グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2003年5月22日

ダン・デヴァイン : 撃たれた犬の物語

30年にもわたって、グリーンベイの人々が悩まされてきた「伝説」がある。1970年代前半にパッカーズを率いたダン・デヴァインHCの頃のことだ。デヴァインについては、昨年5月の死亡記事を参照。

アリゾナ州立大とミズーリ大で素晴らしい成績を残し、'71年にグリーンベイにやってきたデヴァインHCだったが、'60年代の黄金期を支えた選手たちは衰えたり引退したりで、成績は振るわなかった。そのころに、「不甲斐ないコーチに腹を立てたファンが、デヴァインの飼っていた犬を射殺した」 という伝説が生まれた。さまざまなバージョンがあり、「犬を熊手で突き刺した」 というものまである。

詳細に調べたMichael Bie氏によると、この伝説の発端となったのはTime誌によるデヴァインHCのインタビュー記事らしい。'72年に地区優勝を果たしたのもつかのま、デヴァインはチーム内のコントロールを失い、選手たちはデヴァイン支持派と反対派にわかれ、コーチたちまで互いに反目し始める始末。ロンバルディ時代の栄光を忘れられないファンたちは、容赦なくコーチへの非難を浴びせた。

''74年シーズン中、グリーンベイを去ってカレッジフットボールに戻る決意を固めていたデヴァインは、Time誌のインタビューで、自分がいかにグリーンベイでひどい扱いを受けているかをぶちまけ、その勢いで「犬が撃たれた」ことを話してしまう。そして権威あるTime誌に、「ある朝、鋭い銃声でデヴァインが目を覚ますと、家の外で彼の犬が撃たれていた」 という記事が載ってしまったのだ。

亡くなる数年前にデヴァイン自身が自伝で語っているように、犬が撃たれたのは、フットボールとは全く関係がなかった。放し飼いにしていたその犬は悪さばかりしていて、その日も、近所の農場に入り込んで鶏を追いかけていたところを、農場主が追っ払おうとして、弾が当たってしまったのだ。「それが偶発的な事故だということは、私にもすぐわかった。それでも、犬を抱いて連れてきた彼は、『殺すつもりじゃなかった』 と泣きながら繰り返し、それが真実だと私にはわかった」 とデヴァインは述懐している。

ただ問題は、この間違った噂を、つい最近までデヴァインが打ち消そうとしなかったことだ、とMichael Bie氏は主張する。そのために、昨年の死亡記事の時でさえも、AP電を中心として、その話が真実であるかのように蒸し返された。グリーンベイの連中はあんなひどいことをする奴らだと、ライバルチームのファンから、三十年間浴びせられてきたいわれなき非難。そのことを残念がるBie氏は、今回の話題を、地元グリーンベイの新聞ではなく、シカゴ・トリビューン紙に寄稿している。

カテゴリ : History