2001年4月 9日

昔気質

昨年は「TD後などの過度のセレブレーション」が禁止されたが、今年もオーナー会議で「バンダナ禁止」が決まった。(これは殺人の容疑者からスーパーボウルMVPになったレイ・ルイス(の態度)への嫌悪感があるのかもしれないと邪推する)。数年前から「フィールド内でヘルメットを外してはならぬ」というルールも出来ているし、そのような規制が増えるたびにメディアは「NFLはNo Fun Leagueだ」と茶化すことになる。

なにごとにも派手なNBAの影響もあって、少しでも目立つことをして自分の商品価値を高めることに執着する選手達。それに対して古き良き伝統、寡黙な男の美学を大事にしたいオーナー達(しかも全員が白人)。新しいものを選手が取り入れてはリーグ側が規制するというせめぎ合いが毎年続いている。

今年のスーパーボウルの前に、誰だったか覚えていないが昔の選手のコメントを読んだ。「昔は優勝でもしない限りガッツポーズなどしなかったものだ。今ではたかがファーストダウンをひとつ取っただけで派手なポーズをとる」という批判的なものだった。確かに60年代などの映像を見ると、TDを取ったときに肩を叩き合って喜ぶぐらいで、プレーの後の派手な動きなどほとんどない。ロングFGを決めようが、ファンブルリカバーをしようが、少しうつむきかげんにサイドラインに戻ってくるだけである。

60年代の映像でもうひとつ驚いたのが、Ice Bowlの試合中のロンバルディHCとQBバート・スターの会話だ。ベンチに座って体を温めるQBにHCが歩み寄って声をかけるのだが、QBの返事は全て”Yes,sir”だったのだ。完全に軍隊調だった。よくは知らないが、今では考えられないことではないだろうか。わがままな選手達の機嫌を取りながらやっていかなければならない今のコーチと比べていかに権威があったことか。今は亡きロンバルディが見たら今のコーチは大変だなと同情するだろうか、それとも軟弱だと一喝するだろうか。

野球のメジャーリーグではホームランを打っても、プレイオフでのサヨナラホームランでもない限り、日本のようにガッツポーズをとるようなことはまずない。そんなことをしようものなら次の打席でビーンボールが飛んでくるのだと聞いた。(日本にきた外人たちは「ガイジンはオーバーアクションのほうが日本の客は喜ぶ」ということを覚えるからやるのだ)。たしかにガツンと一発食らわせた後は黙ってダイヤモンドを一周するというのは見ていて気持ちがいい。西部劇のヒーローのような、古き良き男の美学のようなものがそこに残っているのを感じる。きっとNFLのオーナー達はそういうものを求めてルールを厳しくしているのだと思う。

幸い現在のNFLは商業的にも成功している。XFLと違って、無理にメディア向けの演出をせずとも試合の内容だけでじゅうぶん人気も視聴率も確保できている。NBAと違って試合中に顔の露出が少ない選手達はコマーシャル的な価値が少し低くなってしまうので気の毒だが。以前にどこかで読んだのだが、サックの後などにやたらポーズをとりたがる若手選手には、コーチは「経験ずみだよって顔してな」と諭すそうである。確かにそのほうがクールだと思う。いま風に言えば。

投稿者 nagoyapackerbacker : 00:00