2007年3月 9日

couldのニュアンス

何年ものあいだ毎日大量の英文を読んできたので、プロフットボールに関することならある程度細かいニュアンスまで読み取れるようになった気がする。そこで、私と同じような大学受験レベル(留学経験なし)の英語力の人が初めてNFLの英語記事に接する場合を想定して、注意すべき点を挙げてみることにしよう。

いまはオフシーズンなので中心になるのは人事関連の記事。どのチームが誰を狙っているとか、誰がどの程度の金額を望んでいる、といった話題だ。そういった記事を読む上で最低限必要なのが、推量の助動詞としての could の使われ方を知っておくことだろうと思う。

たとえば昨季終了直後、ファーヴの現役続行が未定の時点とする。そこで Favre could retire. と書こうが Favre could return. と書こうが、最新情報としての価値は何もない。could とは可能性の高い低いを示すものではなく、「可能性がゼロではない」ことを示すだけだからだ。引退するかもしれないし、現役を続けるかもしれない。どちらも可能性はゼロではない。プロの記事であろうと could を使って書かれた場合は、我々ファンが掲示板で書くのと、その信憑性においてたいした違いはない。

FAやトレードについても同じことで、The Packers could pursue Stallworth. とか Packers could trade for Randy Moss. と書かれた場合、間違っても「パッカーズがストールワースを獲りにいく!」などと先走ってはいけない。「まだ何の証拠もないけど、ストールワースを獲りにいく可能性もあるよ」とその記者は述べているだけで、噂ばなし以前の憶測にすぎないからだ。繰り返して言うが、我々ファンが掲示板で「○○を獲ったらいいよねー」と話すのとさほど変わらない。

ちゃんとした噂ばなしと言えるのは A league source tells us that... とか According to a team source, つまり「情報筋によると」といった前置きがついた場合だ。匿名を望んだその情報源が記者に「何にしとく?」と聞かれて「チーム関係者にして」となった場合は A team source 、もっとボカしたい場合は A league source となるのだろうか。 A source close to the situation said that... などと書かれていたら代理人や選手の家族を想像していいかもしれない。

こういう基本的なことがわからずに、固有名詞だけ拾い読みして「あのチームが○○を狙っているそうですね!」と掲示板などで書き散らすのはかえって迷惑というものだ。そういった書き込みを見たら、その人の書くことはあまりアテにしない方がいい。

これが could でなく will になったら正反対で、100%に近い確信を持ってその記者が書いたことを示している。逆に言えば、何らかの証拠をつかんでなければ will は使えるものではない。もし現役続行未定の時点でグリーンベイの地元紙が Favre will retire. または Favre will return. という記事を載せたら、すぐに全米メディアからパッカーズに取材が集まるだろう。

will と書いた記事がもし誤報なら切腹モノ、とは言わないが、上司からはお叱りを受け、同業者からは冷たい目または慰めの言葉をかけられることになる。まあ人間は直前で気が変わることもあるから、記者より選手本人に誤報の原因があることも多いけれど。またそれとは別に、個性的なコラムニストが Favre will retire. といったコラムを書くこともなくはない。誰も真に受けないことを前提に、派手な見出しで大胆な予測を述べるといった趣向だ。

ケガ人が今週の試合に出るかどうか、といった話題でも couldwill はよく使われる。ケガで欠場していた選手について Mark Tauscher could return to lineup this week. と書かれているだけでは、復帰できるのかできないのか判断はつかない。しかしこれが Tauscher will start this week. となったら、この記者はコーチからか本人からか、先発復帰の確かな情報を得ていると推測できる。だいたい週の前半のうちは出否未定なので could しか書けず、試運転を済ませて初めて will と書ける根拠が得られるようになるだろう。

というわけで、ニュアンスがはっきりしている couldwill だけに絞って説明してきた。maymight については、まあ可能性が半々なのだと思っておけばいいのではないか。選手の移籍で言えば、チーム側が獲得に興味を示している状態や、契約交渉に入っている段階なら Packers may re-sign Ahman Green. という表現でちょうどいい。

今後もなにか気がついたことがあったら、フットボール英語についてまた取り上げてみたい。

投稿者 nagoyapackerbacker : 00:00