昨年、ドラフト外入団ながら6試合に先発出場したDT/DEカレン・ジェンキンズと再契約。プロ入り2年以内で契約の切れた選手はこのように"Exclusive-Rights free agent" (用語集参照)となり、チーム側は最低年俸の1年契約を提示さえすれば、つなぎとめておくことができる。一般に、ドラフト指名された選手は3年以上の契約を結ぶのが普通なので、この"Exclusive-Rights free agent"になるのはドラフト外入団の選手だけだ。
カレン・ジェンキンズは、パンサーズのプロボウルDTクリス・ジェンキンズの弟。昨春はパッカーズからNFLヨーロッパに派遣、昨夏のキャンプで認められて念願のロースター入りを果たした。シーズン序盤にグレイディ・ジャクソンが戦線離脱すると、クリディアス・ハントがノーズタックルに移り、控えだったジェンキンズがDTで先発出場。ハントと比べ身体能力には恵まれていないが、常に全力投球するハードワークで28タックル、4.5サックの活躍を見せた。
1950年代前半に素晴らしい活躍を見せたRB兼リターナーのビリー・グライムズが、オクラホマの自宅で肝不全のために亡くなった。77歳だった。オクラホマ州立大からAAFLを経て1950年にパッカーズ入りした彼は、1年目から85ydsのキックオフリターンTDなど大活躍。大ケガのため実働わずか3年間で引退を強いられたが、"The Comanche Kid"のニックネームで恐れられた彼は、素晴らしいスピードとクイックネスでファンに強烈な印象を残した。
1950年はパントリターンで平均19.1ydsを記録し、これは今でもパッカーズ記録として残っている。パントリターン555ydsは1996年にデズモンド・ハワードに破られるまで球団記録。キックオフリターン600yds、パントリターン555yds、ラッシング480yds、パスキャッチ261ydsの合計1,896ydsは1998年にKRロエル・プレストンに破られるまで球団記録(現在はRBアーマン・グリーンの2,250yds)だった。RBとしても、晩年のRBトニー・カナデオとのコンビで活躍した。
グライムズはわずか3年のキャリアで2回のプロボウル出場、オールプロにも選ばれている。当時のチームメイトのDEジョン・マーティンコヴィックは、「ものすごく速く、しかも恐ろしくすばしっこかった。だからあまりハードヒットをされなかった」と振り返っている。"Team Historian"のリー・レメルは、「パッカーズ史上最も捕まえにくいランニングバックだったのは間違いない。あれほどの能力を持ちながら、パッカーズの殿堂入りをしていないのは残念なことだ。3年間しかプレーできなかったのが響いていると思う。彼はまた、素晴らしいユーモアの持ち主で、明るく人懐こい性格は終生変わらなかった」
球団OB会にはたいてい出席し、息子か孫を1人連れてくるのが常だった。そうした経験を持つ息子のマークは、「グリーンベイでは父が今でもあのように愛されていることがわかって、素晴らしい経験ができました。父はいつもグリーンベイの歴史を褒め称えていました。なかでも、ファンがいかに素晴らしいかという話でしたね」と語っている。(右写真は1997年にランボーフィールドでファンに挨拶するグライムズ)
「最後にグリーンベイを訪れたのは、2003年の12月、トニー・カナデオ(記事参照)の葬儀に参列した時のことです。トニーがいかに素晴らしいジェントルマンで、タフで不屈のフットボールプレーヤーだったか、父はいつも賞賛していました。後輩の自分を可愛がってくれたトニーを心から尊敬していました」
FA解禁から4週間近くが過ぎ、大物FA選手が移動する派手な時期はほぼ終った。パッカーズについてはTransactionsのコーナーを参照していただくとして、ここで同地区ライバルの補強の状況をまとめてみる。なお、再契約した選手やRFA選手は省いた。
Chicago Bears Additions | ||||
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Pos | Name | 年齢 | 旧所属 | 備考 |
WR | Muhsin Muhammad | 31 | CAR | 総額$30ミリオンの6年契約。S・スミスのケガで1405ydsと大爆発しリーディングレシーバーに |
WR | Eddie Berlin | 27 | TEN | 4年間で24キャッチ370yds。スペシャルチーマーか |
OT | Fred Miller | 32 | TEN | 総額$22.5ミリオンの5年契約。先発RTに |
OG | Roberto Garza | 26 | ATL | 31試合の先発経験があるが、ヒザの状態は良くないらしい |
Chicago Bears Lost | ||||
Pos | Name | 年齢 | 移籍先 | 備考 |
QB | Jonathan Quinn | 30 | 未定 | 解雇。控えQBをアップグレードしたいため |
WR | David Terrell | 26 | 未定 | 2001年の1巡8位を解雇。ここまでは完全にBUST |
T/G | Mike Gandy | 26 | BUF | 解雇。先発経験は豊富 |
Chicago Bears Unsigned Free Agent | ||||
Pos | Name | 年齢 | 移籍先 | 備考 |
QB | Jeff George | 37 | 未定 | ご存知ライフルアーム |
RB | Anthony Thomas | 27 | 未定 | 4年間で37試合先発。1000ydsラッシング2回。今年はドラフトにRB豊富でツイてない |
OT | Aaron Gibson | 27 | 未定 | 元DETの1巡指名。常に体重問題を抱えケガが多い |
Detroit Lions Additions | ||||
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Pos | Name | 年齢 | 旧所属 | 備考 |
QB | Jeff Garcia | 35 | CLE | $2ミリオンの1年契約でマリウッチHCと再会。ハリントンとスターター争いか |
TE | Marcus Pollard | 33 | IND | 通算3391ydsのレシービングTE |
OG | Rick DeMulling | 27 | IND | 2年契約。プロ2年目からスターターを務めている |
S | Kenoy Kennedy | 27 | DEN | 総額$14ミリオンの5年契約。今年のFA市場でトップクラスのSS |
Detroit Lions Lost | ||||
Pos | Name | 年齢 | 移籍先 | 備考 |
QB | Mike McMahon | 26 | PHI | マクナブの控えQBに |
TE | Stephen Alexander | 29 | DEN | 3年契約 |
OT | Stockar McDougle | 28 | MIA | 54試合の先発経験。1年契約でマイアミへ |
S | Brian Walker | 32 | 未定 | キャップ対策で解雇 |
Detroit Lions Unsigned Free Agent | ||||
Pos | Name | 年齢 | 移籍先 | 備考 |
QB | Rick Mirer | 35 | 未定 | あのリック・マイアー |
WR | Tai Streets | 27 | 未定 | 先発46試合。DET在籍は1年のみに |
WR | Reggie Swinton | 29 | 未定 | 実績十分のリターナー。さすがにドラモンドには劣る |
FB | Stephen Trejo | 27 | 未定 | 控えFB |
DT | Kelvin Pritchett | 35 | 未定 | 最近は先発のチャンスもないが実績は十分 |
LB | Wali Rainer | 27 | 未定 | DETでの2年は全く先発なし |
CB | Dainon Sidney | 29 | 未定 | 昨季はインジャリー・リザーブ |
Minnesota Vikings Additions | ||||
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Pos | Name | 年齢 | 旧所属 | 備考 |
QB | Brad Johnson | 36 | TB | スーパーボウルQBが出戻り。ついに先発の座を諦めた証拠 |
WR | Travis Taylor | 26 | BAL | 2年契約で、3番手WRとなる見込み。BALでは4年で61試合先発、2758yds |
DT | Pat Williams | 32 | BUF | 総額$13ミリオンの3年契約。ベテランの強力DT |
LB | Napoleon Harris | 26 | OAK | WRモスとのトレード。MINではストロングサイドか |
LB | Sam Cowart | 30 | NYJ | 実績十分だが先発の座を失い、7巡指名権とトレード。コトレルDCと再会。MLBで先発できるか |
CB | Fred Smoot | 25 | WAS | 総額$34ミリオンの6年契約を結んだ、今年の補強の目玉。4年で16INT |
S | Darren Sharper | 29 | GB | 総額$14ミリオンの4年契約。言われてるほどの選手なのか?というGBファンの長年の疑問に答える時が来た |
Minnesota Vikings Lost | ||||
Name | 年齢 | 移籍先 | 備考 | |
QB | Gus Frerotte | 33 | MIA | 2年契約。QBフィーリーとスターター争い |
RB | Larry Ned | 26 | 未定 | クビになりARIに拾われたとたんに空港で窃盗事件を起こし逮捕され、すぐに解雇 |
WR | Randy Moss | 28 | OAK | 説明不要。GBの天敵去る |
LB | Chris Claiborne | 26 | STL | 総額$10.5ミリオンの3年契約。STLで先発MLBに |
CB | Rhett Nelson | 25 | ARI | 解雇。スペシャルチーマー |
Minnesota Vikings Unsigned Free Agent | ||||
Pos | Name | 年齢 | 移籍先 | 備考 |
OG | David Dixon | 36 | 未定 | 実績十分の大型ガードだがさすがに歳か |
DT | Chris Hovan | 26 | 未定 | この2年で評価ガタ落ち。最近は先発どころかゲームデイ登録さえされてない |
LB | Keith Newman | 28 | 未定 | 昨年は14試合に先発したが、大型補強のあおりか |
K | Morten Andersen | 44 | 未定 | ご存知大ベテランキッカー |
パッカーズ関連のビデオ映像を紹介。パッカーズ公式サイトに掲載される地元番組などの映像アーカイヴが、特に昨季から格段に増えた。
今回のオーナー会議で決定した主なルール改正は以下の通り。中には継続審議として次回5月の会議で話し合われるものもある。
パッカーズ最古のファンとして地元で長年親しまれてきたパルミーロ・マッゾレーニ氏が、グリーンベイ市内の福祉施設で亡くなった。91歳だった。彼は1973年には"George Calhoun Fan of the Year"を受賞し、2001年には"Packers Fan Hall of Fame"にも選ばれた。パッカーズの"Team Historian"であるリー・レメルは、「彼は生涯を通じて熱烈なパッカーズファンであり、彼ほど忠実なファンはこれまで見たことがない」と讃えている。
小学生だったマッゾレーニ氏がパッカーズを応援するようになったのは、球団が設立された初年度の1919年。近所に選手が住んでおり、「練習の時にウォーター・ボーイをやってくれないか」と頼まれたのがきっかけだった。彼がパッカーズ戦を見逃したのは、ウィスコンシン大に進学した'30年代半ばと、出征した第二次大戦の時期だけだという。1950年に球団史上三度目の株式発行がなされた際には、彼も購入して財政再建に貢献、'50年代半ばのランボー・フィールド建設の際には、建設資金のためのシーズンチケット販売促進にも活躍した。
1949年から1987年に引退するまでガソリンスタンドを経営し、多くの選手がここでガソリンを入れた。従業員をパッカーズ観戦に連れて行くのが習慣だった。「誰かがパッカーズのことを悪く言おうものなら、『出てってくれ』と彼は即座に言ったものだった。たとえお客であろうとね」とリー・レメルは懐かしそうに振り返る。実際に'50年代、'60年代には球団のほとんど全員と知り合いだったという。「父はヴィンス・ロンバルディとも友人だったし、特にLBレイ・ニチキとは親友でした。生涯を通じて、彼らパッカーズ関係者と付き合っていました」と息子のマークは語る。
1919年以来、毎年のパッカーズのことを知り尽くしていたマッゾレーニは、どんなに逆境にあるときでも、チームを信じ続けていた。つい最近も、今年のパッカーズがRGリヴェラ、LGウォール、FSシャーパーを失ったことを息子マークと話し合った。「父は全く焦っていないようで、『必ず代わりは見つかるさ。きっと上手くいく』と言っていましたね」
前年にフリーエージェントで失った戦力が大きいチームには、損失の大きさに応じて、3巡から7巡までの "compensatory draft picks"がリーグ側から配布されるが、今年のパッカーズは全くもらえないことが判明した(全リスト)。例えば、昨年DEジェヴォン・カースを失ったタイタンズは、今年の3巡33位指名権をもらえることになった。なお、リーグ側がどのような基準を元に算出しているのかは不明だ。
この指名権は、それぞれの巡で、32球団の指名が終った後に各巡33位から付け足す仕組みになっている。また、このシステムによって受け取ったドラフト指名権は、トレードに出すことはできないルールになっている。
昨年のパッカーズは、7巡指名権を1つもらった。一昨年にDEホリデイやCBタイロン・ウィリアムズなどを失い、LBネイヴィーズ、FBルーチー、Cルーガマー、DEウォコーリーを獲得、失った方が少し大きいと判断されたためだ。昨年はSエドワーズとPビドウェルなどをFAで失い、獲得したのはSローマンなど。損失はほとんどないと判断されたことになる。
これにより今年のパッカーズのドラフト指名権は(今後トレードがなければ)、以下の7つとなった。
1巡(24位)
2巡(19位)
2巡(26位)
3巡(25位)
4巡(24位)
5巡(7位)
6巡(6位)
2巡(19位)はCBマッケンジーのトレードでセインツから受け取ったもの。7巡指名権は2年前にCBデリック・コームズをチーフスから獲得した時に(条件付きで)手放している。5巡と6巡の順位が高いのは、昨年、Sアンダーソンをレイダーズにトレードした時にもらったものだから。逆に、もともとパッカーズが持っていた5巡・6巡指名権は、昨夏のDEトゥルーラックのトレードでチーフスに渡してしまった。
パッカーズは、NFL11年目のOGマット・オドワイヤー(32歳)と契約した。ベテラン最低額(NFL10年以上)である$765,000ドルの1年契約で、契約ボーナスは$25,000ドル。規定により(用語集参照)、$455,000ドルしかサラリーキャップにはカウントされずに済む。バッカニアーズに移籍した昨年は胸筋の断裂で12試合を棒に振ったが、「今は完全に健康体だ」と代理人はアピールしている。
ノースウェスタン大から1995年のドラフト2巡指名でジェッツ入りしたオドワイヤーは、2年目からスターターに昇格し、それ以後はジェッツとベンガルズでの7年間で102試合に先発、欠場は10試合。右ガードも左ガードも実績は十分ある。一昨年は足のケガで12試合に欠場、昨年はバッカニアーズでスターターとなるはずだったが、胸筋の断裂でやはり12試合に欠場した。
パワフルなドライブ・ブロックを得意とするが、クイックネスやアジリティはさほどではなく、どちらかというとパスプロテクションに難がある、というのが大方の評価。とすると、同じく新加入のクレムとは対照的なタイプということになる。
このマット・オドワイヤー(NFL11年目)、エイドリアン・クレム(6年目)、再契約のグレイ・ルーガマー(7年目)、OTからの転向となるケヴィン・バリー(4年目)、カナダ人のスティーヴ・モーリー(2年目)、そしてドラフトで指名されるであろうルーキーなど、6人か7人で両ガードの先発の座を争うことになりそうだ。
パッカーズが、グリーンベイだけでなく州最大の都市ミルウォーキーでホームゲームを行うようになったのは1933年のこと。言うまでもなく、慢性的な資金難に苦しむチーム財政を助けるためだ。ボーチャート・フィールド(1933年のみ)、ステイトフェア・パーク(1934年-51年)、マーケット・スタジアム(1952年のみ)、それ以後はMLBブリュワーズと同じカウンティ・スタジアムだった。レギュラーシーズン8試合のうち2試合または3試合が、ずっとミルウォーキーで行われていた。
「あの時点では、ミルウォーキーで試合を行うことが、チーム存続のために非常に重要だった」と"Team Historian" のリー・レメルは振り返る。ボブ・ハーラン社長は、「チームにはミルウォーキーの助けが必要だった。ミルウォーキーの人々はチームの株も買ってくれた。もしあの頃、チームがグリーンベイだけに留まっていたら、いまこのフランチャイズが存在していたかどうか、わからない。ミルウォーキーがいろいろな意味で我々を救ってくれたのだ」と語る。
しかし'90年代に入ると、逆にミルウォーキーでの開催が負担になり始めた。ランボーフィールドは度重なる改装によって高額なボックス席も充実していたが、カウンティ・スタジアムは老朽化し、収益が上がらない。約100マイルを移動するコストも馬鹿にならない。こうして1994年、ボブ・ハーラン社長は、今後はホームゲーム全てをグリーンベイで行うと決断した。「今に至るまで、私がした中で最もつらい決断だった。たくさんのファンに関係してくることだからね。今でも、あの時のミルウォーキーの新聞の見出しを覚えているよ。 "The Pack won't be back" と書かれていた・・・。それでも自分はすべきことをしたと信じている」
ミルウォーキーのファンの痛みを和らげるため、カウンティ・スタジアムのシーズンチケットホルダーには、ランボーフィールドの2試合分(+プレシーズン1試合)のシーズンチケットを"Gold Package"としてこれまで同様に提供することにした。元からのランボーフィールドのシーズンチケットは"Green Package"としてレギュラーシーズン6試合(+プレシーズン1試合)とした。"Gold Package"組はレギュラーシーズンの第2週と第5週の試合と決まっており、この二本立てのシステムは現在も続いている。
ハーラン社長によると、ミルウォーキー撤退時に、カウンティ・スタジアムのシーズンチケットホルダーの96%が"Gold Package"組として継続したのだという。またチーム側も、ミルウォーキーから往復するファンのため "Gold Package" の試合の日はなるべくナイトゲームにならないよう、リーグ側に要望することにしている。「我々は彼らを大事にする必要があった。彼らとその両親、祖父母たちは、このフランチャイズを60年にわたって支えてくれたのだ。その恩を忘れたりしたら、PR的にも最悪の失敗となるだろう。今では、私が道を歩いていると、『ミルウォーキーにも一部を残してくれてありがとう』と声をかけてもらえるよ」
1994年12月18日、ミルウォーキー最後の試合となる、第16週のファルコンズ戦がカウンティ・スタジアムで行われた。パッカーズは序盤にリードしたが第4Qに14-17と逆転され、残り1分58秒、自陣33ヤードから最後の攻撃。まずTEチュムラへの25ydsパスでドライブをスタートさせたブレット・ファーヴは、再びTEチュムラへ8ydsのパスを通して敵陣9ヤードへ迫った。タイムアウトはなし。残り21秒での3rdダウン。ファーヴは右にロールしたがレシーバーが見つからず、自ら走り出した。「アウトオブバウンズへ出ろ!」と叫ぶホルムグレンHCの声は届かず、QBは頭からエンドゾーンに飛び込んだ。逆転のタッチダウン。
54,885人の観衆は喜びを爆発させた。先発3年目の若きブレット・ファーヴはチームメイトからもみくちゃにされ、バート・スター以来のフランチャイズQBの座を確固たるものにするきっかけの1つになった。ホルムグレンHCは、"Thank you, Milwaukee."とスタンドに叫んで、フィールドを後にした。62年にわたって愛したチームを失うほろ苦さとともに、球団史上に残る素晴らしい名試合の思い出が、ミルウォーキーの街に残った。
新加入のG/Tエイドリアン・クレムが語る。「古巣ペイトリオッツに戻らない理由のひとつは、自分はどこか他所でフレッシュスタートを切る必要があると感じたことだ。(ケガが多いことで)壊れ物のように扱われるのは飽き飽きしたし、自分を憐れんだりはしない。確かにNFL入りする時には、こんなキャリアになるとは想像もしていなかった。でも自分なりに耐えて、良い方向に活かそうと努力してきた。毎年、前年よりは強くなって戻ってきた」
リスクを承知でクレムを獲得したテッド・トンプソンGMは、「ウチのドクターは、かなり厳しいフィジカル・チェックをした。彼は不運なケガをいくつもしてきたが、深刻な影響が残るようなものではない。時には、立て続けに不運に見舞われることもあるものだ。環境の変化がそれを断ち切ることを期待している」と説明している。
「彼のテープはずいぶんたくさん見た。彼は走れて、スペースでのブロックができる。ウチは左ガードに対して、スペースでの動きをかなり求めるからね。彼のアスレティシズムは際立っている。非常に優れたパス・ブロッカーだと思う。腕が長く、手の使い方が上手い。下半身の柔軟性もある」
彼が先発を争うことになる左ガードについてクレムは、「興味をそそられたのは、ここの左ガードというポジションは、とてもユニークだということだ。プル・ブロックやオープンフィールドでのブロッキングがすごく多く、ただ目の前の相手をブロックするのではない。これまでと違って1つのポジションに集中できれば、すごくいい選手になれると自分では感じている」と意気込みを語っている。
「パッカーズの殿堂の中を歩き、過去の名選手の写真を見ていると、なんだか鳥肌が立ったよ。ここでは誰もがパッカーズのジャケットを着ていて、空港を歩くと、"Welcome to Packer Country"と大きく書かれている。ボストンにはそういったものはない。ここではとてもユニークな経験ができると僕は思った。ここでは、全てがパッカー・フットボールなんだ。それに、球団の設備もファーストクラスだ。ペイトリオッツの設備もNFL最高の1つだけど、パッカーズは全てにおいて一段上だ」
モックドラフト集の第2回。前回と比べると、FSダレン・シャーパーの解雇を受けて、セーフティ指名予想が明らかに増えてきた。ディフェンスでは各ポジションに割れているのに対し、オフェンスを指名するとしたらOL、ということで一致している。
Mock Draft | ||||
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メディア / 担当者 | round | Player | Pos. | College |
ESPN / Scouts,Inc. | 1巡 | Dan Cody | DE | Oklahoma |
ESPN / Mel Kiper | 1巡 | Thomas Davis | S/OLB | Georgia |
CBS Sportsline / Dennis Dodd | 1巡 | Channing Crowder | ILB | Florida |
CBS Sportsline / Pete Prisco | 1巡 | David Baas | G/C | Michigan |
CBS Sportsline / Clark Judge | 1巡 | Channing
Crowder |
ILB | Florida |
SportingNews / The War Room | 1巡 | Shaun Cody | DT/DE | USC |
SportingNews / The War Room | 2巡a | Khalif Barnes | OT | Washington |
SportingNews / The War Room | 2巡b | Oshiomogho
Atogwe |
FS | Stanford |
Sports Illustrated / Don Banks | 1巡 | Brodney Pool | FS | Oklahoma |
MSNBC / Ron Borges | 1巡 | Thomas Davis | S/OLB | Georgia |
Fox Sports / Pete Fiutak | 1巡 | Carlos Rogers | CB | Auburn |
Pro Football Talk | 1巡 | Brodney Pool | FS | Oklahoma |
パッカーズのディフェンス再建を任されたジム・ベイツ新DCの今の仕事は、現在いる選手たちの能力を評価すること。すでに昨季のビデオテープは徹底的に調べたというベイツだが、ポジション変更のことなどは、やはり自分の目で選手の動きをよく見てから。「我々はいくつか決定を下さなければならない。Opportunity Session(若手中心の自主参加練習)とミニキャンプが終ってから、最善の11人を揃えるために必要なことをするだろう」
2003年春に長期契約を結んで以来、最大の問題児となっているDTクリディアス・ハント。彼を"パワー・エンド"にコンバートする可能性について聞かれるとベイツDCは、「他のことと同じように、それも可能性はある。まだ何も最終決定を下してはいない。先週彼に会ったのだが、オーバーウェイトのようには見えなかった。良い話し合いが出来たし、Opportunity Session には参加してくれるだろう。(DEへのコンバートの前に)彼の動き出しの速さや、トップスピード、ブロッカー相手のクイックネスなどを見てみたい」
LBニック・バーネットをアウトサイドに移す可能性はもちろん、CBジョーイ・トーマスをセーフティに移す可能性さえ否定しなかったベイツDCだが、いま彼が最も強く望んでいるのは、ディフェンシブラインマンたちの能力を見極めることだという。「現在デプスチャート上にはディフェンシブタックルがたくさんいて、戦力になりそうな若手たちがいる。そのうち1人か2人がディフェンシブエンドとしてデプスチャートを構成してくれるか、見極めなければならない」
長い間パッカーズの控えQBを務めてきたQBダグ・ピダーソンが、NFL12年のキャリアに終止符を打ち、故郷ルイジアナ州の高校Calvary Baptist Academyのヘッドコーチに就任することになった。「コーチングこそ自分の将来だ、と僕は常に思っていた。情熱を傾けて高校フットボールのコーチに打ち込みたい。(現役を引退することについては)今こそ前に進む時だ、と心で感じたんだ」
「そう決めてからは、NFLチームと契約できなかったらどうしよう、と心配して眠れないようなこともなくなったよ。それはもう過去のこととして、僕はドアを閉めることができる」とピダーソン。彼の一家は同州モンローに住んでいたが、この高校のあるシュリーヴポートに引越し、3人の息子(10歳、7歳、2歳)も将来この学校に進む予定とのこと。(余談だが、この高校のロゴがパッカーズそっくり)
1991年、ノースイースト・ルイジアナ大からドラフト外でドルフィンズ入りした彼は、ワールドリーグを経て3年目シーズンの半ばにようやくロースター入り。1995年夏に解雇されると、1ヶ月ほどトラックの運転手をし、シーズン途中でパッカーズに加わった。1999年にはイーグルスに移りマクナブへのつなぎ役、翌2000年にはブラウンズでティム・カウチへのつなぎ役として、2年で17試合に先発した。結局スターターとして成功しなかった彼は2001年にグリーンベイに戻り、2番手QB兼すぐれたホールダー兼ファーヴの親友、という役割でチームを支えてきた。
元ペイトリオッツのG/Tエイドリアン・クレムとパッカーズとの契約が発表された。Journal Sentinel紙によると、契約ボーナス$80万ドルを含む総額$2.6ミリオンの2年契約とのこと。テッド・トンプソンGMが就任して以来、初めての補強らしい補強となった。左ガードのスターター候補として、昨日再契約したルーガマーと争うことになるが、ケガさえなければ、クレムの方がずっと有力と言えるだろう。
エイドリアン・クレムはカリフォルニア州サンタモニカ出身の27歳。ハワイ大では主に左タックルを務め、右タックルやTEもプレーした。2000年のドラフト2巡指名でペイトリオッツに入団。1年目は、ヒザとヒジのケガで11試合を欠場し、右タックルとして4試合に先発。ショートヤーデージではエクストラTEとしてもプレーした。2年目はふくらはぎの筋断裂で棒に振ったが、3年目は全試合に出場し、右タックルと右ガードで計3試合に先発。昨年(足首)と一昨年(足の骨折)はどちらもシーズン途中でインジャリーリザーブ入り。5年間で26試合に出場、先発は10試合。うち右タックル6試合、右ガード1試合、左ガード3試合。
好意的に見れば、これだけケガに悩まされながらもベリチックHCが手放さずにいたというのは、彼の潜在能力への期待が大きかった証拠と言えなくもない。真っ直ぐ押し込むパワーには欠けるがアスレチック能力に優れたタイプで、クイックネスがあり横への動きも軽い。LGウォールに似たタイプかもしれない。ケガの問題については、「フィジカルテストはクリアしたし、今は、言われたことは何でもできる状態だ」と代理人は強調している。
代理人によると、スティーラーズ、ファルコンズ、レイヴンズ、そして古巣ペイトリオッツからも誘いはあったが、水曜日にグリーンベイを訪問したその日のうちに契約に合意したとのこと。なお、ハワイ大出身選手はパッカーズ史上2人目。
FAとなっていたTEデヴィッド・マーティンと再契約。詳細は不明だが、2年契約と見られている。テネシー大ではWRをしていたようにスピードがあるレシービングTEで、ポテンシャルは高いと言われながら期待を裏切り続けてきた。全てにおいてフランクスとは対照的な選手で、時折光るプレーを見せるが、安定性に欠ける。体調管理などプロフェッショナリズムにおいて、フランクスの足元にも及ばない。ブロッキングは進歩し、首脳陣の信頼を得られるようになってきている。
プロ入り4年間で47試合に出場し、パスキャッチ39回344yds、4TD。9試合に先発しているが、試合の最初にダブルTE隊形だったため記録上、先発扱いとなっただけ。昨季も半ばでインジャリーリザーブに入ったように、ケガも多い。フランクスが移籍した場合にのみ、彼にもスターターを争うチャンスが来るが、今のところ、トランジション指名されたフランクスに他からの誘いがある気配はない。
今年の夏のプレシーズンゲームの対戦相手が決まった。第1週のチャージャーズ戦を除いて、正式な日程は未定。4チームとも、今年のレギュラーシーズンではパッカーズと対戦しない。
Packers 2005 Preseason Game | |||
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Date | Opponent | Note | |
8/11 | San Diego Chargers | 1980年以来25年ぶり2回目のプレシーズン対戦。ESPNで全米放送 | |
8/18-22 | @ | Buffalo Bills | 1997年以来12回目 |
8/25-29 | New England Patriots | 1997年以来13回目 | |
8/31-9/2 | @ | Tennessee Titans | プレシーズン最終戦をタイタンズと行うのは4年連続 |
パッカーズは、3月1日に解雇したばかりのG/Cグレイ・ルーガマーとの再契約を発表した。ロースターボーナスを避けるための解雇だったが、安価で再契約となった模様。昨季はケガのCフラナガンに代わって11試合に先発したルーガマーだが、今回の再契約は控えセンターとしてではなく、ガードの候補としてだとチーム側から言い渡されている。
チーム側は、控えセンターは2年目のウェルズ(昨季も2試合に先発した)で十分と見ており、いま欲しいのは先発ガードを争える選手。NFL6年間で、ルーガマーが先発したのはほとんどがセンターとしてだが、プレーオフのヴァイキングス戦ではLTクリフトンが途中退場のため、LGウォールがLTに、ルーガマーがLGを務めた。今後はおそらく、ルーガマーが左ガードとして、OTバリーが右ガードの練習をしていくものと思われる。もしガードとして認められなければ、開幕ロースターにルーガマーの居場所はないかもしれない。
「5、6チームから話は来ていたんだけど、はっきりと先発を争うチャンスをくれたのはパッカーズだけだった。スターターになれる現実的なチャンスがこれほどあるチームはそうないからね。僕はコーチとシステムをよく知っているし、向こうも僕のことをよく知っている。(ガードへの挑戦について)センターをやっていれば、他のポジションの勉強にもなるものだ。ガードとしての実戦経験はあまりないけど、だからといってできないということにはならない。ガードをプレーするチャンスを貰えて嬉しいよ」
Fan Fest最終日の目玉は、シャーマンHCのQ&Aセッションと、普段は見られないロッカールーム見学を含めたランボーフィールドツアー(写真)。
マイク・シャーマンHCは、GMの重責がなくなったせいか、これまでとは別人のようにリラックスした様子で、にこやかにファンからの質問に答えた。Q&Aと記者会見が終わると即席のサイン会。たくさんのファンとおしゃべりし、2002年秋にウォーレン・サップに詰め寄った時の写真にサインを求められると、大笑いして応じていた。「あのような彼を見るのは本当に久しぶりだ。すごくいいムードじゃないか」とLBバーネット。
先日、ファーヴの現役続行の意思を聞いたシャーマンHCが、来シーズンへの意欲についてファーヴに確かめると、「もちろんだ! いつ始める?」と答えが返ってきたとのこと。
ファーヴが現役続行宣言をする数日前、ある夢を見たのだとシャーマンHCは言う。 シャーマンがロンバルディ・アヴェニューを走っていると車がスピンしてしまい電柱に激突、後続の車に追突されてしまった。やっとのことでレスキュー隊に車から助け出され、地面に寝かされる。パッカーズのジャージを来たドクターが彼の上にかがみ込み、質問をした。「ブレットは帰ってくるのか?!」
その他の質問は以下の通り。
「フィールドに進み出て、みなさんを代表できるという気持ちは、とても言葉では言い尽くせない。私にとって、非常に大切なものだ」
「先発のOL5人をこれほど長くキープできたのは幸運であり、このようなことはNFLでは非常に稀なのだ。急に変化の時がやってきたが、これはどのチームにも毎年起きていることで、ウチには最近なかっただけだ。サラリーキャップの制限のために、仕方のないことだった。移籍した選手たちには良いことだろうし、きっとウチにとっても良い結果になるだろう。明日や明後日に試合があるわけではない」
「彼が知っているのは去年のディフェンスであり、今年のディフェンスではない。それにオフェンスでは、どのチームもブレットのすることなら知り尽くしているはずなのに、それでも彼を止めることはできない」
「このトレードは、win-win-winシチュエーションだと思う。オークランドにとっても良いし、ミネソタにとっても良い。それにグリーンベイにとっても」
「最終的にどのようなLB陣のメンバー構成になるかによると思う。ニックは複数のポジションをこなせるからだ。ウチのスキームでは、彼はウィークサイドやミドルに向いていると思うが、ストロングサイドもできる。彼やディッグスにはそのようなヴァーサタイル性があるから、どのような組み合わせが最適か、試しながらやっていくことになるだろう」
「最近、肩の手術をしたのだ。軽い手術で、トレーニングキャンプには間に合うはずだ。ドクターによると、リハビリ開始まで10週間だそうだ」
「家に電話をしたのだが、留守だった。きっとマクドナルドにいたのだろう」
Fan Festの2日目は、QBファーヴ、WRドライバー、WRファーガソン、RTタウシャー、DEバジャ=ビアミラ、元QBリン・ディッキー、元QBマコウスキー、元Sリロイ・バトラー、元DTギルバート・ブラウンなど、現役・OBの多くの選手が参加し、サイン会を中心にさまざまなイベントが行われた。(写真)
特に、1時間にわたってサインに応じたファーヴの前には長い行列ができた。全てのファンがサインを貰えるわけではなく、ランダムに券が配布される。ある当選した女性ファンのところには「100ドルで譲ってくれ」と言ってきた人もいたが、丁重に断り、昨年秋に出版されたファーヴの本にサインを貰うのだと言う。「一生に一度のチャンスかもしれないから」
パッカーズからカットされたFSダレン・シャーパーは、解雇から48時間も経たないうちにヴァイキングスと契約、パッカーズファンが恐れていた通りの事態になった。詳細は不明だが、4年契約とのこと。トンプソンGMは、「噂は聞いてはいた。あちらにとっては理にかなった、いい補強だと思う。後になって悔やむつもりはないが、我々は非常に良い選手を手放さなければならなかった」
第1回"Packers Fan Fest"がランボーフィールドのアトリウムで開催され、幸運にも(発売わずか2時間半で完売した)チケットを手に入れたファンが集まった。金曜夜の開会セレモニーは、ラジオ解説でおなじみのラリー・マッカレン(元センター)が司会を務め、パッカーズ関係者やOBが多数参加し、大きな盛り上がりを見せた。本当は土曜日に登場するはずだったファーヴも姿を見せ、ファンには最高のプレゼントとなった。
開会セレモニーの様子はこちら。(56k | 300k) (写真)
最初にスピーチを行ったのはボブ・ハーラン社長。「ブレットやアーマン・グリーンやジャヴォン・ウォーカーの稼ぐスタッツは我々にとって素晴らしいものだが、今年最も私が驚いたスタッツは、このイベントのチケットを発売した時、みなさんから1分平均23000件もの電話がかかってきたことだ」
テッド・トンプソン新GMのスピーチに続いて、ジム・ベイツ新DCなど新任コーチを中心とした、アシスタントコーチ陣の紹介。続いて、元選手を代表して、ドン・マコウスキー(今年パッカーズの殿堂入りを果たしたQB)、ジェリー・クレイマー(60年代の名ガード)、リン・ディッキー(80年代前半の名QB)の3人が壇上で紹介された。元GMロン・ウルフが、「パッカーズに栄光を取り戻したアーキテクト」と紹介され、壇上に上がってスピーチ。殿堂入りQBで元HCでもあるバート・スターが壇上に上がると、ひときわ大きな歓声が上がった。
そして司会のマッカレンが"サプライズ・ゲスト"としてブレット・ファーヴを紹介すると、場内のボルテージは最高潮に。もちろん昨日の現役続行のニュースを知っているためだ。スタンディング・オベーションの中、ファーヴは司会のマッカレンに「もう引退するって言ったらどうなるかな?」と囁いて笑ったらしい。ファーヴだけは単独のスピーチではなく、マッカレンがインタビューする形をとった。(記事へ)
この日のイベントの中で、司会のマッカレンがQBブレット・ファーヴにインタビューを行った。プレーオフに敗れた直後の記者会見以来、彼がこうして話すのは2ヶ月ぶりのことだ。このイベントのあと、ファーヴは記者会見は行わなかった。
"Yes, I am." (大きな歓声が上がる)
「いや、そんなことはない。ここまで2ヶ月半かかったけど、もうプレーしない、と口にしたことはない。僕と家族が取り組まなきゃならないことがあり、僕としてはフットボールから離れて、考える必要があった。フットボールをプレーするのが大好きだし、まだ高いレベルでプレーできると自分では感じている。しかし対処しなきゃならなかったのは、僕自身のことじゃない。その妻が、『さあ、戻ってプレーしなさい』と言ってくれたので、決断は容易になったよ」
「とてもいいよ。先週、放射線治療も終えたところだ。(再び大歓声) エネルギーを取り戻してきてる。治療を終えてから彼女が言っているのは、『戻って、純粋にフットボールが楽しめるようなシーズンにできたらいいね』ということだ。僕もそう思う」
「まず第一に、それもフットボールの一部だ。親しい友人だから、彼らがいなくなるのは寂しい。すごい選手であり、常に頼りになる。僕にとってだけでなく、チームにとっても大きな存在だった。この世界の残念なところは、仲間を失うことに耐えていかなきゃならないことだ。受け入れるほかない、これが現実だ」
「しかしこの数年、ウチはオフェンスのスターターを変える必要がなく、ある意味で恵まれすぎていたとも言える。どのチームも毎日のように選手を失っているからね。これからは、彼らの穴を埋める道を見つけなきゃいけない。優れた選手だっただけに、容易なことではないだろう。しかし、テッド(トンプソンGM)やマイク(シャーマンHC)が、いい仕事をして選手を見つけてくれると思う。彼らの代わりなど、なかなか見つかるものではないけど、チームは向上する道を見つけなければならない。手持ちの戦力でやっていくしかないんだ」
「昨年、"Super Bowl or bust"とコメントしたことを、後悔はしていない。一昨年はあと1プレーでNFC決勝に進めるところだったのだし、スーパーボウルに行ける、そうでなければ受け入れられない、と感じたんだ。このチームはとても能力が高いからね」
「去年は、後退してしまうことが何度かあった。その度に盛り返し、そのことはこのチームの人格的なもの、それに能力の高さを示していた。いろんな理由で勝てなかった試合がいくつかあり、それが大きな差となった。今年も中核となる選手は残っているし、可能性は無限だと今でも感じている。僕はシーズンの予想などしたくはない。これまでもそうだった。しかし、僕らはスーパーボウルへ行くつもりでいるべきだし、それ以下を期待すべきじゃない。僕たちはそのようにだけ考えている (再び大歓声)」
「15年とは長いよね。こんなに長くなるなんて信じられない。たいていの時は、自分はまだ若いと感じているけど、あまり若く感じられない時もある。人生の中で短い間しかできないことをしているのだ、楽しまなきゃ損だ、それはよくわかっている。気が付いた時には、過ぎ去ってしまっているものだからね」
「だから、僕はスーパーボウルをもう一度勝てたらいいとは思うけど、ランボーフィールドでタッチダウンパスを投げるだけでも、このようにファンやコミュニティと一緒になれるだけでも、素晴らしいと思うんだ。僕は、自分の今の能力、環境、それが何を意味するかを分かっている人間だと思う。それが分からずに、良い時が過ぎ去ってしまってから、『神様、もう少しあの瞬間を続けさせてください』という人もいる。僕は実際それをしているのだから、できる限り長く、続けていたい」
ファーヴが現役を続行するいっぽう、その親友QBダグ・ピダーソンは、引退の公算が大きくなった。 「故郷ルイジアナの高校から、ヘッドコーチ職のオファーを貰っているんだ。今の僕にとっては、無視できないチャンスだ」と彼は語る。声がかかればもう1年NFLで、と判断を保留しているようだが、再契約のオファーが来る兆候はない。「チームが別の方向に向かおうとしているのは自分にもわかる。僕は引退後の人生に備えようとしているところだ」
水曜夜にQBブレット・ファーヴと2時間の話し合いを行ったシャーマンHCは、ファーヴから「少なくともあと1年、自分の健康しだいでもっとプレーを続けるつもりだ」と報告があった、と明らかにした。「やはり奥さんのディアナの病状が一番の問題だったが、彼女は順調に回復している。彼女も、ブレットがプレーすることを望んでいる。彼自身、プレーすることを楽しみにしているし、できればフィールド外で問題が起きず、楽しんでやっていけたら、とブレットは言っていた」
昨年暮れに元DEレジー・ホワイトが亡くなったことも、ファーヴにはいまだに尾を引いているようだ、とシャーマンHCは語っている。「シーズン終了後、ブレットはいくつかのことをじっくり考える必要があった。どんな男でも、妻ががんと闘うことになれば、自分の将来について考えないわけにはいかないだろう。そんな状況で、彼はパートタイムの夫、パートタイムのフットボール選手になりたくはなかったのだ。最終的には奥さんしだいだった。彼女の体調がすぐれない、ということなら、話はぜんぜん違っていただろう。しかし幸いそういうことはなく、彼女は彼のプレーを望んでいる」
テッド・トンプソンGMは、FSダレン・シャーパーの解雇を発表した。ロースターボーナスがこの12日に発生し、今季は$6ミリオンものサラリーとなるため、このところ減俸交渉が続いていたが、けっきょく妥協点を見出すことはできなかったようだ。トンプソン新GMの側は、無理をして契約延長するほどの価値を認めず、逆にFSシャーパーの側も、減俸を飲んで残留するよりFA市場に打って出れば高額契約が望める、と判断したものと思われる。
今年のFSシャーパーのキャップ額は合計$8.633ミリオン。契約ボーナスの未消化分$5.26ミリオン(今年と来年に分けてヒットするはずだった)全額が今年のキャップにヒットして"dead money"となるため、差し引き$3.4ミリオンほど今年のキャップに空きができたことになる。ただし、来年には全く"dead money"は残らない。
昨年、パッカーズの"Team Historian"に任命されたリー・レメルは(昨年2月の記事参照)、Press-Gazette紙の記者、そしてチーム広報担当のキャリアを通算すると、パッカーズとの付き合いは60年。1996年にはパッカーズの殿堂入りも果たしている。チーム史のまさに生き字引、80歳にして現役を続けるレメルのキャリアを振り返る。
1924年、グリーンベイの西北に位置する人口3000人のシャワノ市で、リー・レメルは生まれた。父親は熱心なパッカーズファンだったが、レメル本人は「私はどちらかというと野球のシカゴ・カブスが好きで、皿洗いの時はそちらのラジオを聴いていたな」と言う。10歳の時、彼はてんかんのような発作に見舞われ、やがて脳腫瘍と診断される。15歳の時に大きな手術を2回受け、さいわい手術は成功したが、この病気のために2年遅れての高校入学となった。
「高校に入ってすぐにわかったのは、アスリートたちにはカノジョができる、ということだった。そこで、スポーツができないなら、スポーツ記者になるのがいい、と私は思ったんだ」とレメルは笑う。高校1年ながら地元紙 Shawano County Journal に記事を書かせてくれと頼み、記事1本につき75セントで、自分の高校のスポーツの記事を書くようになった。コラムはさらに50セント。まだタイプライティングを覚えていなかったので、記事は手書きだった。毎週$1.25ドルを稼ぐ小さなスポーツ・ジャーナリストが誕生した。
高校2年になると、Green Bay Press-Gazette紙のシャワノ郡の通信員をアシストして、高校スポーツを担当するようになった。その通信員が本社に戻ると彼はシャワノ郡通信員の仕事を引き継ぎ、スポーツだけでなく市議会や裁判など一般のニュースも扱うようになった。「16歳の少年にとっては大変なチャンスだったね。高校3年の時には、有名な殺人事件も担当できた。私はこうして仕事を学んだ。定収があったのも嬉しかった」
1944年に高校を出ると、彼は大学への奨学金を断り、Press-Gazette紙でフルタイムで働くようになった。「私が新米記者だった時、隣の机にいたのが、あのジョージ・カルフーンだった。そう、1919年にパッカーズ設立を呼びかけた、あのカルフーンだ(チーム史参照)。当時assistant telegraph editorだった彼が私に、パッカーズのプレスブックを書かないか、と聞いてきたんだ。『報酬は何です?』と聞くと、『10ドルとシーズンチケット2枚だ』と彼が言う。 『いいでしょう』と私は答え、それ以来ずっとパッカーズについて書き続けている」
こうしてスポーツ記者としてのキャリアを始めたレメルは、1967年には "Wisconsin Sportswriter of the Year"も受賞した。記者人生の中で彼がインタビューした人物を列挙すると、ジェシー・オーウェンス(陸上100m金メダリスト)、ジョー・ルイス(ボクシング)、ドン・ハトソン(チーム史参照)、ウォーレン・スパーン(363勝投手)、ハンク・アーロン(ホームラン王)、ペギー・フレミング(フィギュアスケートの女王)、レオ・ドローチャー(ドジャースの名監督)、ジョージ・ハラス(ベアーズ創立者・ヘッドコーチ)、ピート・ロゼール(NFLコミッショナー)、ドン・シュラ(ドルフィンズの名HC)、そしてヴィンス・ロンバルディ。
初代のカーリー・ランボー以来、リー・レメルは全てのヘッドコーチとつきあってきた。やはり印象深いのはヴィンス・ロンバルディだ。1965年のトレーニング・キャンプのある日、彼は公衆の面前で八つ当たりの標的にされたことがあるという。「いつも通りの練習を見ていると、2ミニッツドリルで、控えQBブラコウスキーが2つ連続でインターセプトを投げた。するとロンバルディは、500人が見ている前で、『くだらないことを書かずに独自の記事を書かんか!』と私に怒鳴りつけたんだ」
憤慨したレメルは練習後に、タオルを巻いてロッカールームから出てきたロンバルディに向かって抗議した。「翌日ダラス遠征に向かう飛行機に、私は乗せてもらえないかと思ったが何事もなかった。さらに翌日の試合前のロッカールームで、ロンバルディは私のところに来て、『君の記事がオリジナルじゃないと言ったのは申し訳なかった。君は私が知る限り最高の記者だ』と静かに言ってくれた。それがあの事件の真相だよ」
レメルが最も誇りにしていることの1つが、スーパーボウル全試合をその目で見てきたことだ。ジャーナリスト、カメラマン、NFL関係者の中で、1967年以来全てに参加したのはわずか12人。80歳のレメルは、今年もジャクソンヴィルで39回目のスーパーボウルを取材した。「スーパーボウルで仕事をしていて楽しいのは、他のメディアの連中と交流ができることだね。第1回のスーパーボウルでは、メディア関係者は338人、スタンドには30,000人分の空席があった。今では、3,410人のメディア関係者が世界中から集まってくる。このようなプロスポーツ最大のイベントに成長しようとは、最初の時には想像もできなかった」
フットボール史の生き証人であるレメルは、現役のパッカーズ選手たちからも非常に慕われている。「パッカーズとその歴史に関する彼の知識は、まったく信じられないほどだね。僕は長きにわたって、素晴らしい話をたくさん聞かせてもらったけど、まだまだ新しい話が出てくるんだから。ドン・ハトソン、バート・スター、レイ・ニチキ。それに、彼が知ってるQBたちの話を聞くのも面白いね」とQBブレット・ファーヴは言う。
「リーとのつきあいはじめの頃、彼は僕のことを、(ミドルネーム付きで)ブレット・ロレンゾ・ファーヴと呼んだんだ。面白かったから、こっちも、『リーランド・J・レメル』とお返しをした。彼とふざけあうのは本当に楽しい。亡きレジー・ホワイトも同じように楽しんでいた。選手みんながそうさ。彼がロッカールームや遠征の飛行機に一緒にいて、選手たちと楽しんでいるのを見るのは素晴らしいよ」
チームの広報担当としては第一線を退いたレメルだが、パッカーズ公式サイトへのコラム寄稿、さまざまな慈善活動、そして愛妻との旅行など、なかなか忙しい毎日を送っている。本も執筆する予定だ。「私は何事も変えてはいない。グリーンベイ・パッカーズの一員となれてとても幸運だったし、感謝している。この歳になれば多少はスローダウンすべきかもしれないが、私はチームをとても大事に思っているし、仕事を楽しんでいる。キャリアを通じて、私はずっと幸運だった・・・。ウィスコンシン州シャワノ出身のガキにしては、悪くないよ」
FA戦線で楽しみの少ないパッカーズファンにとって、今後の楽しみはやはりドラフト。Mock Draft(仮想ドラフト)は数え切れないほどあるので、大手メディアだけを紹介する。すでに何回もバージョンアップを重ねたMock Draftもあるし、チームごとの補強の進み具合も考慮に入れつつ、これからまだまだ変更が加えられていくはず。
馴染みのない方に説明しておくと、ドラフトについての各球団の思惑や、GMが誰に惚れ込んでいるかなどはトップシークレットであり、FA戦線と比べて漏れてくる情報は極端に少ない。「専門家」の指名予想といったところで、実際の情報を掴んで予想しているわけではなく、「このチームはこのポジションをほしがっているだろう」といった当て推量と、大学選手の独自のランク付けを元に組み立てているに過ぎない。外れるのが当たり前なので、あくまで話半分に楽しむこと。下位指名になるほど不確定要素が大きくなるのでなおさらだ。
Mock Draft | ||||
---|---|---|---|---|
メディア / 担当者 | round | Player | Pos. | College |
ESPN / Scouts,Inc. | 1巡 | Channing Crowder | ILB | Florida |
ESPN / Mel Kiper | 1巡 | Thomas Davis | S/OLB | Georgia |
SportingNews / The War Room | 1巡 | Channing Crowder | ILB | Florida |
SportingNews / The War Room | 2巡a | Justin Tuck | DE | Notre Dame |
SportingNews / The War Room | 2巡b | Andrew Walter |
QB | Arizona State |
Sports Illustrated / Don Banks | 1巡 | Carlos Rogers | CB | Auburn |
MSNBC / draftinsiders.com | 1巡 | Kevin Burnett | OLB | Tennessee |
Fox Sports / Pete Fiutak | 1巡 | Carlos Rogers | CB | Auburn |
パッカーズはS/CBマイケル・ホーソーンを解雇。もうじき$135,000ドルのロースターボーナスが発生するためのようだ。今年のキャップ額は$797,500ドルで、たいしてサラリーの節約にはならないが、「戦力外」の意味合いの方が強そう。すでにSバウ・ジューがチャージャーズに移籍し、FSシャーパー解雇も噂され、さらにSSローマンは昨季の不振でメディアからはスターター失格と見られている。セーフティがディフェンスの最重要補強ポイントとなったのは明らかだ。
2003年シーズンの序盤にパッカーズ入りしたホーソーンは、身長190cmの大型CBで昨季序盤はスターターも務めたが、あまりにもスピードがなかった。「彼のような(成長の見込みのない)選手を使うなら、ルーキーCBたちを使うべき」と地元メディアからもさんざんに批判されていた。シーズン半ばでCBキャロルに譲ってセーフティ転向となったが、「DEジョー・ジョンソンのようなFA戦略の失敗はどのチームにもあるが、ホーソーンのようなCBを先発させ続けたのは、言い訳しようのない、シャーマンHCの最悪の人事だった」と、あるベテラン記者は今でも酷評している。
いっぽう、3月12日にロースターボーナスが発生することになっているFSダレン・シャーパーについて、「サラリーカットの合意に至らず解雇」という見方が日増しに強くなっている。
フリーエージェントとなっていた控え左タックルのブラッド・ベデルと再契約。代理人によると、ベテラン最低額の$540,000ドルの1年契約とのこと。もちろん来季開幕までに解雇される可能性も十分ある。昨季はデプスチャート上は彼が2番手LTだったが、実際はLGウォールが2番手であり、ベデルは3番手。試合当日の45人ロースターに登録されたのはわずか6試合しかなかった。
RGマルコ・リヴェラはカウボーイズ、LGマイク・ウォールはパンサーズとの契約が決まった。どちらもかなりの高額契約で、パッカーズが希望していた額とはかけ離れているのは間違いない。パッカーズのトンプソンGMは、両選手の幸運を祈ると語り、「少し驚いたね。しかしどちらも、彼らにふさわしい契約だ。非常に才能あるプレーヤーなのだから。同じ日に2人の先発OLを失うのはつらい。能力の高い選手たちがチームを去るのは見たくないものだ」
ベクトルOLコーチ。「彼らの健闘を祈るよ。私は6シーズンも彼らと一緒にやれて幸運だった。フリーエージェントになれば、こういったことは常にありうるものだ。どれだけの市場価格が付くかはわからないものだが、今回は2人とも相当な額だと思う。彼らと、家族のために喜んでいるよ。死ぬまで家族の面倒を見られるだけの経済的な保証を手に入れたんだからね」
RGリヴェラは今回の入団記者会見で、何度もカウボーイズをパッカーズと言い間違えたらしい。
現在32歳のRGマルコ・リヴェラは、ペン州立大から1996年のドラフト6巡でパッカーズ入り。ワールドリーグのスコティッシュ・クレイモアズ派遣を経て、3年目の1998年シーズンから先発に定着。猛烈なタフガイで、2002年には両ヒザの内側側副靭帯(MCL)を部分断裂しながら、全試合出場を果たした。ここ3年連続でプロボウルに出場し、リーダーシップ面でも存在感は大きい。カウボーイズとは、契約ボーナス$9ミリオンを含む総額$21ミリオンの5年契約、と報道されている。
もうじき28歳となるLGマイク・ウォールは、1999年のSupplemental Draftの2巡指名でパッカーズ入り。ステロイド違反のため海軍士官学校で出場資格を失い、1年早いNFL入りだった。2000年には先発左タックルとして期待されたが失敗し、翌年から左ガードでスターターに。大学入学時にはWRやTEだったためOLとしては遅咲きだったが、クイックネスを活かして年々成長を続け、トップクラスのガードと認められるまでになった。パンサーズとは、契約ボーナス12ミリオンを含む総額$25ミリオンの5年契約と言われている。
左右のガードを新たに探すことになったパッカーズだが、ベクトルOLコーチは、Cマイク・フラナガンをガードに回す可能性について、「彼にはガードもこなす能力がある。しかしヒザの大ケガからの回復途上でもあるしね。私に関しては、フラナガンがウチの先発センターだ」と語った。
イーグルスからFAになっているOGジャーメイン・メイベリー(31歳)も、今年のFA市場では有力なガードだ。代理人によると、今のところ、ライオンズ、バッカニアーズ、セインツ、パッカーズが興味を示しているとのこと。しかしパッカーズにはたぶん無理。
Sバウ・ジューはチャージャーズと3年契約し、先発FSの座を争う。ジューはペン州立大出身の25歳。2001年のドラフト3巡でCBとしてパッカーズ入りし、ルーキー年はケガのリロイ・バトラーに代わって急造セーフティとして7試合に先発。2年目は再びCBに戻ったがケガでほとんど出場できず。2003年は3番手CB/ニッケルバックとしてプレーしたが、彼の大きなミスでチームはいくつも星を落とした。2004年から改めてセーフティに転向し、ケガのFSシャーパーに代わって4試合に先発。まずまずの出来だった。
パッカーズのトンプソンGMは、LGマイク・ウォールに加えてCグレイ・ルーガマーの解雇を発表した。今年超高額サラリーとなる契約だったウォールの解雇はもともと織り込み済みだったが、ルーガマーの解雇はやや意外な動きだ。ウォールの離脱(再契約が全くないわけではないが)により、2001年以来まったく変わらない5人で4年間続いてきたOL陣が、4年ぶりに一部交代することになる。
パッカーズとLGウォールは新たな契約を結ぶためにこの数週間話し合いを続けてきたが、けっきょく合意点に達することはできなかった。「我々は何週間も費やして精力的に話し合いをしてきた。今後も続けていくつもりだ。彼の状況に関係なく、パッカーズとの話し合いはする」と代理人。ウォール本人は、「僕はキャリアで初めて失業したわけだ。今後どうなるかは全くわからない。明日になればわかるだろうけどね。興味を持ってくれてるチームがいくつかあると思う。パッカーズとの再契約がうまく行けばいいとは思っているけど、ビジネスとして見なければならないし、感情面は排除していかないと」と語っている。
2003年の春に移籍してきたCグレイ・ルーガマーは、昨季はケガのCフラナガンに代わって11試合に先発出場し、無難に穴を埋めた。しかし、先発出場が増えてインセンティブの条件を満たしたため来季のサラリーが$20万ドルほど増えてしまい、キャップ対策のために解雇される皮肉な結果となった。「こうした契約にしたおかげで、昨年アル・ハリスとの契約延長ができた。しかし同時に、僕自身には逆効果となった。残念だけど、これがサラリーキャップの現実だ」と本人。
グリーンベイでの生活を気に入っていた彼は、退団をとても残念がっている。彼に対しチーム側は「ベテラン最低額なら1年契約を結んでもよい」と連絡してきたが、本人はそこまでのディスカウントは当面考えていないようだ。「自分のキャリアにとって最善の決断をしなきゃならない。僕はグリーンベイがすごく好きだった。うまくいけばいいと思っていたんだけどね」
ルーガマーを解雇することによって、パッカーズは約$1.4ミリオンほどサラリーキャップに余裕を作ることができた。彼を手放せたのは、昨季ルーキーのCウェルズが2試合に先発してルーガマーと遜色ない働きを見せたことが大きい。また先発両ガードが抜けるかもしれない状況で彼を解雇したのは、ほぼセンター専門である彼に先発ガードを争う力はない、と判断したためだろう。
パッカーズはRGマルコ・リヴェラに対しても火曜日いっぱいを使って契約延長交渉を続けたが、合意に至ることはできなかった。FA市場に値段を決めてもらえばよい、と腹をくくったようだ。
パッカーズは、RFAとなる6人全員に最低額のオファーをしたことが明らかになった。問題になりそうなのは、昨日お伝えしたRBダヴェンポートに加えて先発DEアーロン・キャンプマンにも最低額オファーしかしなかったこと。5巡指名で入団した彼がもし他チームからのオファーにサインした場合、パッカーズがマッチせずに移籍を許したら、5巡指名権しか補償を受け取ることができない。
その他に今回オファーされたRFA選手は、RBナジェ・ダヴェンポート(4巡指名)、QBクレイグ・ノール(5巡指名)、QB J.T.オサリバン(6巡指名)、OTケヴィン・バリー(ドラフト外)、LBパリス・レノン(ドラフト外)。若手QBを探すチームが、安価なQBオサリバンを狙いに来る可能性もある。
また、パッカーズはWR/KRチャットマンおよびDEトゥルーラックと1年契約を結んだことも発表した。
3月2日となり、NFLの新年度に突入するとともに、FA解禁・トレード解禁となった。多くのチームが、サラリー総額を$85.5ミリオンに収めるため、3月1日のうちに選手を解雇している(犠牲者リスト)。 また、上記のようにオファーされたRFA選手全員、またトランジション指名されたTEババ・フランクスのサラリーも、すでに新年度のサラリーキャップにカウントされている。
ここから来季開幕までは、上位51人のサラリーのみがキャップにカウントされる。だいたいどのチームも、51番目の選手のサラリーは、プロ2年目最低保障額の$305,000ドルあたり。ということは、1ミリオンの選手を新たに獲得する場合、まるまる1ミリオンではなく、51番目の選手との差額の70万ドルほどだけ、キャップを食うことになるので注意。
パッカーズのキャップ状況は下記のサイトがオススメ。ファンの有志によるサイトなので、100%正確ではないかもしれないが、メディアの報道する数字は実際もっと不正確であるのが普通だ。
"Unofficial Green Bay Packers Salary Cap"
もうじき制限つきフリーエージェント(RFA/用語集参照)となるRBナジェ・ダヴェンポートに対し、パッカーズ側は3段階のうち一番下のオファーをしたことが明らかになった。$656,000ドルの1年契約で、他チームへの移籍を許す場合、パッカーズは(ドラフト指名の時と同じ巡の)4巡指名権しか補償を受け取ることができない。1ランク上の$1.43ミリオンのオファーをしておけば、移籍時には1巡指名権を受け取ることができるが、そこまでの価値を認めなかったことになる。
全く同じケースが一昨年のパッカーズに起こっている。元4巡指名のLBディッグスに対し、パッカーズは同じく最低額のオファー。ライオンズからの4年$10ミリオンのオファーにディッグスはサインしたが、パッカーズがマッチ(同額をオファー)して、なんとか移籍を阻止した。いずれ長期契約を結ぶつもりだったにせよ、最初にケチるとかえって高くつくこともあるのがRFAの現実だ。
4巡指名権を譲ってでもダヴェンポートがほしい、と高く評価するチームが現れた場合、パッカーズには同額オファーで引き留めるだけの余裕があるのか。トンプソン新GMが彼をどのように評価しているかによるだろう。キャリア平均5.1ydsラッシング、キックオフ平均25.6ydsは素晴らしいが、ケガが多く、ファンブルも多い。彼を手放しても構わない、ともし判断したのなら、今春のドラフトでRBを指名するのはほぼ確実となる。
QBクレイグ・ノール(元5巡指名)とOTケヴィン・バリー(元ドラフト外入団)に対しても、パッカーズは最低額のオファーを通達したようだ。バリーはドラフト外だけに扱いが難しく、横取りしたいチームはドラフト指名権を譲渡する必要がない。才能はスターター級でも、体重問題もあり、高額オファーをするチームはないだろう(安いオファーなら十分マッチできる)、とパッカーズ側は判断したのかもしれない。
注目されるもう1人のRFA、DEアーロン・キャンプマンだが、こちらはまだ判明していない。昨年までのディフェンスのスキームなら$1.43ミリオンのオファーで引き止めるのが順当かもしれないが、今年はジム・ベイツDCに交代したのが一つの要素になるかもしれない。DEテイラーとDEオグンリエを左右に並べたドルフィンズ時代のように、パスラッシュ力を重視する場合は、無理して引き留めなくてもよい、という判断にいたる可能性もある。