グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年2月17日

シーズン総括と展望 RB編

それなりの数字は残したものの、エースRBライアン・グラントはハムストリングのケガに悩まされ続け、2007年後半のようなビッグプレーは影をひそめた。ならばもっとRBブランドン・ジャクソンを使えばいいものを、万全でないグラントを多用し続けたことは、今オフに入ってからも批判の声が多い。「まるでグラントに与えた高額契約を正当化しようとするかのような起用法」と揶揄する向きもあるほど。

いっぽうで、ラン攻撃不振はグラントやブロッキングのせいばかりではない。2007年にはマルチプルWR攻撃が大成功を収め、シーズン後半は「パスが出るからランも出る」という好循環だった。しかし2008年は新先発QBにそこまで思い切った攻撃をさせるわけにもいかず、相手ディフェンスは「まずランを止めてQBを3rdダウンロングに追い込む」という気構えでセーフティをどんどん上げてくる。それでもこちらは新先発QBを守るため、止められるのを承知でランをコールする場面も少なくなかった。QBロジャースへの信頼が深まった来季は、もっと思い切ったパス攻撃を展開(マッカーシーHCもそうした発言をしている)できれば、ランも出やすくなるかもしれない。

今のところRB陣に1人もケガ人がおらず、デショーン・ウィンやクレッグ・ランプキンの成長も期待できるので、他のポジションとくらべ補強の優先度は高くない。おそらくFA市場では動かず、ドラフト中位以降で魅力的な素材がいれば指名する程度ではないか。前述のように、グラント一辺倒を続けるのか、キャリー分散型にするのか、補強よりもむしろ起用法が注目されている。

ライアン・グラント Ryan Grant

大型契約を求めたホールドアウトで出遅れ、キャンプ合流直後にハムストリングを負傷。けっきょくシーズン半ばまで影響が残ってしまった。穴を抜けたあとの加速や鋭いカットバックができず、2007年のように二塁打をホームランにできない。全試合出場できたためNFL9位の1203ydsを記録したが、1回平均ydsは2007年の5.1ydsから3.9ydsへと大幅にダウン。オフシーズン練習欠席の悪影響はボールキャリー以外の仕事にもおよび、ブリッツのピックアップ(被サック3回許す)、パスキャッチ(落球率9.1%)などで進歩が見られなかった。

起用法はともかく、ケガを押してもエースとしてフル出場したタフネス(312キャリーはNFL5位)は評価していい。大型契約をしたとたんに、あそこが痛いここが痛いと言って休みがちになるパターンは少なくないからだ。プレミア級ではないにしても、立派にスターターが務まることは認められている。今年はブロッキングなど細かい技術を向上させ、エヴリダウンバックとしてもう一皮むけたいところ。3rdダウンで安心して彼を使えるようになれば、逆に3rdダウンバックのジャクソンを早いダウンで使いやすくもなる。

ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson

ドラフト2巡指名選手としては不本意かもしれないが、2年目シーズンはブロッキングやパスキャッチに優れた3rdダウンバック専門としての起用。しかし起用法とは逆に、数字が伸びたのはラッシング(平均3.6yds→5.5yds)の方で、ラインの後で穴が開くのを忍耐強く待てるようになったのがいい。相手に警戒されていない面があるのかもしれないが、少ないラン機会にロングゲインを繰り出す場面が目立った。グラントのようなカットバックはせず、スピードで直線的に突っ込み、タックルを破る馬力も意外にある。

いっぽうパスキャッチは回数こそ16回から30回に増えたものの、1回平均は8.1ydsから6.2ydsへとダウン。落球率も前年の13.6%よりはマシになったが、10.1%はまだまだ高すぎる。ブロックミスによるサック献上も2回あり、3rdダウンバックとして一流になるにはもっとパスプレーで貢献したい。

デショーン・ウィン DeShawn Wynn

2007年の7巡指名選手。開幕ロースターに残れず解雇されたが、下記のランプキンの負傷でプラクティス・スクワッドから昇格。1年目もRB陣のケガのためにロースターに勝ち残っており、どこまでも悪運が強い。自己管理が甘くケガに弱い選手だが、この2年で精神的に成長した、とコーチ陣は(手放しではないものの)それなりに評価している。最終戦で71ydsTDランを含む7回106ydsを走ったほか、巧みなブリッツのピックアップでビッグプレーを支えたゲームもあった。

サイズ(240ポンド前後)・スピード(4.48秒)に加えてセンスもよく、上記2人が負傷したらスターターを務めてもおかしくない器ではある。あとは、フロリダ大学時代から指摘されている精神面の幼さが解消され、オフシーズンにしっかり体作りをすること。それができなければ、けっきょく上記2人を脅かすことはできず、今度こそ次のチームを探すことになるだろう。

クレッグ・ランプキン Kregg Lumpkin

ジョージア大ではケガばかりで才能が発揮できず(4年間で1699yds)、昨年ドラフト外でパッカーズに入団した。キャンプやプレシーズンの活躍が認められ、3番手RBとして開幕ロースター入りする快挙。第2週ライオンズ戦で1回19yds、パスキャッチ3回22ydsを記録したが、第3週にハムストリングを負傷してしまい、残念ながらインジャリーリザーブ入りとなった。ウィンと似たサイズのパワーランナーで、器用さもある。開幕戦で積極的に起用されたように、首脳陣からも将来性は高く評価されていて、今年もウィンと3番手争いになりそう。

カテゴリ : Player