グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2008年6月18日

ドラフト指名選手紹介 5: DEジェレミー・トンプソン

4巡3位 | Jeremy Thompson | Defensive End | Wake Forest  | Senior |
6-4 (194cm) | 264lbs(120kg) | 40yds/4.75秒 | 1985年10月9日生 |

経歴 : ノースカロライナ州シャーロット出身。子供の頃から兄のOTオーリン・トンプソンと競い合いながら育った。高校ではDEをプレーする以外に、バスケットボールでも活躍した(高校時代の情報があまりない)。同州のウェイクフォレスト大に進むと、レッドシャツを経ず1年目から全試合に出場して3試合に先発。しかし2年目シーズンの終盤にヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂し、3年目まで悪影響が残った。

4年目の昨季は肩のケガに悩まされながらも、シーズン6.5サック、46タックル、11ロスタックルの活躍を見せた。開幕戦ではボストン・カレッジのQBマット・ライアン(1巡3位でATL)を二度サックしている。大学では右サイドオンリーでプレーしていたようだ。

Strengths : 十分なサイズのある優れたアスリート。嗅覚に優れ、常にボールのそばにいる。素早いフットワークとフレキシブルなボディバランスで、相手OLに崩されにくい。腕が長く、見た目は細いが、ポイントオブアタックで持ちこたえる馬力もある。逆サイドへのランプレーでもしっかりコンテインする。3コーンドリルが6.97秒は全DE中2位のタイム。複雑なディフェンスでも問題なく理解できる頭脳がある。

Weakness : 爆発的な加速でOTの外を回り切るようなスピードラッシャーではない。パスラッシュ技術のバリエーションが少なく、コンスタントにQBにプレッシャーがかけられない。ときどき腰高になることがある。しっかりラップアップせずタックルミスすることがある。大学2年目でヒザの前十字靭帯(ACL)断裂、昨年は肩の打撲に苦しんだ。

メンタル面 : ハードワーカーで頭もよく、人格面は申し分ない。全米スポーツマンシップ賞のファイナリスト(10人)にも選ばれた。ワンダーリックテスト24点は、DL選手としては高いほう。学業も順調で、最後の科目の試験がドラフトの翌日とのこと。今日はお祝いを早めに切り上げて必死に勉強し、月曜に試験を受け、火曜からフットボールに集中する、と本人は指名直後のインタビューで語っていた。

指名の経緯 : 昨年は先発右DEのカレン・ジェンキンズがケガに苦しみ、バジャ=ビアミラがもう30歳、マイケル・モンゴメリーも伸び悩んでいるため、ドラフト中位でのDEはニーズに合った指名と言えそう。

ドラフト初日に1巡30位から2巡5位にトレードダウンし、ジェッツから4巡14位を手に入れていたパッカーズは、5巡27位指名権をジェッツに譲渡して4巡14位から4巡3位にトレードアップして彼を指名した。テッド・トンプソンGMはシーホークス時代を含めて昨年まで8回のドラフトを指揮し、トレードダウン14回、トレードアップゼロ。その彼が9回目のドラフトで初のトレードアップしたのだから、評価の高さがうかがえる。

ドラフト後のトンプソンGMの会見では、記者から「初トレードアップおめでとう」の声。「みなさんに見せるためにやったんだよ(笑)。本当のところ、我々が非常に気に入った選手がそこにいて、トレードアップも決して軽率でない、と考えたからだ。以前にもやろうとしたことはあるが、結果としてまとまらなかっただけだ。今回はジェレミーを手に入れることができて我々はとても喜んでいる。我々は彼を非常に高く評価していたので、4巡で残っていることに驚いた。そのことがトレードアップの原動力になった」

パッカーズにとって : 快速パスラッシャー的なタイプではなく、ラン守備もよい万能タイプ。メンタルのしっかりしたハードワーカーという点も含め、「アーロン・キャンプマンに似たタイプ」との評判がドラフト前から少なくなかった。キャンプマンの控えにうってつけと見られているが、大学では右サイド専門でプレーしていた。先日のOTAで左サイドばかりやらせていたのは、左右の適性を見極めるためかもしれない。

キャンプマンはケガも少なく、全スナップの90%以上プレーできるスタミナがあるので、控えの必要性は見過ごされがち。しかし今年はDTコーリー・ウィリアムズが抜け、インサイドからのパスラッシュ力のダウンが懸念されるため、パスシチュエーションではできるだけDEカレン・ジェンキンズをDTで使いたい。そのために、モンゴメリー、ジェイソン・ハンター、そしてこのトンプソンなど、若手DEの押し上げが重要となる。

サック数が物足りない : 大学通算32試合に先発してサックは計8.5回(昨季6.5回)。指名順位が4巡まで下がったのはそのせいかもしれない。しかし後述のように、大学2年目でのヒザの大ケガをしたことや、チームが戦術的に彼を自由にパスラッシュさせることが少なかったことが大きかったようだ。

担当地区スカウトのブライアン・グートクンスト。「普通の大学と違って、彼はサックを量産するような仕事には専念させてもらえなかった。カバレッジへのドロップバックなども含めてたくさんのread-and-react的な役割を担当していた。彼が1つのことに集中する機会を与えられたらどれだけやれるか楽しみだ。容易に倒されないところを非常に高く評価している。多くの選手と違って、地面に倒されずに残って追い続けることができる」

ヒザのACL断裂から2年半 : 2005年シーズンの終盤にヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂したため、当然翌シーズンにも悪影響が残り、昨年はシーズンが進むうちにようやく完調に戻ってきた。彼についてのネガティブ評価は復調以前のものが多いようなので、期待できるかもしれない。左ヒザの大ケガから2年半が経ち、もう影響は全く残っていない、と本人。「リハビリの専門家のところで本当にハードに頑張ったからね。今では反対のヒザよりも強くなっているぐらいだ」

兄弟でパッカーズ : 兄のOTオーリン・トンプソン(デューク大出身)は一昨年パッカーズのプラクティス・スクワッド、昨年はついにロースター入りを果たした。しかしジェレミーはフットボールシーズンになれば自分も試合があるので、昨年までグリーンベイに来たことは一度もないとのこと。兄オーリンとは大学が違ったので、同じチームでプレーするのは高校時代以来となる。

大学では2004年10月30日に直接対決し、弟のウェイクフォレストが24-22で兄のデュークを下している。当時の兄オーリンはDTをプレーしていたので(ドルフィンズでOTにコンバート)、フィールド上で直接マッチアップしたわけではない。パッカーズではDEとOTなので、キャンプではたっぷりと対戦する機会がある。「弟が来たのは嬉しいね。小さかった弟が、見ている前で成長し、こうしてチャンスをもらい、自分と同じチームにいるなんて。本当に素晴らしいよ」と兄オーリン。

ウェイクフォレスト大 : パッカーズがウェイクフォレスト大の選手を指名するのは、1987年9巡のOGグレッグ・ハリス以来21年ぶり5人目。1980年3巡5位のOGシド・キトソンが4シーズンで計12試合に先発出場したぐらいで、あまり活躍した選手はいないようだ。しかしそれ以外に、かつてコーチやスカウトとして長く活躍したジョン・"レッド"・コクランが同校の出身。

カテゴリ : Draft, Player