過去の記事 2007年7月 全文表示  (リスト表示はこちら

2007年7月31日

Day 2: TEハンフリーは足首骨折

2007年7月30日

Day 1: WRドライバーは当面練習できず

待ちに待ったトレーニングキャンプ初日。スタジアム駐車場の"パッカーズ・エクスペリエンス"を含めると、なんと約10,000人ものファンがキャンプ初日を訪れた、とチーム広報。2時間前に練習フィールドに到着したファンも、隅の方の席しか確保できなかったらしい。

ロースター展望 スペシャルチーム編

昨年初めてスターターを務めたキッカーのデイヴ・レイナーで問題なしと思われたが、ドラフト6巡でメイソン・クロスビーが指名され、トレーニングキャンプでは注目のキッカー争いとなりそうだ。いっぽうパンターはNFL2年目のカナダ人ジョン・ライアンの座を、オーストラリア人のデヴィッド・ロニーが追う珍しい争い。ロングスナッパーはTEクラーク・ハリスが7巡指名で入団したものの、38歳のロブ・デイヴィスは今年も安泰だろう。

リターナーは混沌としていて、公式デプスチャートには大量の選手がリストされている。パントリターナーは昨年務めたCBウッドソンやWRジェニングスがいるが、本職での存在価値を考えると、できればこの2人以外に任せたいところ。となると、WRボディフォードや3巡指名WRジョーンズ、またはCBブラックモンあたり。キックオフリターナーはRBモレンシーと2巡指名RBジャクソンの先発争いで敗れた方が最有力となりそうで、その他にWRボディフォード、CBブラックモン、多数の控えRBたちも候補となる。

K デイヴ・レイナー Dave Rayner

ミシガン州立大から2005年のドラフト6巡指名でコルツに入団し、Kヴァンダージャットに代わってキックオフスペシャリストを務めたが、昨年春に解雇されてパッカーズに移った。FA移籍したロングウェルの後継争いで、ビリー・カンディフに競り勝ってスターターに。荒天やぬかるみに苦しんだ試合もあって成功率は74.3%にとどまったが、ヴァイキングス戦で終了直前の決勝FGを成功させるなど勝負強いところもみせた。

54ydsFG成功は球団記録タイで、飛距離を活かしてキックオフもよい。タッチバック11回はパッカーズとしては9年ぶりの多さだった。キッカーやパンターは先発1年目より2年目の方が成績が伸びるもので、まだ伸びシロは十分ありそう。特に悪天候での安定性を向上させたい。

K メイソン・クロスビー Mason Crosby

コロラド大から今年のドラフト6巡c指名で入団。詳しくはルーキー紹介を参照のこと。非常に強いキック力を武器に4年間活躍し、今年の最有力キッカーの1人と評価された。飛距離は標高の高さのおかげだったという見方もあるが、アウェー戦でもロングFGをたくさん決めている。キックオフの飛距離も素晴らしく、元6巡指名という点を含め上記レイナーと似ている点が多い。今夏のキャンプでは先発争いが注目されるが、タフな1年を経験したレイナーを倒すのは容易ではないはず。

P ジョン・ライアン Jon Ryan

カナダのレジャイナ大から2004年にCFLウィニペグに入団し、2年目に急成長を見せてCFL記録を塗り替えた。昨年春パッカーズの誘いで初めてNFLにやってきて、B.J.サンダーとの争いに完勝して正パンターの座をつかんだ。末期がんの父との別れ(記事123)などつらいシーズンを送ったが、成績はまずまずだった。しっかりヒットしたときは素晴らしいパントを蹴るもののまだ不安定で、ハングタイムの短い蹴りそこないのせいで好リターンを許すシーンも目立つ。

不安定さを解消するため、今春は3ステップから2ステップへの変更に取り組んできた。もともと飛距離は十分あるので、多少パワーダウンしても安定したハングタイムを稼ぐほうが重要、との考え方だ。今年は下記のオーストラリア人デヴィッド・ロニーとの先発争いとなっているものの、2年目のライアンがかなり優位と見られている。

P デヴィッド・ロニー David Lonie

カナダ人パンターのライバルは28歳のオーストラリア人。詳しくは今年5月の記事を参照のこと。話せば長くなるが、かなりの紆余曲折を経てカリフォルニア大でプレーした。昨年レッドスキンズにドラフト外入団したが、開幕前に解雇されている。6フィート5(196cm)の長身で非常に強い脚があり、サッカー・水球・陸上十種競技で活躍したアスリートらしい。パントの不安定さを解消するため、こちらも今春はフォーム改造に取り組んできた。

LS ロブ・デイヴィス Rob Davis

ディビジョンIIのシッペンバーグ大を1992年に卒業し、ジェッツやCFLを経て4年目の1996年に初めてベアーズで正ロングスナッパーとなった。翌1997年開幕前に解雇されるとシーズン半ばにパッカーズに移り、以後10シーズンにわたって全試合出場を続けている。非常に安定したスナッパーで、これまでライバルらしいライバルが現れたことがない。他のポジションを兼ねることができないので、ロースター枠を節約できないのが不満といえば不満か。

大学でロングスナッパーを兼ねていたTEクラーク・ハリスが7巡指名入団したが、まだ不安定でデイヴィスの座を脅かすのは無理そうだ。いまやチーム最年長の38歳となり、選手・家族の世話役 "Director Of Player Development" の補佐を兼ねることも発表された。若手選手のよき兄貴分で、選手会へのチーム代表でもあり、チャリティ活動もきわめて熱心。引退後はフロント等で仕事をしたい希望があるようだ。

2007年7月29日

1巡指名DTジャスティン・ハレルが契約にサイン

トレーニングキャンプ初日を前にして、ドラフト1巡指名のDTジャスティン・ハレルが5年契約にサインした。めでたくドラフト指名11人全員との契約を終え、キャンプインできることになる。詳細は不明だがJournal Sentinel紙によると、インセンティブまで含めた総額は$14.5ミリオンと$15ミリオンの間とのこと。 

ロースター展望 S編

昨年はSSマニュエルのFA補強が大失敗で、ディフェンス最大の弱点となったセーフティ陣。アサインメントミスからロングTDを許すシーンが目立ち、「コミュニケーションミスがTDの原因」という事後説明ばかり聞かされるシーズンだった。FSコリンズが若く荒削り、SSマニュエルは鼠蹊部のケガが長引いてシステムに習熟できなかった、という同情の余地はあるものの、大きなミスがあまりにも多い。両CBは文句なしの力量があるだけに、最後の砦としてビッグプレーを許さない、堅実なプレーがセーフティには求められる。

今オフはFA補強をせず、ドラフト3巡でアーロン・ラウスを指名したにとどまった。プロ3年目のニック・コリンズは先発フリーセーフティ留任が決まっているが、相棒のストロングセーフティは今キャンプでの先発争いしだい。昨年スターターを務めたマーカンド・マニュエル、ケガで1年を棒に振ったマーヴィール・アンダーウッドの争いに3巡指名のラウスが加わってこられるかどうか。

ロースター枠は通常4人で、5人のこともある。先発FSコリンズに加えてアーロン・ラウスも3巡指名なのでまず安泰と思われるが、それ以外はどうなるか全く予想がつかない。マニュエルもアンダーウッドも、スターターと解雇の両方の可能性がある。

ニック・コリンズ Nick Collins

ディビジョンI-AAのベスーン・クックマン大から2005年ドラフト2巡指名で入団。1年目から全試合に先発してまずまずのプレーを見せたが、2年目の昨季は完全に伸び悩んだ。CB並の素晴らしいスピードとパワーがありタックルもしっかりしているが、問題は首から上の部分。読み・判断力・嗅覚といったあたりが未熟で、恵まれた身体能力を活かせていない。自分の責任を認めようとしない精神的幼さや、仲間とのコミュニケーション能力の問題を指摘する声もある。

伸び悩んだ昨季だが最終戦では2INTを含め素晴らしいプレー内容を見せ、3年目への期待は大きい。学習能力が低いのでプロのディフェンスに習熟するまで時間がかかっただけ、と考えたいところだ。いずれプロボウラーになる器、とコーチたちは賞賛しているが、もし今年も伸び悩みが続くようなら、チームとしては困ったことになる。

マーカンド・マニュエル Marquand Manuel

フロリダ大から2002年のドラフト6巡でベンガルズに入団し、1年目から8試合に先発したが、3年目に解雇されてシーホークスへ。プロ4年目はSケン・ハムリンの代役としてスーパーボウル進出に貢献し、その活躍が認められて昨年パッカーズにFA移籍した。SSで即スターターとなったが、鼠蹊部とふくらはぎのケガが尾を引いたせいかプレー内容は非常に悪く、パス守備崩壊の戦犯に。コミュニケーション能力が高いとの評判でリーダーシップが期待されたが、DB陣はバラバラだった。

今オフはケガもなくミニキャンプやOTAにフル参加できており、昨年よりも動きがよくなっているのは確かなようだ。現状では先発ストロングセーフティ扱いだがあくまで仮のスターターで、若手との先発争いが期待されている。

マーヴィール・アンダーウッド Marviel Underwood

2005年のドラフト4巡指名でサンディエゴ州立大から入団。1年目は同期のコリンズのような即戦力にはなれず、2年目の昨季は大きな成長を見せていたキャンプでヒザの前十字靭帯を断裂してシーズンエンドとなった。今オフは順調に回復したもののここまで個人ドリルにとどめており、トレーニングキャンプから復帰の予定(練習量を加減するかも)。今キャンプでの成長が最も期待されている選手の1人で、先発の座をプッシュしてほしいところ。

アーロン・ラウス Aaron Rouse

ヴァージニア工科大から今年の3巡b指名で入団。詳しくはルーキー紹介のページを参照のこと。身長6-4(193cm)と超大型ながら4.55秒のスピードがあり、ビッグプレー能力もある。大学2年目までLBをしており、セーフティ経験は浅い。スクリメージ寄りで守るのはよいが、1on1でのパスカバレッジには不安があるらしい。リスキーな指名と見られており、昨年フルタイムのスターターでなかった選手にプロ1年目から期待するのは無理があるかもしれない。

アタリ・ビグビー Atari Bigby

セントラル・フロリダ大から2005年のドラフト外でドルフィンズに入団し、その後ジェッツを経てパッカーズへ。昨年春にNFLヨーロッパで活躍した後、シーズン半ばにプラクティス・スクワッドから昇格して主にスペシャルチームでプレーした。今春の成長はコーチ陣からかなり高く評価されており、少なくともロースター争いには加わってきそうだ。マイアミの高校ではマーカンド・マニュエルの2年後輩で、今オフも一緒にトレーニングをしていたらしい。

タイロン・カルヴァー Tyrone Culver

フレズノ州立大から昨年のドラフト6巡指名で入団し、アンダーウッドの戦線離脱で3番手Sに昇格した。CB陣の層の薄さもあってダイムバック(6人目のDB)となったが、シーズン後半はダイム隊形がほとんど使われなくなったので、実質的にはスペシャルチーマーだった。身体能力は高くなく、頭のよさで勝負するタイプ。器用な控え選手としては重宝かもしれないが、スターターを狙うポテンシャルがあるかどうか。今年はロースター枠ぎりぎりを争う。

チャーリー・ペプラー Charlie Peprah

アラバマ大から昨年のドラフト5巡指名でジャイアンツに入団したものの、開幕前に解雇されてパッカーズへ。スペシャルチームのみで8試合に出場した。大学2年まではCBをしており、カバー能力のあるFSタイプと思われる。上記ビグビーの好評さと比べると彼の名前を聞くことが少なく、ロースター争いはかなり不利のようだ。

アルヴィン・ナブーフィ Alvin Nnabuife

サザン・メソジスト大から昨年のドラフト外でレイダーズに入団し、シーズン半ばにパッカーズのプラクティス・スクワッドに加わった。今春はNFLヨーロッパに派遣されたが、ケルン・センチュリオンズでスターターにはなれなかったようだ。

Notebook: QBファーヴの体調は万全

2007年7月28日

ロースター展望 CB編

ハリスとウッドソンはリーグ屈指の先発コンビだが、逆に3番手以降となるとリーグ屈指の低レベルかもしれない。今オフはフランク・ウォーカーをFA補強したが先発を脅かすような選手ではなく、ドラフトでも指名はなく、プロ2年目のブラックモンの成長に期待するのみ。ニッケルバックの出番は全スナップ数の半分ほどあるものなので、パス守備の安定のためには若手の底上げが非常に重要となる。ハリスが32歳、ウッドソンも30歳と微妙な年齢にさしかかっていて、将来への不安は大きい。

ロースター枠はDB全体で通常9人。10人のことも少なくない。CBは5人か6人。両先発に加えブラックモンとウォーカーもおそらく当確と思われるので、デンディとブッシュで5つ目のイスを争うか。

アル・ハリス Al Harris

テキサスA&Mキングズヴィル校から1997年の6巡指名でバッカニアーズに入るが、翌年イーグルスに移ってから徐々に力をつけた。リーグ最高の3番手CBと評価されるようになり、2003年のトレードでパッカーズに移ってついにスターターに。2004年のCBマッケンジー移籍後は若いDB陣の大黒柱となり、昨年ウッドソンが加入しても彼が常に相手エースWRを担当した。6フィート1(185cm)のスリムな長身で、長い腕を活かしたバンプ&ランを得意とするプレスカバレッジ職人。

インターセプト能力ではウッドソンに劣るものの、純粋なカバレッジ能力ではハリスの方が上で安定感もある。左右のサイドを固定せずハリスが相手エースをシャットアウトし、2番手以降のレシーバーに投げたパスをウッドソンが狙う、というのが昨年の勝ちパターンだった。体調管理も万全な真のプロフェッショナルだが、すでに32歳で、いつ衰えが始まってもおかしくない。

チャールズ・ウッドソン Charles Woodson

ミシガン大ではハイズマン賞を受賞し、1998年のドラフト1巡4位でレイダーズへ。リーグ最高のCBの1人として4年連続でプロボウルに選ばれたが、その後の4年間はケガも多く不安定なプレーぶりで評価を下げた。昨年FAとなり、比較的安い契約ボーナスでパッカーズにやってきた。序盤はやや不安定でビッグプレーを許すシーンもあったが、ハリスが相手エースにつくようになると調子を上げ、NFCトップの8INTを挙げてシーズン後半のディフェンス向上に貢献した。

惜しくもプロボウルを逃したものの、ESPNのKC・ジョイナーによると、昨季60回以上パスが来たCBの中で1回あたりのパス成功yds(YPA)はNFL2位で、彼を下回る数字はCBチャンプ・ベイリー(DEN)だけだった。特にボールスキルは素晴らしいものがあり、インターセプト以外にも、パスを叩き落したりかき出したりするプレーが非常に巧み。昨季はヒザや肩を痛めながら頑張って全試合に出場しパントリターナーも務めていたが、綱渡りだったことは否めない。CBの層が薄いため彼が負傷した場合の痛手は大きく、今年はなんとか別の選手にパントリターンを任せたいところ。

ウィル・ブラックモン Will Blackmon

昨年のドラフト4巡指名でボストン・カレッジから入団し、ミニキャンプでは非常に評判がよかったものの、そこで足を骨折してしまい大幅に出遅れ。10月半ばにようやく初出場したがスペシャルチーム以外では出番がなく、4試合出場したところでわき腹を痛めてシーズンエンドとなった。今春の期待は大きく、ミニキャンプ等ではニッケルバック/3番手CBとしてプレーしていたが、6月のOTAで鼠蹊部を負傷してしまった。

大学4年目にWRにコンバートされてすぐ活躍したように非常に優れたアスリートで、スムーズかつ柔軟な動きができてボールスキルもある。大学ではキックオフリターナー実績も豊富。ただ、どうもケガが多く、「けっきょくケガで力を出し切れずに終わるタイプでは」との懸念も聞かれるようになってきた。

フランク・ウォーカー Frank Walker

今年のパッカーズ唯一のFA補強選手。ディビジョンIIのタスキーギー大(アラバマ州)から2003年ドラフト6巡でジャイアンツに入団し、1年目から7試合に先発出場したが、コフリンHC就任以降は出番が減っていた。今春$1.24ミリオンの1年契約でパッカーズに移籍し、ブラックモンらとニッケルバック/3番手CBの座を争う。サイズは小さめだが40yds走4.3秒台の素晴らしいスピードがあり、ゾーンよりもプレスカバレッジを得意としている。

スモールカレッジ出身に加え、まだ25歳と若く荒削りなので、伸びシロは残っていそうだ。スペシャルチームでは、パントカバレッジチームのガンナーとして活躍するなど、しっかりした実績がある。

パトリック・デンディ Patrick Dendy

ライス大から2005年のドラフト外で入団、プラクティス・スクワッドからシーズン半ばに昇格して4試合に出場した。2年目の昨季も最初はプラクティス・スクワッドだったが10月初めにロースター入りし、解雇されたCBアマド・キャロルに代わってニッケルバック/3番手CBを務めた。キャロルと比べて反則がほとんどなく、安定したプレー内容でパス守備の向上に貢献した。6-0(183cm)のサイズに加えてクイックネスもあるが、スピードは遅い。

今オフ最も進歩した選手の1人、とコーチたちは賞賛しているが、スピードのあるレシーバーについて行けなかった昨季のプレーぶりからして、はっきり言って彼が3番手では心もとない。

ジャレット・ブッシュ Jarrett Bush

ユタ州立大から昨年のドラフト外でパンサーズに入団。開幕前に解雇されたところをパッカーズが獲得した(記事へ)。16試合全てに出場したもののDBとしては計15スナップだけで、事実上スペシャルチーム専門だった。CBとしては大き目のサイズと40yds走4.45秒のスピードを活かして主にカバーチームで活躍、ST3位の13タックルを挙げた。今年はSTだけでなく3番手・4番手CBの座を上記の3人と争う。

トラモン・ウィリアムズ Tramon Williams

昨年のドラフト外でルイジアナ工科大からテキサンズに入団、開幕前に解雇され、11月末にパッカーズのプラクティス・スクワッドに加わった。

アントニオ・マローン Antonio Malone

昨年のドラフト外でトレド大からライオンズに入団したが6月に解雇。8月半ばにパッカーズと契約し、やはり開幕前に解雇。シーズン後に再契約しNFLヨーロッパに派遣されたものの、ケガのためプレーできなかったようだ。

Notebook: 3巡指名WRジョーンズと契約

2007年7月27日

2巡指名のRBブランドン・ジャクソンと契約

ネブラスカ大から2巡指名されたRBブランドン・ジャクソンが、パッカーズとの正式契約にサインした。Journal Sentinel紙によると総額$2.815ミリオンの4年契約で、契約ボーナスは$1.15ミリオン。3年契約にこだわっているとの噂もあったが、今年最も注目される先発RB争いが待っており、ホールドアウトなどしてはいられない。(4年契約なので)3年目終了時に制限つきフリーエージェントとならない代わり、条件をクリアすれば4年目サラリーが増額される条項が契約には含まれている。

これで未契約は1巡指名DTハレルと3巡aWRジョーンズの2人。キャンプインまでにDTハレルと契約できるかについてトンプソンGMは、「私の予想ではおそらく大丈夫と思うが、その時になってみなければわからない。これはビジネスであり、われわれはなんとかやり遂げられるだろう。毎年、1巡指名選手というのはキャンプぎりぎりになるものだ」と語っている。

グリーンベイ・パッカーズ株主総会

毎年恒例のグリーンベイ・パッカーズ株主総会がランボーフィールドで開催され、11,324人もの株主が出席した。一昨年までは近くのレシュ・センターで行われていたが、毎年増える一方の出席者を収容しきれなくなったため、昨年からはランボーフィールドのスタンドを使うようになっている。(写真地元ニュース映像

2007年7月26日

ロースター展望 LB編 2

昨年先発陣が成長を見せたので、今年はスターターをプッシュできそうにない控えLB陣。スペシャルチームの中核として活躍するトレイシー・ホワイト、昨年の3巡指名アブドゥル・ホッジ、今年の6巡指名デズモンド・ビショップに加え、ドラフト外入団の問題児2人も魅力的な素材だ。LBのロースター枠は通常6人なので、控えは3人となる。

トレイシー・ホワイト Tracy White

ハワード大から2003年のドラフト外でシーホークスに入団し、2年間で20試合に出場。2005年には解雇されてジャガーズで15試合に出場し、昨年春にFAとなって旧知のトンプソンGMの誘いでパッカーズへ。スピードとクイックネスのあるアウトサイドLBだが、どこに行ってもスペシャルチーマーとして重宝されている。昨季はダブルチームを突破しての好タックルを何度も決めるなど、STの中心選手(ST最多の17タックル)として重要な働きをした。ST重視の今季の方針からして、彼を蹴落とすのは容易でないかもしれない。

デズモンド・ビショップ Desmond Bishop

今年のドラフト6巡b指名でカリフォルニア大から入団。詳しくはルーキー紹介のページを参照のこと。しっかりしたガタイを持つ典型的なミドルLBで、スピードはないものの嗅覚に優れフットボール頭がよい。控えのミドルLBには昨年の3巡指名ホッジがいるため、同タイプのビショップ指名は意外だった。公式見解のとおり、その時点でのベストプレイヤーだと思ったから指名したのか、それともホッジの能力に失望があったのか。チーム事情からストロングサイドでも試されることになる。

ローリー・ジョンソン Rory Johnson

ミシシッピ大から今年のドラフト外で入団。ドラフト中位クラスと言われながら、フィールド外でのトラブルから敬遠されてドラフト外となった。身長6フィート強と小さいものの、スピードとクイックネスに恵まれたアスレチックなアウトサイドLB。嗅覚に優れパスカバレッジもよいが、やや不安定らしい。5月のミニキャンプでは、ホワイト、ヘイヴナーとともに2ndチームでプレーしており、ロースター争いには加わってきそうだ。

RBリッキー・ウィリアムズをほうふつとさせるマリファナ好きで、まず短大でマリファナ陽性、ミシシッピ大に移ってからもマリファナ陽性が発覚した。「もう決してやらない」と本人は誓っているが、要注意人物なのは間違いない。「リスクがあってもドラフト外なら、と判断した」とトンプソンGM。

ジュワン・シンプソン Juwan Simpson

アラバマ大から今年のドラフト外で入団。4.58秒のスピードを持つアスレチックなアウトサイドLBで、こちらもドラフト中位クラスとの前評判ながら、フィールド外で問題があったところも上記ローリー・ジョンソンとよく似ている。アラバマ大では3年間スターターを務めてキャプテンにも選ばれたが、昨年夏に銃器の不法携帯とマリファナ所持で有罪を認めている。そのためか、大学4年目のプレー内容は3年時と比べて芳しくなかったようだ。

スペンサー・ヘイヴナー Spencer Havner

UCLAから昨年のドラフト外でレッドスキンズに入団し、開幕前に解雇されて10月上旬にパッカーズのプラクティス・スクワッドに加わった。UCLAでは4年間スターターを務め、キャプテンにも選ばれている。スピードのない白人ミドルLB(またはストロングサイド)で、パス守備に難があるようだ。今春のミニキャンプでは2ndチームでプレーしていた。

ティム・グッドウェル Tim Goodwell

メンフィス大から昨年のドラフト外で入団し、プラクティス・スクワッドで1年目を過ごした。今春はNFLヨーロッパに派遣されたがスターターにはなれず、控えから出場して28タックルを記録している。

2007年7月25日

Notebook: 6巡指名の3人と契約

2007年7月24日

ロースター展望 LB編 1

先発2人が入れ替わった昨季の序盤は未熟さが出て不安定だったが、シーズンが深まるにつれ力を発揮。若く速く活気に満ちたユニットに成長し、パッカーズ守備の中心として長期にわたって活躍を期待できそうだ。1巡5位指名のA.J.ホークの加入により、パスシチュエーションではダイム隊形(1LB・6DB)でなくニッケル隊形(2LB・5DB)を使ってホークとバーネットの能力を活かすシステムに変更された。また同じ理由から、変則ダイム隊形(3DL・2LB・6LB)を使う場面もあった。

ストロングサイドのブレイディ・ポピンガはパス守備にやや問題があり、先発争いが起きるとすればここだけだろう。LBのロースター枠は通常6人で、5人のこともある。先発3人に加えてプロ2年目のアブドゥル・ホッジまでは大丈夫と思われるが、6巡指名のデズモンド・ビショップとドラフト外の2人が加わり、ロースター争いはどうなるかわからない。スペシャルチームでの働きも当然考慮されることになるだろう。

ニック・バーネット Nick Barnett

オレゴン州立大から2002年のドラフト1巡で入団し、1年目から先発ミドルLBとしてディフェンスのリーダーを務めている。非常にスピードがあり、守備範囲が広い。手の骨折もあってチーム最多タックルはホークに譲ったものの、ホークがいるおかげで、以前よりも思い切って動ける余裕ができた。232ポンドの軽量MLBなので、1巡指名DTハレルの加入でライン中央が重く強固になるのはありがたいところ。まだ26歳でポピンガより1歳若い。

今春は総額$35ミリオンの6年契約にサインをしたが、先月にはナイトクラブでトラブルを起こして逮捕されてしまった。リーグ側からの処分は決まっていないものの、初犯で軽罪ということもあって出場停止処分にはならないものと見られている。

A.J. ホーク A.J. Hawk

昨年のドラフト1巡5位指名でオハイオ州立大から入団し、すぐにウィークサイドLBでスターターとなった。最初はプレーぶりがやや地味だったが、次第にプレー内容を向上させてディフェンスの中心的存在へと成長した。優れたスピードに加え、ウィークサイドとしてはガタイがあり、押し負けることも少ない。派手なヒットよりもしっかり抱え込むタイプのタックラー。序盤はパス守備のミスも目立ったが、着実な進歩を見せて難しいインターセプトも2つ決めた。

今春のミニキャンプやOTAを見たスカウトからは、「フィールド上で最高の選手はホークだった」と評価する声もあった(ファーヴやドライバーが不在だったかも)。ドラフト上位指名選手にもかかわらず、派手な名声に興味のない練習の虫で、将来のパッカーズの顔にふさわしい選手と期待されている。

ブレイディ・ポピンガ Brady Poppinga

ブリガム・ヤング大から2005年のドラフト4巡指名で入団。その12月にヒザの前十字靭帯断裂を負いながら、わずか8ヶ月で復帰し、昨季開幕直前にベン・テイラーからストロングサイドの先発の座を奪った。デカくて速くて無鉄砲なほどの激しいプレーが身上で、時々ものすごいプレーを見せる。しかし横や後ろへの動きがやや硬いので、パスカバレッジに難がある。昨季前半には相手TEとのマッチアップでビッグプレーを許すシーンが目立ったが、後半にはミスを減らすことができた。

ヒザの大ケガから1年半以上経過したものの、今春の彼の動きを見た記者によるとカバレッジ能力の問題は解消されたわけではないようなので、ある程度は我慢して長所を活かしていく他なさそうだ。大学3年まではパスラッシュDEをしており、時おりパスラッシャーとして起用することもできる。

アブドゥル・ホッジ Abdul Hodge

DEキャンプマンやDTコールと同じアイオワ大から、昨年のドラフト3巡指名で入団。昨夏のキャンプではハードヒットを連発して評判がよかったが、バーネット欠場により唯一の先発機会となった第12週シーホークス戦でのプレー内容は非常に悪く、235ydsラッシングを許す元凶となった。タフでフィジカルな典型的なミドルLBタイプ。MLBバーネットの先発の座を狙うのは難しいからといって、ストロングサイドがこなせるかどうか。

プロ2年目の今春はヒザの手術を受けたためミニキャンプやOTAでプレーできず、先発組との差はむしろ開いてしまった。そのうえ6巡指名で同タイプのデズモンド・ビショップが入団してきてしまい、ロースター残留が心配な状況に追い込まれている。昨季スペシャルチームでのプレー内容が芳しくなかったのも減点材料。

2007年7月23日

Notebook: パッカーズ・ホール・オブ・フェイム式典

2007年7月22日

ロースター展望 DT編

昨季まずまずの働きを見せたユニットなので大きな補強はないものと見られ、1巡でのDTジャスティン・ハレル指名には驚きの声が上がった。たしかにDTを大型かつ強力にすればLBバーネットやLBホークのスピードをより活かすことができ、DE陣のパスラッシュ力向上にもつながる。最年長がピケットの27歳で、若くケガが少ないメンバー構成。ペネトレートしてのパスラッシュを得意とするのはウィリアムズぐらいだが、パスシチュエーションではDEジェンキンズがDTに入ることで補う。

ロースター枠はDL全体で9人。10人の年もある。DT/DEの人数配分がどうなるかは微妙なところで、DTの5人目とDEの5人目が9人目のイスを争う展開になるかもしれない。

ライアン・ピケット Ryan Pickett

オハイオ州立大から2001年のドラフト1巡29位でラムズに入団し、2年目からスターターに。最初は期待はずれとの声もあったが次第に成長し、総額$14ミリオンの4年契約で昨年パッカーズに移籍した。横幅のあるランスタッファーで、ダブルチームをしっかり受け止めることができる。DLではキャンプマンに次ぐタックル数を記録したが、ペネトレートしてのパスラッシュはあまり得意でなく、昨年はサックゼロに終わった。ただしパスをティップしたのはDL陣最多の5回。

昨季彼が、前任者のDTグレイディ・ジャクソン(現ATL)より88スナップ多い計645スナップに出場できたのはケガが少ないからで、過去5年間全試合出場を続けているのは立派のひとこと。

コーリー・ウィリアムズ Corey Williams

アーカンソー州立大から2004年のドラフト6巡で入団し、1年目からDEでローテーションに加わった。2年目はやや伸び悩んだが、3年目の昨季はDTでスターターとなり初の全試合出場、チーム2位の7サックを挙げてブレークした。サイズとクイックネスに恵まれてパスラッシュを得意とするが、ラン守備がやや不安定。精神面のリスクのあるタイプと見られ、ビッグマネーを手にしたらDTクリディアス・ハントのように怠け者になってしまうのではないか、との懸念もある。

今年が契約最終年なので契約延長交渉も行われていたが、DTハレルの入団により棚上げになってしまったようだ。チーム側が再び交渉に乗り出すかどうか、成り行きは彼とハレルのプレー内容しだいだろう。

ジャスティン・ハレル Justin Harrell

テネシー大から今年のドラフト1巡16位で入団。詳しくはルーキー紹介を参照のこと。ノーズタックルと"3テクニック"の両方がこなせるが、どちらかというとランスタッファーで、ライアン・ピケットとは同タイプとなる。昨年9月に負った上腕二頭筋断裂のため、入団後ここまでコンタクト練習を控えてきたが、すでに完全復帰の許可が出ており、契約さえまとまればキャンプ初日からフル参加できる見込み。

ただし筋力が完全に戻るかは別の話で、今季じゅうぶんな力を発揮できるか疑問視する見方もある。昨季7サックを挙げたDTコーリー・ウィリアムズがいるので、昨年の1巡指名LBホークとは違って、どうしてもハレルがスターターを務めなければならない状況ではない。ハレルが十分なポテンシャルを発揮することができれば、チーム側はウィリアムズとの契約延長を見送ることになるかもしれない。

コリン・コール Colin Cole

アイオワ大(DEキャンプマンの1年後輩)から2003年のドラフト外でまずヴァイキングスに入団、2004年にパッカーズに移って初めて3試合出場した。着実に成長した2005年はDLのローテーションに加わって62タックル、2サックを挙げたが、昨年はやや期待はずれのプレー内容で、ウィリアムズに差をつけられた。さらなる成長を見せて先発陣を脅かすことができるか、それとも伸び悩んで下記ジョニー・ジョリーに追いつかれるか、今年は勝負の年かもしれない。

ジョニー・ジョリー Johnny Jolly

テキサスA&Mから昨年のドラフト6巡指名で入団。シーズン中盤まではインアクティブばかりだったが、しだいにパワーアップして終盤4試合に出場、シーズン4タックルを記録した。サイズのあるパワフルなランスタッファーで、パスラッシュはあまり得意でない。今夏は成長を見せて上記コールを脅かしたいところ。そうでなければ今年もロースター争いのボーダーライン上で、DEハンターらとDL最後のイスを争うことになりそうだ。

ダニエル・ミューア Daniel Muir

ケント州立大から今年のドラフト外で入団。大学3年まではDT、4年ではDEをプレーして5.5サック、52タックルを挙げている。体重298ポンド(135kg)と軽めなので、ランストッパーというよりも"3テクニック"の方なのだろう。上記5人の壁は厚いと見られ、よくてプラクティス・スクワッドか。

2007年7月21日

ジョン・ジョーンズ社長の後任探しがスタート

5月末に事実上解任されたジョン・ジョーンズ社長とパッカーズ側との事後処理の話し合いがほぼ合意に至り、後任社長の人選が本格的にスタートすることになった。チーム側は契約途中で解雇するかわり、残っていた3年分のサラリーをジョン・ジョーンズに支払う見込み。1年約$90万ドルだったので計$2.7ミリオンほどとなる。予定されていなかった理事会(45人)がこの水曜に開かれたのは、そういった経緯を説明し、後任社長選びの予備的な話し合いをするためだったと見られている。

情報筋によると、後任社長の人選は、経営委員会(7名)に加えて理事数人が参加する選考委員会が主体となって行うことが決まった。また、プロスポーツ関係の経験が豊富な人材スカウト会社と契約し、候補者の調査や選定に役立てるとのこと。数人の最終候補を選んで面接に至るまで、6週間から12週間かかるかもしれず、11月までは後任社長は決まらないのではないか、とPress-Gazette紙は書いている。

どういった人物を選ぶべきかについて今回の理事会では意見が分かれ、数人の理事は「これまでパッカーズに関わっていた地元の人間を社長に選ぶべき」と強く主張したらしい。いっぽうハーラン会長および経営委員会のメンバーは、「すでにNFL球団で働いて複雑なシステムを熟知し、他球団オーナーやリーグオフィスとのつながりのある人物が望ましい」と語っていた。そのため、選考委員会が1人の人物を選んで推薦しても、理事会が承認する時点で紛糾する可能性もある。

2007年7月20日

ロースター展望 DE編

昨季は左DEキャンプマンがサックを量産してプロボウルに初出場し、右サイドはサイズのあるジェンキンズが先発に昇格してバジャ=ビアミラがパスラッシュ・スペシャリストに降格。年齢的にもバジャ=ビアミラの29歳を筆頭にキャンプマン27歳、ジェンキンズ26歳など、油の乗った年齢層の選手ばかりとなり充実してきた。今年FA補強もドラフト指名もなかったのはそのためだが、1巡指名のハレルがDT陣に加わってレベルアップすれば、波及効果は期待できる。やや気がかりなのは上記3人に続く控え選手の成長で、先発組とくにキャンプマンが負傷した場合の不安はある。

ロースター枠はDL全体で通常9人で、たまに10人の年もある。DE/DTの人数配分が5/4か4/5のどちらになるかは微妙なところ。なおジェンキンズはパスシチュエーションではDTに入ってラッシュすることが多く、たまにキャンプマンもそうすることがある。

アーロン・キャンプマン Aaron Kampman

2002年のドラフト5巡指名でアイオワ大から入団。先発左DEとして毎年着実に成長を続け、昨年は15.5サックを挙げてついにプロボウラーとなった。もともとラン守備は素晴らしく、2年連続でDL陣最多となる113タックルを記録している。読みや判断力に優れたハードワーカーで、ラン守備を含めたオールラウンドな能力は以前から玄人筋に評価が高かった。白人DEだけに飛び抜けたスピードはないが、ボディバランスがよく、常に効果的な動きをする。

ほぼ左サイドオンリーでプレーし、昨季はパッカーズDL陣最多となる93.2%のスナップに出場。まさにディフェンスのMVPだった。昨年春に結んだ総額$21ミリオンの契約延長はパッカーズにとって大当たりで、あとはケガがないことを願うばかり。オフシーズンの体作りも完璧で、過去3年間一度も欠場がない。

カレン・ジェンキンズ Cullen Jenkins

セントラル・ミシガン大から2003年にドラフト外入団。1年目は解雇されたが、NFLヨーロッパ派遣を経た2年目に開幕ロースター入りを果たした。3年目の2005年にDTとしてスターターとなり、昨季終盤にはバジャ=ビアミラを退けて右DEとしてスターターとなった。彼が昇格してからはラン守備がかなり安定し、今季も同じ体制で臨むことがほぼ決まっている。パスラッシュ専門のバジャ=ビアミラと比べラン・パスの両方のバランスに優れる。

体重295ポンドはDTとしては軽量だったが、右DEとしてはバジャ=ビアミラより48ポンドも重い。1年目から4.5サックを挙げたようにインサイドからのパスラッシュを得意としており、今後もパスシチュエーションではDTに回ることが多そうだ。兄のDTクリス・ジェンキンズ(CAR)のようなエリート選手でなかった分、慢心の心配は少ないかもしれない。

カビーア・バジャ=ビアミラ Kabeer Gbaja-Biamila

サンディエゴ州立大から2000年のドラフト5巡指名で入団、2年目に13.5サックを挙げてブレークした。4年連続2桁サックを記録して2003年にはプロボウルにも選ばれたが、この2年間は8サック、6サックと成績がダウン。比較的自由に動き回るスタイルからラン守備不安がつきまとい、昨季途中でついにスターターの座を失った。パスラッシャーとしての能力は評価されており、少しぐらい高給でも手放すには惜しいと見られている。過去6年間で欠場がわずか1回とケガが非常に少ない。

マイケル・モンゴメリー Michael Montgomery

テキサスA&Mから2005年のドラフト6巡指名で入団。期待された2年目の昨季は左右両サイドの控えを兼ねたが、ハムストリングやヒザのケガで出場は11試合、21タックル、わずか1.5サックしか挙げることができなかった。スピードはあまりないが、6-5(195cm)の長身で腕がかなり長い。このまま伸び悩みが続くようなら、開幕ロースターに残れない可能性もある。

ジェイソン・ハンター Jason Hunter

ディビジョンI-AAのアパラチアン州立大(ノースカロライナ州)から昨年のドラフト外で入団し、7巡のDEトルフソンを退けて開幕ロースター入りを果たした。14試合に出場し、スペシャルチームで8タックル、ディフェンスで2タックル。体重250ポンドの軽量パスラッシャーで、40yds走4.5秒前後の素晴らしいスピードがある。1年目は将来性コミでロースターに入っただけに、2年目の今年は成長したところを見せなければならない。上記モンゴメリーやDTジョニー・ジョリーとロースター枠ぎりぎりを争うか。

ラリー・バーダイン Larry Birdine

オクラホマ大から今年のドラフト外で入団。上腕二頭筋の断裂で2005年シーズンを全て欠場したが、昨年は13試合に先発して3.5サック、39タックルを記録している。負傷する前の大学2年目に7サックを挙げてベストシーズンだったようだ。かつてスティーラーズで活躍したプロボウルLBジェイソン・ギルドンの(半分)弟。

デヴォン・ヒックス DeVon Hicks

ノースウェスト・ミシシッピ・コミュニティカレッジから今年のドラフト外で入団。最初はトライアウトとしてルーキー・ミニキャンプに参加し、そこで認められて正式契約となった。短大から4年制大学に移ってプロ入りする選手は多いが、直接プロに来るのは珍しい。最初はRBとしてディビジョンIIのエンポリア州立大(カンザス州)に入りレッドシャツとして1年在籍し、その後短大に移って2年を終えたところ。ディビジョンIの大学に移ることもできたが、NFLドラフトへのエントリーを選んだとのこと。DE/LB両方でプレーし、昨年は10サックを挙げている。

2007年7月19日

ロースター展望 C/OG編

センター専業がスコット・ウェルズだけなので、ガードと合わせて紹介。昨年はプロ3年目のCウェルズが先発に昇格し、その両横はルーキーの2人が先発した。若手ばかりで非常に苦しいシーズンをなんとか乗り切り、2年目の今年は成長がおおいに期待できる。相手DTに押し負けないパワーをつけて、特にランブロッキングを向上させたいところ。昨季はファーヴを守ることを最優先にしてヘルプを増やしたので、1on1でパスプロを安心して任せられれば、それだけパスオフェンスの選択肢も広がってくる。

ロースター枠はOL全体で通常9人で、10人の年もある。9人の場合、センターとガードを合わせて5人が普通。先発3人に加えて、4巡指名のG/Tバーバーもほぼ当確と思われる。トニー・パーマーとタイソン・ウォルターあたりが最後のイスを争うことになりそうだが、(タックルの項で紹介した)ジュニアス・コストンもガードをこなせるので、OL最後のイスの争いはかなり熾烈だ。

スコット・ウェルズ Scott Wells

テネシー大から2004年のドラフト7巡で入団。1年目はCフラナガンの代役で2試合に先発、2年目は左ガードとして8試合に先発して大過なく務めた。3年目の昨季はフラナガンのFA移籍にともなって先発センターに昇格し、すでに前任者とさほど差のないプレー内容を見せている。昨季サックを許したのはわずか0.5回。ランブロックのミスがRGスピッツに次いで多かったが、両隣のガードが成長してくれば、不安定さも解消されてくるかもしれない。

身長6フィート2弱(187cm)と小さいが、しっかりした馬力がある。高校時代にレスリングで全米チャンピオンとなったようにボディバランスがよく手の使い方が上手い。大学4年間で49試合連続先発し、プロ入り後も一度も欠場のないタフガイ。先発センターとしての将来性を認められ、すでに昨年11月に総額15ミリオンの契約延長にサインしている。

ジェイソン・スピッツ Jason Spitz

昨年のドラフト3巡指名でルイヴィル大から入団し、すぐに先発右ガードとなった。左右両ガードが問題なくこなせて、控えセンターも兼ねる。Cクリス・ホワイトを昨季途中で解雇したのも、スピッツが2番手センターで問題ない、と判断したためだろう。狭いエリアで相手を押し込む馬力はよいが、大きく動いてスペースで相手を捕まえるのには課題が残る。ハマったときは素晴らしいランブロックを見せるもののまだ不安定で、ブロックミスがチームで最も多かった。

ダリン・カレッジ Daryn Colledge

ボイジー州立大から昨年のドラフト2巡指名で入団。大学では4年間左タックルを務め、入団直後から左ガードに。プレシーズンの不振でいったんは控えに下がったが、開幕直後にスピッツのケガで先発に復帰すると、そのまま最後までスターターの座を手放さなかった。代役左タックルをした時を除いて一度もサックを許さず、オール・ルーキー・チームにも選出されている。

大学でガード経験豊富だったスピッツが昨季開幕時点では上回っていたが、高いアスレチック能力があるカレッジの方が将来性では上であろうと見られている。ランブロッカーとしてはまだ馬力が足りないので、課題はパワーをつけること。LTクリフトンが欠場したドルフィンズ戦ではろくな準備もないまま左タックルをプレーし、控えLTも兼ねる力があることを証明した。現状ではカレッジが2番手LT、とマッカーシーHCも明言しており、LTクリフトンの後継者としても現時点では最有力。

アレン・バーバー Allen Barbre

昨日の記事で紹介した4巡指名ルーキー。大学4年間左タックルだったが、入団後は左ガードに専念している。実際は左ガードと左タックルの控えを兼ねることになりそう。4巡指名選手なので、キャンプでの出来がよほどひどくなければ開幕ロースターに残るだろう。

トニー・パーマー Tony Palmer

ミズーリ大から昨年のドラフト7巡指名でラムズに入団し、開幕前に解雇されてパッカーズと契約。出場6試合は主にスペシャルチームで、あとはインアクティブだった。6-2(188cm)とガードにしては背の低いずんぐり型で、かなりパワフルなブロッカー。移籍時は325ポンドもあってゾーンブロッキング向きでなかったが、14ポンド絞って今は311ポンドとのこと。大学では主に左ガードをプレーし、パッカーズ移籍後はセンターの練習もしている。

タイソン・ウォルター Tyson Walter

オハイオ州立大から2002年のドラフト6巡でカウボーイズに入団、3年間で40試合に出場し9試合に先発。2005年の開幕前に解雇されてテキサンズと契約したが、7試合全てインアクティブ。昨年春にレッドスキンズにFA移籍したが10月下旬に解雇され、RTタウシャーが負傷していたパッカーズと契約した。大学では左タックルで、プロ入り後は左ガードやセンターの代役を務めることが多かった。頭がよく器用な選手だが、すでに29歳で伸びシロがなさそうなのが弱み。

トラヴィス・レフュー Travis Leffew

ルイヴィル大(RGスピッツのチームメイト)から昨年のドラフト外でベアーズに入団し、開幕前に解雇されてパッカーズのプラクティス・スクワッドへ。シーズン中にカウボーイズと契約したが、3試合連続インアクティブのあと解雇されて再びパッカーズのプラクティス・スクワッド。大学では主にタックルをプレーし、50試合全てに先発出場したタフネスを誇る。

アダム・ステナヴィッチ Adam Stenavich

ミシガン大から昨年のドラフト外でパンサーズに入団したが開幕前に解雇され、11月にパッカーズのプラクティス・スクワッドに。今春はNFLヨーロッパに派遣され、アムステルダムで先発左ガードを務めた。大学では3年間左タックルをしていたので、ガード修業のための派遣という意味合いだったかもしれない。ウィスコンシン州マーシュフィールド出身。

パット・マレー Pat Murray

ディビジョンIIのトルーマン州立大(ミズーリ州)から今年のドラフト外で入団。大学では3年間右タックルを務め、ディビジョンIIのオールアメリカンにも選出されている。

2007年7月18日

ロースター展望 OT編

左タックルのクリフトンと右タックルのタウシャーは、どちらもプロボウル一歩手前のレベルで万全といっていい。唯一の懸念は左タックルの控えだったが、4巡指名バーバーの加入もあって層が厚くなった。クリフトンの31歳がOL陣の最高齢で、伸び盛りの若手が多い。

ロースター枠はOL全体で通常9人で、10人の年もある。タックルに限れば4人が普通。クリフトン、タウシャーの両先発に加えてモールまでは当確なので、オーリン・トンプソンとジュニアス・コストンが最後の枠を争うことになりそうだ。

チャド・クリフトン Chad Clifton

テネシー大から2000年のドラフト2巡で入団。1年目の途中でスターターに昇格して以来、不動の先発左タックルとしてQBファーヴの背後を守っている。サイズもアスレチック能力も文句なく、特にパスプロテクションに優れる。昨年は15試合出場でわずか2サックしか許さず、プレッシャーを許した回数も2005年の17.5回から14回にダウン。ランプレーのバックサイドでのカットブロックもシーズン中にかなり上達した。

ここ数年ヒザなどケガが増えているのが唯一の懸念材料で、31歳という年齢もあってそろそろ後継者の育成を図る必要が出てきている。ケガさえなければ実力的にはまだまだ問題ない。

マーク・タウシャー Mark Tauscher

クリフトンと同じく2000年のドラフト7巡で地元ウィスコンシン大から入団し、同じく1年目から先発右タックルを務めている。際立ったスピードやパワーがあるわけではないがボディバランスに優れ、手の使い方など、相手をまるめ込むテクニックは素晴らしい。LTばかり選ばれるプロボウルには縁がないが、リーグ屈指の右タックルと玄人筋からの評価が高い。昨季サックを許したのは11試合でわずか1回(5試合欠場)、キャリア7年間で12回しかない。ランブロックもOL陣で最もミスが少なかった。

トニー・モール Tony Moll

ネヴァダ大から昨年の5巡指名で入団し、右ガードと右タックルで計10試合に先発出場した。大学4年でTEからOTにコンバートされ、わずか1年半でNFLの先発を務めたのだから立派なものだが、ルーキー3人の中では最も不安定だった。サックやQBプレッシャーを許した回数でもOL陣最多で、反則も5回あった。アスレチック能力には恵まれているので、あとはしっかり馬力をつけ、テクニックを磨いてプレー内容を安定させること。

ケヴィン・バリーが放出されたので、今年も彼が右タックルと右ガードの2番手を兼ねることになりそう。LGカレッジが負傷したらRGスピッツがLGにスライドしてモールがRGに入り、Cウェルズが負傷したらRGスピッツがセンターにスライドしてやはりモールがRGに入る。LTクリフトンが負傷したらLGカレッジがLTにスライドし、RGスピッツがLGにスライドし、モールがRGに入る。つまりモールがいるだけで全OLの控えがまかなえることになる。複数ポジションをこなせる選手が多いことに加え、ゾーンブロッキングのスキームでは、ガードとタックルで必要とされる資質に大きな違いがない、という事情があるかもしれない。

オーリン・トンプソン Orrin Thompson

デューク大で2年間先発DTを務め、2005年のドラフト外でドルフィンズに入団し、そこでOTにコンバートされた。昨年春にはNFLヨーロッパでもプレーしたが開幕前に解雇され、パッカーズのプラクティス・スクワッドに加わった。6フィート6(198cm)の長身に加えて腕が非常に長い。今春は大きく進歩したとコーチは口を揃えており、ライバルだったOTジョシュ・バークを先月解雇したのも、彼の成長を認めてのことだろう。現状ではロースター争いのボーダーライン上か。

ジュニアス・コストン Junius Coston

ノースカロライナA&Mから2005年のドラフト5巡指名で入団。荒削りだがアスレチック能力が高い、つまり将来性を買われて過去2年間はロースター残留してきたが、1年後輩のトニー・モールには簡単に追い抜かれてしまっており、今年はいよいよ崖っぷち。現状ではタウシャー、モールに次ぐ右タックルの3番手で、もし今ロースター53人を選ぶなら落選だろう。

アレン・バーバー Allen Barbre

ディビジョンIIのミズーリ・サザン州立大から4巡指名で入団。詳しくはルーキー紹介を参照のこと。もともと左タックル専門だったが入団後は左ガード専門でプレー。しかし次回との人数配分の関係もあって今回紹介する。40yds走4.8秒台とOLとしては飛び抜けたスピードの持ち主。LTクリフトンの控え(および後継者候補)は現状ではLGダリン・カレッジだとマッカーシーHCが明言したので、バーバーは左ガードの2番手を争いつつ、3番手LTをオーリン・トンプソンと争う。

2007年7月17日

ランボーフィールド大改築への道

ボブ・ハーラン会長兼CEOが回顧録"Green and Golden Moments"の中で、任期中最大の功績といえるランボーフィールド大改築工事に至る経緯を振り返っている。ときはホルムグレンが去ってレイ・ローズHCが不振に苦しんでいた1999年シーズン後半。ロン・ウルフGMはローズHCの解任を考え始め、会計担当からは次第に苦しくなる球団財政が報告され、折悪しくハーラン社長(当時)の最愛の母が重い脳梗塞に。ハーランは400マイル離れた故郷アイオワ州デモインとの間を自分の運転で毎週往復しつつ、大きな難局に対処しなければならなかった。

「1999年のシーズン中、『我々は大きな財政的な問題を抱えていて、来年はもっとずっと悪くなる』 と、会計担当ジョン・アンダーウッドから経営委員会そして理事会へと報告されて来ていた。98年には7ミリオン以上の黒字、99年は7ミリオンを少し下回る黒字、2000年にはその予想のとおり$419,000の赤字となった。10年以上なかった赤字になるとのジョンの報告には、我々も注目せざるをえなかった」

「手元の資金は枯渇しつつあり、スタジアムからの新たな収入の道を切り開かない限り、2005年には通常の運営を続けるだけで$10ミリオンもの借金が必要になってしまう。選手のサラリーやボーナスはどんどん高くなり、各球団がスタジアムの諸収入に頼る割合は上がってきていた。他の球団は新しいスタジアムに移り、我々の収益はNFLの底辺へと落ち込んできていた」

「われわれ理事会や経営委員会にとって大きなパニックだった。それは株主への年次報告にも表れた。『私たちは(ランボーフィールドを建設した)1950年代半ば以来最大の危機を迎えているのです』との私の書簡を、年次報告の冒頭に置いたほどだった。我々は新しい世代のパッカーズファンに対して、住民投票で$295ミリオンのスタジアム大改築を承認するよう求めることになった。2000年1月22日の記者会見でスタジアム大改築プランを発表したが、次の課題は、我々がどれほど真剣にこれを必要としているかを、人々に信じてもらうことだった」

「住民投票への道筋を決めたとき、『ボブ、これは悪夢のような戦いになるよ』 と人から言われたものだ。まさにそのとおりになった。あれほど厳しい戦いになろうとは夢にも思わなかった。特にこのブラウン郡で」

選挙戦さながらの運動が始まった。住民投票の内容は、スタジアム建設資金のためにブラウン郡の住民が0.5%の売上税を認めるかどうか。昔ながらのスタジアムで何が悪い、今風のぜいたくなスタジアムなど要らんだろう、というファンも少なくない。ハーランは精力的に歩き回り、早朝シフトの労働者のため朝5時に工場を訪れて説得にあたることもあった。街のほとんどのコーヒーショップ、ほとんどのレストランを歩き回り、気の遠くなるほどの握手をした。かなり汚い言葉を投げつけられることもしばしばだった。「私たちはとても傷ついた。それでも、フランチャイズが生き残るためにはこれが必要なのだと、人々に説き続けた」

そうして迎えた2000年9月12日の投票日。新任のマイク・シャーマンHCのもとで開幕2連敗という逆風もあったが、53%対47%でスタジアム案はかろうじて可決された。48,788票対42,580票だった。祝賀会で "Thank you, Bob." の合唱に応え、ハーランはスピーチをした。「今日は国じゅうの目がウィスコンシン州グリーンベイに集まった。ブラウン郡全てが、今日自分たちが救ったもののために祝うべきだと思う。決断は下った。これからはコミュニティが一体となって前に進むときだ。我々はNFLで最高のスタジアムを作ろう。 "America's team"はウィスコンシン州グリーンベイに残る。コミュニティとフットボールチームが1つになって、また新たな奇跡を成し遂げたのだ」

さらにハーランは、「ブラウン郡のかなりの人々が、自らの意思に反して売上税を納めることになる。できる限り早く課税を終わらせることが我々の義務だ。不満な人々もコミュニティには多いことを忘れてはならない」と付け加えることも忘れなかった。その言葉のとおり、1年365日営業となった新ランボーフィールドは、パッカーズ・ホール・オブ・フェイムの併設、NFL最高の売り上げを誇るプロショップや各種レストランなど新たな魅力を備え、グリーンベイ詣でに訪れる遠来のファンを引き付ける強力な磁石へと生まれ変わった。

もし住民投票で否決されていれば、今ごろは隣のアウタガミー郡アップルトン市あたりにスタジアムが新設され、豊かな歴史と切り離されて独特の魅力も半減していたかもしれない。今やパッカーズの収入はNFLの上位に名を連ね、$125.5ミリオンもの準備金を積み立てている。スタジアムの経済波及効果もあって地元の税収も好調、予定より早く課税期間を終えることができそうだ。2000年には47%が反対したスタジアム大改築だったが、今では圧倒的多数が「建設してよかった」と受け止めるようになっている。

2007年7月16日

ロースター展望 TE編

現在の能力、将来性ともにパッとせず、パッカーズの中で最も希望のないポジションかもしれない。昨季はルーキーが3人もいるOL陣を助けるためブロッキングの仕事が増え、パスコースに出るタイミングも遅くせざるをえなかった。OL陣が成長してくればダブルチームの必要もなくなり、今年はパスターゲットとなる機会が増えるかもしれない。

かつてはTDを量産したフランクスもここ数年は下り坂で、特に昨季は彼らしくないミスが目立った。パス攻撃で最も貢献したデヴィッド・マーティンはドルフィンズにFA移籍。あいにく今年はFA市場もドラフトもタイトエンドが不作で、7巡でクラーク・ハリスを指名したのが唯一の補強となった。その後のミニキャンプやOTAでは主にドナルド・リーが1stチームでプレーしていたが、フランクスが見限られたわけではなく、未知数なところの多いリーやハンフリーを試したいという意図らしい。

ロースター枠は通常3人だが、マッカーシーHCがTEを重視するためか昨年は4人だった。このようにレベルが低くては、今年4人もロースターに残すのは無駄かもしれない。スターターが誰になるかわからず、ロースター争いがどうなるかも現時点では予想がつかない。開幕直前までFA補強の可能性はある。

ババ・フランクス Bubba Franks

マイアミ大から2000年のドラフト1巡指名で入団したプロ8年目の29歳。堅実なレシーバーとしてレッドゾーンで活躍してきたがこの2年間は不振で、昨年はTDゼロとキャリア最悪のシーズンだった。確実性だけが取り柄だったのに落球率が11.3%に跳ね上がり、反則4回、ファンブル2回。仕事を減らされてちょっとクサってしまった、と本人も反省している。5人の中でブロック力は最も高いが、どうにも足が遅く、相手LBからセパレートできない。ランアフターキャッチもほとんど期待できない。

今春には解雇すべきとの声もあったが、ユニット全体のレベルがこれほど低くては、簡単に手放すわけにもいかなかった。2005年夏に結んだ7年契約では、来年から$3ミリオンほどに跳ね上がるので、実質今年が契約最終年といっていいかもしれない。

ドナルド・リー Donald Lee

プロ5年目の26歳。ミシシッピ州立大から2003年のドラフト5巡でドルフィンズに入団、3年目の2005年開幕前に解雇されてパッカーズに移り、TE陣最多33キャッチの活躍を見せた。しかし期待された2006年はわずか10キャッチ、TDゼロ、落球率23%の不振。軽量でアスレチックなレシービングTEで、ブロッキングはまずまずといったところ。ドルフィンズ放出の原因にもなった不安定さがなかなか解消されない。

不振にもかかわらずパッカーズが再契約したのは、スペシャルチームで貢献していること、26歳でまだ成長の余地がありそうなことを評価したのか。今年のミニキャンプやOTAでは上記フランクスを追い越して1stチームでプレーしているが、プレー内容そのものが目立っているわけではない。

トリー・ハンフリー Tory Humphrey

2005年のドラフト外でセントラル・ミシガン大から入団し、1年目はプラクティス・スクワッド。2年目の2006年は、NFLヨーロッパ派遣(19回206yds)を経て、4番手TEとして開幕ロースター入りを果たした。7試合に出場したがパスキャッチはなく、出番はスペシャルチームばかり。11月半ばにハムストリングを負傷してインジャリーリザーブ入りとなった。今春のミニキャンプやOTAでは、時おり1stチームでもプレーしている。

クラーク・ハリス Clark Harris

ラトガーズ大からドラフト7巡指名で入団。詳しくはルーキー紹介を参照のこと。昨季開幕前には有力TEの1人に挙げられていたものの、身体能力の低さが懸念され、7巡終盤でようやく指名となった。レシービングTEとして数字を残してきたが、ブロッキングには難があるらしい。ロングスナッパーもできるのはプラスだが、LSロブ・デイヴィスを脅かすほどの安定性はまだない。ロースターに残れなければプラクティス・スクワッドか。

ザク・アルコーン Zac Alcorn

NAIAに属するブラックヒルズ州立大(サウスダコタ州)から昨年のドラフト外で入団し、ハンフリーが戦線離脱した11月半ばにプラクティス・スクワッドからロースター昇格を果たした。父も祖父もNFLのトライアウトを受けたことがあり、3代目にして念願のNFL入りとなった。40yds走4.62秒とTEにしてはスピードがあり、パスキャッチはTE陣で最も上手いという評判。今夏はハンフリーやハリスと3番手を争うか。

2007年7月14日

Notebook: 補足ドラフトでの指名なし

2007年7月13日

ロースター展望 WR編 2

WR紹介の2回目。ドライバー、ジェニングスに加えて3巡指名ジョーンズもロースター入りほぼ確実なので、残る2つのロースター枠を9人で争う。今日紹介する7人が全員残れない可能性もある。

ロバート・ファーガソン Robert Ferguson

2001年の2巡指名でテキサスA&Mから入団、期待を裏切り続けプロ7年目の27歳となった。特に昨年は絶好のチャンスだったが、新人のジェニングスにあっさり先発の座を奪われた上に足の骨折で12試合欠場に終わった。しっかりしたガタイがあってスピードも十分あるが、なぜか相手DBからうまくセパレートできない。ジャンプボールを競り負けてインターセプトとなることも少なくない。実戦に弱いと言われても仕方がない。

いっぽうスペシャルチームでは実績を残してきた。2004年にキックオフリターン平均25.0ydsの好成績を挙げたことがあり、カバーチームでもガッツあふれる素晴らしいタックルを見せる。レシーバーとしてはこれ以上の成長はないとメディアは見ており、今年はいよいよ崖っぷちだろう。開幕ロースターに残るためには、「できればスペシャルチームはやりたくない」などと贅沢は言っていられない。

デヴィッド・クラウニー David Clowney

ヴァージニア工科大からドラフト5巡指名入団。詳しくはルーキー紹介のページを参照のこと。3巡のWRジョーンズとは正反対のタイプで、小兵だが快速のディープスレット。大学では陸上競技でも活躍しており、4.3秒台のスピードとクイックネスがある。パントリターン経験はなく、キックオフリターンの方で候補の1人となっている。5巡指名ともなると開幕ロースター入りは確実ではなく、多くのWRとの争いに勝たなければならない。

コーレン・ロビンソン Koren Robinson

2001年の1巡9位指名でシーホークスに入団し、シーズン1240ydsを記録したこともあるが、アルコール絡みの不祥事を繰り返し、このところ転落の一途をたどっている。一昨年はヴァイキングスに移ってリターナーとして活躍したものの、昨年夏に飲酒カーチェイス事件を起こして解雇され、パッカーズに移って4試合出場したところで1年間の出場停止処分。シアトル時代の縁で彼を獲得したトンプソンGMにも非難の声が多かった。

禁固90日の有罪判決を受け、3月上旬から服役した。その後半45日はグリーンベイのあるブラウン郡刑務所に移り、電子機器を装着して外出できる "Work-Release" の身分で服役した。NFL復帰が可能になるのは10月半ばのことで、それも無条件に復帰できるわけではなく、酒を断って品行方正に暮らさしていなければならない。復帰まではロースター枠にカウントされないかわり、球団施設でトレーニングすることも許されない。しっかり体作りができているかアテにはならず、「いないものと考えるべき」との声が圧倒的だ。

ショーン・ボディフォード Shaun Bodiford

ディビジョンI-AAのポートランド州立大から昨年のドラフト外でライオンズ入り。プレシーズンで活躍を見せて開幕ロースターに残ったが、10月に解雇されてパッカーズへ。しかし3試合出場したところでヒザを痛めてインジャリーリザーブ入りとなった。出場はほとんどがスペシャルチームで、レシービングのスタッツはなし。身長5-11(180cm)で体重もWR陣では最も軽く、クイックネスに優れた選手のようだ。

リターナー能力を首脳陣から高く評価されているが、昨季はパントリターン6回平均4.2yds、キックオフリターン5回平均16.2ydsとあまりいいところを見せられなかった。短大時代にはQBアーロン・ロジャースのチームメイトで、その後別々の大学(ロジャースはカリフォルニア大)に移っている。

クリス・フランシス Chris Francies

テキサス大エルパソ校(UTEP)から昨年のドラフト外で入団し、キャンプでよいプレーを見せて認められた。開幕前に解雇されてプラクティス・スクワッドに入ったものの、ケガ人続出の10月半ばにロースター昇格を果たし、第7週ドルフィンズ戦で16ydsのNFL初キャッチを決めた。なお "pronounced FRAN-sis" と公式サイトに明記されているので、カナ表記はフランシス。

カールトン・ブリュースター Carlton Brewster

ディビジョンIIのフェリス州立大(ミシガン州)から昨年のドラフト外でチーフスに入団し、8月下旬のトレードでパッカーズにやってきた。しかし開幕前に解雇され、10月に上記フランシスと入れ違いにプラクティス・スクワッドへ呼び戻された。今春はNFLヨーロッパに派遣され、オールNFLヨーロッパに選出される活躍を見せたが、開幕ロースター入りは難しいと見られている。マッカーシーHCは有望な選手ほど手元で育てたいタイプで、明らかにシャーマン前HCよりもNFLヨーロッパを軽視していた。

カルヴィン・ラッセル Calvin Russell

ディビジョンIIのタスケギー大(アラバマ州)から昨年のドラフト外で入団。開幕ロースターに残れず、シーズンを通してプラクティス・スクワッドで過ごした。ほとんど話題に上ることがなく、情報がない。

2007年7月12日

ロースター展望 WR編 1

けっきょくFA補強もトレードもなく、ドラフトで2人指名してあとは若手の成長に期待するシーズンとなった。ドライバーとジェニングスの両先発は確定しているが、3番手以降はどんな並びになるのか全く予想がつかない。3巡指名のジョーンズと5巡のクラウニー、昨年多少経験を積んだルヴェル・マーティンとホリデイ、実績組のファーガソンとコーレン・ロビンソンといった具合に、それなりにデプスはある。

ロースター枠は通常5人。6人のこともあるが、そうするにはリターナー兼任でないとだめだろう。両先発に加えて3巡指名のジョーンズはロースター入りが確実だが、それ以降はキャンプとプレシーズンでの出来しだい。なおコーレン・ロビンソンはアルコールの問題で開幕4試合出場停止となっており、復帰がかなうまではロースター枠にはカウントされない。

ドナルド・ドライバー Donald Driver

プロ9年目の32歳。アルコーン州立大から1999年のドラフト7巡指名で入団し、たゆまぬハードワークでプロボウラーまで上りつめた。3年連続で1200ydsを挙げ、30歳を過ぎても毎年記録が伸びているのだから素晴らしい。この2シーズンは頼りない若手WRに囲まれて孤軍奮闘の観があり、3rdダウンではドライバーに投げてダメならパント、というシーンも目立った。今年はジェニングスの台頭で多少はマークを緩くしてやりたいところ。

大学時代は走り高跳びでオリンピック代表を目指したアスリートだが、ジャヴォン・ウォーカーほどの直線スピードがあるわけではない。むしろミドルレンジまでのルート取りの正確さ、キャッチ力、ディフェンスの読み、ファーヴとのコンビネーションなど総合力で勝負する。ハードヒットに負けないタフネスも相当なもので、過去5年間で1試合しか休んでいないのも、オフシーズンの体作りなど自己管理能力の高さを物語っている。極めつけのナイスガイで、若手選手のよき兄貴分。

グレッグ・ジェニングス Greg Jennings

昨年のドラフト2巡指名でウェスタンミシガン大から入団。どこといって穴のない完成度の高いプレーぶりで、あっさりとスターターの座を手に入れた。開幕5試合で364ydsと素晴らしいスタートを切ったが、ドルフィンズ戦で足首を捻挫すると、復帰を急ぎすぎたせいもあってその後はスランプに。それでもシーズン632ydsを記録してオールルーキーチームにも選出され、先発でやっていけることは証明ずみ。

今春パッカーズがランディ・モスのトレード交渉以外にFA補強の動きをほとんどしなかったのは、「ジェニングスを控えに下げるにはモスぐらいの選手でなければ」という考え方だったようだ。少し動きが硬そうに見えるドライバーとは対照的に、常に流れるような動きでセンスの高さを感じさせる。ミドルでの競り合いに強く、度胸もあり、ランアフターキャッチの身のこなしも素晴らしい。ドライバーと同じく、フランカーとスプリットエンドの両方がこなせるので、フレキシブルなユニットが組める。

ジェームズ・ジョーンズ James Jones

サンノゼ州立大から3巡指名されたルーキー。詳しくはルーキー紹介を参照のこと。スピードが4.5秒台後半と遅いため、3巡指名には驚きの声が多かった。ガタイがしっかりしていて競り合いに強く、パスキャッチが上手い実戦向きのタイプらしい。入団後のプレーぶりは決して悪くはないが、昨年のジェニングスのような大評判ではないのは確か。この項で3番目に紹介しているのは3巡指名という肩書きがあるためで、3番手争いに勝ち残るのはルーキーにとって容易なことではない。

ルヴェル・マーティン Ruvell Martin

サギノーヴァレー州立大(ミシガン州)出身、プラクティス・スクワッドやNFLヨーロッパ派遣を経て3年目の昨季ついにロースター入りした。ファーガソンの負傷とロビンソンの出場停止で3番手に昇格してパスキャッチ21回358ydsを記録し、最終戦では7回118ydsの大活躍も見せた。スピードはないが193cmの長身でパスキャッチが非常にうまいポゼッション型。今年のキャンプでも3番手争いに加わることになる。

カーライル・ホリデイ Carlyle Holiday

2005年にカーディナルスにドラフト外入団し、昨年12月上旬にカットされたところをパッカーズが獲得。終盤4試合に出場して、最終戦だけで5回87ydsと貴重な働きを見せた。ノートルダム大では3年まで先発QB(つまりブレイディ・クインの前任者)だったため、WRに転向してから3年ほどしか経験がない。身長188cmのサイズがあり、アスレチック能力も高い。ミニキャンプやOTAでの出来は上記マーティンらを上回っており、3番手争いの最右翼ではないか、という一部の評判もある。

2007年7月11日

4巡指名のG/Tアレン・バーバーと契約

4巡指名ルーキーのOGアレン・バーバーがパッカーズと正式に契約を結んだ。Press-Gazette紙によると総額およそ$2.1ミリオンの4年契約とのこと。ディビジョンIIのミズーリ・サザン州立大で4年間先発左タックルを務めていたバーバーだが、入団後ここまでは左ガードを専門にプレーしており、ロースター表や今回の発表でも「ガード」とだけ表示されるようになっている。

またパッカーズは、NFLヨーロッパのアムステルダム・アドミラルズで3年間プレーしていたスウェーデン人のLBカール=ヨハン・ビヨークをプラクティス・スクワッドに加えたことを発表した。"NFL International Development Practice Squad Program" によるもので、キャンプだけでなくシーズンを通して通常のプラクティス・スクワッド8人枠とは別になるらしい。パッカーズ公式サイトによると、このLBビヨークを含めて5ヶ国11人の選手が11のNFL球団に所属することになっている(リスト)。内訳は、イギリス3人、ドイツ3人、メキシコ2人、フィンランド2人、スウェーデン1人。

2007年7月10日

Supplemental Draft 近づく

今年の Supplemental Draft(補足ドラフト)は今月12日。4月の本ドラフトにエントリーしなかったもののNFL入りを希望する選手のためのもので、実際には何らかの違反や学業成績などの問題で大学4年目の出場資格を失った選手が仕方なくエントリーしてくることが多い。各球団が指名するしないは自由で、指名ゼロの年も珍しくない。ここで指名したチームは翌年4月のドラフトで同じ巡の指名権を失い、それだけでなく、すでにNFLから各球団に割り当てられたルーキー・プール(用語集へ)の枠の中で新指名選手と契約をしなければならないつらさがある。

制度が始まって以来の全指名選手リストはこちら。パッカーズは1998年にOLマイク・ウォール(ステロイド違反で大学4年目の出場資格を失った)を2巡で指名した。後にガードとしてプロボウラーに成長したものの、当初期待された左タックルとしては失敗しており、2巡指名権を使ったのは成功と言えるかどうか。同じ年のDTジャマール・ウィリアムズ(2巡でSD)は成功したが、2003年のRBトニー・ホリングス(2巡でHOU→昨年解雇)のように失敗に終わる例も少なくない。

申し込みはすでに締め切られ、今年は10選手のエントリーがNFLから承認された(リスト)。パッカーズはおそらく指名しないだろうと予想されているが、あるとすればS/LBドンテ・ムーア(コネチカット大)かCBポール・オリヴァー(ジョージア大)だろうと見られている。このドラフトで指名されなかった選手は即座にフリーエージェントとなり、どのチームとも契約が可能になる。

2007年7月 9日

ロースター展望 FB編

昨年に引き続き過渡期といっていいポジション。長年先発を務めてきたFBヘンダーソンがついに退団し、昨年のキャンプとは全員が入れ替わっている。今春はFA補強に積極的に動いたが獲得には失敗し、ルーキーの中から育てることになった。魅力ある選手が他から放出されてくればFA補強の可能性も残っている。

顔触れが変わったのは世代交代だけが理由ではなく、新スキームに合った軽量クイックネス型の人材が必要だから。ゾーンブロッキングのスキームでは、RBだけでなくFBも、どの穴に飛び込むか一瞬の判断が求められるらしい。昨年はFBがパスターゲットとして使われる機会が大幅に減り、マイリーとヘンダーソンを合わせて21キャッチ117ydsしかなかった。それが人材の問題なのか、マッカーシーHCの方針によるものかはよくわからない。

ロースター枠は通常2人で、1人のこともある。今のところマイリーは当確、残る1つの枠をルーキーたちが争い、敗れた2人の中から1人がプラクティス・スクワッドか。6巡指名のコーリー・ホールはスペシャルチームの鬼、コーリー・ホワイトはRBとしてのラッシング能力が魅力、ライアン・パウドレルは3人の中で唯一FBとして出場経験がある。

ブランドン・マイリー Brandon Miree

ピッツバーグ大から2004年ドラフト7巡でブロンコスに入団し、そこでRBからFBにコンバートされた。一年目は親指骨折でインジャリーリザーブ、NFLヨーロッパ派遣を経た2年目はプラクティス・スクワッド。3年目の昨季も開幕前に解雇され、ゾーンブロッキング経験を買われてパッカーズのプラクティス・スクワッドに移った。9月末にロースター昇格し、不振のヘンダーソンからスターターの座も奪った。

シーズン中盤のラッシング成績向上には貢献したものの、第7週にヒジを脱臼してしまい、第11週に復帰して(ブレースを着けてプレー)からは明らかに馬力がダウンしていた。今春はFA補強に失敗したのでスターター格のままだが、NFLの先発FBとして確固たる地位を築いたわけではまだない。

コーリー・ホール Korey Hall

ボイジー州立大から今年のドラフト6巡a指名で入団。詳しくはルーキー紹介のページを参照のこと。大学ではインサイドLBとして素晴らしい実績を残してきたが、スピードがなさすぎると判断され、FBコンバート前提での指名となった。スペシャルチーム能力は絶賛されており、フットボールセンスのよい選手のようだ。経験のないポジションに必死に取り組み、下記の2人とロースター枠を争う。

コーリー・ホワイト Corey White

アラバマ大バーミンガム校ではRBとして通算1925ydsラッシング、25TDを記録。40yds走4.7秒前後と遅いためドラフト外でも声がかからず、FBとしてルーキー・ミニキャンプにトライアウト参加し、正式採用となった。「RBとして実績はあるがプロ入り後にFBへ」というのはマイリーと全く同じ。パス練習が主体だったミニキャンプでは鋭い動きを見せ、非常に評判がよかった。RBとしてのブロッキングはもともと今年のトップクラスとの評判で、控えRBも兼ねられるのもセールスポイント。トレーニングキャンプでのパッドを着けた練習が本当の勝負となるが、ルーキー3人の中で最有力と見る記者も多い。

ライアン・パウドレル Ryan Powdrell

名門サザン・カリフォルニア大(USC)からドラフト外入団。実績不足なのでドラフトされないのは当然だが、契約金を$15,000ドルも払ったのは、彼の将来性を評価する球団が複数あったためのようだ。昨年春にLBからFBにコンバートされ、FB不足だったのでいきなりスターターとなった。開幕戦でチームトップの4キャッチ72yds1TDを挙げたが、次のネブラスカ大戦で足首を骨折してしまいシーズンエンド。わずか2試合とはいえ、大学でFBとして出場経験があるのはルーキー3人の中で彼ひとりだ。

2007年7月 8日

Notebook: 旧シティ・スタジアム跡でキャンプ練習へ

2007年7月 7日

ロースター展望 RB編

今夏のキャンプで先発争いが最も注目されるポジション。昨年の今ごろはグリーン、ダヴェンポート、ガドーが上位3人だったが、今年はヘロン以外全員が入れ替わっている。アーマン・グリーンのFA移籍の後、実績あるRBを補強する動きはほとんどなく、若いモレンシーと2巡指名のブランドン・ジャクソンを競わせる道をトンプソンGMは選んだ。

ロースター枠は通常3人。モレンシーとジャクソンは当確で、最後のイスを3年目のヘロン、7巡指名のウィン、2年目のポープの3人で争う。経験ではヘロンだが、現時点では誰が有力なのか全くわからない。エース不在の状況を考えると、RB4人体制の可能性もある。2人枠のFBにコーリー・ホワイト(大学ではRBとして実績)がもし勝ち残れば、RB/FB兼用とすることも可能になる。また、RB陣全員がキックオフリターナー候補として練習している。

ヴァーナンド・モレンシー Vernand Morency

2005年ドラフト3巡でオクラホマ州立大からテキサンズに入団し、2年目の昨季開幕週を終えたところでパッカーズにトレード、91回421ydsの成績を残した。第4週と第7週には100yds前後を走り、第15週ライオンズ戦でも貴重な2TDランを挙げて勝利に貢献している。ラッシング平均4.6ydsはグリーンの4.0ydsを大きく上回っており、ゾーンブロッキング適性が優れているのかもしれない。

グリーンのような縦へのパワーやトップスピードはないものの、一瞬の加速で穴を抜けるのが速く、巧みなステップでロングゲインにつなげるプレーも目立った。スターター昇格の大きなチャンスとなった今春は大変なハードワークぶりで、「これでダメなら仕方がない」と思わせるだけの頑張りは見せている。

ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson

ネブラスカ大から今年のドラフト2巡指名で入団。詳しくはルーキー紹介のページを参照のこと。同大の先輩RBアーマン・グリーンとは対照的なタイプで、スピードもパワーもそこそこだが、アジリティに優れたセンスのよい選手。複数RBを使うチーム方針の中で昨季途中にようやくフルタイムのスターターに定着しており、先発経験の少ないのは不安材料だが、使い減りしていないとも言える。ウェストコーストオフェンスでゾーンブロッキングを経験しているのは、大きなセールスポイント。

パッカーズがRBをドラフトしたのはダヴェンポートを指名した2002年以来5年ぶり、いちどに2人指名したのはレヴェンズを指名した1994年以来13年ぶり。

ノア・ヘロン Noah Herron

ノースウェスタン大出身のプロ3年目。一昨年スティーラーズから7巡指名されて開幕ロースターに残ったが、シーズン中に解雇されてプラクティス・スクワッドに入った。11月末にパッカーズと契約し、終盤にはかなり出番があったが48回128yds(平均2.6yds)と振るわなかった。2年目の昨季はグリーンが欠場した第5週に20回106ydsの活躍を見せたものの、やはり2番手としては物足りず、主に3rdダウンバックとしてプレーした。

パスキャッチやブロッキングをそつなくこなす小器用な選手で、ドロープレーなどで相手守備の弱いところを突くのは上手く、3rdダウンでの使い勝手は良い。しかしスピードがなさすぎ馬力もさほどではなく、たとえ代役でもスターター役は任せたくないタイプ。2005年まで3rdダウンバックを務めていたトニー・フィッシャーがいれば、と思わせるシーンが昨年はしばしばあった。今年は下記の2人と3番手RBを争うことになる。

デショーン・ウィン DeShawn Wynn

フロリダ大から7巡指名入団したルーキー。詳細はルーキー紹介のページを参照のこと。大学ではコーチとの折り合いに難があり、問題児のレッテルがべったりとついている。練習熱心さに問題があったと本人も認めているが、大学4年目はずいぶん精神的に成長したとのこと。232ポンドのサイズがあるので、フルバックにも挑戦させるとドラフト時にコーチ陣は語っていたが、入団後これまではRBしかプレーしていない。

P.J. ポープ  P.J. Pope

ボウリンググリーン州立大で通算3,116ydsラッシングを記録し、昨年のドラフト外でベアーズに入団。開幕ロースターには残れずプラクティス・スクワッドにいたが、10月末にパッカーズと契約した(入団時の記事)。移籍後も出場はわずか1試合で、スペシャルチームのみだった。身長は低いもののガタイはしっかりしていて、40yds走4.49秒とRBとしては速い。今春のミニキャンプやOTAでは、キックオフリターナー候補としても練習している。

現在パッカーズにはRBポープ(法皇)とLBビショップ(司教)がいるが、今年はカーディナルス(意味は枢機卿でなく鳥の方だが)との対戦がない。

2007年7月 6日

ロースター展望 QB編

今年もファーヴの現役続行により、スターターと2番手は確定。ロースター枠は通常3人なので、プロ2年目のマーティンの出来がよほどひどくないかぎり、今年もこの3人で決まることになりそう。5人体制ではキャンプでプレー機会を十分与えられないので、ドラフト外のQBジェリー・バブ(ルイジアナ大ラファイエット校)はすでに先月下旬で解雇され、ルーキーはトンプソン1人となっている。

ブレット・ファーヴ Brett Favre

プロ17年目の37歳。レギュラーシーズン237試合連続先発中。キャリア最悪の29INTを喫した一昨年と比べれば昨年はマシになったが、ルーキーだらけのOL陣とWR陣に苦しめられ、頼りになるのはWRドライバーだけというシーズンだった。大型補強への期待は完全に裏切られたものの、ミニキャンプやOTAには昨年同様に出席し、「トンプソンGMとの確執」報道も沈静化してきた。

直線スピードは衰えているが、パスラッシュをかわす動きなどクイックネスはじゅうぶん。新コーチ陣の努力もあって、無理投げばかりだった一昨年よりは制御が効いていたが、毎度毎度3rdダウンロングばかりではどこかで無理が出てしまう。今年はOL陣やWR陣の成長がかなり見込め、パス攻撃の選択肢も増えるはず。これまで同様、引退問題はシーズン終了後に考えることで、「来年も続ける可能性はかなりある」とする記者もいる。

アーロン・ロジャース Aaron Rodgers

ファーヴの現役続行で、サイドラインでの修業が3年目に入った。ファーヴと比べると線が細く見えてしまうが、筋力強化に力を入れた今年は長めのパスもシャープに決めている。昨年・今年と着実に成長している点では衆目が一致しており、これまで酷評してきた側の記者も「ようやくNFLの先発QBらしく見えてきた」と評している。プロ3年目とはいえまだ23歳で、いま思えば大学3年終了でアーリーエントリーしたのが早すぎたのだろう。

1巡指名選手が3年も控えでいるのは気の毒だが、不思議とQBというポジションはサイドラインでの勉強が身になっていくもの。実戦投入が早すぎて失敗する例は数多いが、修業時代が長すぎて困ることはない。これまで一度も不満らしいことを口にしていないメンタルの安定度は立派なものだ。しかし本当にファーヴの後継QBとなったら、そのプレッシャーは半端ではない。

イングル・マーティン Ingle Martin

昨年ドラフト5巡指名の強肩QB。1年目のキャンプ・プレシーズンはやや期待外れの内容で、5巡指名という肩書きのおかげでロースターに残っていたようなもの。それと比べれば今春は成長したところを見せているが、実戦形式ではまだ投げ損ないも多く、2番手のロジャースとの差はむしろ開いている。もし今春ファーヴが引退していたとしたら、彼に2番手を任せることはできず、他からベテランを探したことだろう。

ポール・トンプソン Paul Thompson

オクラホマ大から入団のドラフト外ルーキーで、6フィート4(193cm)の長身かつ機動力のある黒人QB。2005年にいったん先発に昇格するが、不振のためQBレット・ボマーの控えに降格となり、WRをプレーしたりした(11回106yds)。しかし昨年夏にQBボマーが退部処分となると2006年シーズンはフルタイムでスターターを務め、2667yds、22TD、11INTと素晴らしい成績を挙げた。今年1月のフィエスタ・ボウルでは、5巡指名FBコーリー・ホールのいたボイジー州立大に42-43の1点差で敗れている。

2007年7月 4日

DEカビーア・バジャ=ビアミラの降格

DEカビーア・バジャ=ビアミラは昨季終盤にDEカレン・ジェンキンズに先発を譲り、パスラッシュ・スペシャリストに降格となった。今オフもそのままの序列でミニキャンプやOTAが進行しているが、DEバジャ=ビアミラはヘソを曲げる様子もなく、新しい役割を素直に受け入れているように見える。「がっかりしたけれど、コーチが決めたことだ。指示されたことを忠実にこなすだけだよ。どんな仕事であろうと、僕は全力を尽くす。こちらは雇う側ではなく、雇われる側なんだし」

2001年から4年連続2桁サックを挙げたものの一昨年は8サック、昨年は6サックに終わった。ラン守備はもともと弱く、狙われやすい。そこで第14週の49ers戦の途中からベースディフェンスではジェンキンズを右DEに入れ、パスシチュエーションではバジャ=ビアミラが入ってジェンキンズはインサイドからラッシュするように変更。その配置換えが終盤の4連勝につながっと言っていい。ブレークした2001年シーズンと同じパスラッシュスペシャリストの位置に、バジャ=ビアミラは再び戻ったことになる。

「またルーキーに戻った気分だ。スペシャルチームのミーティングにも出席してる。長いことスペシャルチームはやっていなかったけど、それが新しい仕事になる。楽しみにしているんだ。自分にとっては活躍を見せるチャンスだし、チームの勝利のために大きな貢献ができる。ただ、フットボール選手である以上、スターターにはなりたいよ。僕はただのパスラッシュ・スペシャリストじゃない。でも自分の得意な仕事なんだから受け入れるし、もっと向上しようと努力を続けてる。『コイツを1stダウンや2ndダウンでも使わなきゃ損だ』 と思ってもらえるように」

「誰からも期待されていない、また出発地点に戻ったわけだ。ラン守備ができない、スターターじゃない、出番が少ないのに給料をもらいすぎ・・・いろいろと言いたいことを言われてる。いい給料をもらっているのは実績を残してきたからだ。でも今は期待されていない。それだけに、いいプレーをすれば人々を驚かすことができる。今後はそれが楽しみだよ。僕にとってもチームにとっても、素晴らしい年になると思う」

2007年7月 3日

ドラフト指名選手紹介 11: TEクラーク・ハリス

7巡33位 TE クラーク・ハリス Clark Harris
Rutgers Senior 6-5(196cm) 261lb(118kg) 40yds/4.78秒 1984年7月10日生

経歴 : ニュージャージー州マナホーキン出身。高校ではTE兼DE兼ロングスナッパーとして活躍し、バスケや陸上の槍投げでも実績を残した。地元ラトガーズ大に進むと、レッドシャツを経た1年目は2番手TEとしてパスキャッチ213ydsを記録。2年目には先発に昇格して53回725yds・5TDの大活躍を見せ、カンファレンスの1stチームにも選出される。

しかし3年目は38回584yds(それでもカンファレンス1stチームに選出)、4年目は34回493ydsとスタッツが少しずつ下がってしまい、ドラフトに向けてアピールすることはできなかった。RBレイ・ライス(1794yds・20TD)とFBブライアン・レナード(2巡でラムズへ)をフル活用するチーム方針の中でブロッカーを務めることが多く、2人の影に隠れた面もあったようだ。

Strengths : サイズがあり、スピードはまずまず。スムーズで流れるような動きをする。体から遠いボールもうまくキャッチする。タフでミドルを走る度胸があり、密集での競り合いにも強い。嗅覚に優れルート取りがよく、ゾーンの隙間を探してフリーになるのがうまい。ロングスナッパーを兼ねていた。

Weakness : 安定感のある優れた大学選手だが、NFLでやるには身体能力が低いのでは、と見られている。レシーバーとしては瞬発力に欠け、スナップ直後の爆発的な加速がない。フィールドを縦にストレッチするスピードがなく、ランアフターキャッチもイマイチ。時おり集中力を欠き、イージーな落球をすることがある。腕が短い。ブロッカーとしてはフットワークなどテクニックが磨かれておらず、フィジカルなマッチアップでは弱い。発達した上体に比べ下半身のパワーが物足りない。

メンタル面 : Wonderlicテストが40点と非常に頭がよく、全ドラフト選手中2位か3位の高得点。フィールド外での優等生ぶりと比べ、フィールド上での激しさに欠ける。タフガイぶっているだけの "Fake Tough" と酷評するスカウトもおり、ブロッカーとしてやる気に欠ける、とも。

指名の経緯 : 大学3年までの実績から昨季開幕前は有力TEの1人と目されていたが、プレー内容や身体能力を精査されるにつれ評価が下がり、ついには今ドラフト最下位指名のタイトエンドとなった。TEが不作だった今ドラフトで7巡終盤まで残るということは、プロの評価がよほど低かったのだろうと想像できる。

「彼は非常によいパスキャッチャーだ。ルート・ランニングの能力もとても高い。デカい選手だが、おそらくブロッキングは少し改善する必要があるだろう。あの順位としては、十分価値のあるピックだったと思う」 とトンプソンGM。

パッカーズにとって : ただでさえ低レベルのユニットからデヴィッド・マーティンが抜け、タイトエンドはかなり手薄になってしまっている。FA補強もできず、新戦力と言えるのはこのTEハリスだけ。(OLに新人が3人いた)昨年よりはブロッキングの仕事が減り、ババ・フランクスが大スランプから立ち直るとしても、大きな上積みは見込めない。ドナルド・リーやトリー・ハンフリーの伸びシロもたかがしれている。できれば総替えしたいぐらいだ、という地元記者もいる。

ミニキャンプやOTAではハリスの出来について、良いとも悪いとも評判はあまり聞かれなかった。ロースター枠は通常3人で、ハリスは3番手を争うことになる。残れなければプラクティス・スクワッドの有力候補となるだろう。

ロングスナッパー : ロングスナッパーもできるのはプラスだが、ミニキャンプではLSロブ・デイヴィスと比べてかなり不安定で、1年目からロングスナッパーの座を奪うのは無理のようだ。もしロースターに残れれば、1年か2年修業していずれデイヴィスの後継者となる可能性も出てくる。ロングスナッパーが他のポジションも兼務できれば、ゲームデイの45人ロースターを編成するのに余裕ができる。「スナップは大好きだ。僕はプライドを持ってやっているし、キャッチ練習などと同じぐらい練習している。NFLに入っても同じようにロングスナップできればいいと思っている」と本人。

その他 : 同大からパッカーズにドラフト指名されたのは57年ぶり2回目。パッカーズの7巡指名選手といえば、WRドライバー、RTタウシャー、Cウェルズの3人が現在スターターを務めている。

2007年7月 2日

ドラフト指名選手紹介 10: RBデショーン・ウィン

7巡18位 RB デショーン・ウィン Deshawn Wynn
Florida Senior 5-11(181cm) 232lb(105kg) 40yds/4.48秒 1983年10月9日生

経歴 : オハイオ州シンシナティ出身。高校では4年のうち3シーズンで2000ydsラッシング・30TDという驚異的な成績を残し、全米トップを争う有力RBと評価される。フロリダ大に進むと、レッドシャツを経た1年目から控えRBとして540yds・5TDを挙げる活躍。しかし2年目は成績が落ち込み、3年目はスターターとなったものの問題を起こして出場停止処分を受け、先発は6試合にとどまった。

4年目の昨季は中盤にヒザを捻挫、終盤には肩を痛めたため、シーズン後半のキャリー数が大幅に減り、けっきょく124回630yds(平均5.1yds)どまり。それでもオハイオ州立大とのBCSチャンピオンシップゲームでは69yds・1TDを挙げ、全米王座に貢献している。中途半端なシーズンばかりだったため、賞には無縁の大学4年間だった。

Strengths : フルバックのような発達したガタイと、十分なスピードを持っている。バランスがよく、鋭いカットができる。オープンを走るよりも、鋭い加速で両タックル間を走り抜けるタイプ。ブロッキングは改善が必要だが、NFLでパスプロをこなせるだけのサイズとパワーはある。パスキャッチは大学通算でわずか35回しかないものの、ランアフターキャッチはよく、アンダーニースのレシーバーとしてまずまず武器になる。

Weakness : 大学入学時の評判はかなりのものだったが、4年間通して期待を下回る成績しか残せなかった。やや姿勢が高いため、ビッグヒットを受けやすい。インサイドランナーとしてはフィジカルさに欠け、アウトサイドを走るにはスピードや瞬発力に欠けるかも。ブレークアウトの兆しを見せたところでケガをしてしまい、なかなかシーズンをフルに活躍できない。精神面でのリスクが大きい問題児タイプ。

メンタル面 : コーチと問題を起こして出場停止を喰らったことがある(詳しくは下記で)。酷評するスカウトたちのコメントをまとめると、才能はあるがハードに走らない、食うのは好きだが体調管理に興味がない、不真面目、やる気に欠ける、悪いヤツじゃないが精神的にタフでない、などなど。ワンダーリックテストは平均をやや下回る16点。

指名の経緯 : フロリダ大のスタン・ドレイトンRBコーチはかつてパッカーズでコーチをしていたので、パッカーズ側は彼からウィンの精神面について詳しく聞き、ドレイトンは良いことも悪いことも包み隠さず話したのだという。「彼は悪い人間ではなく、人格面のリスクがあるとは我々は思っていない。ただ、フロリダ大で何度かルールに従わなかった、ということだ」とトンプソンGM。多少のリスクがあっても7巡なら、と判断したのだろう。

パッカーズにとって : アーマン・グリーンが抜けてエースRB不在となったため、2巡指名のブランドン・ジャクソンに続いて2人目のRB指名となった。ジャクソンとヴァーナンド・モレンシーが先発を争い、このウィンとノア・ヘロンが3番手を争うものと見られているが、目覚しい働きを見せれば誰がスターターになってもおかしくないチーム状況にある。

232ポンドのサイズがあるので、コーチ陣はフルバックとしても試したい意向を明らかにしている。「フィールド上のこともフィールド外のことも、我々は十分に調査して熟慮した結果、魅力ある選手と判断して指名した。ヴァーサタイルな才能があるので、おそらくハーフバックとフルバックを兼ねることも可能だろう」とエドガー・ベネットRBコーチ。大学ではリターナー経験はないが、ミニキャンプやOTAではキックオフリターナー候補として練習をしている。

問題児 : 事件を起こしたのは2005年のキャンプでのこと。練習中に携帯電話で話していて指示に従わなかったのが2005年開幕戦出場停止の理由と言われているが、実際は駐車ステッカーのちょっとした問題が原因だったと本人は語っている。3年目まではやる気に乏しかったと自分でも認めているが、4年目の昨年は精神的に大きく成長したとのこと。(5月の記事を参照)

「僕のしたことについていろいろな噂が出回っていて、自分ではどうすることもできない。ただ実際に会った相手には、正しい印象を持ってもらおうと努めている。僕の悪い噂を聞いていても実際に会う以上は、フェアなチャンスをもらいたいと思うだけだ」と本人。

フロリダ大 : 全米王座に輝いただけあって、今年は9人ものフロリダ大選手がドラフト指名された。同大からパッカーズに指名されたのは7年ぶり通算12人目。パッカーズで活躍した選手は不思議と少ないが、60年代にキッカー兼パンターとしてスーパーボウル連覇に貢献したドン・チャンドラーがいる。また、ホルムグレンの前にヘッドコーチを務めたリンディ・インファンテも同大の出身。(DBとしてブラウンズに9巡指名)

2007年7月 1日

控え左タックル問題

今年は先発争いのなさそうなOL陣の中で、底上げが必要とされているのが控え左タックル。先発LTチャド・クリフトンはまだ30歳だが、このところケガが多くなってきており、控えLTの1番手は後継者候補の1番手でもある。言うまでもなくLTの最重要任務はQBの背後を1人で守ることで、ここが崩れればパスオフェンスはガタガタ。それを避けるためタイトエンド等にヘルプをさせれば、攻め手がひとつ減ることになる。

現時点では、先発左ガードのダリン・カレッジが2番手LTだ、と先日マッカーシーHCは明言している。「左タックル候補は多いほどいい。時間をかければ序列は自然に決まってくるものだ。ダリンは昨季マイアミ戦で(クリフトンの急病のため)試合直前に左タックルをやることが決まったが、そこで立派にプレーできることを証明した。オーリン・トンプソンもいい仕事をしている。(今は右サイドに専念させているが)トニー・モールも必要とあれば左タックルが務まると我々は思っている」

ジョシュ・バークは先日解雇され、トニー・モールは右タックルに専念、4巡ルーキーのバーバーは現在左ガードに専念しているため、左LTの3番手はオーリン・トンプソンとなる。デューク大で2年間先発DTを務めた彼は、2005年のドラフト外でドルフィンズに入団し、そこでOTにコンバートされた。昨年春にはNFLヨーロッパでもプレーしたが、開幕前にドルフィンズから解雇され、パッカーズのプラクティス・スクワッドに加わった。

「マイアミではかけもちでプレーしていて、1つに集中することができなかった。こちらに移ってからは左タックルが僕の仕事で、それだけに専念できているのがいい」とOTトンプソン。ミニキャンプやOTAではDEバジャ=ビアミラを相手に、パスブロッキングの向上に取り組んでいる。まだ波はかなりあるものの、今オフの心境はいちじるしい、とコーチたちは口を揃える。

OTトンプソンの最大の特徴は「長さ」だとキャンペンOLコーチは言う。6フィート6(198cm)の長身だけでなく、腕が長いことが重要なのだ。コンマ何秒でも長く時間的余裕をQBに与えるためには、最初のパンチをしっかり当ててパスラッシャーを少しでも遠ざけることができれば、それだけでかなり有利になる。「ずいぶん落ち着いてできるようになってきた。以前は目の前のことに必死でテクニックなんて全くなかったけど、テクニックもだいぶ身についてきた」と本人。

キャンペンOLコーチは言う。「いま出番が来たとして、彼に先発できる力があるか? たぶん無理だ。それは本人も認めるだろう。しかし彼の成長ぶりは、(トレーニングキャンプで)パッドを着けてプレーするのを早く見たい、とわれわれに期待させてくれるものだ。そこで初めて、本当に成長したかがわかるからね。しかし実際に成長しているのは間違いない」