グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2007年5月10日

RBデショーン・ウィンの道

全米王者フロリダ大から7巡指名でパッカーズに入団したRBデショーン・ウィン。素材は一級品といわれながら潜在能力を出し切れず、人格面で減点されて7巡でかろうじて指名という結果となった。練習中に携帯で話したという「ケータイ事件」は実際はロッカールームでのことだと否定したものの、かつてやる気の乏しい選手だったことはウィン本人が認めている。

「ハードワークは今は問題ない。ただ以前は、僕は練習熱心さに問題のあった時期がある。昨シーズンは全米チャンプを獲りに行っていたし、ハードワークに何も問題はなかった。プロに進むためには今年頑張らないと、という心構えだったしね。僕が批判されるのはハードワーカーでなかったという点だけど、それはかつてのことだ」

「前ヘッドコーチのロン・ズックのもとで、大学1年目の僕は必死で頑張った。春のスクリメージでは1人でRBを務めた。なのに、シーズンが来て最初の6試合で500yds以上走っても、僕は先発させてもらえなかった。『よく頑張ってきたから』と4年生がスターターだった。僕は 『なんだ、そういうことか』 となってしまい、『どうせダメなんだから』 と練習でも全力でやる気持ちが薄れてしまった。2年になってもそんなままだった」

大学3年目、ズックが辞任してアーバン・メイヤーHCがやってくると、彼はことあるごとにウィンを刺激しようとした。「彼はまるで 『なぜオマエは何も成し遂げていないんだ? 高校を出るときには全米屈指の選手だったのに』 って口ぶりだった。チーム全員の前で名指しされてね。僕はちょっと気に入った。コーチ・メイヤーはいつも本当のことしか言わないんだ。耳あたりのよいことなんて言わない」

とはいえ、すぐにウィンの態度が完全に改まったわけではなく、コーチとの軋轢は続いた。駐車ステッカーの違反をとがめられて出場停止になったり、「こんなことなら(RBなしで)1試合全て5WRでやるぞ」とコーチが激怒したことや、彼の代わりにフルバックの選手が先発したこともあった。

ようやく彼のやる気に火がついたのは2006年になってからのこと。かつてパッカーズでアシスタントコーチをしていた同大のスタン・ドレイトンRBコーチは、「かつてなかったようなテンポで練習するようになった。私が指示したことは、一言も口答えせずに全てこなすようになった。指導を素直に受け入れる、コーチしやすい選手になった。劇的な改善だった」と証言する。初めてフルタイムのスターターとなり、ケガを押してプレーを続けて全米王座に貢献した。

パッカーズはドラフト指名に際し、旧知のドレイトンRBコーチからあらゆる情報を聞き出したのだと言う。「僕が7巡指名された直後にドレイトン・コーチから電話があって、『パッカーズには聞かれたことを全て正直に答えたぞ』 と言われた。パッカーズに話したことを全て、一言残らず僕にも伝えてくれた。『下位で獲れればもうけもの、間違いなく1巡級のタレントだ。ただ以前にはいろいろ問題があった』 とね。彼はパッカーズに、いまどんなRBがいるかを聞いた。ハードワーカーが揃っていれば大丈夫、コイツは仲間の能力しだいで同じように頑張るから、と」

マッカーシーHCの方針は、ルーキーは入団したら(トラブル歴があっても)白紙に戻して、そこから新しいスタートを切らせるというもの。とはいえ、彼の経歴を調べ尽くした首脳陣が目を光らせており、一度の遅刻、一度の手抜きが命取りになりかねない。「僕は白紙の状態でここにいる。ここグリーンベイで新たな名声を確立できたらと願っている」とウィンは言う。今年のパッカーズはRB陣に空きが多く、またサイズを活かしてフルバックでうまくいく可能性もある。下位指名からでも戦力となれる余地は十分にあり、全ては今後の努力しだいといえる。

カテゴリ : Draft, Player