2001年7月30日
進路
いよいよトレーニングキャンプが始まった。オフシーズンのまっただ中にこのサイトをオープンして以来半年近くもやってきたので、「ついにここまで来たか」という感じがする。ニュースのない時期には毎晩ネタ探しに苦しんできたが、これからの時期はそんな心配もまずないだろう。あとは入ってくるニュースの中に「じん帯」とか「腱」とか「骨」とかいう単語がないことを祈るばかりだ。
このところどのチームもロースターを激しくいじっていて、ドラフト指名ルーキーとの契約があったかと思うと、その分解雇される選手達がいる。その多くはドラフト外のFAルーキーだったり、プラクティス・スクワッド級の選手、NFLのロースターで1年も過ごしたことのない若手選手たちだ。彼らに比べれば、例えドラフト7巡指名であってもエリート選手に思える。
現在パッカーズのロースターにいるのは80人と少し。これが8月28日には65人。開幕1週間前の9月2日には53人に絞り込まれる。なんと30人近くの選手がグリーンベイを去っていくことになるのだ。ある程度NFLで実績を残したあと、実力が衰えて解雇されたような選手はその分財産を残しているだろうからまだいい。そうでない、20代前半でクビになった選手たちはそれからどうするのだろう。残った選手のことは試合を見ていればわかるが、いなくなった選手はその後どうなる? そちらの方がとても気になる。
もう1年頑張るか。このままフットボールに喰らいついて、CFL、アリーナフットボール、NFLヨーロッパなどでなんとかプレーを続けて、来年のチャンスを待ってみる。シーズン中だって、どこかのチームでケガ人が続出して急遽トライアウトを実施する、というチャンスだってないわけではない。バイトで食いつなぎながらトレーニングを続ければいい。彼女は何て言うだろう。子供を持つなんて当分無理か。田舎に帰るか。母親の言っていた知り合いの会社の面接を受けてみようか。大学ではロクに単位も取らなかったし、当然卒業証書なんてない。俺に何が出来るだろう。退屈な町。昔の仲間。元フットボール選手の肩書き。「あいつ高校時代はすげえラインバッカーだったけどな、結局プロでは無理か。お情けでこの会社に拾ってもらったらしいぜ」・・・それも憂鬱だ。
コーチを目指すか。大学でも後輩を教えるのが好きだったし、高校のコーチを頼まれたこともある。一生懸命勉強すれば、そちらの才能はあるかもしれない。プロへの未練は捨てて、若いうちからコーチを目指してみるか。それにはどうしたらいいだろう? 大学のコーチ、いや高校時代の恩師にまず会いに行ってみよう。喜んでくれるだろうか、それとも昔のようにどやされるか。
やはりオレにはプロでやっていくには何か足りないのだろう。それにコーチなんてガラじゃない。やっぱり大学に戻って、法律の勉強を続けよう。別に勉強が嫌いだったわけじゃない。フットボールのことしか頭になくて、気が乗らなかっただけだ。少ない貯金だけど、学費に充てよう。死ぬほど勉強して、卒業して、資格を取って弁護士になってやる。検事でもいい。「フットボールしか能のない運動バカ」って言ってた連中を見返してやるチャンスじゃないか。
大学から奨学金をもらってフットボールやバスケをしている学生の中で、NFLやNBAに進める選手はわずか数%だという。だからほとんどの選手が遅かれ早かれこのような選択に直面することになる。ひとりで競技生活を続けていくのも大変なエネルギーがいることだろうし、別の進路を目指すのも、もちろん容易でないに決まっている。人生の転機というのはどこに転がっているかわからないと言うが、彼らの場合まさにそうだろうと思う。プロスポーツで活躍した元選手が麻薬や暴力沙汰にまみれてぼろぼろの生活を送っていることもあれば、プロとしては成功しなかったけれども、事業で立派に成功していること人が沢山いることを、彼らには忘れてほしくない。
投稿者 nagoyapackerbacker : 00:00

