グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年2月16日

シーズン総括と展望 QB編

16年間スターターを務めたファーヴが抜け、「3人合わせて先発経験ゼロ」で開幕を迎えたQB陣。ようやくスターターのチャンスをつかんだQBアーロン・ロジャースが期待以上の働きを見せ、開幕からオフェンスをよく引っ張った。NFL北地区3球団で先発QB問題が存在しないのはパッカーズだけ、という状況はロジャースに代替わりしても続いているようだ。

いっぽう「控えQB陣はNFLで最低」という評価が一般的で、その弱点が露呈せずに済んだのは、ロジャースがなんとか全試合先発できたおかげ。キャンプやプレシーズンゲームでの新人2人の出来は散々で、2巡ルーキーのQBブロームは7巡ルーキーのQBフリンに敗れて3番手に転落。第4週バッカニアーズ戦でロジャースが負傷退場したあとに登場したQBフリンも、NFLの水準とはとてもいえない内容だった。

普通のチームならば、「今年は先発経験のあるベテランを1人獲って、若手と2番手の座を競わせる」というのが一般的なやり方かもしれないが、そこは若手の成長を好むトンプソンGM。昨年あれほどのリスクを冒して新人2人に控えを任せたのだから、成長が見込める2年目にわざわざ入れ替える必要はない、という考え方もできる。経験のあるQBを補強する場合(4人枠には普通できないので)、2巡指名のQBブロームはまだ解雇するわけにもいかず、昨年マシだった方のQBフリンをカットするのか、というジレンマに陥ってしまう。

それでもロジャースがファーヴと比べてケガのリスクが大きいのはたしかで、彼が大ケガしたらシーズンはおしまい、という事態は避けたい。理想的なのは、経験のあるQBを一応補強して、2年目コンビの成長を見てから開幕前に1人をカットする形かもしれない。しかし、実績のあるFA選手にとって、先発争いできる可能性のないチームは魅力的とはいえないだろう。

アーロン・ロジャース Aaron Rodgers

3年間の控え生活で着実に成長し、昇格1年目でフランチャイズQBにふさわしい活躍を見せた。ファーヴのような破天荒な魅力はないものの、すでにこれといった欠点が見あたらないのだから立派。判断がしっかりしていてパスのコントロールも非常に安定し、ロングパスの精度もいい。必ずしもパスプロには恵まれなかったが、モビリティでサックを逃れ、スクランブルで1stダウンをとる場面もしばしば。ファーヴ騒動で倍加したプレッシャーによく耐え、しっかりしたリーダーシップを発揮した。

早くも大型の契約延長にサインし、将来にわたって彼に先発QBを任せることは確定している。競り負けばかりだったとはいえ実際のところは、彼がいったん逆転ドライブを成功させても、ディフェンスがすぐに再逆転を許したり、キッカーの決勝FG失敗も2回。二度の延長戦はどちらもコイントスに負け、攻撃機会の前にあっさりディフェンスがやられておしまいだった。課題はさほど多くないが、ボールを持ち過ぎてサックを喰らうことが多いので、相手ディフェンスの読みや判断を早くすることぐらいか。

マット・フリン Matt Flynn

ジャマーカス・ラッセルの控えを3年間務めたあと先発に昇格し、ルイジアナ州立大を全米王座に導いた。昨年7巡指名で入団し、ブロームに競り勝って2番手の座を確保。しかしそれは彼がよかったからではなく、ブロームがひどすぎたから。NFLのQBとしては肩が弱く、「将来スターターが務まる器ではない」という入団時の評判は変わっていない。それでも、リーダーシップ、ポケットでの落ち着きやガッツ、プレーが崩れたときのセンスやモビリティなどは良いものを持っていて、成長しだいではウェストコーストオフェンスの堅実な控えQBとしてやっていけるかもしれない。

ブライアン・ブローム Brian Brohm

ルイヴィル大のスターとして活躍し、2巡25位でパッカーズへ。「最も即戦力に近いQB」として昨年のドラフトのトップQBに推す声もあったが、けっきょくプロのGMたちの見る目が正しかった。オフェンス習得に手間取り、相手ディフェンスの読みとなると、もう頭の中がグチャグチャ。結果として判断が遅れ、パスの正確さも損なわれてしまった。ロジャースの最初の2年間もひどかったが、ブロームの内容それを下回り、プレシーズンゲームのレーティングが45.2。リーダーシップ面でも、上記フリンと比べて評判がよくなかったらしい。

それでもQBは2年目・3年目の成長が期待できるし、マッカーシーHCは若手QB育成の大きな実績がある。いずれ大きく成長し、先発級のQBになってもおかしくはない。まずは粉々になった自信を取り戻し、フリンに勝って2番手の座を取り戻せるかどうか。

カテゴリ : Player