているが、それでも聞かれる質問は「あの人」の話が多い。

「こうしてスーパーボウルウィークにラジオ・ショーに連続出演したのは初めてだ。いつもはただ街に来て、ブラブラして、イベントとかに出席し、いくつかパーティに出る。今年は地元だけじゃなく国じゅうの異なったメディアに顔を見せ、今シーズンのまとめをする必要があると感じたんだ」

「一番多くされる質問は、昨夏のブレット・ファーヴ騒動にどう対処したか、だね。それから、誰の支えを頼りにしてる、とか、チームが6勝10敗に終わった理由とか。その最後の質問に答えるのが一番難しいよ。聞かれるたびに違った答えを言ってる気がする(笑)」

「見た目のスタッツはすごくよかったけど、クォーターバックというのは勝敗で判断される。そして僕らは6つしか勝てなかった。4点差以下の敗戦が7回、それが一番つらかったし、腹立たしいことだった。それらはみな勝つチャンスがあったわけだから。試合最後から2番目のドライブはいつもすごくいいのに、(再逆転された後の)最後のドライブをモノにすることができなかった。その多くはクォーターバックとして自分に責任がある。勝つために給料をもらってるんだし、終盤に勝負強いプレーをするために給料をもらってるのに、僕はそれができなかった。それが残念だ」

「でも全ての経験から学び、今後に活かすしかない。毎週負けが続くのは大変だったけど、うまく行かなかったことを受け入れて、それを改善していかないと。ほんとうに2009年シーズンが待ちきれないよ。残念なシーズンだったけど、最終戦の翌朝目を覚まし、『次のチーム練習が待ち遠しい』 って心構えがすでに出来ていた」

「最終戦に勝ってフィールドを去るとき、ファンが温かいスタンディング・オベーションで見送ってくれた、これは僕のキャリアを通してトップ5に入る思い出になった。あれこそウチのファンのクレイジーなところで、だから僕は彼らを愛してるんだ。あそこまで5連敗、みんな終盤で競り負けばかり。それなのに、最終戦に勝った僕らにあのようにしてくれたんだから。ものすごい愛とサポートがある。ふつう6勝10敗ではあんなことは期待できないし、僕にとってはなおさら特別な瞬間だった」

「オーストラリアでの休暇中はフットボールのニュースを完全に遮断していたから、帰国して初めてコーチ陣の解任を知った。一番がっかりしたのは(クォリティ・コントロールの)タイ・ノットの退団だ。いい友人だったから。ボブ(サンダースDC)やロバート(ナンDTコーチ)たちとも3年か4年の付き合いだから残念だ。この業界の厳しいところだね」

「ドム・ケイパース新DC(1年ペイトリオッツにいた)についてトム・ブレイディに聞いてみたんだけど、彼はドムのことを絶賛していた。とてもインテリジェントで、人格も立派で、よき教師。極めて才能あるコーチであり、誰からも尊敬されていたって。僕としては、3-4へのスキーム転換にも興奮してる。たぶん以前より少しアグレッシブになるだろう。練習で3-4ディフェンスと対戦できるのもいいことだ。僕らオフェンス側が3-4のことをより研究でき、3-4のチームとの対戦に役立つだろう」

「昨年不振だったチームが今年躍進したのはとても励みになるね。それがNFLのいいところだ。ふつうプレーオフ12チームのうち半分が来年はプレーオフに出られず、前年出られなかったチームが半分を奪う。そしてプレーオフに出さえすれば、なにが起きてもおかしくないんだ」

「なぜブレットから連絡がないか? わからない。それは彼に聞くべきだよ。彼の気持ちを代弁はできないし。去年NFC決勝でジャイアンツに負けて、僕らは友人として別れた。でもその後1年たっても彼とは話をしていない」
Q. なぜキミから連絡を取らないの?
「したよ」
Q. じゃあキミが連絡したけど、むこうがかけ直してこなかった?
「そう」