グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2004年2月19日

コンバインでのメディカルスタッフの仕事

今週から来週にかけて行われるスカウティング・コンバイン。メディアの話題になるのは、40yds走のタイムや225ポンドを何回挙げたかといった数字かもしれない。しかしここで本当に重要なのは、各チームのドクターによる身体検査を受けることなのだ。跳んだり走ったりは、大学の"Pro day"など、後回しにする選手も多いが、身体検査をここで受けない選手はほとんどいない。

パッカーズの医療スタッフにとっては極めて多忙な一週間だ。ヘッド・トレーナーのペッパー・バラスは語る。「コンバインでは、コストは問題じゃない。必要な検査であれば、必ず行われる。経費は無制限だ。我々が心配するのは、出来る限り素早く仕事をして、300人以上の選手たちを数日のうちにチェックすること。素早く、しかし何ひとつ見逃さぬよう注意深く」

選手ごとに、それぞれ2日間かけてメディカル・チェックが行われていく。最初はケガの履歴を口頭で本人から聞く。そしてカレッジ・スカウト部門の集めた情報も照らし合わせる。それらに基づき、X線検査やMRI検査が頻繁にオーダーされる。それから、Cybexマシンに乗せて脚をチェックする。この機械は脚の筋肉の強さやバランスをコンピューターで分析するものだ。

2日目は、ドラッグ・アルコール・ステロイド検査から始まる。そこから先は選手たちは短パンだけになり、何百人ものスカウトの前を小走りに過ぎていく。身長、体重、腕の長さ、手の大きさ。視力検査や内科検診も行われる。そして、整形外科の検査。別々の整形外科医が、同時に、体の別の部分を検査していくのだ。

「これは見た人でないと信じられないだろう。5チームか6チームのドクターが、同時に一人の選手を診るんだ。体のあちこちを一度に引っ張られる選手の側は、きっと愉快じゃないだろうね。でもこれは大事なことなんだ」とバラス。

パッカーズの場合、パトリック・マッケンジー率いる3人のドクターがここで検査を行う。このようにして得られた所見に基づき、ドクターたちは各選手のリスクの程度を大雑把に査定していく。最終的なリスク算定はもっと先、グリーンベイに戻ってさまざまな情報を総合して決定する。他チームと情報をやりとりすることもあるが、たいていはこちらの評価を再確認する結果になる。

このような手続きでも足りないことが時々あり、毎年およそ40人の選手が、4月初めに再びインディアナポリスに呼ばれて再検査を受ける。「自分たちの下した評価に自信が持てるようになるのは、ドラフト直前まで仕事を続けて煮詰めていってからだね。でも全体の90%は、最初にコンバインで下した評価で十分正しいものだ。半ポイントぐらい、評価を上げ下げすることがあるとしても、健康体だと思った選手が全然ダメだった、などということは極めて稀だ」とバラスは語る。

健康面の評価がドラフト順位を決めるわけではもちろんない。タレントの評価はスカウトやコーチたちが決めることで、医療スタッフがするのは健康面でのリスク評価を提供することだ。バラスは、ドラフト指名を車を買うことに例えて言う。「買い手の側は、コストや、どれだけ手間がかかるかを考えて決断する。もしリスクのある車を買う気になれば、非常に安く手に入れることはできるだろう。しかし、リスクが大きく、しかも値段も高い車なら、当然見送ることだろう。しかし結局は買い手(チーム首脳)が決めることだ。我々はリスク算定が仕事であって、リスク・マネジメントは仕事ではない」

ケガがドラフト指名に影響を与えたといえば、一昨年のドラフト4巡指名、RBダヴェンポートの好例がある。足のケガさえなければ、彼は2巡指名に値するとパッカーズは評価していたが、ケガのリスクを考慮して3巡評価に下げた。本番では、4巡になっても残っていたために当然指名。リスクがあっても4巡なら十分それに見合うと考えたわけだ。バラスは振り返る。「ドラフトの時点では、彼の指名は冒険だった。まだケガが治ってなかったからね。しかし人事部門は、彼なら間違いのない投資だと考えた。我々がリスク評価を提供し、彼らはそのリスクを受け入れた。非常にいい結果が出た」

カテゴリ : Coach/Front Office, NFL