グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2008年5月13日

LSトーマス・ギャフォードの挑戦

今年のパッカーズで唯一スターターの内定していないポジションが、実はロングスナッパーだ。長年ロングスナッパーを務めてきたロブ・デイヴィスが引退し、25歳のトーマス・ギャフォードと新人のJ.J.ジャンセンが後任を争う。出場経験こそないもののギャフォードの能力は高く評価され、後継LSの座は有力と見られていたが、大学で優れた実績を残したJ.J.ジャンセンが先日入団。昨年のキッカー争いと同じように、キャンプでは激しい争いが行われるものと予想されている。

2005年にヒューストン大を出たギャフォードだが、1年目はどこからも声がかからず、シーズンが終わったところでパッカーズに入団した。2006年のキャンプでは大ベテランのLSロブ・デイヴィスを相手によく戦ったが、実績と経験それにロッカールームでのリーダーシップに優れたデイヴィスを引きずりおろすことはできず、開幕前に解雇となった。なにしろロングスナッパーは各球団に1人だけ、NFL全体で32人しかいない狭き門なのだ。

「ああいった状況だったし、解雇には驚かなかった。状況が違えばロースター入りもできただろうと思う。プレー内容は本当に満足のいく出来だったし、コーチもそう言ってくれた。ロブが早く引退すればこのチームで未来が開けるかも、という感触はあった。そのとおりになって嬉しいよ」とギャフォードは言う。それに、在籍8ヶ月の経験は決して無駄ではなかった。「'06年はロブのそばにいられて、ロッカールームでも、リーダーシップについても、仲間との付き合い方についても、多くを学ぶことができた。何がチームのために役に立つか、どんな細かいことも見逃さずに学んだよ」

パッカーズから解雇されたあと、数チームのトライアウトを受けたが、返事はいつも同じだった。「 『OK、もし誰か必要になったら、君に頼むことにするよ』ってね。だから僕は、何かが起こるのではないかと、椅子から身を乗り出すようにしてシーズンを見守った。しかし誰もケガをせず、ポカをすることもなかった」

トレーニングをしながら2006年シーズンを見守った彼は、シーズン終了後にシーホークスと契約。しかし今度はキャンプ前の6月に解雇されてしまった。高く評価してくれたスペシャルチームコーチが交代してしまったことが大きかったようだ。失意のギャフォードは故郷ヒューストンに帰り、建設の仕事に就いた。「ああ、オレのキャリアは始まる前に終わってしまったのか? これじゃあつらすぎる、と思った。まだ十分やれるとわかっているのに、とにかくチャンスがめぐってこない」

家族の励ましもあって、彼はあきらめずに努力を続けた。朝5時に起き、仕事の前に母校ヒューストン大の施設に行ってトレーニングをした。技術を錆びつかせぬよう、選手やスタッフを見つけてはロングスナップを受けてもらった。そうするうちに2007年シーズンが始まったが、やはりNFL球団から電話はかかってこなかった。

もう終わりかもしれない、これだけ必死で頑張っても、全て無駄に終わるのか。肩を落とす彼を父デイヴィッドが励ました。「いちばん勇気付けられたのは、『お前がまたチャンスをもらった時にもし準備ができていなかったとしたら、お前は一生自分のことを許せないだろう』 という父の言葉だった。まったくその通りだよ。チームに呼ばれてここに来ても、体が出来てなくて1年もスナップしていないのでは、たちどころにコーチにバレてしまう。まっすぐ家に帰されるのがオチさ。以前在籍したときよりもしっかりした体を作って、今すぐにでもプレーできる、と自信満々で乗り込むことが大事なんだ」

今年3月にパッカーズと契約すると、その3週間後にLSロブ・デイヴィスが引退を発表した。ギャフォードのスナップを全てキャッチすることになるPジョン・ライアンは、2年前のキャンプでルームメイトだった親しい友人だ。「前回うまくいかなかったとはいえ、彼は8月末までいたんだから、チームにはかなりなじんでいるよ。コーチングスタッフも同じだしね」

ノートルダム大からやってきた新人 J.J.ジャンセンは強力なライバルだが、これまでの苦労を思えば、という気持ちが当然ギャフォードにはある。「ここグリーンベイで成功するための状況は整ったという気がしている。仕事をしっかりやってハードに頑張れば、ね。ここまで長い道のりだったけれど、努力は報われたと思う。まだ目標を達成してはいないが、あと一歩のところまで来ている。努力してきた甲斐があったよ」

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