グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年2月25日

シーズン総括と展望 LB編

まずまず充実したユニットと見られていたが、ケガとディフェンシブラインの戦力低下により、予想外の不振に苦しんだ。ミドルLBバーネットは第11週にヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂、ウィークサイドLBのA.J.ホークもシーズンを通してケガに苦しんだ。ストロングサイドでは、FA補強のブランドン・チラーがブレイディ・ポピンガとの開幕スターター争いには敗れたものの、パスシチュエーションで起用される機会が次第に増え、LBバーネット戦線離脱後はウィークサイドでスターターを務めた。

今オフは3-4ディフェンスへの転換が決まり、DL陣同様に大きな変化が待っている。インサイドLBのコンビはバーネット(ウィークサイド)とホーク(ストロングサイド)でほぼ決まり、バーネットの復帰が遅れればチラーかビショップが代役を務めることになりそう。左アウトサイドはアーロン・キャンプマンがDEから移ってくる。問題は右アウトサイドで、今のロースターから選ぶならブレイディ・ポピンガだが、新戦力がスターターとなる可能性はじゅうぶんある。

今年のFA市場の目玉となるはずだったDEジュリアス・ペッパーズ(CAR)もLBテレル・サッグス(BAL)もすでにフランチャイズ指名されてしまい、獲得したければトレードしかない。それ以外には大物のパスラッシャーは残っていない。「パッカーズはFAでは大物を狙ってはおらず、獲るとしても地味目の選手だろう」という見方が一般的。ドラフトではパスラッシュLB/軽量DEがかなり豊作のようで、上位指名が有力視されている。

ニック・バーネット  Nick Barnett

オレゴン州立大から2003年のドラフト1巡指名で入団、1年目からずっとミドルLBとしてディフェンスの中核を担ってきた。2007年にはプロボウルにあと一歩まで迫る働きを見せたが、2008年は予想外の不振で、プレーぶりが大人しくなり、ビッグプレーが影をひそめた。9試合でINTゼロ、サックゼロ、ファンブルリカバリーゼロ、ファンブルフォース1回のみ。さらに第11週ヴァイキングス戦でヒザのACLを断裂してシーズンエンド。リハビリはかなり順調で、このまま行けばキャンプ開始に間に合うかもしれない。

3-4ディフェンスとなる今年は、インサイドLBのウィークサイドを担当するものと見られている。公称236ポンド、昨季の実際のプレー体重は230ポンドを切っていたらしいので、スキーム変更は彼にとって不利ではないか。彼がブロッカーの荒波にさらされないよう、ノーズタックルがダブルチームをしっかり受け止めることも重要になる。

A.J. ホーク  A.J. Hawk

オハイオ州立大から2006年の1巡5位指名で入団。飛躍を期待されながら、キャリア最低のシーズンに終わった。キャンプ序盤で胸部を負傷してプレシーズンを全休、シーズン序盤には鼠蹊部を痛め、本来の動きがなかなか戻らなかった。バーネットの戦線離脱のためウィークサイドからミドルに移ったが、よかったのは最初のベアーズ戦だけ。ラン守備では相手ブロッカーを吹っ飛ばすような迫力がなく、パスカバレッジも不安定。ブリッツ10.7回に1回しかサック(計3回)を挙げられなかったのはLB陣最低で、インターセプトもゼロ。

ケガは同情できるものの、超一流LBへとブレークしきれないのは彼自身にも問題があるとの見方が少なくない。シュアなタックラーでアサインメントを完璧にこなす安定感はあるが、枠からはみ出るようなアグレッシブさに欠け、基本的に受け身で、ビッグプレーが少ない。激しさ、気合い、思い切り、激情といったメンタルな部分の問題ではないか、と言われ始めている。ケガを言い訳にしない頼りになるチームメイトであり、大変な練習の虫であるだけに、伸び悩みが歯がゆい。

今年はバーネットとともに3-4のインサイドに入り、彼はストロングサイドに入るものと見られている。相手ブロッカーの多いサイドであるため、それをかき分けていく強さが重要になる。コンバートは彼にうってつけ、という見方と、その逆の見方がある。

ブレイディ・ポピンガ Brady Poppinga

ブリガム・ヤング大から2005年のドラフト4巡指名で入団し、2年目からストロングサイドのスターターを務めている。昨年はライバルとしてチラーが入団したが、キャンプでの争いに勝ってスターターの座を確保。ただし、彼のパスカバレッジの拙さを補うため、パスシチュエーションではサイドラインに下がってチラーが入る場面が多かった。それでもカバレッジはそれなりに向上し、パス成功1回あたりのゲインがわずか6.3yds、TDは一度も許さなかった。終盤はパスラッシャーとして右DEに入る機会が計46スナップあったがサックはゼロで、ほとんどインパクトはなかった。

LB陣では最も大きい6フィート3、247ポンドのサイズがあり、(上記ホークとは逆に)やたらとテンションが高く激しいプレースタイルが持ち味。大学では4年目の途中までは先発右DEをしており(通算20サック)、3-4のアウトサイドLBがかえってハマってもおかしくない。今夏は右OLBの先発争いが注目される。

ブランドン・チラー Brandon Chillar

UCLAから2004年のドラフト4巡でラムズに入団し、昨年パッカーズにFA移籍してきた。ディフェンス習得に手間取ってポピンガとの先発争いに敗れたが、しだいに実力を発揮してパス守備で出場機会を増やし、バーネットの戦線離脱で7試合にわたって先発ウィークサイドLBを務めた。頭脳と嗅覚に優れたセンスのよい選手で全LBのポジションがこなせる。とくにパスカバレッジがよく、相手TEが一度も100ydsレセプションできなかったのは彼のおかげ。パスのブレークアップは9回もあり、他のLBの合計がわずか6回だった。

いっぽうラン守備はパス守備に比べるといまひとつで、相手ブロッカーを受け止めずに避けようとする傾向がある。3-4への転換は彼にとってはどちらかというとマイナスと思われ、バーネットの回復やOLB補強がうまくいけば再び控えに戻ることになりそうだ。マッカーシーHCによると、インサイドとアウトサイドの両方で試すとのこと。サブ・パッケージで彼の能力を活かすかも、との発言があったので、昨季同様ニッケルやダイム隊形で出番を作ってもらえるかもしれない。

デズモンド・ビショップ Desmond Bishop

カリフォルニア大から2007年のドラフト6巡で入団し、LBアブドゥル・ホッジらを退けて控えミドルLBの座を確保している。チラーの欠場した第14週テキサンズでは、ウィークサイドで初先発も果たした。チーム最多のファンブルフォース3回を挙げるなど、少ない出番でビッグプレーを次々に繰り出したものの、バーネットの退場後ミドルLBに入ったヴァイキングス戦ではRBテイラーに47ydsのTDレセプションを許すなど、ビッグプレーを許した回数も多いシーズンだった。スピードはないがハードヒッターで、嗅覚にも優れている。今年はインサイドだけでなくアウトサイドでも試す、とマッカーシーHC。

ダニー・ランサナー  Danny Lansanah

コネチカット大出身のドラフト外ルーキー。10月上旬、プラクティス・スクワッドにいた彼がドルフィンズに奪われそうになったため、スペシャルチーマーのLBトレイシー・ホワイトを解雇して彼をロースターに昇格させた。その人事がスペシャルチームの弱体化に拍車をかけた、と批判されている。出場は5試合、スペシャルチームで2タックルを記録。40yds走4.7秒前後の選手だが、ハードヒッターでパスラッシュ能力もあるらしい。マッカーシーHCによるとインサイドのストロングサイドとのこと。

スペンサー・ヘイヴナー  Spencer Havner

チラーと同じUCLAから2006年のドラフト外で入団、この2年はプラクティス・スクワッドにいたが、12月の初めにロースターに昇格し、スペシャルチームで3タックルを記録。

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