今年もトンプソンGMは得意のトレードダウンを繰り出し、けっきょく指名権は9個から11個に。オフェンスのスキルポジションを6人指名したいっぽうで、補強が必要とされるCBには手が回らなかった。
2007 Packers Draft Picks | ||||||
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Pick | 全体 | Pos. | Name | College | 備考 | No. |
1巡16位 | 16位 | DT | Justin Harrell | Tennessee | 大型のランスタッファー | 91 |
2巡29位 | 63位 | RB | Brandon Jackson | Nebraska | ゾーンブロッキング向きのRB | 32 |
3巡14位 | 78位 | WR | James Jones | San Jose State | ウェストコースト向き | 89 |
3巡25位 | 89位 | S | Aaron Rouse | Virginia Tech | 大型でアスレチックなSS | 37 |
4巡20位 | 119位 | OT | Allen Barbre | Missouri Southern | 身体能力高い軽量OT | 78 |
5巡20位 | 157位 | WR | David Clowney | Virginia Tech | やや細身の快速WR | 11 |
6巡17位 | 191位 | FB | Korey Hall | Boise State | LBをFBに転向させてST兼務 | 35 |
6巡18位 | 192位 | LB | Desmond Bishop | California | 典型的なインサイドLBタイプ | 55 |
6巡19位 | 193位 | K | Mason Crosby | Colorado | 飛距離のあるキッカー | 2 |
7巡18位 | 228位 | RB | Deshawn Wynn | Florida | 2人目のRB | 42 |
7巡33位 | 243位 | TE | Clark Harris | Rutgers | 最後でようやくTE | 44 |
今年のパッカーズの最後はラトガーズ大のTEクラーク・ハリス。レシービングTEとして大きな実績を残した信頼のおけるレシーバーだが、プロで活躍するにはアスレチック能力が足りないかもしれない。ドラフト順位がここまで落ちたのもそのせいだろう。
7巡33位 TE クラーク・ハリス Clark Harris | |||||
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Rutgers | Senior | 6-5 (196cm) | 261lb(118kg) | 40yds/4.78秒 | 1984年7月10日生 |
Strengths : サイズがあり、スピードはまずまず。スムーズで流れるような動きをする。体から遠いボールもうまくキャッチする。タフでミドルを走る度胸があり、密集での競り合いにも強い。ハードヒットを受けても前に進む。嗅覚に優れルート取りがよく、ゾーンの隙間を探してフリーになるのがうまい。ランブロッカーとしてもよく頑張る方で、ダウンフィールドに出てLBをつかまえるのもうまい。 大学ではロングスナッパーを兼ねており、パッカーズのコーチ陣はそちらでも使ってみたい意向だ。もし3番手TEに残れればLSロブ・デイヴィスの控え、経験を積めばいずれデイヴィスの後継者になれるかもしれない。 |
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Weaknesses : レシーバーとしては瞬発力に欠け、スナップ直後の爆発的な加速がない。フィールドを縦にストレッチするスピードはない。時おり集中力を欠き、イージーな落球をすることがある。腕が短い。ランアフターキャッチはイマイチ。ブロッカーとしてはフットワークなどテクニックが磨かれておらず、フィジカルなマッチアップでは弱い。 |
7巡aは今年2人目のRBとしてフロリダ大のデショーン・ウィンを指名。いわゆる Underachiever で問題児タイプのようだ。パッカーズ側はフルバックとしても起用してみたい意向を明らかにしている。
7巡18位 RB デショーン・ウィン Deshawn Wynn | |||||
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Florida | Senior | 5-11 (181cm) | 232lb(105kg) | 40yds/4.48秒 | 1983年10月9日生 |
Strengths : フルバックのような発達したガタイと、十分なスピードを持っている。バランスがよく、鋭いカットができる。オープンを走るよりも、鋭い加速でタックル間を走り抜けるタイプ。ブロッキングはまだ改善しなければならないが、NFLでパスプロをこなせるだけのサイズとパワーはある。アンダーニースのレシーバーとしてもまずまず武器になる。 |
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Weaknesses : キャリアを通じて、成績は期待を下回ることが多かった。ブレークアウトの兆しを見せたところでケガをしてしまい、なかなかシーズンをフルに活躍できない。精神面でのリスクが大きい問題児タイプ。練習中に呼ばれてもサイドラインで携帯で話を続けたため1試合の出場停止処分を受けたこともある。本人は否定しているが、アーバン・メイヤーHCとうまく行かなかったのは確かのようだ。 |
6巡3連発の最後はキッカーのメイソン・クロスビー。今年最高のキッカーとの前評判の高かった選手だが、指名はキッカーの中で3番目となった。パッカーズがキッカーを指名するのは1997年のブレット・コンウェイ以来10年ぶり。
6巡19位 K メイソン・クロスビー Mason Crosby | |||||
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Colorado | Senior | 6-1 (185cm) | 212lb(96kg) | 40yds/5.2秒 | 1984年9月3日生 |
Strengths : 非常に強い脚力があり、極めて長い飛距離を誇る。キックが正確で40yds以内を滅多に失敗しない。キックオフの飛距離と滞空時間は素晴らしいものがある。昨年は正パンターの座も争ったようにヴァーサタイル。レッドシャツを経ずにいきなり2003年からスターターの座をつかみ、4年間フルに活躍した。 勝負強く、第4Qで真価を発揮するメンタルタフネスがある。雨など悪天候にも強い。 |
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Weaknesses : コロラドがホームだけに、その飛距離は標高の高さに助けられているという声もある(しかしアウェー戦でもロングFGを決めている)。昨年はブロックされるキックが目立ち、成績が下がった。ブロックされないよう弾道を高くする必要がある。 |
6巡bのLBデズモンド・ビショップは生粋のインサイドLBのようだ。LBバーネットと再契約したうえ控えにLBホッジもいるのに、なぜこういったタイプが必要なのか。スペシャルチーム込みの評価なのか、ストロングサイドで使う気なのか、LBバーネットをストロングサイドに移すプランがあるのか、ただ単に"Best Player Available"主義に沿ってのことなのか。
6巡18位 LB デズモンド・ビショップ Desmond Bishop | |||||
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California | Senior | 6-2 (188cm) | 239lb(108kg) | 40yds/4.77秒 | 1984年7月24日生 |
Strengths : 十分なサイズがあり分厚い体つきをしている。速いというよりクイック。頭とセンスがいい。嗅覚に優れ、常にスナップ後最初に動く動く選手。パスートのアングルが良い。ブロッカーを受け止められるサイズとパワーがあり、インサイドのランには穴を埋められる。パワフルなタックラー。 ジュニアカレッジで2年間プレーしてからカリフォルニア大に移った2005年にいきなり活躍し、2006年も着実に進歩を続けた。 |
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Weaknesses : プロで先発LBとなるにはスピードがなく、アウトサイドへのランについていけるかどうか。ランストップ系の控えミドルLBぐらいではないかという声もある。1on1カバレッジで速いRBについていけるスピードやアジリティがない。ボールスキルもイマイチ。 |
6巡aは不要と思われたインサイドLBのコーリー・ホール指名だったが、その後の地元メディアの報道で、「FBとして指名」したことが明らかになった。もともとどのメディアもノーマークなうえフルバックに転向させるのでは、評価記事があるわけがない。ボイジー州立大なので、LGダリン・カレッジの1年後輩ということになる。
6巡17位 FB コーリー・ホール Korey Hall | |||||
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Boise State | Senior | 6-1 (185cm) | 230lb(104kg) | 40yds/4.73 秒 | 年月日生 |
「ラインバッカーとしては小さいが、フルバックとして、スペシャルチームでも使える。よいタックラーであり、ヘッドハンターであり、よいブロッカーだ。よいモーターを持っている」とストックSTコーチ。フルバックとしては未知数だが、昨季不振だったスペシャルチームのてこ入れをしたい意図もうかがえる。 |
5巡はトレードダウンせず(その方がニュース)、WRデヴィッド・クラウニーを指名した。悲劇のヴァージニア工科大からパッカーズ2人目の指名で、元WRアントニオ・フリーマンの後輩となる。密集で強そうな3巡指名のWRジェームズ・ジョーンズとは、対照的なタイプのようだ。
5巡20位 WR デヴィッド・クラウニー David Clowney | |||||
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Virginia Tech | Senior | 6-0 (184cm) | 188lb(85kg) | 40yds/4.36秒 | 1985年7月7日生 |
Strengths : 優れたスピードとクイックネスを持つアスリート。身長があり、スリム型だがバルクを増やせる骨格はある。トップスピードへの加速が速く、縦にフィールドをストレッチできる。パスキャッチが上手い。体重移動がスムーズで、スピードを落とさずにカットできる。ミドルへのルートを恐れず、ヒットされてもしっかりボールを守れる。細いわりにはブロッキングを頑張る。 昨季34回424ydsしか稼げなかったのはQBがヘボかったからで、大学4年間を通じてQBには苦しめられたが、シニア・ボウルでの練習でアピールできたようだ。練習熱心で、陸上競技の方も大学4年間続けていた。 |
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Weaknesses : 華奢で馬力がないため、スクリメージでのリリースでフィジカルなDBに押されると困ることになるかもしれない。相手のカバレッジのソフトスポットを探すのがまだうまくない。ややケガが多い。リターナー経験はキックオフリターンが5回(平均23.8yds)あるだけ。 |
4巡13位から7つトレードダウン(スティーラーズから6巡指名権)して、OTアレン・バーバーを指名した。ディビジョンIIの学校だが、40yds走4.88秒とOLにしては素晴らしいスピードがある。なお Barbre の読みは "pronounced BAR-burr" となっているので、カナ表記は「バーバー」でよさそう。
4巡20位 OT アレン・バーバー Allen Barbre | |||||
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Missouri Southern St. | Senior | 6-4 (193cm) | 300lb(136kg) | 40yds/4.88秒 | 1984年6月22日生 |
Strengths : 申し分のないスピードと、素晴らしいクイックネスを持つアスリート。パスプロテクションではしっかりヒザを曲げる柔軟さがあり、パスセットも速い。ランプレーでは素早い1stステップで優位に立つことができる。横へのモビリティもあり、プルブロックや自分のアウトサイドへのリードブロックも速い。相手のスタントやブリッツにアジャストするセンスもいい。 昨年の2巡指名のLGカレッジと同様、ゾーンブロッキングにぴったりのタイプと思われる。無名校の出身ながら、コンバインでは各種目で優秀なタイムを出して注目されたようだ。 |
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Weaknesses : まだ粗削りで安定感に欠け、腰高になったりフットワークが乱れることがある。バルクに欠ける。下半身のパワーはやや物足りず、ランブロックで相手を押し込めないところがある。ディビジョンIIのスモールスクール出身で、NFLへの適応に不安が残る。学習能力は低い方らしい。 |
2巡でのトレードダウンで手に入れた3巡25位(全体89位)は、悲劇のヴァージニア工科大からSアーロン・ラウスを指名。LB経験のある長身のストロングセーフティで、評価が分かれるタイプのようだ。とはいえ、評価が分かれるのは「2巡クラスとしては」で、3巡下位なら順当なのかもしれない。
3巡25位 S アーロン・ラウス Aaron Rouse | |||||
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Virginia Tech | Senior | 6-4 (193cm) | 223lb(101kg) | 40yds/4.55秒 | 1984年1月8日生 |
Strengths : かなりの長身セーフティで、6フィート4にしては素晴らしいスピードがある。元LBだけあってランサポートがいい。とんでもないビッグヒットはしないが、しっかりしたタックラー。ボールスキルに優れ、ビッグプレー能力がある。ディープを守るよりもボックス近くを守る方が向いている。リーダーシップに優れたチームプレーヤーで、トレーニングも熱心。 |
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Weaknesses : まだセーフティ経験が浅く、粗削り。恵まれたアスレチック能力をフットボールで活かしきれないタイプかもしれない。直線スピードはあるが脚が長くてやや動きが硬く、プロのレシーバーを1on1でカバーする能力には懸念が残る。ときおり抑制のきかないプレーが見受けられる。プロではLBをさせた方がいいとの見方も多い。 |
3巡14位(全体78位)はサンノゼ州立大のWRジェームズ・ジョーンズ。どちらかというとポゼッション型のレシーバーのようで、4巡クラスとの前評判が多かった選手。前日にはWRランディ・モスのトレード交渉がヒートアップしたが、これでトレード話が消えたのかどうか、よくわからない。
3巡14位 WR ジェームズ・ジョーンズ James Jones | |||||
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San Jose State | Senior | 6-1 (185cm) | 205lb(94kg) | 40yds/4.59秒 | 1984年3月31日生 |
Strengths : 身長が高く、細めだが骨格はしっかりしている。スピードというよりもクイックでスムースなルートランナー。腕が長く手が大きく、パスキャッチが上手い。ミドルに走り込むのを恐れず、競り合いに強い。ランアフターキャッチでのカットが鋭く、ショートパスをロングゲインにする。跳び上がるタイミングが良く、ジャンプボールに強みを発揮する。ブロッキングがしっかりしている(賛否両論あり)。 |
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Weaknesses : トップスピードがイマイチで、ディフェンスをストレッチできるタイプではない。ランアフターキャッチでディフェンダーをかわすのは上手いが、その後でぶっちぎってホームランにしてしまうことはできない。ときおり上体が立ってしまい、持ち前の鋭いカットが切れないことがある。ワンダーリックテストがわずか9点だったらしい。 |
パッカーズは2巡15位(全体47位)から2巡31位(全体63位)にトレードダウンして3巡と6巡指名権を増やし、ネブラスカ大のRBブランドン・ジャクソンを指名した。RBアーマン・グリーンが抜けたところでまたネブラスカ大のランニングバック。あまり派手さはないが、ゾーンブロッキングに向いたタイプのようだ。
2巡31位 RB ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson | |||||
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Nebraska | Junior | 5-10 (178cm) | 212lb(96kg) | 40yds/4.41秒 | 1985年10月2日生 |
Strengths : 身長は高くないが、全体的にガッチリした体型で、肩まわり、太もも、ふくらはぎとよく発達している。アジリティに優れ、バランスがいい。インサイドを突くタフネスも、アウトサイドを駆け抜けるスピードもある。嗅覚に優れビジョンがよく、素早く穴を見つけてカットバックする鋭い加速がある(ゾーンブロッキング向き)。捕まえにくく、ビッグヒットを受けにくい。 パスキャッチ(チーム3位の33キャッチ)がうまく、ランアフターキャッチがよい。先発経験わずか1年でアーリーエントリーしてきたため、よく言えば使い減りしていない。レッドシャツを経ず3年間プレーしただけなので、まだ21歳。以前のネブラスカ大とは違い、今はビル・キャラハン(元レイダーズ)のもとでウェストコーストオフェンスをやっている。 |
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Weaknesses : スピードもパワーもエリート級ではない(コンバインでは4.54秒だったためそう言われる)。先発経験が1年しかなく、エースとしてキャリー数をこなせるか未知数のところがある。ボールの持ち方が雑になるときがあり、ボールセキュリティを改善する必要がある。パスプロテクションでのテクニックも磨かれておらず、簡単に押し込まれやすい。 |
RBマーショーン・リンチがすでに消えていたためか、1巡16位でパッカーズが指名したのは予想外のDTジャスティン・ハレル。この時点で今年最大のサプライズ・ピックだったかもしれない。テネシー大の選手をドラフト指名するのはパッカーズ史上14人目で、LTクリフトンやCウェルズの後輩となる。
1巡16位 DT ジャスティン・ハレル Justin Harrell | |||||
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Tennessee | Senior | 6-4 (193cm) | 310lb(141kg) | 40yds/5.05秒 | 1984年2月14日生 |
Strengths : しっかりしたガタイがあり、腰まわりや太ももなど、さらに大きくできそうな骨格がある。サイズのわりに動きが軽く柔軟な素晴らしいアスリート。ランプレーに対してライン中央をしっかり支える馬力がある。手の使い方が良く、相手を崩すのが上手い。上腕のケガで昨季のほとんどを欠場したため、まだ伸びシロは大きい。 精神的に非常にしっかりしていて、全プレーでホイッスルが鳴るまでハードに頑張る。ケガを押してプレーできるタフさがある。キャプテンを務め、リーダーシップも高く評価されている。 |
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Weaknesses : ケガが多い。昨年は上腕二頭筋の断裂でシーズンのほとんどを棒に振り、それがなければ今年トップ10候補になったかもしれない、という声もある。高いランストップ能力と比べ、パスラッシャーとしてはあまりやや評価されていない。嗅覚や判断力にはやや疑問符がつく。 |
ドラフトを直前にして、WRランディ・モスをめぐるレイダーズとパッカーズのトレード交渉がヒートアップしてきている。一説によると、レイダーズ側の要求が2巡指名権だったのに対し、パッカーズ側は4巡指名権をオファーしたとのこと。とうぜん値切られたくないレイダーズは他のチームにも声をかけ、複数のチームが加わってきているようだ。
モックドラフト集の最終回。7巡まで予想しているサイトもあるが、3巡までに限った。
コーナーバックとセーフティの強化はディフェンスの最重要課題。先発両CBの年齢と3番手以降のレベルの低さ、そしてセーフティではマニュエルに代わるスターターを確保しなければならない。そこそこ実績あるベテランのセーフティは放出されてくることも多いので、むしろドラフトで上位指名すべきはコーナーバックの方かもしれない。
先発コーナーバックは2人とも優秀だがどちらも30歳以上、しかも3番手CB以降となるとNFL最低クラス。今春FA補強したCBフランク・ウォーカーは先発を脅かすレベルの選手ではなく、昨年の4巡指名のCBウィル・ブラックモンはケガでほとんど出られなかったためまだ未知数。近い将来、CBハリスとCBウッドソンが同時に衰えてきたら悪夢だ。ケガ人がいなくても常にCBは4人(ダイム守備)必要なことを考えると、将来のスターター候補を獲得しておきたい。今年に限らず、優秀なCBはFAではまず手に入らない。
1巡指名も十分あり、遅くとも3巡までには指名したいところだが、オフェンスのスキルポジション強化との兼ね合いでどうなるか。
昨季は両セーフティの判断ミスでロングTDパスを許すシーンが目立ち、大量失点の元凶となった。昨季全休したSマーヴィール・アンダーウッドの成長は期待でき、先発FSニック・コリンズもまだ伸びシロは残っているが、先発SSマーカンド・マニュエルはどうにもならないという見方が圧倒的。1巡指名の可能性はあるものの、「そこそこのFA選手でもマニュエルよりはアップグレードになる」という見方もできる。一般的に上位指名されることの少ないポジションだが、今年は豊作のようだ。
今年もまたリターナーの強化がテーマだろう。昨季のキックオフリターンはわずか平均19.7yds(NFL31位)で、得点力不足(ヤーデージは9位なのに得点は22位)の一因を作った。また、ケガがちのCBウッドソンの負担を減らすためにも優秀なパントリターナーがほしい。
キッカーのデイヴ・レイナーは、先発2年目の成長に期待するだけでいいかもしれない。しかしパンターのジョン・ライアンの不安定さには首脳陣は不安をぬぐえないようで、場合によっては下位で指名も。
パッカーズのディフェンシブラインの力は平均点レベルという見方が一般的。ほとんどが20代後半の働き盛りでケガは少なく、大きな穴はないものの、できればもう1枚インパクトのある選手がほしいところ。DEとDTのどちらが要補強ポイントであるかは見方が分かれるが、DEバジャ=ビアミラ放出はなさそうなので、「パスラッシュ力のあるDT」を求める声が多い。
昨年のLB陣は3人のうち2人が入れ替わる大改造だったが、シーズン後半にはよい結果が出てきていた。今年は大きな補強はなさそうだ。
キャンプマンが15.5サックを挙げてプロボウラーとなり、左サイドはラン・パスともに申し分ない。逆に右サイドでは、やや下り坂のバジャ=ビアミラに代わってカレン・ジェンキンズがスターターに昇格、バジャ=ビアミラはパスラッシュ・スペシャリストに格下げとなった。モンゴメリーがプロ2年目に伸び悩んだとはいえデプス的にもまずまずで、上位指名権を使うのは贅沢かもしれない。
ランスタッファーのライアン・ピケットはよいが、その相棒がやや物足りない。昨季途中からスターターに昇格したコーリー・ウィリアムズは、チーム2位の7サックを挙げたもののムラのあるタイプ。メンタル面の不安要素があって将来性の評価が難しい。ピケットもコリン・コールもジョニー・ジョリーもパスラッシュ力は弱いため、ポケットを押し込めるパスラッシャーをもう1枚加えたいところだ。よい選手がいれば上位指名してもよさそうだが、他のニーズとの兼ね合いで難しいかも。
ウィークサイドのA.J.ホークが期待どおりの成長を見せ、ミドルのニック・バーネットとも長期契約を結ぶことができた。ストロングサイドが弱点と言えるが、先発2年目を迎えるポピンガの成長は期待でき、もし伸び悩んでも安価なベテランを獲得しやすいポジション。ミドルの控えには昨年の3巡指名のアブドゥル・ホッジがいるので、スペシャルチームの強化を兼ねて下位でアウトサイドLBを獲る可能性ならあるかもしれない。
昨季の全オフェンスプレーの評価を終えたジョー・フィルビン新OCが、反省と来季への展望を語っている。「たとえば、RBの全ての判断を我々は採点してコメントをつけた。『ここはカットバックが早すぎた』とか『ホールを十分押し込んでいない』とかね。レシーバーが走った全てのルート、QBが投げた全てのパスについて採点した。選手としても、消化すべき情報が多いことだろう。彼らは他の誰のプレーよりも、自分のプレーをフィルムで見るのが好きなものだ。ちょうどよい機会だ」
前任のジャゴジンスキーOCもそうだったがパス攻撃はマッカーシーHCが統括するため、オフェンシブ・コーディネーターとはいっても実際はラン攻撃担当に近い。昨季中はバックサイドのDEをうまくカットブロックで倒せない問題が指摘されていたが、今回フィルビンOCはラン攻撃不振の理由として、プレーサイドの相手DEの動きを封じられなかったことを第一に挙げた。
「ポイントオブアタックで相手ディフェンシブエンドを押し込むことが、我々がうまくやれなかった点だ。それが第一。それからバックスだ。特にゾーンブロッキングでの2バック攻撃では、タイミングをしっかりしなければならないし、RBとFBの間隔が非常に重要だ。2人の間隔を(昨季は)もっと開けなければならなかった」
「全ては関係し合っていて、1つだけがラン不振の原因じゃない。しかしフロントサイドのDEを押し込めなかったりすると、バックが行くべき場所に行けず、フルバックとハーフバックの間隔にも影響が出てしまう。そうなるとバックサイドのカットブロックがよけい重要になってしまう。だから最初にDEを動かしてしまうことが重要なんだ」
過去2年間は両ガードの補強が最優先課題だったが、昨年のLGカレッジ(2巡)とRGスピッツ(3巡)指名がうまくいったことでようやく土台ができ、今年は彼ら若手の成長を見守る年。ドラフトでの焦点はRB/WR/TEのスキルポジションに移っている。とはいえ毎年OLを1人は指名しておくものなので、下位での指名が予想される。
昨季は落球やファンブルなどミスが非常に多く、スランプに陥ったポジション。TEマーティンのFA移籍によってコマも足りなくなったため、6年ぶりのドラフト指名となりそう。成り行きしだいでは1巡指名の可能性もあり、遅くとも3巡か4巡までには指名されるのではないか。ブロッキング力があるに越したことはないが、フランクスのスピード不足を補えるレシービングTEが欲しいところだ。
左右ともスターターは万全だが、LTクリフトン(もうじき31歳)のヒザ痛や選手寿命を考えると、そろそろ後継者のことを考えるべきか。クリフトンの控えを兼ねるLGダリン・カレッジ(大学では4年間LT)が後継者になれるなら、補強はガードやセンターでいいのかもしれない。今年のキャンプでは、(昨年は右サイド専門だった)トニー・モールが左タックルもこなせるか試されるだろう。長期的な展望に立てば上位指名も考えられなくはないが、今年そこまでの余裕があるかどうか。
昨年は鼠蹊部を痛めて5試合休んだRTタウシャーだが、同期のクリフトンと比べると選手寿命は長そうに見える。控えのケヴィン・バリーは大腿四頭筋腱の断裂からの復帰途上だが、もともとゾーンブロッキング向きでない巨漢タイプということもあり、来季の構想からは外れるかもしれない。その場合でも、昨季代役RTとして5試合に先発したトニー・モールがいるので、彼の伸びシロをあてにすればいい。
ようやく両ガードが固まり、先発級の補強は不要になった。トニー・モールが右タックルと右ガードの控えを兼ね、先発RGスピッツが左ガードとセンターの控えを兼ねる。またRTタウシャーも右ガード経験がある。控えの層を厚くするなら、FAで補強しやすいガードよりも、タックルやセンターをドラフト指名したほうがよさそう。
スコット・ウェルズが順調な成長を見せて先発に定着し、11月には長期契約も手に入れた。つまり、当分スターターは必要ないとフロントが判断したことになる。2番手は先発右ガードのスピッツが兼ねる。スピッツは大学時代にセンターでの先発経験がないが、昨季は一時退場したウェルズの代役として、数プレーだけセンターを務めた。彼をガードに専念させるには2番手センターの補強が必要となるが、さほど優先度は高くない。
複数ポジションをこなせる選手が揃っているので、どこでもいいからOLを補強すれば、全体の層を厚くすることができる。他にも要補強ポジションは多いので、4巡以降で1人OLを指名すると予想する。
ここまでの人事の動向をふまえ、来週末のドラフトでのパッカーズのニーズを考えてみる。ポジションに関係なく"Best Player Available"を選べる状態にしておくため、ドラフト前に安価なベテランを獲っておくパターンが多く、FA補強の可能性はまだ残っている。また昨年WRウォーカーをドラフト中にトレードして2巡でWRジェニングスを指名したように、ドラフトの最中にニーズが変動することもある。
人事部門としては、ドラフトやFAで誰を選ぶかも重要だが、その前提となる自分のチームの分析、とくに若手の成長度を計ることが非常に重要な仕事。たとえば2001年のパッカーズの場合、DEバジャ=ビアミラがあれほど成長するとわかっていれば、DEジャマール・レイノルズ指名の失敗は避けることができた。
ファーヴが現役続行したため、今年ドラフト指名する可能性はほとんどなくなった。上位指名があるとすれば、(いちど噂が出たように)アーロン・ロジャースをトレードに出す場合ぐらいだろう。ロジャースがいるのに(下位)指名があるとすれば、昨年5巡指名したQBイングル・マーティンをすでに見限っていることになる。
アーマン・グリーンのFA流出により、最重点ポジションになった観がある。「グリーンが残留してもRBを上位指名すべき」との声が多かったことを考えれば、1巡RB指名予想が過半数を占めるのは当然のこと。「モレンシーならじゅうぶん先発が務まる」との首脳陣のコメントが本気である可能性もなくはないが、まともに受け取るメディアは少ない。
遅くとも3巡までにRBを指名して先発を競わせるのが自然な流れと思われる。もしドラフト初日(3巡まで)に指名されなければ、かなりの驚きと言える。冬のランボーフィールドの芝を考えると軽量快速タイプは向かないが、パスが獲れないタイプはウェストコーストオフェンスでは使えない。
またドラフトまでにRBクリス・ブラウン(TEN)など、そこそこのRBを補強する可能性はある。ドラフトが終わってしまうとFA選手は移籍先探しがさらに苦しくなるため、ドラフト直前になると条件を下げてくることがある。
大ベテランのヘンダーソンがついに放出され、現在ロースター上にフルバックはブランドン・マイリーだけ。ロースター枠は通常2人なので、FAかドラフトで必ず1人は補強することになる。一般にFBはドラフト順位が低いので、下位指名またはドラフト外で1人、そしてFAで1人獲って、3人で2人枠を争うのが順当なところか。有力FBを何人も物色していたことを考えると、意外にこのポジションの強化を重視しているのかもしれず、ドラフト中位での指名があるかもしれない。
昨年マイリーがヘンダーソンを追い抜いたように、ゾーンブロッキングのシステムでは、パワー型よりも軽量でクイックネスのあるタイプが向いている。パスキャッチ能力ももちろん重要。
FA補強が必須と見られていたが、ランディ・モスのトレードの噂を除くと、パッカーズはWRに関する動きがここまで非常に少ない。「ジェニングスの将来性を非常に高く評価しているから」という情報もある。昨年はドライバーを除いてルーキーばかりだったため、ルヴェル・マーティンやカーライル・ホリデイを含め若手の成長が見込めるのは確かだ。
ファーガソンがケガから復帰し、出場停止のロビンソンも(品行方正にしていれば)10月には復帰してくるので、コマの数が足りないわけではない。欲しいのはインパクトのあるプレーヤーで、ランディ・モス獲得に興味を示しているのもそのためだろう。そういったことを考えると、ドラフト1巡指名もあるが、成り行きしだいでは指名ゼロだって考えられる。ドライバーやジェニングスはショートからミドルで強みを発揮するタイプなので、フィールドをストレッチできるスピードで相手に脅威を与えられるレシーバーが望ましい。
GMがシャーマンからトンプソンに代わっても相変わらずリターナー補強はうまく行かず、昨年もわざわざ4巡でWRコーリー・ロジャースを指名して大失敗(開幕前に解雇)に終わった。今年もリターナー兼任のWRを指名する可能性は十分あり、WRテッド・ギンJr(オハイオ州立)指名予想があるのもそのためだろう。ケガがちなCBウッドソンの負担を減らすためにも、今年こそまともなパントリターナーを確保したいところ。
パッカーズを除いたウィスコンシン州のスポーツの現況のまとめ。
ロジャー・グッデル新コミッショナーは先週、CBアダム・"パックマン"・ジョーンズ(TEN)に1年間の出場停止、そしてWRクリス・ヘンリー(CIN)には8試合の出場停止処分を言い渡した。その直後に発表した新しい個人行動規定と合わせ、NFLのイメージ回復のために非常に望ましいことだ、とコミッショナーの決断は歓迎されている。また、所属球団を含めて罰則が強化されるため、ドラフトで問題児に手が出しにくくなるだろう、と見る専門家も多い。
CBジョーンズは2005年の入団以来逮捕が5回、警察の取調べが10回。WRヘンリーは過去14ヶ月で逮捕が4回。厳しい処分は予想されていたことだが、今回のコミッショナーの決定(および後述の新しい行動規定)で注目されるのは、有罪が確定せずとも処分の対象になる、とした点だ。これまでポール・タグリアブー前コミッショナー(弁護士出身)は基本的に司法システムに判断を委ね、有罪(または有罪を認めた司法取引)になった件のみ出場停止等の処分を行う方針だったが、失われた信頼を取り戻すために新コミッショナーは思い切った厳罰化に乗り出した。
「我々はNFLの品位を守らなければならない。NFLに所属する誰もが、最高度の行動規範に従わなければならない。なぜならば、NFLの一員となるのは権利ではなく、大きな栄誉であるからだ。彼ら選手、そしてリーグのメンバー全員が、自らの行動において常に正しい選択と決断をしなければならない」とコミッショナー。
出場停止選手は規定の期間が過ぎれば自動的に復帰できるわけではなく、(これまでもそうだったが)復帰願いを提出し、それが認められて初めて復帰が可能になる。それまで法を犯さず、カウンセリングや教育を受けるなど、全ての指示を守らなければならない。また停止期間中にはベースサラリーは支払われない。CBジョーンズは「予想はしていたが1年は厳しすぎる」として上訴する意思を表明しているが、上訴する相手がコミッショナーなので、刑の軽減は望み薄だ。
2選手の処分発表の直後、コミッショナーはNFL選手・職員の新しい個人行動規定を発表した。NFL選手会や、ベテラン選手数人による諮問委員会もこの改定に関わっており、NFLのイメージ回復に向けて労使が協調して取り組んできた成果と言える。かなり曖昧な部分が多いが、概要は以下のとおり。
モックドラフト集の第3回。*印をつけたのは前回からバージョンアップされていないサイト。
左ヒザの前十字靭帯(ACL)断裂から8ヶ月、Sマーヴィール・アンダーウッドここまで非常に順調にリハビリを進めている。オフシーズン・プログラムではすでに仲間のDB陣と同じアジリティ・ドリルをこなしているという。プロ2年目だった昨年夏のプレシーズンで負傷するまではかなりの成長を見せていただけに、昨季不振の先発組をプッシュしてほしいと期待されるのも無理はない。
ただし焦りは禁物だ。靭帯はある程度回復してくると動けてしまうだけに、そこで無理をして失敗する例が少なくない。「もし今日試合があるならプレーできると思う。自分としてはそのくらいの感触だけど、今はまだ慎重に進めている。つらいけどね。徐々に慣らしていきたいというのがドクターの意見だ。できれば11ヶ月か12ヶ月経つのを待ちたいと。どうしても必要ならやってもいいと言ってくれてるし、自分ではできる感じだ。でもドクターやコーチが待てと言うなら、僕は待つよ。強引なことはしない」とアンダーウッドは言う。
いつウェイトルームを覗いても彼がトレーニングしているのは非常に感心だが、5月・6月は自重させたいとマッカーシーHCは言う。「5月のミニキャンプや6月のOTAにフル参加するのは、ちょっと無理しすぎかもしれない。(7月末の)トレーニングキャンプのスタートが、より現実的な目標となるだろう」
一昨年に同じくACLを断裂したLBブレイディ・ポピンガ。「初めてチーム練習に復帰した気分は素晴らしかった。でも、『これほど苦労して進めてきたリハビリが、練習での不運なアクシデントで全てフイになってしまうかもしれない。最初からやり直しになるかもしれない』 と気付いて怖くなったよ。大きな葛藤だった。克服にどれほど時間がかかったかわからないけど、『こんなことじゃダメだ。気にするな』と自分に言い聞かせた。目に見えない心理的な壁を乗り越えなければならなかった」
LBポピンガは続けて言う。「最終的には乗り越えることができた。なるようになるしかない、とね。ハードにプレーした結果としてケガをするのなら、自分は受け入れられると。そうしてフィールドに出て行ったら、以前と全く変わらない感触でプレーできた。マーヴィールがこれから直面するのは、そうした精神的な戦いだ。最初にフィールドに出て行くのが、リハビリの全プロセスの中で最も困難な部分になる。でも彼は考え方がとてもしっかりしている。ポジティブで楽観的で、それでいて現実的で、妄想を抱くことがない。だから心配はしていないよ」
2007年のNFLレギュラーシーズンスケジュールが正式発表された(全球団分はこちら)。パッカーズ分は下表のとおり。
Packers 2007 Regular Season Schedule | ||||||
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Date | Opponent | Time | 米TV | 備考 | ||
9/9 | Philadelphia Eagles | 1:00 p.m. | FOX | |||
9/16 | @ | New York Giants | 1:00 p.m. | FOX | ||
9/23 | San Diego Chargers | 1:00 p.m. | CBS | |||
9/30 | @ | Minnesota Vikings | 1:00 p.m. | FOX | ||
10/7 | Chicago Bears | 8:15 p.m. | NBC | Sunday Night | ||
10/14 | Washington Redskins | 1:00 p.m. | FOX | |||
- | - | Open Date | - | - | ||
10/29 | @ | Denver Broncos | 8:30 p.m. | ESPN | Monday Night | |
11/4 | @ | Kansas City Chiefs | 1:00 p.m. | FOX | ||
11/11 | Minnesota Vikings | 1:00 p.m. | FOX | |||
11/18 | Carolina Panthers | 1:00 p.m. | FOX | |||
11/22 | @ | Detroit Lions | 12:30 p.m. | FOX | Thanksgiving | |
11/29 | @ | Dallas Cowboys | 8:15 p.m. | NFLN | Thursday Night | |
12/9 | Oakland Raiders | 1:00 p.m. | CBS | |||
12/16 | @ | St. Louis Rams | 1:00 p.m. | FOX | ||
12/23 | @ | Chicago Bears | 1:00 p.m. | FOX | ||
12/30 | Detroit Lions | 1:00 p.m. | FOX |
1年早い契約延長に向けて交渉を進めていたLBニック・バーネットが長期契約にサインした。トンプソンGMからのアナウンスがあっただけなので(球団は詳細を発表しない)、金額も年数も不明だが、最近のサラリー相場の高騰を反映した内容になっているのは間違いないだろう。昨季終了時点で契約問題のあったCBハリスとLBバーネットがどちらも契約延長にサインし、これで今オフの大きな課題が片付いたことになる。
来年フリーエージェントとなるのは2004年ドラフト組だが、1巡のCBキャロルから3巡のPサンダーまで上位4人がすでに退団し、6巡のDTコーリー・ウィリアムズと7巡のCスコット・ウェルズがスターター、という奇妙な展開になっている。ウェルズとは昨年11月に契約延長を済ませているため、来春FAとなる有力な若手はウィリアムズだけ。チーム側は開幕までに契約延長したいと希望しているとの情報もあるが、メンタル面の頼りなさ(つまりナマケモノ系)に懸念を指摘する声もある。逆に契約延長を見送って来季活躍した場合は値段が上がりすぎてしまう恐れもあり、どちらを選んでもリスクはある。
来年春に契約が切れるLBニック・バーネットは早めの契約延長を望んでいるが、オフシーズン・ワークアウトには初日から参加している。問題児的な行動をとることは、再契約するにせよ来春FAとなるにせよ、自分の損になるだけだとわかっているからだ。「契約はまとまってほしいが、今どうしてもというわけじゃない。1年待ってFA市場に出ることもさほど嫌じゃない。そうすることの利点と今契約を結ぶことの利点の比較の問題だね」
「話し合いは続いている」と代理人も認めているが、問題は金額だ。最近のサラリー高騰に大きく影響されることは避けようがない。契約の"guarantee"分(主として契約ボーナス)だけで比較すると、LBアデイラス・トーマス(BAL→NE)が$20ミリオン、LBジョーイ・ポーター(PIT→MIA)が$13ミリオン、LBロンドン・フレッチャー(BUF→WAS)が$10.5ミリオン。LBバーネットはまだ25歳と若いこともあり、$10ミリオンから$20ミリオンのレンジでの攻防となりそうだ。
「このところ前向きな進展があったと思う。本当に喜ぶのは合意に近づいてからだが、進展があったことは嬉しい。僕がチーム側に無理強いしているわけではないし、こちらも無理強いされているわけじゃない。よい進展があった、自分は契約をまとめたい、ということだけだ」とバーネット。
昨年のパッカーズディフェンスの先発11人全員が今年もチームに残留した。(個人ワークアウトを好む)CBハリスとCBウッドソン以外全員が今春のオフシーズン・プログラムに出席していることを、チームリーダー格のバーネットは喜んでいる。「仲間が次々とやって来ては、『まだチーム側は(デカい契約を)くれないのか』 とけしかけるので、僕は言ってやるんだ。『そんなこと心配するな。オレたちが気にすべきなのは、No.1ディフェンスになることだけだ。そうすれば契約などむこうからやってくる』 ってね」
A.J.ホークが兄ライアンとともにMLBミルウォーキー・ブリュワーズの本拠地ミラー・パークを訪れ、ブリュワーズのユニフォームを着て試合前のバッティング練習に参加した。野球をするのは13歳のとき以来、しかも木製バットは始めての体験というホーク。マイク・マダックス投手コーチ(グレッグ・マダックスの兄)の投げるボールに最初は手こずっていたが、バッティングコーチからアドバイスを聞いた後は調子を上げ、2本もスタンドに放り込むことができた。
メインイベントの始球式では、速球を投げ込もうと力みすぎてワンバウンドに。試合はビジターのドジャースが1点差で逃げ切り、斎藤隆が今季初セーブを挙げている。フットボール好きの野球選手も多く、この日の試合前は、ファンタジーフットボールの優勝トロフィを見せびらかす選手、フットボールでキャッチボールをする選手たちもいた。
ところでホークの兄ライアンはアリーナフットボールのマイナーリーグ af2 でプレーしているが、今春からグリーンベイ・ブリザードに移って先発QBを務めている(写真)。ブリザードはランボーフィールドのすぐそばにあるレシュ・センター(10,200席)を本拠地とし、かつてパッカーズの先発LBだったブライアン・ノーブルが球団社長を務めている。
ライアンが住んでいるのはA.J.夫妻から10分ほどのところにある家で、パッカーズを観戦するために両親が昨年購入したものだ。息子たちの大学時代は、両親のどちらかがA.J.のオハイオ州立大の応援に行き、もう片方がライアンのオハイオ大を応援に行っていた。その体制はさほど変わっていないが、今は同じ街のチームに所属し、しかもaf2(8月末に終了)はシーズンがずれるために互いの観戦が非常に容易になる。
とはいえ、ライアンがグリーンベイ・ブリザードを選んだのは弟と同じ街でプレーするためではなく、ダグ・リトルHCから先発QBのチャンスをもらったからだ。その選手があのA.J.ホークの兄だということは、勧誘の電話を終えた後でフロントオフィスのスタッフが気付いたことらしい。A.J.より1年先に大学を出た彼は、昨年同じaf2のバーミンガム・スティールドッグスに所属して、2,395yds、34TDを記録している。
子供の頃から何をするにも競争だったライアンとA.J.だが、今は完全に水をあけられてしまったとライアンも認めている。「もう、したくても競争にはならないね。彼はNFLにいる。全体5位指名で、スポーツ史上最高のフランチャイズでプレーしてる。もう競争はないよ。それは終わった。誰だってヤツにはかなわないだろう。僕らはお互いのことをものすごく喜んでる。うちのファミリーは本当に幸運だよ」
オフシーズンにセールスの仕事をしているライアンは、なんとか今年でaf2を卒業してAFLに上がろうと頑張っている。しかしもし今年ダメなら、フットボールのキャリアを終えることも考えると彼は言う。「毎日できる限りの努力を続ける。今の気持ちはそれだけだ。結果がどうなろうとね」
2007年のパッカーズのプレシーズンゲームのスケジュールが発表された。
Packers 2007 Preseason Game Schedule | |||||
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Date | Opponent | Time | 米TV | ||
8/11 | @ | Pittsburgh Steelers | 6:30 p.m. | state | |
8/18 | Seattle Seahawks | 7:00 p.m. | state | ||
8/23 | Jacksonville Jaguars | 7:00 p.m. | FOX | ||
8/30 | @ | Tennessee Titans | 7:00 p.m. | state |
昨年QBファーヴが19回しかサックされなかった(NFL5位)のは、通常よりパスプロテクションの人数を増やした7メン・プロテクションを多用したことが大きい。それとひきかえに3人のレシーバーしかパスコースに出られないことになり、ファーヴのパス成功率はキャリア最低の56%に下がってしまい、攻撃力が大幅にダウンする結果となった。
「パス成功率56%でいいはずがない。我々が望んでいる数字ではない」とマッカーシーHC。しかしルーキーOL3人が先発する状況では、QBを守ることを最優先にせざるをえなかった。そんな中で、NFL最多の613回もパスを投げながら被サックが少なかった(パス回数比ではNFC1位・NFL3位)ことは、オフェンスの基礎段階としてはじゅうぶん評価に値すると首脳陣は考えている。
「パスプロテクションに関しては、スキーム的には非常にうまくできたと思う。ヘルプが必要な場所に適切にヘルプしてやることができた。プロテクション第一の考え方だったからね。しかし今後は、昨年あまり使えなかったような6メンや5メンのプロテクションも増やしていけるはずだ。(初めて先発センターに定着した)Cスコット・ウェルズの働きには特に満足している。左右をルーキーに挟まれていながら、非常にしっかりした判断能力を示してくれた」とマッカーシーHCは語っている。