番外編: けんちゃんのNFCチャンピオンシップ観戦記

管理人より

2011年1月23日、パッカーズ対ベアーズのNFC決勝をグリーンベイの名物スポーツバーで観戦したけんちゃんによるレポートです。ミルウォーキー在住のBuckeyesさんと現地で合流し、われらが宿敵との歴史的ゲームを目撃。勝利の喜びを地元ファンと分かち合いました。

"Go Super Go!!!" ドラフト外ルーキーのCBサム・シールズがこの日2度目のインターセプトし、倒れ込んだ瞬間に大歓声とともに場内の全員が拳を突き上げ、立ち上がりました。座ってる人なんて一人もいません。

「あぁ、なにやってんだ。早くダウンしろよ。掲示板で誰かが注意してくれてたの聞いてなかったのか。ほら、言わんこ っちゃない、ファンブルしたやないか。ああ、リカバーしたか。今度こそ本当に大丈夫やろう」

と、殆ど同時に"Go Pack Go!!!" の替わりに"Go Super Go!!!" の大合唱が始まりました。「今度こそ本当に大丈夫やろう」

そうです。実は "Go Super Go!!!" の大合唱はこの日二度目だったのです。 最初の大合唱はNTラジがインターセプトして18ydsリターンしてタッチダウンした時に起こりました。これでパッカーズ 21-7 ベアーズ。残り時間は6分少々。誰だってだめ押し、これで決まり、って思いますよねえ。それが、何たることでしょう、いくらプリベントディフェンスとは言え、「あっ」という間(実際には1分少々)にTDを決められて、またまた7点差。まだ、5分近く残っています。

パッカーズの攻撃はこんな時に滅多な事はできないから、スリーアンドアウトもやむを得ない。ベアーズ最後の攻撃、気が気じゃありません。隣で一緒に応援していたBuckeyesさんがいつの間にかいなくなってしまいした。「こんな大事な時に何してるんだろ?」 後で聞いたら、とても見てられなくなってトイレに行ってたって言います。その気持ち、わかります。そう言えばBuckeyesさん、昨日も 「悪い予感がする。悪い予感がする。今までずっとアンダードッグだったのに、今回は・・・ブツブツ」。わかります、わかります。本当のファンってそうしたものですよね。 でも、大丈夫ですよBuckeyesさん、その予感、きっと当たりませんから。

「Buckeyesさ〜ん、もう出てきても大丈夫。終わりましたよ〜」 ・・・で、サム・シールズのインターセプトで目出たし、目出たし、になる訳ですが、ここまで本当に大変でした。試合開始のドライブでTD。一体、何百点入るんやろ(生来の楽天家)、もう勝ったようなもんやな、なんて思ったのが遥か昔のよう。第2Qに追加TDを決めてパッカーズ14−0ベアーズになっても全然勝った様な気がしない。アーラッカーにインターセプトされた時には 「もう、あかん」 と思ってしまったけれど、ロジャース君のタックルで何とかセーフ。

カトラー君(何故か、QBには「君」をつけてしまう私)がいなくなってもちっともラッキーなんて思えない。それもこれもオフェンスの不調のせいでしょう。ベアーズ戦はいつでもこんな具合。獲得ヤードもタイムオブポゼッションも勝ってて、試合には負けちゃうんだよね。重苦し〜い雰囲気。第3Q、遂にチェスター・テイラーにTDを決められて7点差。場内シーンと静まり返ったのに、何たる事か、私の後ろの7〜8人掛けのテーブルで "Go BEARS Go!!! " の叫び声。勇気あるなあ。どっから来たのか、ベアーズファン。

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The Stadium View 店内の様子

それもこれも今では愉しい思い出。本当に良かった。私がパッカーズのチャンピオンシップをグリーンベイのスポーツバーでこうして観戦できた幸運についてお話しましょう。今年1月にアメリカに行く事になったのは去年の9月の終わり頃のことでした。用が終わった後は比較的自由になります(ワシは社長じゃ)。そこで、日程を1月23日にはグリーンベイに居られる様にしよう、と考えました。言うまでもなく、その日はチャンピオンシップ当日です。ただし、これまた言うまでもなくチャンピオンシップがグリーンベイで行われるかどうかはぎりぎりまで分からない。

それどころか、パッカーズがチャンピオンシップを戦えるかどうかが、まず分からない。皆さんには説明するまでもないと思いますが、そのためには何よりプレイオフに出場資格を獲得しなけりゃいけない。でも、とにかく1月23日にはグリーンベイに行く事にして、まずホテルの予約を入れる事にしました。

で、吃驚した。めぼしいホテルはどこも満杯なのです。なるほど、考える事はみんな同じで、チャンピオンシップがグリーンベイで行われるかどうかはぎりぎりまで分からないけれど、ともかくホテルの予約はしておこう、駄目だったらその時キャンセルすれば良いや、という訳なのでしょう。

それでも、何とか一軒、ランボーフイールドに外観がそっくりのカンブリアスイートと言うホテルに空きを見つけました。ロケーションもランボーフイールドの直ぐそば、という最高の場所です。ただし、こことっても高いんだよね。 「まあ、良いや。駄目だったらキャンセルしよ」

◆ ◆ ◆

シーズンが進むにつれてパッカーズは怪我人続出。こら、あかんわ。でも、もう日程は決定済み、フライトも格安航空券(この貧乏人!)ですから変更はききまへん。「まあ、ええわ。アメリカの静かな田舎町を堪能してパッカーズグッズでもお土産に買ってこよ」と考えました。でも、パッカーズはしぶとかった。

ミネソタをスイープした時は嬉しかったなぁ。でも、ライオンズに負けて、やっぱりペイトリオッツにも負けた。この時点でランボーフイールドでのチャンピオンシップの可能性は消えました。でも、まだプレイオフ進出の可能性は残っている。でも、相当に厳しい。(このあたりの「でも」の連発はその頃の心の動揺、とご理解下さい)

第15週、ジャイアンツがイーグルスに大逆転負け。思えば、これが第1の奇跡でした。それかから後は皆さん、よくご存知の通り、第16週から負けたら終わりのプレイオフに突入した(みたいな)パッカーズはとうとう第6シードでプレイオフ当選を果たします。

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1月13日(木)に日本を出発しました。そう、パッカーズがイーグルスにプレイオフ第1戦を勝利した後です。ランボーフイールドでのチャンピオンシップの可能性は消えていましたが、まだグリーンベイでチャンピオンシップを見れる可能性は残っています。

もともと、私は14年前にスーパーボウルを見た時に「次は是非グリーンベイのスポーツバーかどこかで現地のパッカーズファンと一緒に声を枯らして声援を送りたい」と言っています(「第32回スーパーボウル観戦記」に書いたとおり)。別にランボーフイールドでのチャンピオンシップでなくったって良いんです、どこか他の場所ででもチャンピオンシップを戦うパッカーズがグリーンベイで見れれば。だから、ランボーフイールドでのチャンピオンシップの可能性が消えた後もホテルはキャンセルしませんでした。

でも、そのためにはもう1つ関門が残っています。デビジョナルプレイオフを敵地で第1シードのファルコンズに勝たねばなりません。デビジョナルプレイオフ当日の15日は夜8時30分から会食の予定が入っていて、こればっかりどうにもなりません。前菜もビーフもどこに入ったのやらさっぱりわかりません。デザートを大急ぎですましてホテルの部屋でテレビを点けたんです。そうしたら、ぼろくそテレビめ、画面の左端が見えないんです。画面の左端といえば得点の表示があるところで、ファルコンズが14点というのは分かりましたが、パッカーズの得点がわかりません。

サイドラインにいるマット・ライアン君の表情を見ると、14点取っているにも関わらず、まるで虫歯で歯が痛いみたいな表情をしています。これはひょっとしたら勝っているのじゃあなかろうか、と思いながらやきもきしていると、ロジャース君の試合途中のスタッツが画面下部(下部はちゃんと見えます)に映りました。2TDに0INTと出ています。これなら、余程の事(TFP失敗)でもない限り、同点だろう、と推測していると、パッカーズは瞬く間にTDふたつをとって、私にもこの時点で双方の得点が分かって大安心。見事デビジョナルプレイオフ通過で、グリーンベイでチャンピオンシップを見れる事になりました。

グリーンベイには予定通り22日(土)の夕方に着き、ミルウォーキー在住のBuckeyesさんに空港まで迎えに来ていただきました。ありがとう。ところが、ランボーフイールドは年中無休と聞いていたのに、Buckeyesさんによると明日はお休みだ、と言うではありませんか。何たるこっちゃ、と思ったら「明日はパッカーズのチャンピオンシップ当日なので、従業員達も様子が気になって仕事が手につかないだろうから、お休みとしたい。どうか諒としていただきたい」 てな事でした。そういう粋な計らい故の休みなら納得しない訳にはいかんでしょう。

少しだけでもと、もう店じまいの時間でしたが前日に行ってみると、従業員達が後片付けをしていました。ダラス空港で働いていたカウボーイズショップのお姉ちゃんが心なしか淋しそうに見えたのとは対照的に、その背中がすごく愉しそうに見えたのは気のせいだったでしょうか。

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スポーツバーはホテルのすぐそばの"The Stadium View"という店で、体育館をふたつかみっつ繋ぎ合わせたような大きな店でテーブルが何台も何台もあって、大型のテレビスクリーンがこれまた何台もあります。駐車場の確保が大変なので、ホテルから歩いていける(寒かったけれど)このお店は貴重でした。このお店はホテルのフロントのお姉ちゃんが推薦してくれたのです。この娘はランボーフイールドが休みで買い物が出来ずに気の毒だ、と言って紛い物の大きなフットボールのネックレスと暖かいパッカーズのマフラーをプレゼントしてくれて、試合の終わった後にはプレスガゼット紙の号外を部屋まで届けてくれました。ランボーフイールドの休みも悪くないです。

寒い、と言えばたしかにグリーンベイは零下10℃以下という気温ですが、大した事ありません。部屋の中は暖房でぬくぬくですし(半袖でもOK)、外はたしかに寒いことは寒いけれど、車からの移動の間だけですから。もしも私が選手だったら(オイ、オイ)絶好のコンデション、と言うでしょう。ただし選手でなかったら、ちょっと辛い。外気にふれている皮膚はすぐに真っ赤に、痛くなります。グリーンベイでは外でプレイするか、部屋の中でテレビを見るか、さもなければ、着ぶくれの達磨さん状態で観戦するしかなさそうです。

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The Stadium View はスタジアムからほど近く、前に巨大ロンバルディトロフィのある名物店

試合開始2時間以上も前に行ったのに店はほぼ満員状態。皆、パッカーズのジャージでワイワイガヤガヤとやっています。店の外でも中でも出店みたいなのが出ていて、防寒グッズやらワッペンやらパッカーズの写真やらピン、バッジ、何でも売ってます。私もマシューズが今まさにファーヴをサックしようか、という写真を買いました。

昔の懐かしい写真も売っていて、恐らく60年代でしょう、ポール・ホーニングが有名なロンバルディスイープをしている写真がありました。値段を聞いたら$20というので、ちょっと高いな、と思いましたが、他所ではまず手に入らない写真ですから、買うことにしました。写真の一番右側に写っている63番がスイープのリードブロッカー役のオフェンスラインでしょう。写真から判断すると良いポジションに居る様に見えます。きっとロングゲインになった事でしょう。

で、代金を払おうとすると、向こう側に座っているおじいさんが写真にサインを始めました。聞けば、このおじいさんが63番だ、というのです。へえ〜、そりゃあ知らなかった。私は握手までしてもらいましたが(大きなごつっい手でした)、この63番ってなんて人なんだろう、と思って帰国後調べたらファジー・サーストンって言う当時の名左ガードで、グリーンベイでは知らない人がいないような有名人でした。右手、洗わなきゃ良かった。

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ショップのスペースも

試合終了直前に始まった "Go Super Go!!!" の大合唱は試合終了後もしばらく続いていましたが、さすがに落ち着いてきたようです。とはいえ決して静かになった訳ではありません。あっちでも、こっちでも雄叫びか、日本式に言えば万歳でしょうか。まだまだ騒ぎは収まりそうにはありません。どこに行ったか、ベアーズファン。

管理人さんによれば私は「明治生まれ」だそうですから、第1回スーパーボウルも第2回スーパーボウルも知っています。というよりもそれでパッカーズファンになったみたいなもんです。あの頃のパッカーズは本当に強かった。で、かっこ良かった。でも、あの頃のパッカーズはちっとも動かなかった。写真と記事でその様子を知るしかありませんでした。そんな時代を知っている爺がこんな幸せな日を迎える事が出来るなんて、夢に見た事さえありません。ひとえに管理人さんやBuckeyesさんを初めとする Packe Zone の皆様のおかげです。お義理でなく心からお礼申し上げます。

最後にもう一言。あと、たったひとつ ですね。

あら楽し、思い晴るる、身は帰る、 浮き世の月にかかる雲無し。

updated : 2011/1/29