≪ 前へ 1 2 3 次へ ≫

DDTさんのランボーフィールド観戦記 (2)

■ 12月9日(日) 試合当日

いよいよゲーム当日だ。昨日の天気予報ではsnow showersと出ていたが,予報は外れ,空は晴れている。しかし気温は-9℃。みんなは朝食を摂りにレストランへ行ったが,私は普段朝食を摂らないので部屋でテレビを見ていた。朝食から帰ってきたすーさんがちょっと興奮気味に「日本の方がいまして,ちぃさんがPacker Zoneの方ですか?って話しかけられていましたよ」と教えてくださった。後に判明したのだが,Packer Zoneの掲示板にも投稿されたことのあるshintaさんという方が現地観戦に来られていて,我々と同じホテルに宿泊されていたのであった。すごい偶然に驚いた。

クリックすると拡大します
ホテルから徒歩でスタジアムに向かう
(中央奥がスタジアム、右の白い建物は多目的ホールのレシュ・センター)

体中にカイロを貼り付け,靴の中にもカイロを入れて,いざランボーフィールドへ。道中至る所でテールゲートパーティーをしている。歩いている人たちは皆笑顔だ。気温は氷点下で歩道には雪が積もっているが,心はすごく温かくなる。簡単なボディーチェックを受け,チケットを見せて,スタジアムの中へ。途中で折りたたみ式のイスが6ドルで貸し出されていたのを忘れずに借りて,客席へと向かう。

クリックすると拡大します
入場ゲートから東を振り返る

通路からスタンドへ出た瞬間,何度もテレビで目にしてきたランボーフィールドの全景が目に飛び込んできた。フィールドではパッカーズの選手が練習をしている。ファーヴもドライバーもいる。スタンド上部にはロンバルディーやレジー・ホワイトの名前が刻まれている。ランボーフィールドはやはり特別な存在だということを実感するとともに,胸にこみ上げてくるものがあり,若干泣きそうになってしまった。あわてて顔を隠したが,他のみなさんも半ば放心したようにフィールドを見ておられたようで,誰にも気付かれずに済んだ。

しばらく自分の席に突っ立ったまま,我を忘れて夢中で練習を見ていたが,選手達がいったんロッカールームへと引き上げていったのを機に腹ごしらえをすることにした。事前にジャスティンさんに教えてもらっていたウィスコンシン名物Bratwurstというドイツ風ソーセージをパンで挟んだものと,普通のホットドッグの2つを購入。ホットドッグも悪くないが,Bratwurstは抜群においしかった。これから行かれる方,おすすめです。

ちぃさんたちは,記念のカップをゲットしたいがためにビールを買っていた。しかし,さすがにこの寒さでは飲む気があまりおきなかったようで,ほとんどを残したまま座席の下に置いていた。そのカップを試合後見ると,ビールが凍っていたのには驚いた。このくそ寒い中,我々の前の方にはレイダーズファンの若い女性が,へそ出しタンクトップ姿で応援していた。信じられない。

クリックすると拡大します クリックすると拡大します
凍りついているベンチシート $6ドルのレンタルいすをセットするとこのとおり

腹ごしらえも済んで,試合開始を待つ。待っている間,ホーム側とアウェイ側に分かれて,「グリーンベイ!」「パッカーズ!」と連呼する。我々の席はアウェイ側にあったが,当然のことながらレイダースファンなどほんのひとにぎりしかおらず,周りのパッカーズファンと一緒になって「パッカーズ!」と叫ぶ。気持ちいい。 先にレイダーズの選手がばらばらとフィールドに入ってくる。パッカーズのディフェンス選手達も入場し,次にオフェンスのスターター紹介だ。ドライバーはやっぱりすごい人気。ファーヴがフィールドに駆け込んできて,スタンドの興奮は最高潮に。

ゲーム前の国歌独唱。私はアメリカ国歌が好きなので,一緒になって口ずさんでいたら,さっきなんとかおさまったはずの感動が再び胸にこみ上げてきてしまった。そこに2機編隊の海軍戦闘機によるfly over!轟音に涙腺が刺激されてしまったのか,どっと涙を流してしまった。

クリックすると拡大します
東南側の席は選手入場セレモニーが目の前

■ 試合開始

我々の席は,20~30ヤード付近の12列目。フィールドがめちゃくちゃ近い。クロスビーのキックオフからのレイダーズオフェンスはディフェンスがきっちり止めてパントへ。やっぱり今年のディフェンスはいいなあと皆で言い合う。パッカーズのオフェンスは今シーズンブレイクしたグラントのランを中心にあっという間にレイダーズ陣26ヤードまで進む。4thダウン4になりフィールドゴールと思ったら,ここでなんとギャンブル。観客は盛り上がるが,残念ながらギャンブルは失敗。

その後はオフェンスは進むもののインターセプトがあったりして得点にはならず。なぜかプレーの間に選手がぞろぞろ歩き出すので何かと思えば,第1Qが終わっていた。めちゃくちゃ早く感じる。やはり夢中になっているからだろうか。

第2QにグラントのランでTDを挙げるとスタンドは大騒ぎ。私も前にいたアメリカ人のおっちゃんとハイタッチをして盛り上がる。この後すぐにブラックモンのパントリターンTDが出て,その騒ぎがおさまらないうちにハリスのインターセプトまで飛び出てもうイケイケである。

ハーフタイムには地元の子どもたちがわらわら出てきてダンスをしていた。いかにもグリーンベイらしくて微笑ましい。しかし,周りの人がハーフタイムで席を立って隙間ができると,寒さが身にしみる。試合開始時より気温が下がっているんじゃなかろうか。特にすーさんは荷物が届かなかったので普通のスニーカーで観戦しているので心配だ。後で聞いたところではめちゃくちゃ寒かったそうだ。

クリックすると拡大します
ダブルTE・1WRのラン隊形

後半開始。クロスビーのフィールドゴールで追加点を挙げた後,ジェニングスへのロングボムが決まりTD!ファーヴから投じられたきれいなスパイラルのかかったパスがジェニングスの手におさまるまで,私の耳にはまったく音が聞こえず,まるでスローモーションを見ているような状態だった。本当に特別な瞬間だった。

その後はブラックモンの2つ目のTDあり,だめ押しのリーへのTDパスありと,もう文句なしの試合だった。そして試合終了。勝利を得ると同時に,ディビジョンチャンピオンも決定。こんな記念すべきゲームを観戦できて本当に幸せだと思う。 (スタッツ等はこちら

ところで,スタジアムで見ているとテレビに映らない場面も見れて楽しい。確かジェニングスのTDの後のTFPの時だったと思うが,キッキングチームなのになぜかウェルズが居残っており,あれ?と思って見ていると本人もロブ・デイビスがいることに気付いたようで,「あ,俺じゃねえや」という感じでダッシュでベンチまで帰って行った。ベンチではコーチや選手に冷やかされていたのが微笑ましかった。

クリックすると拡大します
3年ぶりの地区優勝が決定

■ 試合後

ゲームも終わり,名残惜しいが,帰路につくことに。スタジアムから出る際何度も何度もフィールドを振り返っていたら,他の3人とはぐれてしまい,ご迷惑をおかけしてしまった。再びみなさんと合流するまでの間,スタジアムから少し離れたところで一人で待っていたのだが,前を歩いていく観客が皆笑顔で,口々に「ナイスゲーム」とか「いいクリスマスを」とか声を掛けてきてくれた。私はこの日,ドイツ軍の払い下げのオーバーを着ていたので,もしかすると警備のために立っている軍人と思われたのかもしれないが,すごく気分がよくて,私も拙い英語で「グレイトゲーム」とか返事をしておいた。

ホテルに戻り,ちぃさんが持ってきていたパソコンからPacker Zoneの掲示板に早速書き込みをした後,祝杯を挙げるためにタイトルタウン・ブリューイングというレストランへ行くことになった。ここはちぃさんが事前にリサーチしておいた店で,ウィスコンシン州の地ビールを飲めるのが売りだという。私はノンアルコールのルートビアでお茶を濁していたが,あとのお3人は実においしそうにビールを飲んでおられた。店では,やたらとテンションが高い兄ちゃんに,「日本から来たのか,俺は任天堂のWiiを持ってるぞ」などとしゃべり掛けられたり,サンデーナイトゲームの放送を「まあお互い頑張らはったらええんちゃいますか」などと上から目線で観戦したりと,楽しい時間を過ごした。

クリックすると拡大します クリックすると拡大します
旧グリーンベイ駅舎を改造したTitletown Brewing
店の前には有名な"The Receiver"像が移設されている
≪ 前へ 1 2 3 次へ ≫

updated : 2008/01/30