グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2008年5月20日

ドラフト指名選手紹介 1: WRジョーディ・ネルソン

これまでに紹介した内容と重複する部分が多いのはご容赦を。

2巡5位 | Jordy Nelson | Wide Receiver | Kansas State | Senior |
6-3 (191cm) | 217lb(98kg) | 40yds/4.51秒 | 1985年8月31日生 |

経歴 : カンザス州ライリー出身。高校時代はQBとしてオールステートに選ばれ、バスケ(地区の最優秀選手)や陸上(100m・200m・400mと走り幅跳びで州大会優勝)でも大活躍。しかしパスで1029yds・8TD、ランで1572yds・25TD(ぜんぶ彼の成績)というラン主体のオフェンスのため、フットボールではディビジョンIの大学から奨学金のオファーがなく、ウォークオン(奨学金なし)で地元のカンザス州立大へ。

レッドシャツを経た大学1年目はSSとして出場ゼロ。2年目の2005年、WR不足のチーム事情からWRに転向すると、大学初出場の試合から7戦連続でタッチダウンを挙げる大活躍。全試合に先発して669yds・8TDを挙げ、ビッグ12カンファレンスのセカンドチームに選出された。翌2006年はヒザのケガに苦しんで成績を下げたが、4年目の昨季はカンファレンス記録の122キャッチ1606yds・11TDを挙げる大ブレーク。1試合平均10.17キャッチ、133.83ydsはどちらも全米2位の記録だった。ビッグ12のファーストチームに加えてオールアメリカンにも選出され、ドラフト上位指名候補に躍り出た。

Strengths : 191cmの大型レシーバーで、サイズのわりにはスピードやクイックネスに恵まれている万能タイプ。バランスがよくボディコントロールに優れる。本番に強く、タフで勝負強いキャッチを見せる。キレがよく安定したルート取りで、CBをうまく外してキャッチするセンスもいい。アクロス・ザ・ミドルの密集の中で難しい球をキャッチでき、優れたビジョンを活かした巧みなランアフターキャッチでロングゲインに変える。武器の少ないオフェンスの中で常に相手チームから徹底マークされながら、毎週安定した成績を残している。

パントリターナー(大学通算6回だけ)としても、何度もビッグリターンを繰り出して平均44.5yds・2TDととんでもない数字を残している。高校時代にQBをプレーしていたせいか、トリックプレーからのパスも6回投げて2TDを決めている。アスレチック能力はジェニングスとジェームズ・ジョーンズの中間かあたりで、ルヴェル・マーティンやコーレン・ロビンソン(すでに解雇)よりかなり速い。

Weakness : トップクラスの身体能力はなく、フィールドをストレッチしたり相手CBが警戒して大きなクッションを置くようなスピードには欠ける。スクリメージでのジャムに負けぬよう、手の使い方などテクニックに向上の余地あり。身長のわりに上半身の線がまだ細いので、バルクアップが必要。しかし、「今年ドラフトされたWRの中で最も欠点の少ない選手」と指摘するスカウトも。

メンタル面 : 人格的にすぐれたナイスガイで、精神面は文句のつけようがない。ワンダーリックテスト28点はWRとしては非常に高く、かなり頭のよい選手。SSからWRに転向してすぐに結果を出しているのは、彼のハードワーカーぶりとフットボール頭のよさを示しているのだろう。3年時はヒザのケガにも悩まされたが全試合に出場し、スペシャルチームでも頑張っている。

指名の経緯 : WRはパッカーズで最も層の厚いポジションだけに、2巡指名にはファンだけでなく選手の中からも驚きの声が挙がった。「我々は常に向上を目指している。このポジションはもう十分だから、優秀な選手が残っていても獲らない、ということは決してないのだ。このユニットは優秀だと思っていても、何人かケガ人が出ればダメになってしまう。特に最近のマイク(マッカーシーHC)たちは、5WRなどスプレッド隊形を好んで使っている」とトンプソンGM。指名後に"Packers Draft Party"会場に顔を見せると、今年もファンからのブーイングを浴びた。

WRネルソンに注目した経緯についてトンプソンGM。「彼の対戦相手を見るために、12月にはずいぶん彼のプレーを見る結果になり、そのたびに『この27番は誰だ?』と私は驚いてばかりいた。見れば見るほど彼を認めざるをえなくなった。あら探しをしようとしてもね。それに昨秋彼を見たスカウトたちが、みな熱烈に推薦し続けたので、我々としても真剣に検討を続けてきた」

パッカーズにとって : ショートからミドルレンジが得意でランアフターキャッチに優れる、ウェストコーストオフェンスにぴったりのタイプ。大型の白人レシーバーだからといって決してポゼッション型ではなく、むしろジェリー・ライスのようなオールラウンド型とパッカーズ側は評価しているようだ。サイズを活かしてスペシャルチームでの活躍も期待されている。

先日のルーキー・ミニキャンプでは、何ごとにも口うるさいことで知られるジミー・ロビンソンWRコーチがネルソンのプレーにだけには口を出さなかった、というエピソードからも完成度の高さがうかがえる。WRがだぶついたためコーレン・ロビンソンをすでに解雇し、現状ではネルソンが4番手あたり(ルヴェル・マーティンが5番手)。評判どおりであれば、3番手のジェームズ・ジョーンズをプッシュできるかもしれない。将来的にはジェニングス、ジョーンズとネルソンの3人でパッカーズのWR陣を担っていってほしいところ。

カンザス州立大 : カンザス州立大出身選手の指名はパッカーズとしては48年ぶり3人目。過去2人はあまり活躍できなかった選手のようだ。しかしそれ以外に、70年代から80年代にかけてパッカーズの強力パスオフェンスを担ったQBリン・ディッキーとTEポール・コフマンの2人がともにカンザス州立大の出身。QBディッキーはトレードでオイラーズから、TEコフマンはドラフト外でパッカーズに入団している。

田舎育ち : 人口886人のカンザス州ライリー(地図)で牧場を営む家庭に生まれ、わずか30kmほどの同州マンハッタン市にあるカンザス州立大へ。地元っ子の活躍にファンは大喜びし、非常に愛された。人口80人のアイオワ州ケルシーで製材所を経営する家庭に育ったDEアーロン・キャンプマンとタイプがよく似ている。どちらも浮ついたところがなく地に足のついた人柄で、高校時代からの恋人(ネルソンは6年生からの恋人)と結婚している。

万能アスリート : 彼が通ったのは学年70人ほどの小さな高校だが、6年前にはSジョン・マグロー(現KC)がドラフト2巡指名されている。ネルソンはそれと比べて見劣りしないアスリートだったので何とかディビジョンIの大学に進ませたかったが、QBとしてパス1029yds・ラン1572ydsいうラン主体のチームだったせいか、誘ってくれたのはディビジョンIIばかりだった、と高校のコーチは振り返っている。

バスケットボールではカンザス州のオール・ステートに選出され、通算325アシスト、225スチール、161ブロックは全て同校の記録となっている。陸上でもクラス3aの州大会で走り幅跳びや100m(10.63秒)や200m(21.64秒)や400mで優勝。しかし本人はフットボールがしたくて、ウォークオン(奨学金なし)でカンザス州立大に進む道を選んだ。

以下は、最初が彼の人となりを紹介するビデオで、両親も登場している。2番目のビデオにはワンハンドなどアクロバティックなパスキャッチの数々が紹介されている。

カテゴリ : Draft, Player