グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2002年1月29日

ルーキー総括 前編

ロン・ウルフ元GMの最後のドラフトとなった2001年のルーキーたちは最初のシーズンをどのように過ごしたか。例によって、JS OnlineやGreen Bay Press-Gazetteなどの記事を元に、管理人が(多少の主観を加えて)まとめていきます。今日は前編。

総論

2001年ドラフトの前、シャーマンHCは「このドラフトで出来れば2人、"インパクト・プレイヤー"を獲得できれば、我々は優勝を狙える」と語っていた。昨年のパッカーズはサラリーキャップが厳しく、大物FAを追いかける余裕などなかったからだ。しかし結局、インパクト・プレイヤーはルーキーの中からは現れず、今年のドラフトでも「1巡でWRを指名すべき」との声が上がるほど。

即戦力という面だけ見れば、豊作だった2000年組と比べて、2001年のドラフトは失敗だったという他ない。しかし2巡のWRファーガソン、3巡のCBバウ・ジューやLBトランス・マーシャル、6巡のTEマーティンなどは、「大学での経験は少ないためにまだ完成度は低いが、潜在能力は相当高い」と見込んで指名したのだ。来季以降の成長に期待しよう。

DEジャマール・レイノルズ

ドラフト1巡(10位)。本来なら17位指名だったのだが、2番手QBハッセルベックをシアトルにトレードして指名順位を上げたのだ。それほどまでして獲得した念願のパスラッシャーだったが、今のところ"ハズレだった"と言われても仕方がない。

ドラフト前から懸念されていた通り、軽量とパワー不足に苦しみ、手の使い方の上手いプロのOT相手では、自慢のスピードだけでは振り切れない。キャンプではLTクリフトンにいいようにあしらわれ、しかもキャンプ中盤でヒザを痛めてしまい、首脳陣にアピールすることができないまま開幕を迎えた。

チームにとっては福音だったが、レイノルズ本人にとっては不運だったのが、2年目DEバジャ=ビアミラの大ブレーク。バジャ=ビアミラは開幕から異常なペースでサックを積み重ねて一躍話題の人となり、一方レイノルズはヒザのケガが癒えても出る幕はなかった。「ラン守備には難がある3rdダウン専門のパスラッシュスペシャリスト」という点でバジャ=ビアミラとはカブってしまうからだ。なんと第11週まで、試合当日の45人ロースターに登録されることが一度もなかった。

ようやく出場の機会が与えられたのは12週の@ジャクソンヴィル。逆転を狙うQBブルネルの最後の望みを断ち切るサック&ファンブルフォースでようやく少し存在感をアピールすることが出来た。先発DEシエリーの戦線離脱もあって、翌週からは全試合に出場できたが、シーズンを終えての記録は2サック、4タックル。またプレイオフの2試合でも出場はしたものの、サックもタックルも記録することはできなかった。

シャーマンHCの評価は1月26日の記事を参照。来季はベテランDEジョン・シエリーを放出して、レイノルズかバジャ=ビアミラが先発に昇格する可能も高い。そのためにはもっとバルクアップしてパワーをつけること。スピード一辺倒でなく、さまざまなテクニックを身につけること。バジャ=ビアミラだって1年であれほど成長したのだ。レイノルズへの期待はもっと大きい。

WRロバート・ファーガソン

ドラフト2巡(全体41位)。こちらはレイノルズよりさらに貢献度が低く、第12週の@ジャクソンヴィルで何度かパントリターンしただけでルーキーシーズンを終えた。彼をドラフト2巡で指名するとき、地元ウィスコンシン大のスターWRクリス・チェンバースを指名することもできたのだが、サイズなど潜在能力の高さを買って、経験の乏しいファーガソンをパッカーズは指名。そしてドルフィンズに入ったチェンバースは883ydsを記録してチームの主力選手となり、ファーガソンはパスキャッチなし、と明暗が分かれた。地元ファンが怒るのも無理はない。

ファーガソンはジュニアカレッジ出身で、しかも3年生からNFL入りしたため、一部校のテキサスA&Mでの経験はわずか1年しかない。経験不足のため、プロのシステムに習熟するのに時間がかかることは予想されていた。いくつもの小さなケガに悩まされた時期もある。ただ、それにしても時間がかかりすぎた。トレーニングキャンプ中盤にはQBファーヴがファーガソンの勉強態度を公に批判するなど、周囲の信頼を勝ち取ることが出来なかった。シーズンに入ってからも、チームは順調に勝ち星を重ねて地区優勝を争っている。一つのルート取りのミスがインターセプトにつながってしまうような未熟なWRを実戦投入するようなリスクを、慎重なシャーマンHCが避けたという面も否めない。

「2001年ドラフト組はWR豊作の年」と言われてはいたものの、上記のチェンバース以外のWRたちは、なかなか一年目から大活躍することは出来なかった。ドラフト3位のデヴィッド・テレル(CHI)でさえ415ydsに終わったように、ルーキーWRが複雑なNFLのオフェンスシステムを身に付けて、すぐに活躍するのは難しい。

本来彼はバカッ速いディープスレットというよりも、ガタイがあってパスキャッチが上手く、ランアフターキャッチに優れた、どちらかというとエースレシーバータイプ。今季は結局5番目のWRのままシーズンを終えることになってしまったが、来季ははっきり言ってチャンスだ。サラリーキャップのことを考えると、フリーマン、シュレーダー、ブラッドフォードのうち誰か1人は抜けることになる、と見る記者は多い。ファーガソンが先発WRに成長できるかどうかは、今後数年間のパッカーズオフェンスのカギを握ることになるかもしれない。

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