グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2008年6月10日

ドラフト指名選手紹介 4: TEジャーマイケル・フィンリー

3巡28位 | Jermichael Finley | Tight End | Texas | Sophomore |
6-5 (195cm) | 245lbs(111kg) | 40yds/4.76秒 | 1987年3月26日生 |

経歴 : テキサス州東部、人口5400人のディボール出身。高校では同校記録の通算2217yds、30TDレセプションを記録。TEだけでなくWRやDEやSやKやP(平均37.9yds)もプレーし、なんと1試合平均101スナップも出場(つまりほとんど出ずっぱり)していた。地区の最優秀オフェンス選手に選ばれたほか、バスケットボールでも平均24点20リバウンドの大活躍で、地区MVPに選ばれている。アリゾナ大からは両スポーツで奨学金をオファーされたが、結局地元の名門テキサス大でフットボールに専念することに。

大学入学時205ポンド(93kg)しかなかった彼は1年目はレッドシャツで過ごし、スカウトチームでプレーしつつ体作りに励んだ。デヴィッド・トーマス(3巡でNE)が抜けた2006年には全試合出場(4試合先発)して31キャッチ372yds・3TD。2年目の昨季は初めて全試合に先発して45キャッチ575ydsを挙げ、同大のTE史上3位の記録だった。出場資格はまだ2年も残っていたが、ドラフトへのアーリー・エントリーを発表し、惜しまれつつテキサス大を去った。

Strengths : 素晴らしいサイズとアスレチック能力に恵まれている。非常にキャッチがうまく、難しいボールを引き寄せるボディコントロールと集中力がある。クイックにリリースし、ライン取りも無駄な動きがなくスムーズ。フィールドをストレッチするスピードがあり、各種タイムよりもプレーぶりの方が速い。まだまだスリムなので、さらに20ポンドぐらいバルクアップできる余地がある。大学で出場した2年間に大きなケガをしていない。

Weakness : 実質的には大型のワイドレシーバーとしてしか貢献しておらず、ブロッキングが一人前になるためにはかなりハードな努力が必要。ランプレーのポイントオブアタックで相手DLを押し込むパンチも下半身の馬力も物足りない。レッドシャツのあと2年しかプレーせず、かなり荒削りなタイプなので、1年目からどれだけ使いものになるか。身長のわりに線が細く、汚れ仕事をこなすタフネスは疑問視されている。コンバインでの40yds走などの数字が予想よりも悪く、指名順位を下げた。

メンタル面 : ワンダーリックテストの点数は不明(受けていないのかも)だが、フットボール頭はよい方と見られている。ハードワーカーで、フィジカルなポジションに必要なだけの鼻っ柱の強さもある。すでに子供が2人いることや、プロ入りが早すぎたことは、NFLスカウトからはマイナス要素と見られている。

指名の経緯 : 昨年TEドナルド・リーをスターターに育てたパッカーズは、ベテランのTEババ・フランクスを2月に解雇した。昨季3番手を務めたTEライアン・クラウスとも再契約せず、TEトリー・ハンフリーは大きなケガからの復帰途上。FA市場で物色したタイトエンドもいたが結局獲得には至らなかった。そのためドラフトで2番手TE候補を指名することは確実視され、1巡指名の可能性も取り沙汰されていたほど。

実際1巡30位の時点ではTEが誰も指名されていなかったが、パッカーズはトレードダウンし、代わりにジェッツがTEダスティン・ケラー(パデュー大)を指名。くしくもTEババ・フランクスのFA移籍先もジェッツだった。パッカーズは最近タイトエンド指名が少なく、2000年1巡14位でフランクスを指名して以来、2001年6巡のデヴィッド・マーティン、昨年7巡のクラーク・ハリスしか指名していなかった。

パッカーズにとって : 前述のようにTEの層が薄いので、OTAではすでにドナルド・リーに次ぐ2番手。昨年ケガをしていたトリー・ハンフリーも復帰しているが、その他はドラフト外ルーキー3人なので、フィンリーが2番手を確保するにはハンフリーに勝つだけでよさそう。

もともとマッカーシーHCは複数タイトエンドをフレキシブルに動かすことを好むので、今年は昨年よりダブルTE隊形の出番が増えるのではないか。QBが若いロジャースにかわるだけに、セーフティバルブとなるTEの存在は重要のはず。ここ数年はフランクスのスピード不足に泣かされてきたパッカーズだが、フィンリーが評判通りの活躍をしてくれれば、優勝当時のマーク・チュムラ&キース・ジャクソンのようなコンビが期待できるかも。

課題はブロッキング : 大学ではレシーバーとして使われることが多く、本人によると、50%がインライン(つまり普通のTEの位置)、50%がフランカーだったという。ランブロッキングについては、「自分で評価するなら、Bマイナスだね。ランゲームについては努力が必要だ。グリーンベイに行ったら、必死で頑張るつもりだ」と認めている。

マカドゥーTEコーチは、「選手のフィルムを見るときは、コーチできない天性の才能を持っているかどうかをまず探すものだが、彼にはそういったものがいくつもあると思う。彼はまだ身体能力のごく一部をあらわしたにすぎない。あの身長にしてはスリムな243ポンドで、若く未熟な選手だ。向上の余地は大きく、トレーニングを続ければもっと体重を増やせるだけの骨格がある」

アーリー・エントリー : まだ21歳になったばかり。レッドシャツのあと2年しかプレーしていないので、2年も出場資格が残っていて、本人のためにも大学に残るべき、という見方が強かった。最近結婚して2人の子供がいるので、アーリー・エントリーは家族のためだと報道されていたが、フィンリー本人は家族のことととは関係ないとしている。「フィールドの中でも外でも、人生のより大きなチャンレンジへの準備ができていたからだ。だからNFLに入る決断をした。迷いはなかった。暮れのボウルゲーム(アリゾナ州立大に快勝)の前に決心はできていたし、やっていける自信はあった」

21歳という若さについて、トンプソンGM。「彼は非常に若いが、我々はさほど心配はしなかった。アーリーエントリーの選手で用心が必要なのは、4年生と比べてスカウティングの対象となる試合が少ないことだ。しかし彼はとても才能ある選手だと我々は思った。素晴らしいキャッチ力があり、非常にアスレチックだ。ドナルド(TEリー)とトリー(TEハンフリー)に彼を加えることができて、コーチたちはとても喜んでいる」

マルチ・アスリート : 高校時代バスケットボールでも大活躍し、平均24得点・20リバウンドを挙げて地区のMVPにも選出された。アリゾナ大からはバスケとフットボールの両方で奨学金をオファーされたという。「でもテキサス大を選んだときに、どちらかに絞るようにマック・ブラウンHCから言われ、フットボールに夢を賭けた」とのこと。

家族 : 妻コートニーとの間に息子ケイドン(4ヶ月)がいて、別の女性との間に娘ジェイラ(3歳)がいる。そちらは母親と一緒に暮らしているようだ。

テキサスA&M(今年からマイク・シャーマンがHCを務める)のRBジョヴォスキー・レーンは腹違いの兄で、生まれが2ヶ月弱しか違わない。フィンリーは珍しいことに両親の名前をプロフィールに載せておらず、RBレーンも両親でなく祖父母の名前をプロフィールに載せている。同じテキサス東部の5マイルほど離れた街で、それぞれの母方の祖母に育てられたらしい。子供の頃から毎日のように一緒に遊び、大学ではライバル校同士で、「1年間いばる権利」を賭けて毎年対戦した。

テキサス大 : パッカーズテキサス大選手をドラフトするのは、1991年8巡のWRジョニー・ウォーカー(プレーせず)以来17年ぶり10人目。1952年3巡指名のDBボビー・ディロンは94試合で52INTを挙げ、パッカーズの殿堂入りをしている。パッカーズ指名ではないが1985年から2年間在籍したSモシー・ケイドは、1987年に性的暴行事件を起こして15ヶ月服役している。2002年に在籍した名リターナーのエリック・メトカーフやCBブライアント・ウェストブルックもテキサス大の出身。

以下のビデオはYouTubeのハイライト映像。Rivals.comのハイライトビデオはこちら

カテゴリ : Draft, Player